核不拡散ワーキンググループにおけるこれまでの主要論点
―とりまとめの視点―
核不拡散を巡る最近の国内外の諸情勢について認識した上で、我が国の原
子力の開発利用を円滑に進めていく観点から、国内において、また、国際社
会の一員として如何なる原子力平和利用の取組が必要かを明らかにすること
を基本的な方針とする。具体的には、原子力委員会の役割に鑑み核不拡散
の視点に立った原子力平和利用政策の取組みの基本的考え方を明示し、その
考え方を踏まえた主要な原子力政策についてとりまとめ、提言を行う。
- 1. 核不拡散を巡る国内外の諸情勢
- (1)冷戦終結後の国際的な核拡散の懸念・リスク
- ・ 米ロの解体核兵器の管理問題
- ・ 旧ソ連崩壊に伴う核拡散のリスク
- ・ 地域的な核拡散リスク
- ・ アジア地域における原子力利用拡大
- (2)核不拡散体制の維持強化に向けた取り組み
- ・ NPT無期限延長
- ・ 核軍縮の進展(START)
- ・ CTBT
- ・ 非核兵器地帯の拡大
- ・ KEDOへの取り組み
- ・ 冷戦後における核拡散に対する政策の変化
- ( counter-proliferationの考え方、核抑止・不拡散の位置づけ等)
- ・ プルトニウム利用の透明性向上等のためのガイドライン
- ・ 保障措置の強化・効率化計画(93+2計画)
- ・ 原子力資機材の輸出管理
- ・ 核物質密輸対策の強化、解体核の管理・処分
- (3)核不拡散の観点から見た我が国の原子力利用
- ・ 日本の核兵器開発に対する懸念
- ・ 核不拡散問題に対する国内外の意識ギャップ
- 2.核不拡散を踏まえた原子力平和利用の基本的考え方
- <基本的な認識>
- ・平和利用と核不拡散を両立させるNPTを中心とする核不拡散体制のの維持・強化
- (国際公共財としての保障措置等の強化への取り組み)
- ・核不拡散の諸情勢を充分に踏まえた原子力平和利用の推進
- (核軍縮・核不拡散体制に対する国内議論と情報発信の重要性等)
- <核不拡散体制の維持・強化に向けた原子力平和利用>
- -世界的な核不拡散体制の中で、我が国においてどのように原子力平和利用
を進めていくべきか。また、原子力平和利用の知見を生かしてどのように
国際貢献を進めていくべきか。-
- (1)核不拡散の視点に立った我が国の原子力平和利用政策の対外的発信・明確な取り組み
- (我が国の原子力平和利用政策を積極的に発信することが重要。また、
保障措置の適用、プルトニウム利用の透明性の向上、CTBTの検証
等の実施体制の整備等により、対外的に目に見える平和利用への取り組みを強化してくべき。)
- (2)世界的な核不拡散体制の維持強化のための我が国の積極的貢献
- (我が国の原子力平和利用の経験を生かし、旧ソ連等の解体核の管理等
の問題に対し引き続き貢献することが重要。また、アジア地域の原子
力利用拡大を踏まえ、アジア地域における協力等を推進していくことが重要。)
- 3.核不拡散に係る今後の主要な原子力政策(主要な論点)
- (1)我が国の原子力平和利用と核不拡散対応
- -我が国が原子力平和利用を円滑に進めていく上で、核不拡散の視点に立って何を
なすべきか-
- ・我が国としての核不拡散に係る今後の原子力政策の研究・実行のための
体制整備
(原子力平和利用に係る政策の研究機能の強化等)
- ・我が国の核不拡散に係る原子力平和利用の取り組みの対外的明示
- (我が国の原子力平和利用に対する国際的信頼の醸成、我が国の原子力利
用に関する対外的発信のための政策広報の実施)
- ・我が国における保障措置の体制整備と核物質防護対策
- (保障措置強化・効率化計画(93+2計画)への国内対応、核不拡散動
向を踏まえた保障措置戦略の立案、環境サンプリング分析技術等の開発、
合理的保障措置の実施体制整備等)
- ・プルトニウム利用の透明性・信頼性の向上
- (国際的視点に立った透明性の向上)
- ・核不拡散関連技術の研究開発の促進
(保障措置技術開発・核不拡散性の高い技術開発等の計画的推進)
- ・核不拡散の観点からの原子力平和利用や保障措置に関する理解促進活動
- ・人材育成
- (2)核不拡散の強化のための我が国の原子力平和利用での知見を生かした国際貢献
- -世界的な核不拡散体制の強化のため、先進的な原子力技術を有する我が国
が国際貢献として何をなすべきか-
- ①世界的な核不拡散体制の強化に向けた取り組み
- ・プルトニウム利用の透明性向上等のための国際的な取り組み
- ・旧ソ連諸国の非核化への支援の円滑な実施、解体核の管理・処分への支援に向けた努力
- ・CTBTの検証等の実施体制の整備、IAEA保障措置強化・効率化への技術的協力
- (放射能監視網の整備、環境サンプリング分析の国際ネットワークへの技術的協力等)
- ・IAEA等国際機関に対する人的協力等
- ・カットオフ条約等新たな核不拡散の強化との連携(検証技術等)
- ・2000年のNPT再検討会議への取り組み(原子力平和利用等)
- ②地域的な核不拡散の視点に立った原子力平和利用の取り組み
- ・アジア地域における核不拡散の視点に立った原子力平和利用の取り組み
- (政策対話の推進、地域的な協力等の推進等)
- ・アジア各国との核不拡散の視点に立った原子力分野における協力強化
- (各国の国内保障措置体制整備への協力、保障措置技術面での協力強化等)