アジア地域原子力協力国際会議について
平成9年3月26日
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1.開催趣旨
- (1) 我が国と地理的に密接な関係にある近隣アジア諸国は、原子力開発利用の面で多くの共通課題を有しており、その解決に当たって、近隣アジア諸国が相互に協力し合うことは重要である。
- (2) 一方、これらの課題については、二国間協力やIAEAの枠内での協力である「原子力科学技術に関する研究開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)」では必ずしも十分な対応ができない分野・課題が考えられる。
- (3) このため、特に固定された協力の枠組みを設けず、RCA及び二国間原子力協力等の既存の協力枠組みでは十分な対応が必ずしもできない課題に対して、適切かつ柔軟に実施していくことが重要である。
- 以上の観点を踏まえ、近隣アジア諸国における地域協力の具体化に向けて、意見交換・情報交換を行い、地域協力テーマに関する関係各国のコンセンサスを得ることを目的として、平成2年より、原子力委員会の主催により、「アジア地域原子力協力国際会議」を毎年開催している。
2.参加国
・オーストラリア
・中国
・インドネシア
・韓国
・マレーシア
・フィリピン
・タイ
・ベトナム(平成7年の会議にオブザーバとして参加、平成8年の会議から正式参加)
・日本
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3.具体的協力活動
- アジア地域原子力協力国際会議及び作業グループ会合で議論された協力分野としては、以下の6分野があり、それぞれの分野毎にワークショップ、セミナー等が開催されている。
・研究炉利用
・RI・放射線の農業利用
・RI・放射線の医学利用
・原子力PA
・放射性廃棄物管理
・原子力安全文化(オーストラリア政府主催によりワークショップを開催)
(協力活動の状況、別添1参照)
4.第8回アジア地域原子力協力国際会議について
○平成9年3月4日(火)〜6日(木)
○同会議で明らかにされた各国の最新動向 (別添2参照)
(参考)
国際原子力機関(IAEA)のアジア原子力地域協力協定(RCA)
1.協定の名称
原子力科学技術に関する研究開発及び訓練のための地域協力協定
Regional Cooperative Agreement for Research, Development and Training Related
to Nuclear Science and Technology (RCA)
- 2.目的
- 本協定は、IAEAの枠内で、アジア・太平洋地域の開発途上国を対象として、原子力科学技術に関する研究開発及び訓練の計画を、締約国相互の協力とIAEAとの協力により、適当な締約国内の機関を通じて促進及び調整することを目的とする。
(1972年6月に発効。我が国は1978年から参加。)
- 3.加盟国
- オーストラリア、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレイシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム、モンゴル、ミャンマー、ニュージーランドの17カ国
- 4.協力プロジェクト及び我が国の協力
- 本協定に基づく協力プロジェクトは、○環境保全技術、○甲状腺関連ホルモンの放射線免疫測定、○B型肝炎診断のための画像化、○原子力情報システム、○放射線防護のインフラ整備、○移植用組織の放射線殺菌、等。
我が国としては、アイソトープ・放射線を利用した環境プロジェクト(放射線加工、工程管理等)、医学・生物学プロジェクト(癌の放射線治療等)及び放射線防護プロジェクト(アジア標準人の設定)について、特別拠出金の拠出及び日本人専門家の派遣、ワークショップの本邦開催等、積極的な活動を行っている。
(別添1)


(別添2)
第8回アジア地域原子力協力国際会議
参加各国の最新原子力動向
平成9年3月
1.中国
○ 核燃サイクル
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- ・ ウラン資源探査については、焦点を東部及び南部山岳地域から、現場浸出に適した ウラン鉱石のある北西部及び北部盆地に移動。低コストウランが期待されている。
- ・ ウラン濃縮については、1994年3月の協力協定に基づき、ロシアから遠心ウラン濃縮装置と技術を導入。第1期プロジェクトは、96年10月に完了。第2期が土木建築に入ったところ。
- ○ 第9次五ヶ年計画(1996〜2000年)及び国家経済と社会発展のための2010年に向けた長期目標のアウトラインにおいて、電力事業の基本方針が決定された。2000年までの設備容量は290GW、2010年までの設備容量は590GW、うち、原子力発電設備容量2万MW、2020年には、設備容量800GW、原子力は4万〜6万MWと見積もり。
2.インドネシア
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- ○ 1996年、製品やサービスの商品化のために、PTバタンテクノロジが国営企業として設立された。競争力維持のための支援は、BATANが行う。
- ○ BATANは、以下の目的で近い将来、大型加速器施設を建設する計画を表明。
- ・ 加速器及び関連機器の技術習得・向上
- ・ 加速器ビームの産業、健康、農業、環境、エネルギ分野への利用
- ・ 地元及び海外の大学・研究機関の協力を通じたインドネシア人の科学技術能力面の人材育成
- ○ 1997年2月、原子力発電に対する監督機関の設置、放射性廃棄物の処理、原子力賠償責任に関する規定等を盛り込んだ原子力法の改正案が議会で承認され、原子力発電導入のための法的な環境整備がおこなわれた。
3.韓国
- ○ 韓国は現在、「原子力推進マスタープラン」を策定中。将来的な国家原子力政策の構築及び原子力利用開発の系統的な管理のための基盤となるもの。これとあわせて、原子力研究開発基金として、原子力発電単価当たりの固定レートが導入された。
4.マレーシア
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- ○ 1996年、各種協力プログラムのもと、天然ゴム放射線硫化施設(RVNRL)とSTERIFEEDの2つのパイロットプラントが運転を開始。(STERIFEEDは、MINTと原研による放射線処理技術に基づくもので、農業廃棄物である椰子がらを飼料などに転換する技術。)
○ 環境分野では海洋汚染や輸送現象の研究に役立てている。これはIRPA(国際放射
線防護学会)とIAEA及びカナダ国際開発庁の支援を得ている。空気についてはIAEAとの協力によって、空気粒子の化学的特性に関する研究が1996年から行われており、健康影響や放出源の特定などが1999年まで行われる予定。
○ マレーシアは96年から2000年までの5ヶ年開発青書を導入した。第7次マレー
シア計画(RM7)は、とりわけ、高レベルの科学技術人材開発を含めた科学技術の向上を盛り込んでいる。また、民間参加、とくに地元のR&D参加を奨励。
5.フィリピン
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- ○ フィリピンの30年エネルギ計画では、2025年までに2400MWの原子力の導入を提案。
- ○ フィリピンにおける原子力計画の適用性の要としては、受入の理解を促すための民衆の教育が重視されている。96年12月の第2回フィリピン原子力大会では、原子力計画を早めに始めるべきとのコンセンサスがあったが、安全には最優先の配慮が必要とされた。
6.タイ
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- ○ オンガラク原子力研究センター(ONRC)は、3つの主要施設である研究炉、アイソトープ生産施設、廃棄物貯蔵・処分施設の契約者がほぼ決定。今後、建設に4年を要する。
- ○ 1995年12月、タイ議会は原子力発電所の可能性についての研究プログラムを決定。プログラムは政府再編によりやや遅れているが、研究を管理するための国家委員会が設立されつつあり、また、技術・安全、経済性検討、環境影響評価、パブリック情報の4つの小委員会が研究実施のため設立されるところ。研究は4年でまとめられる予定。
7.ベトナム
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- ○ ベトナム放射線防護原子力安全委員会(VRPA)が大統領令により、科学技術環境省のもとに設立され、放射線の利用や放射性物質の輸入や輸送のための検査、評価、許可といった放射線安全の管理に係る活動を行っている。1996年6月に議会によって、放射線安全・管理が発布された。