1.背景
○START―I等による核軍縮の進捗。
○これにより、米・露で核兵器解体に伴う大量の高濃縮ウラン及びプルトニウムが発生。
○モスクワサミットでの合意
| ・ | 安全な管理、核兵器に再転用されない形態への処理処分が極めて重要。 |
| ・ | その主要な責任は発生国が負うが、必要な場合には他国や国際機関の支援を歓迎。 |
| ・ | 本件に係る国際戦略の策定・実施のため、関連する経験と専門的知見を共有する。 |
| ・ | その具体策として、安全かつ効果的な管理のためのオプションに係る検討、国際協力の可能な進展の特定のため、国際専門家会合を開催する。 |
| ・ | 実施可能になり次第、余剰兵器核分裂性物質をIAEAの保障措置下に置くことを確保するための努力を支援。 |
2.国際専門家会合の結果について
○上記専門家会合は1996年10月にパリで開催。
○参加国(機関)は、G7+露に加え、ベルギー、スイス、IAEA、EU。
○専門家会合の結果概要は以下のとおり。
| ・ | 深ボーリング処分(deep borehole storage:数kmの深い穴にプルトニウムを定置する方法)以外の処理処分の方策は有効であり、今後もそれぞれの方策の技術開発が進められるべき。 |
| ・ | 中でも、原子炉(特に軽水炉)で消費する方策は、プルトニウムの同位体組成の転換、エネルギー資源の創出、経済性及び核不拡散の観点から有望であるとともに、これを補完するものとして固定化オプションがある。 |
| ・ | 効果的で迅速な処理処分を可能にするため国際協力を奨励。 |
3.デンバーサミットの結果について
○上記専門家会合の結論を支持し、余剰兵器プルトニウムの管理に関する国際的取り組み(特に、仏独露によるMOXパイロットプラント建設計画、米露プルトニウム転換協力)が歓迎されるとともに、次回サミットまでに国際協力に関する調整・実施の枠組みを検討し、その結果をサミット8ヶ国首脳へ報告することとされた。
4.バーミンガムサミットに先立つG8外相会合の結果について
○既存のプロジェクト間の調整及び財政面での様々なオプションの必要性が確認され、プロジェクトの再評価を行うため、1999年に専門家会合を開催することとなった。
5.米露の解体核兵器から生じる核物質処理処分への取り組み
(1)米国
○余剰高濃縮ウラン処理処分に係る米国の政策決定(1996.7)
―可能な限り(余剰HEUの85%)を低濃縮化して民生用原子力発電所燃料として再利用し、燃料に適さない残り(15%)は低濃縮化後廃棄物として処分する方針。
○余剰プルトニウム処理処分に係る米国の政策決定(1997.1)
―ガラス固化あるいはセラミック固化による固定化、並びにMOX燃料として既存の原子炉で消費する2本立ての処理処分オプションを今後追求するとした。
(2)露
○核兵器解体で生じる高濃縮ウランについて、1994年1月、露原子力省は、米国濃縮公社との間で、500トンの高濃縮ウランを露国内で低濃縮化し、低濃縮ウランの形で20年間で供給する契約を取り交わし、1995年から輸送を開始。
○プルトニウム処理処分方策については、仏、独、米国との間において、各々研究協力を実施。仏及び独とのそれぞれ独立に実施した研究協力については、三国計画として統合される予定。米国とは1994年から、金属プルトニウムの酸化物への転換、原子炉での使用、固定化等のオプションについての共同研究を実施。
6.検討中の主要な国際的プロジェクト等
○仏独露三国によるMOX燃料加工パイロットプラント建設計画
| ・ | 先行していた仏露及び独露の2国間協力を統合するもの。 |
| ・ | 露の金属プルトニウムを露国内で酸化物に転換し、MOX燃料に加工する工場を建設し、ロシアの軽水炉(VVER-1000)及び高速炉(BN-600)で燃焼するもの。 |
| ・ | 米露は、1994年の両国首脳の合意に基づき、兵器級プルトニウムの処理処分に関し、金属プルトニウムの酸化物転換、軽水炉での処理処分、固定化等の分野に関する共同研究を開始。1996年報告書をとりまとめ。 |
| ・ | 現在、酸化物転換につき、米露両国でのパイロットプラント建設計画を有する(米露プルトニウム転換協力)。 |
| ・ | IAEAが解体核兵器から発生する核物質を検認することに関し、1996年9月に米、露、IAEAの3者により検討開始。 |
| ・ | これまでに検認の範囲や目的、対象となる核物質の保管場所、種類及び量、機微情報保護の観点から利用可能な技術、資金調達、法的枠組み等について議論が行われてきているところ。 |
| ・ | 余剰兵器プルトニウムを発生国でMOX燃料に加工し、カナダのCANDU炉で燃焼し使用済燃料をカナダ国内で管理するもの。 |
| ・ | 米露各々の少量のプルトニウムを用いたカナダ国内での照射試験計画が進行中。 |
| ・ | 露のCANDU用MOX燃料加工については、仏独露三国計画の加工施設に付加する方向で検討中。 |
| ・ | 露トムスク―7のプルトニウム生産炉の代替として余剰兵器プルトニウムを燃焼する高温ガス炉(GT-MHR)を建設するもの。 |
| ・ | 米GA社と露原子力省が1995年に概念設計を開始し、仏フラマトム社及び日本の民間会社が参加。 |
7.我が国の対応
○核兵器の解体により発生するプルトニウムについては、核軍縮の促進と核拡散の防止の観点から、軍事再転用されないことを確保しつつ、安全かつ極力迅速に処分されていくことが重要との立場から国際的検討に積極的に参加。
○原子力平和利用の経験に根ざした技術に基づく協力の可能性について、我が国においても関係国と協議を進めつつ検討が行われているところ。