資料第5−2−3号


OECDメガサイエンス・フォーラムにおける原子力関連分野の状況



1.OECDメガサイエンスフォーラムについて
(1)1992年3月に開催されたOECD科学技術大臣級会合においてメガサイエンスにつ いての議論が行われ、科学技術政策委員会(CSTP)の下にメガサイエンスフォーラムを設置することが合意された。本フォーラムは、メガサイエンスについて早い段階から意見・情報交換を行うとともに、メガサイエンス分野における国際協力のあり方について共通の認識を得ることを目的としている。

(2)1995年9月のCSTP大臣級会合において、メガサイエンス・フォーラムの下に分野別のワーキンググループ(WG)を新たに設置して、当該分野に係る計画の情報交換とそれを更に進めて国際協力の可能性を検討することが決定された。これまでに、「大規模施設のアクセス/管理・法制的事項」、「バイオインフォマティックス」、「中性子源」、「核物理」及び「電波天文学」の5分野についてWGが設置され、各WGはそれぞれ活動を開始している。また、WGの対象にするには未成熟な事項について、状況把握等を目的としたワークショップ(WS)が「深海ニュートリノ」及び「地球規模問題」の2分野について開催されることとなっている。

(3)本フォーラムは、各WG専門家会合を適宜開催しつつ本会合を年2回程度(通常1、6月)開催している。最近では本年1月に第10回会合が開催され、各WGやWSでの検討状況の報告・審議が行われた。

2.原子力関連のWGの検討状況
(1)大規模施設のアクセス、管理・法制的事項
◎ 大規模施設のアクセスサブグループ(SG)(リード国:カナダ)
(目的)
1)現在及び将来の大規模施設へのアクセスに対するOECD諸国の政府のガイドライン作成
2)大規模施設へのアクセスに対する方針と規則の編集
3)大規模施設使用時の研究に対する影響度の調査
4)アクセスに関する問題に対する分析の枠組みと方法論の確立
(開催状況)
第1回会合(平成8年9月、フランス)
(検討状況)
調査票回収中(我が国はSpring-8、KEK-Bファクトリーを調査対象)
◎管理法制事項SG(リード国:フランス)
(目的)
1)財政処理、機器輸送、居住に関する規制を考慮した大規模施設施行上の困難の解析
2)大規模施設を利用した研究促進のための各国政府への勧告
3)同様に各国に広がるプログラムに特徴的な問題の検証
(検討状況)
調査票回収中(我が国はSpring-8、KEK-Bファクトリーを調査対象)

(2)中性子源(リード国:英国)
(目的)
1)将来の中性子源の供給不足の見積もり
2)現行の施設計画の情報交換
3)新設機器に対する要求の評価
4) 新規及び現行の中性子源開発における技術課題
5)課題解決のための協力的なR&D活動の奨励
6) 対象機器への参加状況の調査
7)メンバー国による活動指針の作成
(開催状況)
第1回会合(平成8年5月、ポルトガル)
第2回会合(平成8年10月、スイス)
(検討状況)
1)3つのSG(A:既存中性子源の改造・改良、B:測定器開発、C:次世代中 性子源開発)を設置。我が国はB及びCに参加。
2)第4回会合は我が国で開催する方向で検討中。

(3)核物理(リード国:フランス)
(目的)
1)政府代表者が重要な物理学の研究について計画やプログラムを議論し、協力するための国際フォーラムの開催
2) 核物理学研究の巨大機器の国際利用の調査
3)核物理学研究機器の国際協力の機会の調査
(開催状況)
第1回会合(平成8年11月、フランス) (検討状況)
1)5つのSG(A:次世代大強度加速器及びターゲット・システムに向けてのR &D、B:「電子−原子核」物理と施設、C:多目的ハドロン施設、D:重イオン研究用装置、E:原子核科学の応用)を設置して検討していく予定。
2)非OECD加盟国の今後の参加等につき検討。