第V章 核不拡散に関する我が国の対応のあり方及び方策

1.最近の動向
(1)冷戦後の国際環境と核不拡散問題
東西冷戦の終結を受けて、米国とロシアの関係は対立から協調に転じ、米露両国の戦略核兵器を削減する戦略兵器削減条約交渉(STARTT及びSTARTU)が進展するなど、国際社会は大きな変革期を迎えている。一方、米露の核軍縮の進展に伴い、核兵器の解体から生じる核物質の安全な管理・処分が、核不拡散の観点から新たな重要課題として浮上している。冷戦後、旧ソ連諸国の経済的、社会的混乱が続く中で、核兵器及び核兵器関連技術の管理体制に対する不安も指摘されている。 湾岸戦争の際、明らかになったイラクの核開発計画や、北朝鮮の核開発疑惑の発生を踏まえ、国際原子力機関(IAEA)は保障措置の強化・効率化に取り組んでいる。冷戦後の国際環境は不確実性が高く、冷戦構造下では表面化しなかった民族、宗教などの対立要因が、地域紛争に結びつく可能性も懸念されている。世界各地でテロ事件が繰り返される中で、テロリストが核兵器や他の大量破壊兵器を利用する危険性を指摘する声も聞かれる。
 核不拡散に対する世界的関心が高まる中で、我が国が進めている原子力平和利用が将来、核兵器開発につながるのではないかと懸念する一部の論調が海外に見受けられる。我が国の原子力政策が海外では十分に理解されていない面もあり、各国の理解を得るため一層努力することが必要である。その際、既に述べたように国際環境が変化する中で、平和目的のプルトニウム利用の透明性の向上が、不拡散の観点から注目されるようになっている事情を踏まえる必要がある。
 我が国が地理的にも歴史的にも密接な関連を有する近隣アジア諸国・地域は、最近、経済の諸困難に直面しているものの、中長期的には持続的な経済発展が予想されており、特に中国、韓国、台湾等においては原子力発電の増加が見込まれている。これによる核物質の取扱量・移動量の増大、原子力関連技術や設備の輸出入の機会の増大により、近隣アジア諸国・地域との原子力協力について核不拡散の面からの配慮の必要性が増大している。また、我が国が旧ソ連、中・東欧諸国に対して行う原子力協力についても、核不拡散への十分な配慮の必要性が増大している。

(2)核不拡散体制の維持・強化のための取組み
核拡散の懸念に対して、国際社会では核不拡散体制の維持・強化を目的とした様々な取組みがなされている。

@NPT体制の維持・強化
核不拡散条約(NPT)は世界的な核不拡散体制の中核的な柱であり、NPTの締約国数は186(1998年1月現在)に達している。近年、フランス、中国が核兵器国としてNPTを批准したほか、核拡散の面で懸念が持たれていた旧ソ連諸国(ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ)がNPTを批准するなど、NPT体制の強化に資する動きが見られる一方、インド、パキスタン、イスラエル等未だNPTへの加入を拒否している。今後はこれらの国々のNPT加入を実現させ、NPT体制をより完全なものにしていくことが課題となっている。特にインド及びパキスタンについては、1998年5月に複数回にわたる地下核実験が実施され、世界的な不拡散体制を強化しようとする努力に逆行するものとして国際的に非難と懸念が表明されるとともに、無条件にNPT及び包括的核実験禁止条約(CTBT)を締結し、かつ、カットオフ条約交渉に参加するよう求められている。また、NPTに基づき核兵器国も核軍縮の縮小等に向けて誠実に取り組むことが期待されている。
 1995年に開催されたNPT再検討・延長会議において、NPTの無期限延長が決定され、「条約の再検討プロセスの強化」と「核不拡散と核軍縮のための原則と目標」が合意された。前者については2000年にNPT再検討会議が予定されており、NPTの完全な実施と普遍性の促進等に向け一層の努力が求められている。後者においては、CTBT交渉の完了、カットオフ条約交渉の即時開始と早期締結、究極的核廃絶を目標とする核兵器国の核軍縮努力等核軍縮の道筋が提示され、NPT非締約国によるIAEAとの包括的保障措置協定の締結、未申告施設の探知能力の強化に向けたIAEA保障措置の強化・効率化、核不拡散と両立する原子力の平和利用推進の重要性が確認された。

A米露の核軍縮等の努力
1994年12月に発効したSTARTTを受けて、米国とロシアは戦略核弾頭の総数を各々6000発以下に削減する作業に取り組んでいる。米露はさらに、米露の戦略核弾頭総数を各々3000から3500発まで削減することを定めたSTARTUに署名した(米国が同条約の批准を済ませたのに対し、ロシアの批准手続が遅れている)。米露間では、戦略核の更なる削減を目指してSTARTVに関する協議も進展している。

B核兵器解体により生じる核分裂性物質の管理、処分への支援
 1996年4月に開催された「原子力安全モスクワサミット」の合意を受けて、解体核兵器から生じるプルトニウムの管理、処分を巡る国際協力のあり方を検討する専門家会合が1996年10月にパリで開催され、解体核から生じるプルトニウムの処理処分のオプション(MOX燃料に加工して燃焼、ガラス等で固化)について検討された。その後、米国は自国の解体核兵器から生じるプルトニウムについて1997年1月にMOX燃料として燃焼及び固化の両オプションを追求していくことを決定し、関連施設建設の準備を進めている。一方、ロシアについては、MOX燃料のオプションに関し、現在、MOX燃料を製造するためのパイロット・プラントの建設プロジェクト等各国の取組みが進展しているが、今後、ロシアの解体核兵器から生じるプルトニウムの処分の円滑な推進に向けてロシアの支援のための取組みについて一層の具体化を図ることが課題となっている。
 また、旧ソ連諸国の核兵器の解体・廃棄を円滑に進めるため、米国では1991年にナン=ルーガー法が成立し、また、1993年に発表された核不拡散政策に基づき、資金的・技術的支援を実施している。また、ロシアの解体核兵器から生じる核分裂性物質が処分されるまでの間、安全に貯蔵するための施設の建設を巡る協力も米、ロシア間で進展中であり、我が国も貯蔵容器の供与を予定している。
 こうした核兵器解体により生じた核分裂性物質の軍事再転用を防止するため、米国は、軍事目的にとって不要となった自国の核分裂性物質をIAEAの保障措置下に置くことを自発的に決定し、米、露、IAEA間では、米露の核分裂性物質をIAEAの検認下に置く案が検討されている。

Cプルトニウムの透明性向上等のための国際指針
プルトニウム利用の透明性向上に関しては、プルトニウム利用に関係する9カ国(米、露、英、仏、中、日、独、ベルギー、スイス)に、IAEAとEUがオブザーバーとして参加して、国際的な検討が行われた。その結果、1997年12月、プルトニウム保有量を共通の様式によって公表すること等を定めた「国際プルトニウム指針」が採択された。本指針に基づき、1998年3月には各国のプルトニウム保有量及びプルトニウム利用に係る政策のステートメントが公表された(一部の国は未公表)。

DCTBTとカットオフ条約
地下核実験を含むあらゆる核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)は、1996年9月に国連総会において採択され、署名のため開放された。CTBTは核兵器の開発・改善を抑制するとともに、核軍縮に対する核兵器国の誠意を示す意味でも重要である。現在まで、149ヶ国が署名を済ませている(1998年5月現在)が、条約の規定上、その批准が発効要件となっている国(44ヶ国)のうち、インド、パキスタン、北朝鮮が未だ署名しておらず、これら諸国の署名と条約の早期発効が課題になっている。我が国は同条約の署名及び批准を終え、各種監視施設の整備等に向けて取り組んでいる。
核兵器用の核分裂性物質の生産を禁止するカットオフ条約は、1995年のNPT再検討・延長会議において、交渉の即時開始と早期終結の必要性が確認された。現在、ジュネーブ軍縮会議において、交渉開始のための努力が継続中であるが、未だ交渉は開始されていない。交渉を早期に開始し、有効な検証手段に裏付けられた条約の成立が課題の一つとされている。

E非核兵器地帯条約
 一定地域内で核兵器の配備等を禁止する非核兵器地帯条約は、ラテンアメリカ地域における「トラテロルコ条約(1968年発効)」、南太平洋地域における「ラロトンガ条約(1986年発効)」のように、冷戦中から存在した。近年、「東南アジア非核兵器地帯条約」(1997年発効)やアフリカ地域を対象とした「ペリンダバ条約」(未発効)など、非核兵器地帯の設置に一定の進展が見られる。

FIAEA保障措置の強化・効率化
 イラクの核開発計画の発覚等を契機にして、未申告核物質及び未申告原子力活動の探知能力を向上するため、IAEA保障措置制度の強化・効率化が課題となった。現行の保障措置協定の範囲内で実施することが可能な方策(第1部)については、1995年6月、IAEA理事会において採択され、各国で順次導入されている。IAEAに新たな権限を付与することが必要な諸方策(第2部)は、NPTに基づきIAEAと締結するいわゆる包括的保障措置協定に新たに追加される議定書に基づいて実施されることになっている。その議定書のモデルが1997年5月のIAEA特別理事会において採択され、核不拡散体制強化という点で極めて重要な前進がみられた。これまで、7カ国がIAEAとの間で追加議定書を署名している(1998年5月現在)。

G原子力資機材・技術の輸出規制
 原子力資機材・技術の非核兵器国に対する輸出規制に関しては、1977年に原子力供給国が核不拡散の観点から作成したガイドライン(「ロンドン・ガイドライン」)による輸出規制の枠組みがある。イラクの核開発計画の発覚を契機に、輸出規制強化の必要性が認識され、1992年には原子力専用品を規制対象とするパート1に加えて、原子力汎用品を対象とするパート2が新設された。また、原子力専用品については、その輸出に際して、原則として受領国の包括的保障措置の受入れ等を条件とする管理体制の維持・強化が図られている。

H核物質の密輸対策
 核物質の密輸に対しては、IAEAが核物質密輸事件を登録するデータベースを作成するなど、防止策に取り組んでいる。また、主要七カ国(G7)とロシアも情報交換や核物質管理の強化等を通じて、密輸防止体制の強化に努力しており、今後ともより効果的な核不拡散体制の構築に向けて、密輸防止のための関係国間及びIAEAとの間の協力の充実強化が重要となっている。

I朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)
 北朝鮮の核開発疑惑については、朝鮮半島の非核化を達成するため、1994年10月、北朝鮮の黒鉛減速炉及び関連施設の軽水炉発電所への転換等を内容とする「米朝間の合意された枠組み」が決定された。この枠組みの下で、1995年3月、米、韓、日の協力により朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が設立され、現在、軽水炉建設への着工等軽水炉プロジェクトが進展している。今後は、北朝鮮の原子力施設に対し、早期にIAEA保障措置が完全に実施されることが課題とされている。

2.我が国の核不拡散に係る原子力政策の基本的考え方

(1)原子力の平和利用政策
我が国は今後とも原子力基本法に基づき、厳に平和目的に限って原子力の開発利用を推進すべきである。核不拡散への国際的な関心の高まりを踏まえ、また、より広い視野から安全保障、国際政治等の動向を見据えながら、核不拡散に十分配慮した原子力平和利用政策を実施することが必要である。そのためには国際的な核不拡散体制の下での義務を我が国が引き続き厳格に果たすことが不可欠であり、IAEAの保障措置や核物質防護を効果的かつ効率的に実施することが必要である。IAEAの保障措置の強化・効率化に対しても、我が国の人材と技術を有効に活用できるような適切な国内の保障措置体制を整備すべきである。
 今後、プルトニウム利用の本格化が予定されている我が国としては、核燃料サイクル政策を国際的な信頼を得つつ実施していくことが必要であり、現行の核不拡散体制上の義務を果たすだけでなく、自発的な取り組みが必要と考えられる。我が国が自発的に定めた余剰プルトニウムを持たないとの原則を今後も堅持し、合理的で整合性のあるプルトニウム利用計画を推進するとともに、核不拡散体制の維持・強化に資する関連技術の研究開発にも積極的に取り組むべきである。

(2)原子力政策の透明性向上及び国内外の理解促進
我が国の原子力政策に対して、核拡散の観点から一部に懸念が表明されている事実に鑑み、国内外の信頼を確保していくために我が国の原子力利用の透明性向上に向けて努力を継続することが必要である。我が国の原子力平和利用の現状と政策についての対外的な発信を積極的に行うことが重要であり、国内広報を充実させるとともに、関係諸国との政策対話等を通じて国際社会の理解の促進に努力することが必要である。
原子力利用の透明性向上を図るためには、我が国として自発的な努力を継続するのみならず、核物質管理のための国際的な取組みに対しても我が国として積極的に参加することが重要である。

(3)核不拡散体制の維持・強化への貢献
核不拡散体制の維持・強化に向けて、積極的に取り組むことが重要である。NPTは核不拡散と原子力平和利用を両立させる基本的な枠組みであり、この条約の普遍性・実効性をさらに高めるための努力を継続することが重要である。IAEAの保障措置は原子力の平和利用を円滑に進める上で重要な制度であり、この制度の下で、国際社会は多くの利益を享受している。その意味で、保障措置制度を国際公共財として位置づけ、IAEA保障措置の強化・効率化に向けて、我が国としてもこれまで培った技術や経験を活用して積極的に貢献していくことが必要である。
核拡散の懸念に対して、ロンドン・ガイドラインに基づく原子力資機材の輸出管理や平和利用のプルトニウムの管理を的確に実施すべきである。また、核物質防護条約等に基づく核物質防護体制の充実、強化に向けて取組むとともに、核物質の密輸防止に向けた国際的取組みに積極的に参加し、IAEA及び関係国との連携の充実を図るべきである。さらに核兵器関連の技術や人材の拡散を防止するため、必要な支援を行うことが重要である。

(4)核不拡散に配慮した原子力分野での地域協力
近隣アジア諸国・地域にも十分目を向けて関係国のニーズ等を考慮し、核不拡散の面にも配慮した原子力利用における協力を進めることが重要である。最近の核不拡散への世界的関心の高まりに配慮し、同地域の諸国の自主的な取組みを基本としつつ、保障措置の実施や核物質管理の技術水準の向上のため、我が国が培った原子力平和利用技術等の活用を通じて地域協力を推進すべきである。
 旧ソ連・東欧諸国において既に核物質管理について支援を行っているが、今後とも核不拡散体制の維持・強化の観点から、適切な協力、支援を進めることが必要である。
 また、原子力利用の分野での協力については、我が国としてはIAEAの包括的保障措置を受け入れている国等NPTの義務を履行している国に対して行うべきである。なお、NPT非締約国に対しては、引き続き対話等を通じて、NPTへの加入とそれに基づく保障措置の厳格な義務の履行を求めることが重要である。

(5)核不拡散に係る新たな視点からの取組み
 冷戦終焉後の核拡散の懸念に対応し、また、現在進められている核軍縮の進展に向けて新たに重要となった取組みに関し、我が国も国際社会の一員として、原子力の平和利用で培った経験を生かして適切な努力を行う必要がある。核兵器の解体により生じる核分裂性物質の管理やCTBTにおける国際監視制度等の整備運用に向けた努力に加え、バーミンガム・サミットにおけるインドの核実験に関する声明やその後のパキスタンによる核実験に対する国際的な動向を踏まえつつ、引き続きCTBTの発効やカットオフ条約交渉の早期開始に向けて積極的に努力すべきである。

3.今後の施策

(1)核不拡散に対応した原子力平和利用政策の推進
 核不拡散に対応した原子力平和利用政策を進めるため、原子力委員会における専門的な立場からの審議機能の充実を図り、核不拡散と両立する原子力平和利用政策の企画・立案を円滑に進める必要がある。
 我が国の原子力政策に対する内外の理解と信頼を確保するため、国際シンポジウム、セミナー等を積極的に開催し、対外的な発信と諸外国との政策対話を活発化させることが重要であり、これらを通じて、核不拡散体制の維持・強化に資する原子力政策の諸提案の提示に向けて努力する必要がある。海外も含め産、学、官等の幅広い立場で、また広い視野から、核不拡散への対応に配慮した原子力利用のあり方について議論が行われるような環境づくりが重要であり、既存の組織、セミナー等の活用とともに適当な場を設置することを含め、国としても必要な努力を行うべきである。

(2)IAEA保障措置の強化・効率化等核物質管理の取組み
 IAEAの保障措置制度の強化・効率化に向けて、国内保障措置制度とIAEA保障措置との連携強化を図るとともに、リモート・モニタリング、環境サンプリング等新しい技術・手法の導入、実施に向けて積極的に取り組むことが必要である。
 1997年5月にIAEA特別理事会で採択されたモデル議定書を踏まえ、我が国としても保障措置の強化・効率化に関する追加議定書を出来るだけ早期の締結に向けた交渉に最大限努力する必要がある。上記追加議定書を締結する際に必要となる国内法整備を進める必要がある。また、効果的・効率的な査察活動を実施するため、専門的な知見と技術を有する組織の充実と活用を図るべきである。大型再処理施設に対する保障措置については、IAEAとの協議を進めるとともに必要な技術開発を積極的に進める必要がある。
 保障措置の効率化方策については、調査や新しい技術の研究開発を進めるほか、現在進めている軽水炉のリモート・モニタリングの早期定常利用に向けて試験を継続し、IAEAとも連携しつつ可能なものから順次実施すべきである。
 また、核物質防護については、国際的なガイドライン等に沿って引き続き適切に実施するとともに、核物質防護の充実、強化に向けた国際的な取組みにも積極的に参加することが必要である。

(3)原子力政策の透明性向上及び国内外の理解促進
 原子力利用活動の透明性向上については、我が国のプルトニウムの保有量の公開を引き続き行うとともに、国内外の理解の促進や核物質管理のために必要な人材の育成にも配慮して、核物質管理に関する広報活動やセミナー、研修等を活発に行う必要がある。

(4)核不拡散関連技術の開発
 保障措置や核物質防護等、核不拡散に関連する技術の研究開発をIAEA等と連携を図りつつ積極的に進めるべきである。こうした研究開発を計画的に進めるため、外部の有識者の協力も得ながら十分な検討を行い、我が国としての核不拡散関連技術の研究開発計画を作成すべきである。同計画に基づいて開発された技術を我が国の国内保障措置等の効果的・効率的な実施に活用するともに、海外への技術移転等により世界的な核不拡散体制の強化に貢献すべきである。

(5)国際機関への財政的、人的貢献
 核不拡散体制を支えるIAEAや包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会といった国際機関等の機能が十分に発揮できるよう、財政的な支援を継続するとともに、日本人職員の派遣等人的な支援についても必要な環境整備を行いながら一層の充実を図ることが重要である。

(6)近隣アジア諸国・地域との原子力協力
 近隣アジア諸国・地域に対しては、核不拡散を確保した上で原子力平和利用を行うために、同地域の多様性や原子力利用の状況を踏まえた原子力利用分野での協力を推進すべきである。関係諸国との政策対話やセミナーの開催等によって人的交流の活発化に向けて取り組み、また、関係国のニーズを踏まえ、核不拡散等に係る国際環境に配慮しつつ、核物質管理の専門家、技術者の育成に向けた協力や核物質管理関連技術の円滑な移転等を進めるべきである。

(7)旧ソ連、中・東欧諸国との原子力協力
 核拡散の懸念が生じることがないよう核物質の適切な管理について支援を行うとともに、核兵器関連の技術、人材の拡散防止の観点から、旧ソ連時代に核兵器を含む大量破壊兵器の開発に従事していた研究者、技術者の活動を原子力平和利用に向けるため、国際科学技術センター(ISTC)及びウクライナ科学技術センター(STCU)の活動に対して貢献すべきである。また、ロシアの解体核から生じる核分裂性物質の管理・処分に対する国際的な取組みに今後とも積極的に参加し、我が国として適切な支援を行うことを引き続き検討する必要がある。