包括的核実験禁止条約について

1.背景
(1) 地下核実験を含む(注)すべての核実験を禁止することが国際社会の大きな軍縮課題の一つとされてきたが、そのための包括的核実験禁止条約(以下「CTBT」という)の作成に向けて、1994年1月からジュネーウ゛軍縮会議の核実験禁止特別委員会において、交渉が本格的に開始された。軍縮会議における交渉は、2年半にわたって行われたが、インド等の反対によって同条約案をコンセンサス方式で採択することはできなかった。
(2) しかし、CTBT成立に対する国際社会の圧倒的な支持と期待を背景として、同条約案は、国連総会において、96年9月10日(日本時間11日)、賛成158、反対3(インド、リビア、ブータン)、棄権5で採択された。
(3) なお、我が国は、96年9月24日(日本時間同)、この条約に署名し、97年7月8日(日本時間9日)、国連事務総長に対し、この条約の批准書を寄託した。
(注)「大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約」(いわゆる「部分的核実験禁止条約」。1963年モスクワで作成)は、既に、地下を除く核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止している。
2.締結の意義
 CTBTは、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発を実施しないこと等を義務付けるとともに、条約の目的の達成を確保するために厳重な検証制度を定めるものである。我が国がこの条約を締結することは、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮努力を積み重ねていくための国際協力に貢献するとの見地から極めて有意義である。
3.主たる規定
 CTBTは、前文、本文17箇条、2の条約の附属書、1の議定書及び2の議定書の附属書から成り、主要な規定は、次のとおりである。
(1) 核兵器の実験的爆発又は他の核爆発を実施せず、また、これらの核爆発を禁止し及び防止する。更に、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発の実施を実現させ、奨励し又はこれに参加することを差し控える(第1条)。
(2) この条約の趣旨及び目的を達成し、この条約の規定の実施を確保する等のため、包括的核実験禁止条約機関を設立する(第2条)。
(3) 条約の遵守について検証するために、国際監視制度、現地査察、信頼醸成措置等から成る検証制度を設ける(第4条)。
(4) 締約国会議は、条約の遵守を確保し並びに条約に違反する事態を是正し及び改善するため、必要な措置をとる(第5条)。
4.締約国及び署名国(平成10年1月16日現在)
(1)締約国:13箇国(フィジー、カタル、ウズベキスタン、日本国、ミクロネシア、モンゴル、チェッコ共和国、スロヴァキア、トルクメンスタン、ペルー、豪、英、仏)
(2)署名国:149箇国(ただし、条約の発効要件に含まれているインド、パキスタン及び北朝鮮は、未署名。)
5.効力の発生
 未発効。条約の附属書二に掲げられる44箇国(ジュネーウ゛軍縮会議の構成国であってIAEAの「世界の動力用原子炉」等の表に掲げられているもの)すべてが批准書を寄託した後、180日で発効する。ただし、条約の署名開放(1996年9月24日)後、2年間は発効しない(第14条)。
6.我が国の貢献
(1)我が国内に、CTBTに基づく核実験探知のための国際監視制度施設10箇所(地震学的監視6、放射性核種監視3、微気圧振動監視1)が整備されることとなっている。
(2)CTBT実施の準備を行うCTBT機関準備会合委員会の暫定技術事務局に佐藤法務・対外関係局長他1名の邦人職員を派遣している。

 

国際監視制度における各種監視手段と我が国の貢献

各種監視手段
全世界
我が国設置数及び設置場所
担当省庁
1.地震学的監視
(核実験により生ずる地震波の観測)
主要地震監視観測所
補助地震監視観測所


50
120


1 長野県
5 北海道、東京都(2)、大分県、沖縄県
気象庁
2.放射性核種監視
(核実験により空気中に散布される放射性物質の探知)
放射性核種監視観測所
同実験施設


80
16


2 群馬県、沖縄県
1 茨城県
科学技術庁
3.水中音波監視
(核実験によって生ずる水中の音波探知)
水中音波監視観測所


11


0(我が国には設置せず)
 
4.微気圧振動監視
(核実験によって生ずる気圧の変動の探知)
微気圧振動監視観測所


60


1 茨城県
気象庁

[外務省資料]