資料10−1


原子力委員会原子力国際協力専門部会(第9回)議事要旨(案)



1.日 時
   平成9年6月13日(金) 15:00〜17:00

2.場 所
   科学技術庁第1・2会議室(科学技術庁2階)

3.出席者

 (原子力委員)
伊原原子力委員長代理、田畑委員、藤家委員
 (委 員)
植松部会長、秋元委員、安委員、飯田委員、池亀委員、稲葉委員、猪口委員、大山委員、國廣委員、栗原委員、下山委員、鈴木委員、手島委員、長岡委員、西野委員、ヒールシャー委員、松浦委員、三石委員、村田委員、山本委員
 (説明者)
社団法人経済団体連合会 渡邊特別顧問

 (科学技術庁)
中村原子力局調査国際協力課長、瀬山原子力安全局保障措置課長、伊藤国際原子力協力企画官
 (通商産業省)
長谷川資源エネルギー庁国際原子力企画官
4.議 題
  (1)我が国の保障措置制度の概要と最近の動向について
  (2)旧ソ連諸国の政治・経済情勢について
  (3)旧ソ連、中・東欧地域の原子力開発利用の現状について
  (4)旧ソ連、中・東欧地域との国際協力について
  (5)その他

5.配布資料
   資料9−1 第8回原子力国際協力専門部会議事要旨
   資料9−2 我が国の保障措置制度の概要と最近の動向について
   資料9−3 旧ソ連、中・東欧諸国における原子力開発の現状
   資料9−4 旧ソ連、中・東欧諸国との原子力分野での協力・交流の現状
   資料9−5 原産の対ロ(旧ソ連)協力について
         〜三石委員 発表資料〜

6.議事概要

○ 植松部会長よる開会の宣言に引き続き、配布資料の確認、前回議事要旨についての承認が行われた。

(1)我が国の保障措置制度の概要と最近の動向について

○ 資料9−2に基づき、事務局より説明があり、これを踏まえて委員より次のような意見が出された。

 ─────
 核不拡散の分野では、93+2を含め世界的にIAEA保障措置に大きな期待が寄せられており、IAEAの査察等の業務は増加しているが、それに反しIAEAの財政面は、各国の分担金の遅延等、苦しい状況にあると聞いている。制度として良くできていても、財政的に活動力が損なわれるのでは問題であり、日本政府としてこれをどのように考えているのか。

 事 務 局:
 これは科学技術庁としての見解であるが、御指摘のとおり、世界的に原子力関係施設、及びそこで扱っている核物質の数量は増加し、また、新制度も導入しており、それに伴うIAEA業務も増大している。しかしながら、IAEAの財源面では10年間、実質成長ゼロの状態で、IAEAは業務の効率化に努力してきた。今後の財源については検討が必要であるが、効果が低減しないように、効率化が進むようIAEAの努力が必要であり、日本としても努力していきたい。

 部 会 長:
 この問題は核不拡散ワーキング・グループでも何回か議論している。適切な時期に核不拡散ワーキング・グループの議論の途中経過も報告願えればと考える。


(2)旧ソ連諸国の政治・経済情勢について

○ 旧ソ連諸国の政治・経済情勢について、渡邊前駐ロシア日本大使からロシアにおける政治・経済改革の現状、今後の見通しについて説明があり、これに対して次のような質疑応答が行われた。

 ─────
 北方領土問題についての、日露関係如何。

 渡邊大使:
 日露両国間の政治、経済、安全保障の関係はかなり進展してきたが、四島返還問題はこれからも熱心に交渉を続けなければならない問題。ただ、両国の関係の中で、他の進めていくべき問題は進めていかなければならない。

 ─────
 露には石炭、石油、天然ガス、水力等のエネルギー資源が豊富にあるとのことであるが、その中における原子力エネルギーの位置づけはどうか。

 渡邊大使:
 露は原子力発電は重視しており、今後とも力を入れていきたいと考えている。また、ミハイロフ原子力相は、原子力産業を露の先端産業の一翼を担う輸出産業として位置づけている。在任中にレニングラード発電所及びノボボロネジ原子力発電所を視察したが、働いている人が他の産業と比べてきびきびしており、やりがいを持っているようであった。現在、日露関係の明るい材料を求めている。国際科学技術センター(ISTC)などは欧米の関係者に言わせれば、これほど費用対効果の良いプロジェクトはない。欧米の研究者は、以前からロシアに人脈があったためこれを積極的に活用しているが、日本はお付き合い程度。閉鎖都市のすぐそばに研究所を造っている米企業もある。今後、原子力を含めて日露間の科学技術交流は将来性のある分野であり、日本の学界、産業界としても積極的に交流すべき価値があると考える。


(3)旧ソ連、中・東欧地域の原子力開発利用の現状について
(4)旧ソ連、中・東欧地域との国際協力について

○ 資料9−3及び9−4に基づき、事務局より、続いて資料9−5に基づき、三石委員より説明があり、これらに関して次のような意見交換が行われた。

 ─────
 原子力関係での露への我が国の協力は、技術協力が中心であろうが、露の財政事情を考えると、東欧で進められているような投資プロジェクトによる協力も必要であると思われる。露に対する西側の投資の状況如何。

 事 務 局:
 旧ソ連型原子炉の安全水準を西側並みに引き上げることには限界があり、西側諸国は旧ソ連型原子炉の閉鎖を条件とし、発電所の安全性を確保するための短期的、緊急的措置に係る支援を行っている。我が国も国際機関を通じこれらの融資に協力している。また、旧ソ・中東欧諸国の中には西側諸国に原子力関連分野への新規開発投資を呼びかけている国もあるが、現在国際金融機関の融資は、新規あるいは老朽化した火力発電設備が主となっている。


(5)その他
 部会長より、議題(3)及び(4)は、時間の都合で十分な議論の時間がなかったため、次回再度議論することとされた。次回は旧ソ連、中・東欧地域に対する国際協力の在り方及び方策等について議論を行うこととなった。次回は7月下旬又は8月下旬〜9月上旬に開催(日程は部会長に一任)することとし、閉会した。