資料8―1



原子力委員会原子力国際協力専門部会(第7回)議事要旨



1.日 時
   平成9年2月4日(火) 15:00〜17:00

2.場 所
   科学技術庁第7会議室(通商産業省別館9階)

3.出席者
 (原子力委員)
   伊原委員長代理、田畑委員、藤家委員
 (委 員)
   植松部会長、秋元委員、飯田委員、池亀委員、稲葉委員、猪口委員、大山委員、
   草間委員、手島委員、下山委員、永井委員、西野委員、ヒールシャー委員、松浦委員、
   真野委員、三石委員、村田委員、山本委員
 (説明者)
   (財)日本エネルギー経済研究所 佐川氏
   大阪大学 黒沢氏
   (財)核物質管理センター 栗原氏
 (科学技術庁)
   今村官房審議官、田中原子力安全局次長、中村原子力局調査国際協力課長
 (外 務 省)
   遠藤総合外交政策局科学原子力課長
 (通商産業省)
   長谷川資源エネルギー庁国際原子力企画官

4.議 題
(1)アジアに関する全般的な意見交換
(2)核不拡散を巡る動向と取り組みについて
(3)その他

5.配布資料
   資料7−1 第6回原子力国際協力部会議事要旨(案)
   資料7−2 アジア地域エネルギー需給の長期展望と原子力の役割
         〜(財)日本エネルギー経済研究所 佐川直人氏 発表資料〜
   資料7−3 原子力国際協力専門部会におけるこれまでの主な論点
   資料7−4 核不拡散を巡る国際情勢
         〜大阪大学 黒沢 満氏 発表資料〜
   資料7−5 国際核不拡散政策と保障措置
         〜(財)核物質管理センター 栗原弘善氏 発表資料〜


(1)アジアに関する全般的な意見交換

1)アジア地域エネルギー需給の長期展望と原子力の役割について

○ 資料7−2に基づき、(財)日本エネルギー経済研究所 佐川氏より説明があり、これを踏まえて委員より以下のような意見が出された。

・ アジア全体の資金バランスから言えば、資金流出が増えると食糧問題や開発資金などに影響し、経済成長全体に影響が出てくるため、これに関して、域外から持ち込まれる化石燃料等による域外への資金流出を考慮する必要があるが、今回のシミュレーションでは経済成長の衰弱への影響度が不明なため、考慮されていない。

・ 世界銀行は、ODAによる製造業のインフラ整備に1兆5千億ドル(150兆円〜200兆円)を投じていると言われているが、日本の10年間で630兆円という数字を考えれば、この程度の資金が東南アジアへの民間の直接投資として行われたとしても不思議ではない。

・ 太陽エネルギーは使い方によっては、地域的に大きな気候変動を生ずる恐れがある。資金以外にもこのような影響を考慮する必要がある。


2)原子力国際協力専門部会におけるこれまでの主な論点について

○ 事務局より資料7−3に基づき、これまでの原子力国際協力専門部会の主な論点につ いて説明があり、これを踏まえて委員より以下の意見があった。

・ 安全面に配慮した協力の推進が必要であるが、廃棄物の問題に対しては協力政策として、日本の考え方を明確にすべき。台湾の低レベル廃棄物の輸出は、自国で発生した廃棄物を自国外に持ち出すことについての国際社会の受け止め方如何によっては、我が国の原子力平和利用政策を混乱させる恐れがある。

・ 安全面の管理が非常に慎重に行われ、受け入れる側にも問題がない場合には、放射性廃棄物の輸出は必ずしも否定されるものでもないが、このような点について十分な検討もしないまま、進めてしまうのは危険。他国廃棄物の輸出入について、PAの問題だけでなく、安全確保の責任問題についても今のうちから検討した方が良い。

・ 安全管理の国際レジームのようなものを日本がリーダーシップを発揮して作っていく ことは重要と考えるが、日本が原子力資機材の輸出に踏み出さないならば、どの国の原子力発電所が安全面で優れているかというような検討を行い、技術的に優れた国のものの導入を側面支援することも必要。

・ アジア地域が発展し、エネルギー需要が伸びることを考えると、原子力以外のエネルギー供給の機会を増やすことによって、アジア地域において積極的な原子力の供給を抑えることが可能となり得る。また、エネルギープロファイルを多様に維持していくということは価値があると考える。

・ 原子力のような潜在的にリスクのある科学技術を誘致していくには、政治的な安定と21世紀の課題としての「テロ抑止」が重要であり、そのためには、最貧層に対する所得配分の改善等の本格的な社会政策を推進していくことが必要。

・ 経済発展が所得配分的な機能を担わないと、原子力施設を安全に機能するために強権を維持しなければならないといったことになりかねない点も国際協力において考慮する必要がある。

・ アジア地域の今後の原子力発電の見通しと安全確保を考えると、継続的な人材養成が重要。政府間の協力、産業界の協力に加え、現実的で実現性のあるものとして、学会レベルでの協力も重要。セーフティーカルチャーが他のアジア諸国に比べて成熟している日本の研究者によるアジアの研究者、特に若手への協力支援が重要になる。学会への参加旅費等については、政府も協力して欲しい。

・ 台湾の廃棄物問題は、商業ベースの合意だけでは不十分。この廃棄物問題は、中国との外交関係にも及び得る問題として考えることが必要。台湾は日本との協力が産業ベースで進んでいることもあり、日本としても関係のある問題として考えるべき。

・ アジア諸国が原子力分野で協力する場合、日本単独で協力するだけでなく、二国間と、あるいは他の先進国と協調した協力という形態もあり得る。その中で、メリットを得る国と得ない国が生じる問題が出てくることが考えられる。その点で、先進国間でアジア・東欧諸国に対する原子力安全、原子力発電の推進、放射性廃棄物の問題等について検討するための国際的なスキームあるいは検討方法について、この場で議論してはいかがか。

・ 従来のFBRとは違った、非常に小型で安全な炉の提案があると聞いているが、日本も安全なプルトニウム利用について、今までの路線とは違うところで研究を進めた方が良いのではないか。

・ 優良な発電所のオペレーションと優良な発電所を作ることとは切り離して考えて良い。安全性の面における日本の役割は安全な原子炉を作るとともに、学会レベルによって安全性について基礎的な理解ができる人材と実際にオペレーションができる人材を育てることにある。

・ 中国の技術者は、日本で研修を受けても実際に動かすのはフランス製の原子炉だったりする。日本も独自の原子力発電の技術を確立しており、日本の技術は最高だという評価を得ているのだから、相当数の技術者を派遣するということを前提に、もう少し輸出を考えることも必要ではないか。

・ バックエンドの問題は、原則としては自国内処理であり、仮に国際的に捉えようとしても、国際協調のできる研究開発ではうまくできても、処分場という場所の問題になると困難が伴うことになる。


(2)核不拡散を巡る動向と取り組みについて

○ 大阪大学教授、黒沢氏より、資料7−4に基づき、核不拡散を巡る国際情勢について説明があり、続いて(財)核物質管理センター 栗原氏より、資料7−5に基づき、国際核不拡散政策と保障措置について説明があった。これらを踏まえて以下の意見があった。

・ 補足的に、全く個人の意見として述べるが、日本の核疑惑・核武装疑惑は、原子力委員会がある限り、さらに言えば、日本のマスメディアが健在である限り、あり得ない。なぜならば、原子力委員会をなくすためには原子力基本法を廃止しなければならず、それには国会が原子力基本法を廃止すべき、平和利用に固執するのは良くない、とならなければならず、それには日本のマスメディアがこぞって核武装をすべし、というキャンペーンを何年にもわたってしなければならないからだ。

・ 核兵器を作る時に、「能力」と「意思」の2つの問題がある。通常は「意志」が問題にされるのに対し、反論者は「能力」を重視し、国内法令のみならず、国際的な取り決めを何重にもして欲しいという議論を進めている。その結果、東南アジアの非核兵器地帯についても、北東アジアの安全の維持というメインな目的と、日本の核疑惑をさらに晴らすという目的の双方から語られることがある。日本ではほとんど議論されていないが、日米安保条約との関係はどうなるのか、核の傘があってできるのかといった具体的な議論から始めて、とりあえず朝鮮半島と日本を含んだ地域について議論すべきだ。

・ アジアの地域的システムといえば、アジアトム、パシフィカトムといった名前が連想される。ただ、ユーラトムの現状や設立経緯、地域的な特性をみると、アジアでユーラトム的なしっかりした機構を作るのは現実的ではない。この地域の協力にはアジア地域原子力協力国際会議もあるが、こういうものを核にして議論していくことも重要だ。

・ 核不拡散については、例えば、ABACCという、アルゼンチンとブラジルが原子力施設を相互に査察し合うものがある。NPTとトラテラルコ条約に加えてこれを作ったのは、相互の信頼醸成措置という性格が強いものと思われる。北東アジアで、韓国、中国、日本で同様のことを行うことについても、地域の相互信頼醸成措置としての意味はあるのではないか。


(3)その他

 部会長より、アジア地域をはじめとした国際協力の議論、また、核不拡散の議論など、今後、具体的に詳細な議論が必要であるため、作業グループを設置して専門的に議論することが提案され、具体的には次回相談することとした。また、次回は、アジア地域原子力協力国際会議の議論の紹介とアジア地域に関するコメント、並びに核不拡散について世界や日本が取っていく措置について意見交換を行うこととされた。次回は3月26日(水)15:00〜17:00に開催することとし、閉会した。