資料12-3

論点整理のとりまとめ



平成10年1月26日  
核不拡散ワーキンググループ


Ⅰ.論点整理のとりまとめの方針
本ワーキンググループにおいては、論点整理の検討に当たり、以下のようなとりまとめの方針をとった。

 原子力利用に関する政策の企画立案等を任務とする原子力委員会の役割に鑑み、以下の方針により核不拡散ワーキンググループにおける審議検討を行う。

 1.
核不拡散を巡る最近の国内外の諸情勢について的確に把握する。

 2.
この諸情勢を踏まえた上で、我が国の原子力平和利用を円滑に進めていく観点から、核不拡散に係る原子力政策に関する基本的考え方を明らかにする。

 3.
その基本的考え方を踏まえた、今後の主要な原子力政策についてとりまとめ提言を行う。


Ⅱ.論点整理のとりまとめ

1.核不拡散を巡る国内外の諸情勢

(1)冷戦終焉後の国際的な核拡散の懸念の高まり
(2)核不拡散体制の維持強化に向けた取組み
上記の状況を踏まえ、世界的な核不拡散体制の維持・強化のための取組みが実施され、また、核不拡散体制の不安定化が原子力の平和利用面にも悪影響を及ぼす可能性があることを考慮して、我が国としても円滑な原子力平和利用を進めるための取組みを実施。

  ①
NPT体制の維持・強化
  ②
米露の核軍縮等の努力
  ③
核兵器解体により生じた核分裂性物質の管理、処分の支援
  ④
プルトニウムの透明性向上等のための指針
  ⑤
CTBTとカットオフ条約
  ⑥
非核兵器地帯条約
  ⑦
IAEA保障措置の強化・効率化
  ⑧
原子力資機材・技術の輸出管理
  ⑨
核物質の密輸対策
  ⑩
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)
(3)核不拡散の観点から見た我が国の原子力利用
2.核不拡散に係る我が国の原子力政策の基本的考え方
 前述1.の核不拡散を巡る最近の国内外の諸情勢を踏まえ、我が国としては、今後とも原子力基本法に則り原子力平和利用を円滑に進めていくために、これまで原子力の平和利用に徹してきた国としてふさわしい原子力政策を今後とも展開していくことが必要である。このため、原子力委員会としてもその機能の一層の充実を図り、核不拡散に係る原子力平和利用政策の企画や事務の総合調整を的確に行っていくことが必要である。なお、その際、外交政策等との調和を図ることが重要である。
 我が国が原子力の平和利用を堅持することが重要なことは言うまでもないが、核不拡散は国際的に関心の高い事項であることを踏まえ、国際社会に向けて我が国の原子力政策上の考えを明確に示し、あるいは、積極的な国際対応を行いつつ、我が国に対し核不拡散上の懸念が生じないよう、原子力利用における国際的な信頼の確保に向けて最大限の努力をすることが必要である。
 また、NPTを中心とする核不拡散体制が今後とも核不拡散のための枢要な枠組みとして機能することが重要であり、この体制の信頼性の一層の向上に向けて、我が国が原子力の平和利用で培った知見等をもとに努力をしていくことが必要である。
 さらに、唯一の被爆国である我が国にとっては、核兵器のない世界を目指すことが重要であり、このために原子力平和利用の面からも貢献できる分野において積極的に努力することも重要である。

(1)原子力の平和利用政策
(2)原子力政策の透明性の向上及び国内外の理解の促進
(3)核不拡散体制の維持・強化に資する原子力政策
(4)核不拡散に係る新たな視点からの取組み
3.核不拡散に係る我が国の今後の主要な原子力政策
 上記2.の基本的考え方に沿って、今後我が国としてとるべき核不拡散に係る 原子力政策の具体的内容を以下に示す。

(1)我が国の原子力平和利用と核不拡散対応
(2)我が国の原子力利用での知見を生かした核不拡散の強化のための国際貢献

  ①
世界的な核不拡散体制の強化に向けた取組み
  ②
地域的な核不拡散の視点に立った原子力平和利用の取組み