○核燃料サイクル
天然に存在するウラン資源等の製錬、核燃料への加工等を経て、核燃料として原子炉で利用されるまで、及び使用済燃料の再処理により再び核燃料として利用するという核燃料の過程の一連の流れ、さらには、放射性廃棄物が処理処分されるまでの全ての過程を総合した、ウラン資源等を有効利用するための体系。
○核燃料
原子燃料ともいう。核分裂性核種を含有する物質で、原子炉の燃料として自立の原子核連鎖反応をおこすもの。
○使用済燃料
使用済核燃料ともいう。発電等のために原子炉内で一定期間利用した後、取り出された核燃料であって、燃え残りのウランや新しくできたプルトニウム等の核燃料として再び利用できるものと、ウラン等が分裂してできたそれ以外の核分裂生成物等とが含まれている。我が国においては、再処理を行ってプルトニウム等を回収、再利用する核燃料リサイクルを基本としているが、米国、カナダ等、放射性廃棄物として直接処分する検討を進めている国もある。
○再処理
使用済燃料から化学的プロセス等により、再び核燃料として利用できるウランとプルトニウムを分離し、それ以外の核分裂生成物等を放射性廃棄物として分離するための作業。
○廃炉
廃止措置ともいう。原子炉がその役目を終えたとき、運転を終了しその後の取扱いのことをいう。その取扱いにあたっては、従事者の被ばく及び一般公衆の被ばくを十分に考慮することが必要。
○放射線防護
放射線によって引き起こされる人体障害を防ぐこと。従事者の職業被ばく及び一般公衆の被ばくを考慮した防護を行う。
○放射線医学
放射性物質、エックス線及びその他の電離放射線の性質、作用を診断、治療へ応用する医学の一部門。
○原子力安全文化
1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故を契機とし、国際原子力機関(IAEA)の国際原子力安全諮問グループ(INSAG)はセイフティ・カルチャー(原子力安全文化)を提唱し、その概念をINSAG−4という文書で説明した。「原子力施設の安全の問題が、何ものにも勝る優先度を以て、その重要性に応じた注意を集めることを確実にするための、組織と個人の態度、特質の集積」と定義されており、原子力に携わるすべての組織、個人が常に安全に関する意識を最優先にもって行動することを求めた考え方。
○MOX燃料
混合酸化物燃料ともいう。二種類以上の酸化物である核分裂性核種を含む核燃料であり、普通、酸化ウランと酸化プルトニウムの混合物を主体とした核燃料をさす。高速増殖炉の核燃料として利用されているが、軽水炉の核燃料としても広く用いられている。
○放射性廃棄物
原子力開発利用に伴って発生する放射性核種を含むか、または汚染された物質であって、廃棄しようとするもの。性状や放射性物質の濃度等により区分され、処理、処分等が行われる。
○核燃料物質
原子力基本法第3条で定義されている。天然ウラン、劣化ウラン、トリウム、及びこれらの化合物並びにこれらを含む物質で原子炉において核燃料として使用できるもの。また、濃縮ウラン、プルトニウム、及びこれらの化合物並びにこれらを含む物質。
○核分裂性物質
中性子との相互作用によって核分裂を起こす物質の総称。普通、熱中性子によって核分裂するU−235、U−233、Pu−239等の核分裂性核種をいう。
○ラジオアイソトープ
放射性同位体(Radioisotope)のこと、放射性同位元素またはRIとも呼ぶ。元素のうち原子番号が等しく質量数が異なる核種で放射性のもの。放射性でないものは安定同位体という。同位元素は同位体の集まりのこと。
○加速器
陽子、電子等の荷電粒子に運動エネルギーを与えるための装置。原子核実験、放射線医学、放射性同位元素の製造、非破壊検査等に用いられる。
○電子加速器
加速器のうち電子を加速する装置。低エネルギーの電子加速器は、高分子材料等の加工処理や滅菌等の照射処理用としての利用が増加しており、開発途上国での利用の増加が見込まれている。
○研究炉
原子力とその関連科学技術の研究、原子炉の運転などの訓練、材料試験、放射性同位体の製造、生物学・医学研究等に使用することを目的とする原子炉。熱出力は数キロワットから数十メガワットのものまである。
○黒鉛減速炉
黒鉛を中性子の減速材として用いる種類の原子炉。北朝鮮は燃料に天然ウラン、冷却材に炭酸ガスを用いる実験用の黒鉛減速炉をもっているが、1994年の米朝合意に基づきその運転は凍結されている。この形式の原子炉はプルトニウムの生産を容易にするものとして知られている。
○圧力管型黒鉛炉
圧力管型炉で減速材に黒鉛を用いた旧ソ連独特の形式の原子炉で、原子炉の事故等の際に放射性物質が外部に放出されるのを防ぐための原子炉格納容器はない。1986年にチェルノブイリで事故を起こしたものがこの形式。
圧力管型炉は、圧力管という耐圧性の管の中に燃料集合体を納めこの管の中を冷却材が流れる形式の原子炉をいう。これに対し、我が国の主な発電用の原子炉は炉心を一つの原子炉圧力容器の中に収納し冷却材を流す圧力容器型炉であり、その外側に原子炉格納容器が備えらえている。
○加圧水型軽水炉
減速材及び冷却材に軽水(重水に対していう普通の水のこと)を用い、高い圧力を加えて沸騰を抑える方式の原子炉。そのため、炉心で発生した熱を取り出す系とタービンへ送るための蒸気を発生する系が熱交換器で分離されているのが特徴。
旧ソ連型の初期のこの形式の原子炉は原子炉格納容器に納められていないなど、西側に比べ安全システムに問題があったが最近のタイプでは改善されている。
○高速炉
主に高速中性子を使って核分裂連鎖反応を起こさせるように設計された原子炉。中性子の減速材を使わない。
○高速増殖炉
高速中性子による核分裂連鎖反応によってエネルギーを発生しながら、消費した核燃料以上に新しい核燃料(プルトニウム)を生成(増殖)する高速炉。
○原子力損害賠償制度
原子炉の運転等に伴い、事故が発生して公衆や財産に損害を与えた場合の損害賠償に関する仕組み。我が国では、「原子力損害の賠償に関する法律」「原子力損害賠償補償契約に関する法律」が定められている。
○パブリック・アクセプタンス(Public Acceptance)
ある事柄についての国民の合意の形成にあたり、国民への判断材料として客観的情報を提供するなどして理解が得られること。原子力の開発利用では、原子力発電の必要性や安全性等についての理解を得ることが重要。
○AsiaNNet
アジア地域協力として行われている活動であり、パブリック・アクセプタンスに役立てるためのFAX等を利用した各国相互間の情報交換システム。
○保障措置
原子力の平和利用を確保するため、核物質(IAEA憲章第20条で定義された原料物質、特殊核分裂性物質)が核兵器その他の核爆発装置の製造等に転用されていないことを検認する制度。なお、「核兵器の不拡散に関する条約」(NPT)を締結している非核兵器国は、同条約に基づきIAEAとの間で保障措置協定を締結し、全ての平和的な原子力活動に係る全ての核物質について保障措置を適用することが義務づけられており、このような保障措置を包括的保障措置という。
○核物質管理
核物質防護、核物質の計量管理等の措置により、政府が核物質の盗取、転用等を防ぐための核物質に係る管理を実施すること。なお、計量管理とは、核物質の存在と数量をチェックし、検査及び検証に用いる手段であって、施設者及び国内計量管理制度によって、核物質の計量活動(定められた区域内に存在する核物質の量及び定められた期間内に生じる核物質の量の変化を確定するために行われる活動)を実施し、これらに加えてIAEA等の保障措置当局が計量制度を検認し評価するもの。
○核物質防護
核物質の盗取等による不法な移転を防止するとともに、原子力施設及び輸送中の核物質に対する妨害破壊行為を未然に防ぐことを目的とした措置であり、平和利用に徹し安全に原子力活動を進める上で必要不可欠な措置。
○環境サンプリング
土壌、河川の水、植物、施設等を対象として(施設については拭き取り等の方法による)試料を採取(サンプリング)すること。採取した試料を高精度で分析することによって、その国内で政府及びIAEAに申告されていない原子力活動が行われていないかどうかを調査・検証するための手段として用いる。