旧ソ連核兵器廃棄支援の概要

1.日本政府は、93年4月、旧ソ連の核兵器廃棄を支援するために総額約1億ドル(117億円)の協力を行うことを発表。

2.94年3月までに、ロシア、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシそれぞれとの間で核兵器廃棄協力に関する二国間協定を締結し、各核兵器廃棄協力委員会を設立。総額117億円を各委員会に対し以下のように配分し拠出。
   日露委員会:81億9千万円(全体の70%)
   日・ウクライナ委員会:17億5500万円(15%)
   日・カザフスタン委員会:11億7千万円(10%)
   日・ベラルーシ委員会:5億8500万円(5%)

3. 協力プロジェクトの概要と現状
(1) 対ロシア
 (イ)液体放射性廃棄物・処理施設の建設
 極東における液体放射性廃棄物の海洋投棄を防止するため、処理施設の建設に向け作業中。96年1月、落札業者と建設契約が署名され、現在建設の最終段階にある。これは、現在貯蔵されている液体放射性廃棄物に加え、今後極東に於いて原子力潜水艦の解体に伴って生じる液体放射性廃棄物の海洋投棄を将来にわたり防止するために十分な処理能力を有するものとなる予定である。
 (ロ)緊急事態対処機材の供与
 核弾頭を解体場から貯蔵施設に移送する際に事故等が発生する場合を想定して、スペクトロメータ(放射線分析装置)、無線機、パソコン等緊急事態に対処するための機材を供与する予定。

(2) 対ウクライナ
 (イ)核物質管理制度確立支援
 ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシはNPTに非核兵器国として加入し、IAEA保障措置を受ける義務を負うことになったが、そのための技術的基盤を欠いているので、核物質管理制度の確立を支援する必要がある。
 ウクライナについては、ハリコフ研究所等に対する計量管理及び核物質防護システム確立を中心として支援を実施中。
 (ロ)核兵器廃棄要員のための医療機器供与
 核兵器廃棄の過程で発生する放射能汚染や有毒なミサイル燃料の漏出等による被害を受けた軍の要員の検査・治療のために、95年6月、600万ドル相当の医療機器・医薬品を供与し、97年10月、各種分析機材用試薬の追加供与を実施した。また、国防省の要請を受け、軍病院に対する医療機器の追加供与を実施する予定。

(3) 対カザフスタン
 (イ)核物質管理制度確立支援
 アクタウの高速増殖炉(BN−350)に対してフローモニター機器、計量管理システム及び核物質防護システムを供与済み。また、原子力庁及び原子エネルギー研究所の核物質防護システムの支援を実施中。
 (ロ)セミパラチンスク核実験場周辺地域の放射能汚染対策
 周辺住民に対する核実験の影響を調査し、検査や治療に必要な医療機器を供与する予定。第一段階として、汚染調査実施主体である国立核センター(NNC)に対して、ESR(サンプリングした歯の放射線量を測定する機器)を供与済み。また、カザフスタン保健省からの要請に基づき、カザフスタン共和国祖国戦争障害病院(在アルマティ)に対する、医療機材及び医薬品の供与を97年8月20日に実施した。

(4)対ベラルーシ
 (イ)核物質管理制度確立支援
 ミンスク近郊のソスヌイ研究所等に対して計量管理ソフト、測定機器、通信機器(モデム)、核物質防護システム関連機器を供与済み。現在、維持管理体制のサポートを実施中。
 (ロ)旧軍人の職業訓練センターに対する機材供与
 戦略核ミサイル軍の解体に伴い職を失う軍人の民間セクター転出を促 進するためリーダ市に開設される、職業再訓練センターに関連機材を供与することとしており、97年12月、本件実施取決め案につき、合意が得られ、98年4月6日、右実施取極めの署名を了したことを受け、本年中に供与を実施する予定。
(了)