6 技術開発

6.1 ITERのための工学R&Dは、現在、7つの重要な分野に焦点を絞っている。各大
   型プロジェクトの主題はITERの設計の鍵となる部分を実証することである。この
   ような活動は、様々な規模の試験を通して、ITERに適用可能な技術の開発と高度
   化、構成要素の原型モデルの政策に対する製造技術の開発と実証、包括的な品質管理
   及び品質保証計画の策定と実証を含んでいる。より長いタイム・スケジュールではこれら
   原型モデル級での試験計画に引き続いて、性能上の運転マージンの決定、運転上の柔
   軟性の最適化、運転員の訓練がなされる。

6.2 いわゆる「7大工学R&D」は共通の特徴を有している。これらは複数極の貢献と
   相互依存性及び高い産業的内容を含む典型的な他段活動である。各々は統一的な管
   理構造及び組織を有し、その中においてプロジェクトの責任はJCTとホーム・チー
   ムの間で分担され、また、一つの(あるケースでは二つの)ホーム・チームがプロジ
   ェクトの全体調整に関して指導的役割を果たすように指名されている。

 

超伝導マグネット・コイル

6.3 ITERの種々のマグネットを確実に製作できるレベルへ超伝導マグネット技術を
   進展させるために、二つのプロジェクトが実施されている。中心ソレノイド・モデル
   コイル・プロジェクトとトロイダル磁場・モデルコイル・プロジェクトは、素線、撚
   線、コンジット及び端末構造を含めたITERの実寸導体の開発が進められ、絶縁材、
   ジョイント、導体の交流損失及び安定性、NbSn導体の巻線、熱処理後巻き移しプロ
   セス、並びに品質保証に関する支援R&Dプログラムを統合するために行われている。
   何れの場合においても、関係するホーム・チームは協力して適切な規模の素線の全製造量29
   トンのうち、約25トンが7つの供給元によって製造され適合性が確認された。CS
   モデルコイルについては、撚線及びジャケッティング技術並びに巻線技術が確立され
   活動が進行中である。TFモデルコイルについては、ラディアル・プレートの鍛造が
   完了し、撚線とジャケッティング作業が進行中である。モデルコイルは、運転上の柔
   軟性に関して広い経験を得るとともに、性能上のマージンを知るために、CSモデル
   コイルは日本、TFモデルコイルはEUに据え付けられ試験されることとされている。

 

炉内機器

6.4 三つのプロジェクトが炉内機器に焦点を当てて実施されている。これらには、必要
   な製作技術の開発と実証及び性能並びにトカマク・システムへの組立て/インテグレ
   ーションのための初期試験が含まれている。

6.5 真空容器セクター・プロジェクトは、ITERの真空容器の実寸セクターを作るこ
   とと機械的及び流体的性能に関する初期試験を行うことが主たる目的である。これま
   で、枢要な技術は確立されており、また、製造技術に関しては、許容される幾何学的
   精度の範囲内でセグメントの大きな部分が完成した。

6.6 ブランケットモジュール・プロジェクトは、第一壁、リミター及びバッフル・タイ
   プの実寸モジュールと、冷媒のマニホールド及びバックプレートの実機規模の部分モ
   デルを製作し試験すること、並びに、セグメントモデルにおいて原型級のインテグレ
   ーションを実証することを目的としている。技術開発は、ベリリウム/銅や、銅/ス
   テンレス鋼のように先進技術(高温静水圧プレス)を用いて接着した材料界面におい
   て成功裏に進展し、試験され、確認された。第一壁のアーマの炉内修理の方法として
   ベリリウム・プラズマスプレイが利用可能であることを実証するため、並びに、電気的、
   流体的及び機械的に十分なモジュールをバックプレートに固定する最良の技術を確立
   し試験するために現在作業が進められている。

6.7 ダイバータ・カセット・プロジェクトは、ダイバータが寸法公差内で製作される
   と、並びに、通常の運転中やELM’s及びディスラプションといった遷移状態において
   加わる熱的及び機械的負荷に耐え得ることの実証を目的としている。プロジェクト終
   了までに、半カセットの実寸原型モデルが作られ、試験されることになっている。ダ
   イバータの高熱流速機器の枢要技術については、高速の水により冷却された銅に接着
   されたプラズマ対向材料としてタングステン合金と炭素系材料を採用することが成功
   裏に実証された。プラズマ対向材料の損傷の影響を知るため、プロジェクトには、損
   傷のメカニズムを知るタスク、塵の除法方法を開発するたすく及びベリリウムゃカー
   ボンとともに沈殿したトリチウムガスの排出のタスクも含まれている。

遠隔操作

6.8 7大工学R&Dの最後の二つは、汚染され放射化された状態において合理的なタイ
   ムスケールでの作業を機能とする適当な遠隔操作技術の利用を確実にすることに焦点
   を当てている。これらの技術は、厳格な安全性と環境要件を満たしながら、ITER
   の科学的及び技術的目的を追求するために必要なITERの柔軟性をもたらすもので
   ある。この分野においては、実規模の装置や設備が開発される必要があり、また、適
   切な手順のチェックのみならずそれらの使用に関する詳細な最適化や作業時間の短縮
   のために、それらの試験が長期間に亘ってなされるべきである。運転員のトレーニン
   グも本件の目標として要求されよう。

6.9 ブランケット・モジュール遠隔操作プロジェクトは、ITERのブランケット・モ
   ジュールを遠隔操作によって交換できることの実証を目的としている。これには、原
   理の証明と真空容器の開閉を含む遠隔操作輸送シナリオについて、また、ブランケッ
   ト・モジュールの据え付け及び取り外しのための真空容器中におけるモノレール上の
   輸送ビークルの使用についての試験が含まれる。手順については約4分の1規模によ
   って成功裏に実証された;現在は実規模の実証試験が進行中である。ブランケット・
   モジュールの容器内輸送システムを図4に示す。

6.10 ダイバータ遠隔操作開発においては、ITERのダイバータ・カセットが遠隔操作
   によって真空容器から取り外すことができ、また、ホットセル中において遠隔操作に
   よって修理できることの実証が主たる目的である。これには、実規模の原型遠隔操作
   機器及びツールの設計と製作、並びに、それらのダイバータ試験プラットホーム(ト
   カマクのダイバータ領域の部分を模擬したもの)及び修理設備を模擬したダイバータ
   修理プラットホーム内における試験が含まれている。必要な機器及び設備の製作が進
   行中である。

6.11 遠隔操作機器への要求事項には、放射化された機器と発生する廃棄物の安全な取扱
   いを確実にする役割も配慮されている。ITERの組立て及び運転中に用いる遠隔操
   作の手順、機器及びツールは、ITERの運転が終了した後のITERの除染及び解
   体のためにも直接に適用できるものである。

6.12 7大R&Dプロジェクト空の技術的成果は、工学技術や関連する製作技術及びI
   TERの設計の中で具体化したQAを確実にする上で、並びにコスト算出上で鍵とな
   るものに対する製作コスト見積を確実に行う上で重要である。これらの活動は、さら
   なる原型要素試験や運転の最適化のために、EDAを超えて続けられる必要がある。

6.13 これらのプロジェクトは、極を跨ぐ複雑な挑戦的事業の例として、また、共同製作
   活動の先駆的事業として重要である。既にこれらを通して、貴重な組織的経験が、特
   にJCTとホーム・チーム及び関係した産業界間の責任、権限及び連絡に関する明確
   なプロジェクト・マネジメント協定の成就によって得られている。このような組織枠
   組みの中における大型プロジェクトが成功裏に遂行されていることは、建設に関する
   提案に対して教訓を与え、信頼性を高めることとなろう。

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