トラテロルコ条約概要

1.1967年2月作成、1968年4月発効
2.ラテンアメリカ33ヶ国が対象、締約国数29ヶ国(94年12月現在)
3.条約の内容
 第1条 核兵器の実験、使用、製造、生産、取得、貯蔵、配備等を禁止又は防止
 第5条 核兵器の定義
 第13条 IAEAとの保障措置協定締結義務
 第14条 締約国の報告義務
 第16条 特別査察
 第18条 平和目的の核爆発の容認
 第28条 効力発生要件及びウエーバー条項
 第29条 有効期間(無期限)
4.追加議定書1(対象国は同地域に属領を有する米、英、仏、蘭の4ヶ国)
第1条 本条約の適用地域に属領を有する全ての域外国は当該属領において非核化に関する本条約の規定を適用
5.追加議定書2(対象国は米、英、仏、露、中の5核兵器国)
第2条核兵器国は、本条約の適用地域において第1条(非核化)の義務に違反する行為を助長しない
第3条核兵器国は、本条約締約国に対し、核兵器の使用又は威嚇を行わない
6.条約改正
90年7月条約の名称「ラテン・アメリカにおける核兵器の禁止に関する条約」(トラテロルコ条約)を「ラテン・アメリカ及びカリブ諸国における核兵器の禁止に関する条約」と変更
91年5月第25条2(紛争地域の加入)を全面的に差し替え(締約国となる条件)
92年8月 第14,15,16,19,20条(締約国が提供する情報の第3国への流出に関する規定の挿入、理事会から査察権限の剥奪等)の改正
(注)改正条約が発効するためには、過半数の締約国(13ヶ国)の批准書寄託が必要(第28条3類推解釈)。改正された条約は全ての締約国について効力を生じる。

(参考)
(域内国で未締約国:97年12月現在)
 キューバ
(域内に属領を有する国による追加議定書Tの批准)
 仏の批准(92年8月)により完了
(全核兵器国の追加議定書Uの批准)
 ソ連の批准(79年1月)により完了


ラロトンガ(南太平洋非核地帯)条約について

○ 条約概要
 核爆発装置の製造、取得、保持または管理の禁止、核爆発装置の「配備」の禁止、核爆発装置の実験の禁止等。また、他国の船舶又は航空機の自国訪問を許可するか否かについては、各加盟国が主権を行使し自由に決定できる旨及び海洋の自由に関する国際法に影響を与えることは全くない旨規定。対象は南太平洋フォーラムメンバーのみであり、我が国による締結の問題はない。

○ 議定書の概要
・ 第1議定書
 米、英、仏(いずれも南太平洋に海外領土等を有する)に対し、本条約の主要な条約を自国の責任を有する南太平洋非核兵器地帯内の領土に適用するよう求めるもの。
・ 第2議定書
 米、英、仏、ソ(崩壊前)、中の5核兵器国に対し、南太平洋非核地帯条約の締約国が非核地帯内に有する領域に対する核爆発装置の使用、又は、使用の威嚇を行わないよう求めるもの。
・ 第3議定書
 米、英、仏、ソ(崩壊前)、中に対し、南太平洋非核地帯内で核爆発装置の実験を行わないよう求めるもの。

○ 経緯
発 効:1986年12月1日
 (1985年の第16回南太平洋フォーラム会合において採択され、8番目の批准国としての豪の批准書寄託により発効)
署名国及び批准国(自治領):
 豪、ニュージーランド、キルギス、トゥヴァル、クック諸島、ニウエ、西サモア、フィジー、PNG、ナウル、ソロモン諸島
(注)クック諸島及びニウエはニュージーランドの自治領

 議定書については、全核兵器国が署名済み。


アフリカ非核兵器地帯条約(ベリンダバ条約)の概要

条約の要旨
1.条約の適用対象地域(第1条及び第2条)
 アフリカ大陸及びOAU決議によりアフリカに属すると定められえている島嶼の領域(領土、内水、領海、群島水域、それらの上空とその海底及び地下)をアフリカ非核兵器地帯(African nuclear-weapon-free zone)とし、本条約の適用対象とする。本条約は、海洋の自由に関する国際法に基づく権利及び権利の行使を侵害せず、又、影響を及ぼさない。

2.締約国の義務等
(1)核爆発装置の放棄(第3条)
 核爆発装置を研究、開発、製造、貯蔵、取得、保有せず、核爆発 装置を管理しない。また、右のための援助を求めず、受けず、与えず、奨励しない。
(2)核爆発装置の配置(stationing)の防止(第4条)
 領域内の核爆発装置の配置(備え付け(implementation)、設置 (emplacement)、陸上又は内水における輸送、貯蔵、補完、取付および配備)を禁止する。外国船舶・航空機による寄港、外国航空機による領空通過、無害通行・群島航路帯通行の権利に含まれない方法での外国船舶の領域・群島水域の航行を認めるか否かは、締約国が決定する自由を持つ。
(3)核実験の禁止(第5条)
 核爆発装置の実験を行わず、領域内での右実験の実施を禁止し、いかなる国がいかなる場所において右実験を行うことも援助・奨励しない。
(4)核爆発装置・同製造施設の申告・解体・破壊・転用(第6条)
 核爆発装置の製造能力につき申告し、本条約発効前に製造された核爆発装置を解体・破壊し、核爆発装置製造施設を破壊又は平和利用に転用し、同過程に対するIAEA及びアフリカ原子力委員会の査察を受け入れる。
(5)放射性廃棄物の投棄禁止(第7条)
 アフリカへの有害廃棄物質の輸入を禁止し、同物質の国境を越える輸送・処理を管理するバマコ協定の核廃棄物に関する規定を効果的に運用する。アフリカ非核兵器地帯内における放射性廃棄物・その他の放射性物質の投棄に関する援助・奨励を行わない。
(6)原子力平和利用(第8、9、10条)
 本条約は原子力科学技術の平和利用を妨げるものと解釈してはならない。経済・社会開発に原子力科学技術を使用することを促進し、そのために、二国間・地域レベルの協力機構を設置・強化する。締約国はIAEAの援助計画の利用及び原子力科学技術の研究・研修・開発に関するアフリカ地域協力協定(AFRA)の下の協力を強化することを奨励される。原子力平和利用は厳格な不拡散措置の下に行い、IAEAとフルスコープ保障措置協定を締結する。同協定未定約国に対し、平和的目的であっても特定の核分裂性物質、及びその処理、使用、製造のための原料や処理資機材等を供給しない。核物質防護条約及びIAEAの勧告・ガイドラインに規定される措置と同等の防護措置を維持する。
(7)核施設に対する攻撃禁止(第11条)
 アフリカ非核兵器地帯内の原子力施設に対する武力攻撃を行わず、右を援助・奨励しない。

3.寄港、発効、改正規定等
(1)条約遵守のためのメカニズム(第12、13条)
 条約義務の遵守確保のために、アフリカ原子力委員会設置を合意する。同委員会は、報告書等を受け取り・保管し、条約の履行に関する問題につき相談や協議をアレンジし、IAEA保障措置適用を見直し、苦情申し立て手続きを実施し、原子力科学技術の平和利用のための域内外の協力を促進し、年1回の通常会合及び臨 時会合を行う。
(2)締約国会議(第14条)
(3)条約の解釈(第15条)
(4)留保(第16条)
(5)有効期間(第17条)
 無期限に効力を有する。
(6)その他(第18条〜22条)
 署名・批准・発効、改正、脱退、正文及び寄託、付属書

 附属書T(アフリカ非核兵器地帯の適用範囲地図)
 附属書U(IAEAの保障措置)
 附属書V(アフリカ原子力委員会)

4.核兵器国、属領領有国の参加
(1)核兵器国(付属書T及びU、対象は中、仏、露、英、米)
・核爆発装置の不使用
 本条約締約国及びアフリカ非核地帯に対し核爆発装置の使用及び、使用の威嚇を行わない。
・核実験の禁止
 本条約及び議定書の違反となるような行為に貢献しない。アフリカ非核兵器地帯において核爆発装置の実験を行わず、援助・奨励しない。
(2)属領領有国(附属議定書V、対象は仏、西)

(了)


東南アジア非核兵器地帯条約

1.位置づけ
 ASEANは創設以来、地域の安全保障のあるべき姿としてZOPFAN(Zone of Peace, Freedom and Neutrality in South East Asia:東南アジア平和・自由・中立地帯)構想を追求。右構想は東南アジアに対する域外国の如何なる干渉からも自由、平和かつ中立的な地帯を設立しようとするもので1971年「クアラルンプール宣言」として採択。
 本件条約はZOPFAN構想の一環として位置付けられており、95年12月15日ASEAN首脳会議で東南アジア10カ国により署名。

2.条約の概要(条約本文全22箇条、事実調査団に関する付属書及び核兵器国に対する議定書から成る。その要旨次の通り。)
−条約は、締約国の領域、大陸棚、及び排他的経済水域に適用される。
−締約国による核兵器の開発、製造、取得、保有、管理、配置、運搬、実験、使用の禁止。また、締約国は地帯内で他国が右行為(運搬を除く。)を行うことを禁止。
−締約国による放射性物質及び同廃棄物の海洋投棄、排出、処分等の禁止。また、締約国は自国の領域で他国が右行為を行うことを禁ずる。
−船舶の無害通行権、船舶及び航空機の公海の自由、群島航路帯通行権、通過通行権等、国連海洋法上のすべての国の権利または権利の行使を害しない。
−外国船舶及び外国航空機の着陸・寄港、並びに外国船舶によって無害通行等に該当しない領海内等の航行等及び外国航空機による航空飛行に関しては各締約国に許諾の決定権。
−締約国は、条約履行についての疑義の持たれる状況解明のために、事実調査団を派遣することを執行委員会に要請できる。
−条約は東南アジア諸国(10カ国)に開放される。

(核兵器国に対する附属議定書)
−議定書締約国は条約を尊重し(respect)、条約及び議定書の違反行為に寄与しない。
−議定書締約国は域内締約国に対する核兵器の不使用を約する。
−議定書は核兵器国(米、英、仏、露、中)に開放される。

3.条約の発効日
 1997年3月27日発効(なお、ブルネイ、カンボディア、インドネシア、ラオス、マレイシア、ミャンマー、シンガポール、タイ、ヴィエトナム9ヶ国が批准書を寄託済み)。

4.議定書署名対象国(核兵器保有国)の対応
 本件条約署名10ヶ国側は、核兵器保有国と議定書署名へ向けての話し合いを行っているが、署名の見通しは立っていない。

(了)