放射線利用推進専門部会(第4回)議事要旨(案)
1.日 時 平成8年6月7日(金)14:00~16:00
2.場 所 科学技術庁第8会議室(通産省別館9階)
3.出席者
(原子力委員)
伊原委員長代理,田畑委員,藤家委員
(専門委員)
石榑部会長、碧海委員、興委員、長見委員、木元委員、吉良委員、佐藤委員、
武久委員、内藤委員、中澤委員、中村委員、難波委員、濱田委員、平尾委員、
三輪委員、森委員、山口委員
(説明員)
上里田(株)荏原製作所環境営業室市場開発部長
伊藤日本原子力研究所環境・資源利用研究部資源利用技術研究室長
(科学技術庁)
荒井原子力局研究技術課長、岸原子力研究推進調整官
4.議 題
(1)フロンティア研究分科会報告について
(2)食品照射の動向について
(3)その他
5.配布資料
資料第3-1号 「原子力委員会放射線利用推進専門部会(第2回)議事概要
(案)」(修正版)
資料第4-1号 「原子力委員会放射線利用推進専門部会(第3回)議事概要
(案)」
資料第4-2号 「加速器利用研究の推進について(案)」
資料第4-3号 「食品照射の国際的動向」
資料第4-4-1号「エバラ電子ビーム排ガス処理装置」
資料第4-4-2号「中華人民共和国における電子ビーム脱硫プロジェクト」
資料第4-5号 「日本原子力研究所高崎研究所放射線利用のトピックス」
資料第4-6号 「EC/IAEA/WHO国際会議「チェルノブイリから10年:事故影
響の総括」の結果について」
資料第4-7号 「財団法人医用原子力技術研究振興財団の概要」
参考資料 「照射食品の安全性と栄養適性」
6.議事要旨
- (1)
- 事務局より資料第4-1号に基づき、前回議事概要(案)の説明があり、原案通り承認された。
- (2)
- 事務局及び中澤委員(フロンティア研究分科会主査)より、資料第4-2号に基づき、「フロンティア研究分科会報告」について説明があり、審議が行われた。
主な意見は以下のとおり。
- 衝突型加速器のエネルギーの表現を検討し、統一を図る必要がある。
- 半導体ドーピング加工用イオン注入装置は、世界的にみても1,000億円規模の産業であり、加速器を用いた工業利用の中でも最大規模の産業なので、「1-6 産業界等への波及」のところでも記述するべきである。
- 加速器は複雑多岐にわたるものなので、何をやろうとしているかの視点(ものを見る光源、エネルギー注入、物質注入)を前書きかあとがきに記述すると、多少わかりやすくなる。
- 本文中の具体的事項を探すのが大変なので、索引をつけるべきである。
- 資料編の「主な加速器リスト」に、ロシアや中国の施設が抜けているので追加すべきである。
- 共同利用に関する今の大学のやり方は悪平等であり、強い責任体制がない。
- 全体的な共同利用に関する現状は、大学以前の段階であり、まず、共同利用をある程度導入すべき段階である。原研等特殊法人における共同利用については、少しずつ改善されてきているが、省庁間の壁もあり、まだなお改善の必要がある。共同利用の悪平等の件については別途考える必要がある。
- また、「整備すべき」とした加速器の整備の時期的問題については、分科会主査及び事務局より、本報告書案では、現時点において当面整備すべきと考えられる加速器を取り上げており、今後の状況の変化によっては、それに応じた対応をする必要があるとの説明があった。
これらの意見に対する対応については、部会長、分科会主査、発言者及び事務局の間で検討し、本文の趣旨を大きく変える修正の必要があれば、各委員に諮ることとし、軽微な修正及び追加資料作成だけであれば、部会長一任で、修正された報告書を本専門部会の報告書として6月18日開催予定の原子力委員会に報告することで了承された。
- (3)
- 伊藤日本原子力研究所資源利用技術研究室長より、資料第4-3号に基づき、「食品照射に関する最近の国際的動向」について、また、森委員より「食品照射に関する我が国の動向」についてそれぞれ説明があり、質疑応答が行われた。
- 主な発言は以下のとおり。
- 食品照射は将来の可能性がある分野であり、生協がWHOの出版物を出したのは画期的である。
- 日本は消費者の反対や貿易の自由化問題があり、食品照射に対して消極的になっていると考えられる。
- 米国においても、食品照射に対する反対運動はあるが、数年前、テレビでの反対派のやり方に批判がでて、雰囲気がかわった。米国ではFDA(食品医薬局)及びUSDA(農務省)が食品照射を推進しており、テレビコマーシャルを通じて安全性を訴えている。遺伝子組み換え食品についても政府はパンフレット等を出して強力に進めている。
- (財)日本原子力文化振興財団の原子力モニターの懇談会におけるモニターからの希望や一般者を対象とした食品照射をテーマとした講演を行った際の反応は、「食品照射については知らなかった」というものであった。食品照射についてはもっと説明することが大事であり、一般者対象の勉強会や講演会でオゾン層保護との関係等皆が関心を持っている環境問題との関係で話したらどうか。
- 食品照射については、なまものにセンシティブな消費者のバリアといった実態がある中で、担ってくれる事業者がいるかが問題である。
- 日本政府は食品照射を原則禁止(ばれいしょのみ許可)としているが、外国では照射食品の方が高く売れているものもある。イギリスでもスパイスについて国民が受け入れる方向にあり、スパイスが突破口になるかもしれない。
- そのものをバリバリ食べるものではないスパイスに対する照射が有効である。
ナツメグはアフラトトキシン汚染で廃棄処分が出たことがあるし、ゴマも1年経てば中から虫が出てくる。
- 新技術の安全性の問題では、バイオ食品の例がある。これは、技術としてではなく、食品添加物扱いで1つ1つの食品について審査することによって普及しはじめた。食品照射もこの方向に改めるべきだ。(食品照射の場合も、新規に許可を取得するには、個々の食品毎に申請し、許可を取得するシステムとなっている。)
- (4)
- その他の議題として、上里田㈱荏原製作所市場開発部長より、資料第4-4-12号に基づき、放射線利用に関連する最近のトピックスの1つである「電子ビーム排ガス処理装置の海外展開」について説明があり、質疑応答が行われ、長期連続運転時間や脱硫装置のコスト等に対する追加説明が行われた。
- (5)
- その他の配布資料の説明は、時間の関係で省略された。次回は、別途日程調整の上、今年度末に開催することとし、閉会した。