1.最近の動向
(1)経済・エネルギーと原子力開発利用
1980年代に入って以来、近隣アジア地域は著しい経済発展を遂げている。それには世界経済のグローバリゼーションの進展とともに、域内での自立的発展が大きく寄与している。この地域には、勤勉さと教育の重視、それに貯蓄率の高さなどの文化的な伝統ともいえる特性がある。近隣アジア地域においては、最近の経済事情の悪化、混乱があり、この状態が当面継続するという見方もされているが、中長期的には依然として高い成長ポテンシャルを維持しており、世界経済の持続的成長に対する牽引車の役割を果たして行くものと期待される。
この経済発展を支え、生活向上を図る上でのエネルギー・電力需要の伸びは著しく、今後も中・長期的に高い伸びを示すものと予想されている 。この需要を満たすためには、域内の石油、天然ガス資源が僅少であるため、域外への依存度が高まって行くことになる。このため、エネルギー源の多様化とエネルギー安全保障、また地球環境保全の観点から、原子力開発利用を導入拡大していく機運はいずれの国においても存在する。一方、最近のアジア諸国の経済事情の悪化、エネルギーをめぐる状況の変化、ウラン資源自体も有限であること等から、アジア地域における今後の原子力開発利用について不透明であることも事実であり、引き続き今後のアジア地域を取り巻く状況を注視し、地域の原子力開発利用の動向を見極めるように努めることが肝要である。
原子力発電は、既に韓国、台湾では電力供給の30〜40%程度を占めるまでになっており、昨年来の経済困難等の影響により今後の開発に遅れは出るとしても、計画は継続的に推進されていくものと予想されている。また、中国では現在3基が運転中で、その電力供給全体に占める割合は未だ1%に満たないが、計画によれば原子力発電の規模は2010年には20GW(2,000万kW)に達する予定である。
東南アジア諸国の多くも将来のエネルギー源としての原子力利用を視野に入れ、国によってその段階は異なるが計画の検討が進められている。インドネシアでは、ムリア地区でのフィージビリテイ調査に続き、サイトデータ収集及び環境影響調査を行っている。またタイ、フィリピン及びヴェトナムでは、関連する政策及び安全性などの研究を進めており、2010年以降には電力システムへの導入も具体化する国が出てくるものとみられる。現在、マレーシアを含め各国とも研究炉等を有し、原子力関連技術の研究及びその体制整備を進めるとともに、放射線の医療、農業、工業の分野への有効利用を図っている。また、放射線源として、電子加速器も利用、開発されるようになっている。
このように、近隣アジア地域では、すでに発電所を運転している国・地域と現在は発電以外の多岐の分野への利用を行って、将来の導入を考えている国等があり、その開発段階もまた考え方も多様である。したがって国際協力を考えるときも、これらの取り組みと開発・利用レベルなど地域の状況の違いを考慮した協力が重要となってくる。
なお、アジア地域全体の原子力発電の見通しとしては、中国など北東アジアを中心としてアジア地域の原子力発電の伸びは著しく、2010年における発電規模は日本を除いて50GW(5,000万kW)を超えるものと予想されている 。この場合、日本を含めたアジア地域の原子力発電規模は、北米、欧州地域と並び、世界の3極を構成することになる。また、この期間の新規原子力発電所の建設をみると、世界全体の約1/3は、日本を除くアジア地域での立地になるものと考えられる。
(2)我が国の原子力協力
我が国は地理的、経済的、歴史的に近隣アジア諸国とは強い結びつきがあり、互いに大きな影響を及ぼしあっている。原子力分野においても、放射線利用、研究炉利用、原子力発電導入等の多くの面で共通の課題を有しており、これらの課題に対し、我が国の技術的蓄積や経験を活用し、地域内各国の相互協力のために取り組んでいくことが重要である。
我が国は、国際原子力機関(IAEA)を通じた原子力平和利用に関する技術協力を支援しているほか、多国間協力として、1970年代に締結されたアジア・太平洋地域の開発途上国を対象とする「原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)」の下、放射線利用及び放射線防護の分野で協力を進めてきた。近隣アジア地域との二国間の協力は1980年代半ばから本格的に始まり、これまで、基礎科学・技術の向上、原子力に携わる人材の養成、原子力の研究・技術基盤の整備、原子力安全規制体制の整備、原子力安全文化の醸成など、長期的展望に立ち、技術向上等に係る自助努力を支援する協力を制度、技術の両面から進めてきている。こうした二国間の協力の進展と平行して、近隣アジア地域としての協力の重要性の認識も高まり、1987年の原子力開発利用長期計画においても言及された。これを受け1990年には原子力委員会の主催で第1回「アジア地域原子力協力国際会議」が開催された。本会議は、現在まで毎年開催され、IAEAやRCAの活動を補完し、地域協力の具体化に向けた意見交換・情報交換を行い、地域協力に関する関係各国のコンセンサスを得ることを目的としている。また、1996年には「アジア原子力安全東京会議」が開かれ、原子力の利用にあたって安全が他のすべての考慮に優先しなければならないという「原子力安全モスクワ・サミット」(1996年)において確認された原子力安全の基本原則に留意しつつ、アジア地域において、原子力安全を向上するために取られるべき具体的な措置及びこのための国際協力のあり方について意見交換を行った。この会議は今後とも継続して行われることとされており、1997年には韓国で第2回会議が開催されている。
これらの協力は、各国・地域の原子力開発利用の健全な基盤を確立する上で重要な役割を担ってきているものと考えられる。今後さらに、21世紀中葉を視野に入れた原子力開発を目指している各国・地域が、教育と人材育成を進め、自立的な研究開発を展開することのできる基盤を形成するための、地域のニーズを反映した施策を実施することが重要である。一方、我が国自身の研究開発分野の諸活動の質や魅力を高めることにより、アジア諸国から優秀な人材が集まり、ひいてはアジア諸国全体の技術水準が高まるという効果も重要である。
2.目的と意義
我が国の原子力開発利用においては、原子力基本法第2条の「進んで国際協力に資する」との基本方針に基づいて国際協力が進められており、新しい技術や知識、経験を世界の原子力平和利用のために提供していくこと等により、人類社会の福祉に貢献することを目的の一つとしている。原子力開発利用は、歴史的にみても、1953年の国連における米国の「平和のための原子力」演説以来、あまねく国際協力を基盤として発展してきたものである。今日の我が国における発展も欧米の先発国からの技術、情報及び資機材の移転などの国際協力なしには達せられなかったものである。このような恩恵を、過去において受けてきた我が国は、主体性を持って積極的に国際協力を進めていく必要があるものと考えられる。また、協力を進めるにあたっては、我が国の限られた資金と人材を最大限に有効活用する観点に立ち、合理的、効率的な協力方策、施策の検討が必要である。そのためには、長期的な展望の下、協力の目的と意義を明確にし、国民の理解を得ることが重要である。
(1)先進国としての役割
原子力の平和利用を推進するいずれの国も、安全の確保と国際的な核不拡散体制の維持・強化に貢献していくことが求められる。我が国は平和利用目的に限定した原子力の研究、開発、利用の政策を堅持しており、その経験と知識の蓄積は今後の地域発展のために大いに貢献し得るものである。地球的視野で「技術集約型エネルギー」である原子力の開発利用とその発展に取り組み、共通の理解を形成することは、後世代に対する責務であり、人類社会への貢献につながるものである。
(2)国際依存度の高い国としての国際公共財の蓄積と貢献
我が国は、豊かな経済力と高度の科学技術を持つ一方、原材料、食料等の資源の多くを近隣アジア地域を含む海外から輸入するとともにこれらの国へ製品輸出を行う貿易国であり、相対的な国際依存度が非常に高く、地域の発展は我が国の発展にも直結する。したがって、今日まで蓄積してきた原子力における経験と知識を、この地域の原子力開発利用の健全な発展に資する国際公共財として位置づけ、地域協力を通じて近隣アジア諸国に還元することが重要である。また、地域協力への取組みは、我が国の原子力開発利用政策に対する国際的な理解を得ていく上でも重要と考えられる。
(3)安全性の確保
原子力の安全に関する責任は原子力施設を所轄する国が負うという原則は、国際的に広く認められているものであるが、この原則が近隣アジア地域に定着されていくことが重要である。また、同時に一カ国の安全確保、安全性向上は地域全体の課題でもあり、我が国を含む地域の安全確保の状況は、各国の原子力開発利用にも影響することを十分認識することが重要である。これらの意味において近隣アジア地域との協力を進める意義は大きい。
(4)エネルギー安全保障及び環境問題への貢献
地域が持続的、安定的な成長、発展をするためには、各国がエネルギー資源を経済的に、また安定的に確保して行くことが必要である。それは一カ国のみで解決できる問題ではなく、地域的もしくはグローバルな観点からの対応を必要とする課題である。その選択肢としての原子力エネルギーの開発、導入は、使い勝手のよい石油、天然ガスの資源制約を中・長期的に緩和する有力な手段であり、エネルギー源の多様化に大いに貢献することができる。また、地球環境保全の観点からは、原子力エネルギーの利用は、二酸化炭素排出量が僅少であることから温暖化防止に最も有効な方策の一つである。更にSOX、NOX等の大気汚染の原因となる物質も排出しないため、酸性雨防止等の観点からも有利である。
3.協力を進める上で配慮すべき基本的事項
近隣アジア地域との協力について、現行の原子力長期計画(平成6年)において、核不拡散への配慮とともに、「各国の自助努力支援につながる基盤整備、安全確保に重点を置いた協力を、我が国の技術的蓄積、経験を踏まえて、各国の要請、国情に応じた形で長期的継続的に進める」としている。この考え方を踏まえ、協力を進める上で配慮すべき基本的事項は以下の通りである。なお、核不拡散に係る事項は第V章で述べる。
(1)国情に応じた協力
近隣アジア諸国においては、原子力科学技術のレベル、原子力開発利用の段階等が様々であり、同時に原子力の開発利用は、長期間の取り組みを必要とすることから、各国の原子力開発利用の段階等に応じ、適切な計画の下、技術、制度等の面から国情にあった長期的な協力が重要である。
原子力開発利用を進めるにあたっては、その基盤となる科学技術レベルの向上、法規制の整備に加え、長期的に開発利用を進めるための政治的、経済的な安定、核不拡散へのコミット等が不可欠であり、このような視点から、協力にあたっては各国の政治的、経済的環境の違いにも十分配慮することが必要である。
(2)協力の枠組
原子力開発利用にあたっては、国際社会に共通する課題として、核不拡散と平和利用の両立や安全を確保するために、様々の国際条約が整備されてきている。また、核燃料物質や資機材の移転又は研究協力等を二国間で継続的に行う場合には二国間協定が結ばれている。さらに、原子力開発利用や安全問題に係る地域の共通課題に関し、地域的な対話や協力に関する意見交換を行う場が存在しており、今後これらの有効活用が期待される。
国際条約としては、「核兵器の不拡散に関する条約」、「原子力の安全に関する条約」、「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」等の国際的枠組みがあり、これら国際約束の義務を各国が着実に実施することが求められる。また、国際的課題に対しては、IAEA、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)等の国際機関を活用をすることが重要である。
アジア地域における協力を進めるにあたっては、各国の国情、特徴に配慮し二国間協力もしくは地域協力として実施していくことが重要である。その実施にあたっては、国際条約や国際機関等の既存の枠組みの活用を図り、両者の整合性を保ちつつ協力を進めることが重要である。なお、序章で述べた原子力発電をめぐる国際的な動きや、研究開発との性格の違いを反映し、原子力発電に関する運転経験などの情報交換やピアレビューでは民間の協力が進展している。二国間協力においては、協力が進展し、国際的に規制対象となっている資機材の移転等の長期的に安定した形での具体化に応じ、核不拡散の確保を考慮しつつ、二国間の原子力協力協定の締結等についても検討を行うことが望ましい。また原子力開発・利用の特徴を踏まえると、アジア諸国に対する原子力協力においても、官民がそれぞれの経験、役割を活かした協力が必要と考えられる。なお、近隣アジア地域各国相互間における協力もむろん望ましい。
(3)原子力の開発、利用のための基盤整備への重点
原子力開発利用は、物理、化学、機械、材料、建築、土木、放射線医学等裾野の広い科学技術によって支えられている。このため、以下のような項目に配慮して協力を行うことが必要である。
各国に共通する課題である安全確保に重点を置き、以下のような事項に配慮して協力を進める。
地域協力の実施にあたっては、各国間の相互理解に基づく信頼感の醸成が不可欠である。また、各国の原子力活動の透明性の向上も重要である。
4.今後の施策
4. 1 協力の新しい展開
近隣アジア地域とのこれまでの協力の成果、地域の原子力開発利用の進展、序章に示したような国際情勢の大きな変化及び協力分野に応じた適切かつ柔軟な対応の必要性等を踏まえ、以下のような21世紀に向けた新しい協力の展開をはかっていく。
(1)政策対話のフレームワーク
アジア各国・地域は、地理的には隣接しているものの、政治的、経済的、歴史的、社会的、文化的にはそれぞれ多様な特徴を有しており、各国の原子力開発利用の開発段階も多様である。したがって、原子力分野における協力を進めるにあたっては、地域各国が相互に理解を深め、各国の要請や実状を相互に的確に把握するとともに、官民の役割を踏まえ、協力に係る政策的視点を明確にした上で地域共通の課題に取り組むことが重要である。そのためには政策対話が不可欠であり、政府関係者間の対話の場として、「アジア地域原子力協力国際会議」、「アジア原子力安全会議」等の地域的な枠組みを活用するとともに、二国間の政策対話を行っていく。
また、「アジア地域原子力協力国際会議」の下に、関係国の協力も得て、同会議の下で実施されているワークショップ開催等の協力活動の充実を図るための仕組みを設ける。なお、二国間協力は各国別の開発状況やニーズの差異等に応じて充実を図るものとする。
(2)ネットワークの強化
近隣アジア各国・地域が協調して原子力開発利用を図り、地域の経済社会発展に貢献するためには、共通の目標と問題解決に向けて、政策面での対話、研究交流、人材育成、施設の安全管理等協力に関わる様々な要素について必要に応じた柔軟な調整を行うことが重要である。
このため、研究炉、電子加速器、研修活動、人材、パブリック・アクセプタンス分野等に関し、後述するネットワークの構築を図るとともに、それらの総合的な調整機能を「アジア地域原子力協力国際会議」の活動の中に位置づけていくことによりネットワークの強化を図る。また、協力相手国における協力活動の相互調整機能の強化等を図る。
(3)協力の質的向上のための施策
原子力の研究開発、利用にあたっては長期的、継続的で一貫性のある取り組みが必要であり、協力の実施に当たっては、我が国の限られた資源、人材を有効に活用し、効果的な協力を進めなければならない。また、効率的な協力のためには、協力相手国の主体的な活動を促しつつ、各国のニーズに合わせて我が国の官民がそれぞれの経験、役割を生かし、協力を分担して行うことが重要と考えられる。基本的には基礎的な研究開発、核不拡散や安全確保のための基盤整備等は国が主体的な役割を果たすことが期待されている。一方、原子力発電分野における相手国の事業の実施のための技術や運転経験の移転等は民間によりその役割が果たされるべきである。これらの点を考慮し、我が国の協力の質的な向上をはかるため以下のような施策を実施していく。
(1)原子力発電の開発状況に応じた協力
近隣アジア諸国において、原子力発電の開発状況等は各々に異なるため、これらに応じた国・地域別の対応を行う必要がある。また、原子力発電に関する協力については総合エネルギー調査会原子力部会中間報告等 を踏まえるとともに、民間レベルの協力内容を十分把握し、その中で安全規制の充実、安全文化の醸成、パブリック・アクセプタンス等政府の果たすべき役割の範囲を明確にし、既存の国際機関の活動も十分考慮した上で、今後さらに充実が期待されている分野を明らかにしていく必要がある。以下、開発段階に応じた協力方策について述べる。
@ すでに原子力発電を導入している国・地域との協力
韓国、中国といったこれまでに原子力発電を導入し、運転・管理の経験を蓄積してきている国・地域とは、さらに対話を促進し、人材の高度化など基盤整備を図り、地域協力を発展させるための連携を強化していくことが望まれる。
(2)研究炉、放射線、ラジオアイソトープ(RI)利用に関する協力
近隣アジア地域においては、これまで我が国によりラジオアイソトープ生産を含む研究炉及び放射線利用の分野において幅広い協力活動が実施されており、相手国の安全基盤の確立、研究、技術レベルの向上に貢献してきている。今後、安全水準の向上、安全文化の醸成、技術レベルの向上、産業利用の拡大に資するためこれらの協力を必要に応じ引き続き実施していくことが重要であるが、これまでの成果を踏まえ、より一層効果的、効率的な協力を実現するため、我が国のイニシアティブにより以下のような施策を展開することが考えられる。なお、放射線利用に関しては、既に商業利用段階にあるものも多く、政府の果たすべき役割の範囲に留意する必要がある。
@人材育成に関する協力
近隣アジア諸国では、ラジオアイソトープ・放射線利用から発電に至るまで、原子力の開発利用が急速に進んでいるが、これに従事する人材は一部の国を除き十分とは言えない。特に、近年これら諸国においては、原子力発電所の導入の機運が高まっており、運転員、中堅技術者、規制担当者、防災担当者、核物質管理者等多数の人材の養成・訓練が急務となっている。また、安全文化を醸成し、自己責任原則が根付くためにも、原子力関係者の教育、育成が重要である。このため、既存の研修活動及び人材のネットワークを一層充実していくことが求められており、以下のような施策を考えていく。
Cパブリック・アクセプタンス(PA)、透明性向上及び信頼感醸成のための協力
原子力PAに関する国際的な環境は、年々厳しくなっている。それは途上国における原子力開発利用の推進にとっても近年大きな問題となっており、我が国における原子力開発をめぐる事象も地域内各国のPAに大きな影響を与えるようになっている。さらに、チェルノブイリ原発事故以降、他国、他地域で起きた事象による、各国の国内世論に及ぼす影響が大きくなってきている。したがって、周辺国からは我が国のPAに関する経験や情報のみならず、我が国の原子力施設におけるトラブルに関する情報をも地域内の各国に提供することが求められている。
また、我が国の原子力政策、原子力関連活動の状況等について積極的に情報を発信するとともに、近隣アジア諸国と双方向の情報交流を進めることは、地域の原子力活動の透明性向上、信頼感の醸成に有効であり、このため、次のような施策により、我が国からの積極的な情報発信、各国との情報交換等を行う必要がある。
近隣アジア各国がエネルギー資源の安定的確保や地球環境保全等の観点から、安全、核不拡散等を確保しつつ様々な分野で原子力開発利用を今後進めていくにあたっては、中長期的観点から自立的な研究開発体制を含む総合的な技術・社会基盤を整備・確立していくことが重要である。そのためには、地域内の研究開発基盤等の形成と国情等に応じた研究開発等を実施するための、総合的な協力方策の検討が必要であると考えられる。
したがって、これまでに述べてきた@研究炉、放射線及びラジオアイソトープの利用、A人材育成、B放射性廃棄物管理技術等、C核物質管理等、Dパブリック・アクセプタンス及び透明性向上等原子力開発利用における基盤整備に係る各種施策を、地域の将来的なニーズを踏まえて、総合的に、また一貫性をもって進めていく必要がある。
そのためには、地域のニーズに即した総合的な協力活動を推進するため、「アジア地域原子力協力国際会議」を、これまでの実績を基に、地域内各国の意見、IAEA、アジア原子力安全会議等既存の枠組の活用、連携等を十分考慮しつつ、その活動の充実、発展について検討していくものとする。