インドの原子力開発利用の動向
- 1.原子力研究開発体制
- ○早い時期から原子力の重要性を認識。タタ基礎研究所(バーバー原子力研究センターの前身)は1945年に設立され、1948年には原子力法(Atomic Energy Act)を制定し、原子力委員会も発足。
- ○1962年改正の原子力法に基づき、連邦政府が原子力発電開発の責任を負う。当初は原子力省(1954年設置)原子力局の原子力発電部(NPB)が担当していたが、現在では原子力公社(NPC)に変わっている。
- ○原子力政策の策定などは原子力委員会(1948年設置)が担当し、規制は原子力規制委員会(1983年設置)が担当。原子力規制委員会は安全規則・指針等の策定、原子力局傘下の事業主体及び放射線取扱者の関連法規等の遵守状況の監督等の権限を有する。
- ○長期開発計画には、再処理、各種燃料製造、重水製造、高速炉等のプロジェクトが組み込まれている。
- 第一段階:濃縮ウランの利用を避けて、天然ウラン・重水炉による発電と使用済燃料から得られるプルトニウムの蓄積
- 第二段階:プルトニウムを利用した高速炉とトリウムの照射によるウラン233の生産
- 第三段階:ウラン233増殖炉によるトリウムの照射と燃料増殖の完成
- ○核不拡散条約(NPT、1970年発効)には未加盟。また、1996年9月、国連総会にて圧倒的多数で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)に反対票を投じた。
- 2.原子力発電に関する動向
- (1) 原子力発電所の導入・開発戦略
- ○原子力発電計画は以下の方針に従って推進
- 電力とプルトニウムを生産するPHWRを建設。
- 商業高速増殖炉を開発。
- 国産のトリウム資源をU-233に転換し、増殖炉で使用。
- ○1992年の総発電電力量は3,279億KWh(世界8位)で、うち石炭火力が約70%の2,352億kwh(火力発電の94%)。原子力は2%の68億kwh。
- ○2000までに総発電設備容量の10%(1,000万Kw)の原子力発電所を運開する予定であったが、資金手当等の問題から400万Kwを上回ることはない見込み。
- (2) 原子力発電所の建設
- ○現在、運転中10基(BWR2基、CANDU2基、PHWR6基)、建設中4基(PHWR)。
- ○初期は米国からBWRを導入したが、その後カナダから重水炉(CANDU)を導入。
- ○1983年に運転開始したマドラス発電所以降は自主技術により設計、建設を実施。
- (3) 核燃料サイクル
インドでは、ウラン及びトリウム資源の生産、燃料の成形加工、再処理、廃棄物処理まですべて自国で実施。
- 1)ウラン資源
- 40万トン近いトリウム資源があるのに対し、ウランは4分の1ないし5分の1しかないとされている。
- 2)ウラン濃縮
- 重水と天然ウランの組み合わせによる原子炉の導入志向のため、ウラン濃縮は必要ない。
- 濃縮ウランを必要とするのは、タラプール発電所のみで、その燃料は国際保障措置の下で輸入される濃縮ウランからつくられている。
- 3)燃料加工
- ハイデラバードの原子力燃料施設でPHWR向けの天然ウラン燃料、タラプール発電所のBWR向けの濃縮ウラン燃料を製造。
- PHWR向け燃料は国産のイエローケーキからUO2に転換(転換能力は300tHM/年)。
- 4)再処理
- 以下の再処理施設が独自の技術により建設、運転中。
(a) トロンベイ再処理施設(30トン/年、1964年運転開始)
本再処理施設から抽出したプルトニウムを使用して、1974年に核実験を実施。
(b) タラプール再処理施設(PREFERE)(100トン/年、1979年運転開始)
(c) カルパッカム再処理施設(KARP)(100トン/年、建設中)
PHWRの燃料の再処理施設。MOX燃料並びに計画中のプロトタイプFBR(PFBR)の初装荷燃料を賄う予定。
- ラジャスタン発電所からの天然ウラン燃料など保障措置物質を再処理する場合に限って、国際保障措置の下で操業。
- 5)放射性廃棄物処分
- トロンベイ、タラプール、ラジャスタン、ナローラ発電所には低中レベル廃棄物の管理施設(WMF)がある。また、Kalpakkam地点全体を対象とする集中廃棄物管理施設(CWMF)がある。
- タラプールには、高レベル廃棄物を処理する廃棄物固化プラント(WIP)があり、1990年にPREFEREからの廃棄物を使って固化することに成功している。
- 6)重水
- 国内需要を賄って余りある重水の生産能力を持つ。
- 稼働中の重水製造プラントは8ヶ所で、その製造能力は合計655t/年。
- 1994年4月、原子力省は韓国電力と韓国のウォルソン発電所に重水を供給する契約に調印。
- 3.研究開発の進展状況
- ○バーバー原子力研究所(BARC)
- 原子力省の中核的機関。1957年、ボンベイ近郊のTrombayに設置。医療、農業への応用を含む広範な研究を実施。
- アブサラ(アジアで最初の原子炉)、サイラス、ドルーパ研究炉とゼルニナ、プルニマ1〜3臨界実験装置を持つ。
- ○インディラガンジー記念原子力研究所(IGCAR)
- 1971年、マドラス原子力発電所(Maps)地点に設置。FBRを中心に研究を実施。
- 高速増殖試験炉(FBTR、40MWt)を持つ)。
- 同研究所内に建設予定の、50万KWのプロトタイプFBR、FBR燃料の再処理プラントに関する設計作業を実施。
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