「現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物

処分の基本的考え方について(案)」

(平成10年5月28日、原子力バックエンド対策専門部会)

に対するご意見と回答

 

 

 

 

報告書案に対して寄せられたご意見を報告書案の項目毎に整理し、

Ⅰ.報告書案に反映したご意見:176件
Ⅱ.論点については既に記述があるなどにより、報告書案の記述で良いと考えられるご意見:176件
Ⅲ.報告書案における検討の対象外と考えられるご意見: 53件

に区分したものです。(ご意見は、159名から180件が寄せられました。1件に複数のご意見を記述されている場合があり、これを整理いたしましたので、寄せられたご意見の件数と上記の整理したご意見の件数の合計は一致しません。)なお、各ご意見の末尾の数字は、平成10年9月2日 第18回原子力バックエンド対策専門部会において公開した「報告書案に寄せられたご意見」に付した番号です。


Ⅰ.報告書案に反映したご意見

 

これまでの取り組み

早急に処分方策を確立すべきである

未だに対象廃棄物の処分対策が確立されず、制度が整備されていないのは問題。(8)
発電を優先し、廃棄物対策を後回しにしてはならない。(20)
費用負担や関係法令整備がなされていないことに驚いた。(23)
廃棄物処分問題は、先延ばしせずに責任ある対策を期待。(59)
実用発電炉稼働後30年以上経過した現在、処分方策の論議は遅すぎる。(138)
対象廃棄物の処分方策が確立していなかったことに驚いた。(157)
基本的考え方には大筋で合意するが、処分方法が確立されていないのは問題。(176)

対象廃棄物が既に存在し、発電所に保管されていることを述べるべきである

当該廃棄物が既に発電所に保管されていることを明記した上での議論が必要。(86)
報告書案では処分の緊急性の程度を理解してもらえないのではないか。(90)
対象廃棄物が既に保管されているため処分方策を検討しなければならない点を説明すべきである。(97)

 ご指摘のように、放射性廃棄物の処分は原子力の開発利用を行う上で最も重要な課題であり、避けては通れない問題です。また、対象廃棄物の中には、原子炉施設の運転に伴って発生し、現在既に発電所の施設内に保管されているものもあり、また今後廃止措置が具体化されていくことを踏まえれば、その処分についての対応を急ぐ必要があります。
 したがって、この点を明確にするため、本文「はじめに」について次のように修正します *)。
 「一方、原子炉施設の運転に伴って、使用済み制御棒など、その放射性核種濃度が現行の政令濃度上限値を上回る廃棄物が発生しておりし、現在、原子炉施設内に保管されている。また、平成10年3月末に日本原子力発電(株)東海発電所が営業運転を終了し、その廃止措置が具体化されていくが、今後実施される原子炉施設の解体に伴い炉内構造物などの一部から同様の廃棄物が発生することとなる。これらの廃棄物については、これまでその処分方策は確立されておらず、制度は整備されていない。我が国における発電量の約3分の1が原子力発電によって供給され、原子力発電が我が国の電力供給の重要な部分を担っている状況の中で、これにより発生する廃棄物の処分への対応を急ぐ必要がある。したがって、原子炉施設から発生する廃棄物のうち、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物(以下「対象廃棄物」という。)の安全かつ合理的な処分を実施するため、その処分方策を確立して、諸制度の整備を図り、最終処分に向け具体的に取り組むことが必要である。」


*) 修正は、追記個所を下線で、削除個所を取り消し線で示しています。

 

対象廃棄物の特徴

現状を明記すべきである

現状の当該廃棄物の保管量、保管状況を明記すべきである。(86)

 現時点の対象廃棄物の保管量及び保管状況について、本文「第1章2.対象廃棄物の特徴」に以下の記述を追加します。
 「このような廃棄物の大半は、ステンレス鋼などの金属が燃料近傍で中性子照射されて生じた放射化金属であり、この他、コンクリート、使用済みのイオン交換樹脂などが含まれる。このような廃棄物は、全国の原子炉施設でこれまでに約8千トン発生し、原子炉施設内に保管されている。

 

JPDR解体に伴う対象廃棄物の存在を明記すべきである

既にJPDR解体に伴い対象廃棄物が発生し保管されていることを明記すべきである。(99)

 解体に伴う対象廃棄物についてはJPDR解体に伴うものが既に発生し、保管されているので、「はじめに」に以下の注記を追加し、その旨明記します。
 「3) JPDRの解体によって発生した廃棄物の一部にも同様の放射性核種濃度を持つものがあり、現在、日本原子力研究所内に保管されている。

 

対象廃棄物の説明

対象廃棄物について他の放射性廃棄物との比較等を含め更に具体的な説明が必要。(130)

 放射性廃棄物の区分については、「参考資料4」において、主な放射性廃棄物の種類と特徴について記述すると共に、「参考資料6」及び「参考資料7」において、対象廃棄物を他の廃棄物と比較して図示するなど、できるだけ理解しやすい説明を心がけましたが、さらに、ご指摘の点を踏まえ、「参考資料5」として放射性廃棄物の種類毎の発生状況などを説明する資料を追加します。

廃棄物発生量の低減

廃棄物発生量の低減(再利用などを含む)が必要

ドラム缶埋設が一杯になった時のための、処理の研究が必要。(2)
廃棄物増加に対処するため、可燃物は焼却し、金属は再利用するなど研究すべきである。(3)
廃棄物は海に捨てても陸上に捨てても生態系に良くない。リサイクルすべきである。(7)
放出される廃棄物の量をゼロにすべきである。(10)
対象廃棄物を物理・化学的に処理し、更に効率的な処分はできないか。(15)
廃棄物が多量になれば処分する土地の問題で行き詰まる。消滅はできないか。(16)
放射能のゼロ化と廃棄物を何かに使う方法を研究すべきである。(20)
発生源対策が基本なので、発生量削減、再利用等の検討が必要。(32)
廃棄物の放射性核種の濃度を低減し、管理期間短縮と処分量低減を図るべきである。(34)
廃棄物をレントゲン撮影や放射性治療などの医療に利用できないか。(36)
大量の廃棄物埋設で、何処を掘ってもドラム缶とセメント系充填材だけになるのでは。(39)
2030年時点で約2万トンなど、対象廃棄物の物量が多いのに驚いた。(42)
リサイクルしたり、最初からリサイクルできるものだけ使う努力も必要。(55)
廃棄物の発生量の増大を考えると、早急に処分場を確保しなければならない。(58)
廃棄物を少なくするには、廃棄物をリサイクルすべきである。(77)
原子力使用量の世界的な増大を考え、廃棄物量は少しでも減少できないか。(78)
地下が廃棄物の山にならないよう、廃棄物発生を大幅に減らす技術開発を期待。(109)
発生量を極力減らし、発生したものはリサイクルして外に出さないことが重要。(116)
処分の前に危険性を減少させる研究を全力ですべきである。(153)
対象廃棄物の量の多さには、大変驚いた。(157)
廃棄物の処分方法だけでなく、無害化、再利用、減量化の方法を研究すべきである。(157)
300年も経なくても放射能を消し去れるのでは。(169)
化学物質同様、放射性廃棄物も生物に影響しない位まで細分化できないか。(170)
国内で年々生じる放射性廃棄物の貯蔵能力が心配。(171)
処分でなく、人工衛星の燃料など、無害化等してリサイクルを検討すべきである。(180)

 ご指摘のように、廃棄物の発生を抑制したり、再利用を行うことなどによって、処分すべき廃棄物の量を低減することは、環境負荷低減などの観点から重要です。 このような点を踏まえ、「第1章3.対象廃棄物処分の基本的考え方」の最後に、以下の記述を追加します。
なお、廃棄物対策に当たっては、環境負荷の低減の観点から、処分される廃棄物の量を低減することも重要である。近年、実用発電用原子炉施設において、原子炉冷却水の浄化システムや原子炉内の出力分布を制御する方法を改善することなどにより、対象廃棄物として発生する使用済みのイオン交換樹脂やバーナブルポイズンの量は低減されてきている。このような実績も踏まえ、今後も、対象廃棄物の発生量の低減を図ることが重要である。

 

海外の状況

海外事例をもっと示すべきである

処分深度についてスウェーデン、フィンランドを例に挙げているが、他の原子力発電施設を多く所有する国も取り上げるべきである。(5)
処分方法の考え方、管理方法などについても海外事例を引用すべきである。(93)
諸外国の対応方法はどうなっているのか、もっと突っ込んだ検討が必要。(115)
海外の廃棄物の処理状況が知りたい。(153)

 報告書案の本文「第1章4.処分施設概念」では、海外における対象廃棄物も含む放射性廃棄物の処分施設の例として、処分深度が報告書案で示した地下数十メートル程度で、現在操業中のものとして、スウェーデン及びフィンランドの施設を示していますが、ご指摘を踏まえ、他の諸外国の処分事例を含めて以下のとおり修正すると共に、「参考資料 12」として、諸外国の事例をまとめたものを追加します。
 「海外においては、対象廃棄物相当の廃棄物が実際に処分されている事例は多くないが、このような廃棄物を含む放射性廃棄物の処分施設についても検討が進められており、操業されているものもある。(参考資料12) それらは、アメリカのように地下約10m程度に素掘り処分を実施した例、スイスのように山腹からトンネルを掘り処分するもの、ドイツ、イギリスのように地下約数百m~1000m程度のトンネルにTRU核種を含む放射性廃棄物などとともに処分するものなど、様々な形態をとっている。スウェーデンのSFRとフィンランドのVLJは、いずれも主に原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物処分を主たる目的として処分する施設であり、60~100m程度の深度である。スウェーデンではサイロ型(円形立坑)とトンネル型、フィンランドではサイロ型が採用されている(いずれも現在操業中)。(参考資料13)

 

処分施設概念

発熱に対する対策

発熱に対する特別な対策は、本当に必要ないのか。(106)

 対象廃棄物の発熱については、本文「第1章4.処分施設概念」に記述しているように、対象廃棄物の放射性核種濃度を勘案すると、処分施設に、廃棄物の発熱に対する特別な対策は必要ないものと考えられます。なお、発熱による影響は、具体的な施設設計などの段階で考慮されるものですが、その旨を明確にするため以下のように修正しました。
 「処分施設に、廃棄物のなお、廃棄物の発熱が処分施設に与える影響については、今後、具体的な施設設計などが行われる際に考慮されることとなるが、対象廃棄物の放射性核種濃度を勘案すると、発熱に対する特別な対策は必要ないものと考えられる。」

 

異常時、事故時の対策

地震や自然災害などへの対策が必要

日本は地盤が弱いので、施工時に周辺地盤変動、自然環境などの調査が必要。(17)
阪神大震災級の地震では廃棄物を固めたコンクリートは破れる危険性がある。(28)
大容積のピットは耐震性が不安なので、小ブロック化して破損を防ぐ案を提案。(35)
地震発生を含む被ばく事故の予防的対策と万全な監視方法を明確にすべきである。(43)
地震等による施設貯蔵の破壊、漏出に対する対策は本当に充分か。(48)
管理期間中の異常事象とその具体的な対処方法を示して欲しい。(52)
我が国は不安定なプレート上にあり、軟弱地盤が多く、適地の選択が困難。(66)
地震や火山噴火などの大規模自然災害で施設が破壊される事態の対策はあるか。(69)
何世代にも影響するので、生態系や自然災害を考慮して安全第一に処理すべきである。(77)
我が国の地質は断層が多く、長期間安定した良質地盤を選定可能か懸念される。(104)
日本国内に、管理に適した環境(地層)が本当にあるのか。(115)
地殻変動や地震などで処分施設が破壊された場合の対応について記述が必要。(117)
天変地異を想定したシミュレーションを行い、人体への影響と防止策を考えておくべきである。(118)
日本は火山国、地震多発国なので、過去の記録や土質等を十分に調査すべきである。(137)
世界各国の核戦力拡大の流れで、日本の地下層崩壊現象は想像を超える事態を迎えるのではないか。将来の見通しが甘すぎる。(156)
戦争等人的又は地震等の自然要因に対しての安全対策を具体的に報告すべきである。(158)
地震の際の安全対策についても検討しておく必要がある。(160)
事故による予想外のもれがあった場合の対応も重要。(174)

 報告書案では、対象廃棄物の安全かつ合理的と考えられる処分方策について、基本的な考え方を検討していますが、特に、対象廃棄物の処分の安全性を考える上で重要である、「様々な人間の活動によって、処分された廃棄物に人間が直接接触する事象」と、「処分された廃棄物に含まれる放射性核種が地下水によって生活環境まで移行する事象」を中心に検討を行っています。
 これ以外にも、処分の安全性に関して考慮すべき事象としては、地震などの自然災害の影響なども考えられ、既に、現行の低レベル放射性廃棄物処分においても考慮されています。対象廃棄物について、このような点も当然考慮することになることを明確にするため、「第1章7.その他の安全対策」の項を設け、以下のような記述を追加します。
「7.その他の安全対策
 本報告書においては、対象廃棄物の特徴を踏まえ、処分の安全確保を図る上で特に重要と考えられる事項として、管理期間中の管理のあり方と、管理期間経過後の、人間活動と放射性核種の地下水移行に対する安全確保について検討を行った。
 現行の低レベル放射性廃棄物処分の安全審査の考え方を示した「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」(昭和63年原子力安全委員会)には、処分場の基本的立地条件として、その敷地及び周辺において大きな事故の誘因となる事象が起こらず、万一事故が発生した場合において影響を拡大する事象が少ない場所を選ぶために、地震、津波、地すべり、陥没、台風、高潮、洪水、異常寒波、豪雪などの自然現象などや、社会環境を考慮することを求めている。また、地震や、それ以外の自然現象、火災・爆発、電源喪失に対して設計上の考慮などの安全対策を講じることを求めている。
 対象廃棄物の処分についても、現行の低レベル放射性廃棄物の処分とは処分深度などが異なることを踏まえつつ、このような事項に対する安全対策を行うことが必要であると考えられる。

 

管理期間中の管理

管理期間などがあいまいである

「所要の期間」等が具体的に何を指すか不明。(27)

 報告書案は、対象廃棄物の安全かつ合理的と考えられる処分方策について、基本的な考え方を検討しているものです。
 今後は、本文「第2章3.安全確保に係わる関係法令の整備」に記述しているように、原子力安全委員会においてこのような処分に対して適用される安全規制の基本的な考え方、処分できる放射性廃棄物の濃度上限値などについて検討し、これらを踏まえて関係法令の整備を行う必要があり、また、処分事業の実施にあたっては、処分場固有の立地条件などを勘案した厳格な審査が行われると共に、それ以降も処分施設の確認などが継続的に行われるなど、安全確保のため一貫した規制が行われることとなります。
 したがって、対象廃棄物の処分に係る管理期間などの具体的な内容については、今後、このような個別の審査などの過程で検討されることになりますが、ご指摘を踏まえ、「所要の期間」については、脚注に以下のとおり解説を追加することとします。
 「1) 監視が必要な期間は、処分施設の設計や処分場の地質、地下水の条件などによって異なる。具体的な期間の長さは廃棄物埋設事業の許可の申請において個別に審査される。

 

長期管理の継続性

事業者の倒産や災害に際しても、絶対安全の管理を継続すべきである。(9)
管理が放棄された場合でも、安全確保できるようなシステムにすべきである。(14)
管理期間の数百年という年数は、歴史でしか考えたこともなくお手上げだ。(24)
事業者は法人で300年間存続するとは思えない。国が管理するのが最も合理的。(25)
民間企業や大学が数百年間も管理できるか疑問。組織作りと国の支援が必要。(34)
後に被害が発生した場合、業者が倒産した等で責任が不明確にならないか心配。(60)
数百年間の管理期間中、処分事業主体が管理を維持する保証はあるのか。(68)
300~400年の間に体制が変化したり地震で50~100m隆起した場合も管理可能か。(78)
国、事業者が300年間存続し、管理が継続される保証はあるのか。(91)
300年間の管理自体予想もつかず到底不可能に思える。長期管理の説明が必要。(115)
数年後ましてや数十年後の世の中の変化も予測できないので不安。(127)
長期管理への不安を払拭するため、その担保方法にも具体的に触れるべきである。(130)
時代が変わり関係者も交代する長期的計画を進めるには、制度の確立が前提。(138)

 対象廃棄物を埋設処分した場合の管理期間としては、本文「第1章3.対象廃棄物処分の基本的考え方」にあるように、放射性核種の濃度の減少を勘案すれば数百年間が必要であると考えられますが、具体的には、処分される放射性廃棄物の種類と濃度によって安全上支障のない濃度以下に減少するまでの期間が異なるため、これを考慮して処分場毎に適切に設定される必要があります。
 この管理期間に関しては、現行の低レベル放射性廃棄物を浅地中コンクリートピットに埋設処分する場合について、昭和63年原子力安全委員会「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」では「「有意な期間」内に終了し得る」こととされていますが、本文「第1章3.対象廃棄物処分の基本的考え方」脚注にあるように、その解説において、「「有意な期間」としては、300~400年を目安として用いる」とされています。
 一方、処分事業実施主体については、対象廃棄物の処分を安全に実施するとともに、長期にわたる処分場の管理を継続して行うことができるよう、必要かつ十分な技術的能力及び経理的基礎が確保されなければなりません。このことは、現行の低レベル放射性廃棄物処分においても同様であり、原子炉等規制法に基づく廃棄物埋設事業の許可にあたっては、この点についても国による厳格な審査が行われています。
 しかしながら、本文「第2章1.責任分担のあり方と実施体制」の記述においては、その点が必ずしも明確にされていないと考えられるので、ご指摘を踏まえ、以下のような記述に修正します。
 「経済的、技術的に十分な能力のある専門の事業者(以下「処分事業主体」という。)が廃棄物を集中的に処分する場合については、処分事業主体は、処分を安全に実施し長期にわたる処分場の管理を行うに十分な技術的、経済的能力が要求されることは当然であり、また、処分の安全確保に関する法律上の責任を負うことになるが、現在行われているように、廃棄物の発生者である原子炉設置者は、廃棄物の埋設処分と数百年にわたる処分場の管理が安全に行われるよう、処分事業主体に適切な支援を与えることなどにより、安全な処分に万全を期すことが必要である。」

 

人間活動に対する安全確保

処分深度の妥当性

コストより被ばく管理が大事。50mを除いて「100m程度の深度」に変えるべきである。(5)
処分深度は現状の地下利用を参考。将来の技術進歩、利用状況を推定すべきである。(5,94)
日本では地盤が弱いところが多い。150m~200mの方が地震にも強いと思う。(17,84)
人間と廃棄物の接触の可能性は十分小さいとあるが、ゼロではない。(42)
現在の都会を前提としているのは矛盾。候補地域をイメージすべきである。(45)
50~100mは非常に深い。実施されている浅い深度の処分との区別を説明すべきである。(49)
50~100mの地下施設は過大対策と思われるが目安線量の維持には止むを得ない。(66)
管理期間経過後、廃棄物と接触しても問題となる被ばくが起こらなくできるか。(83)
数百年先の生活様式が現在と同じであることが前提で、十分な深度か疑問。(89,170)
地下利用制限や人工バリア性能向上により浅地中処分施設も検討の余地がある。(50,104)
50~100mの深度は国の大深度地下利用計画と矛盾があり、さらに検討が必要。(134)
全ての廃棄物は、その濃度によらず深々度(100m以下)に埋設すべきである。(137)
「処分場跡地の一般的利用」とは何をイメージしてのことか。(156)
50~100m程度深いと被ばくの可能性は小さいとあるが、もっと詰めるべきである。(70,161)
地下100m程度に処分することにより被ばくの可能性がどこまで低下するのか。(163)

 人間の活動によって発生する被ばくについては、「まず住居の建設や居住のような一般的であると考えられる人間活動に対しては、それが処分場跡地で起こっても人間が廃棄物に接触することのないような処分深度を確保する。さらに、その他の事象についてもできるだけ起こることのない深度に処分することによって、人間が廃棄物に接触する可能性が十分小さく、かつ、万一人間が廃棄物に接触した場合でも安全上問題となるような被ばくが起きないようにする。」ことを基本的な考え方としました。
 これは、対象廃棄物に含まれるβγ核種の濃度が現行の政令濃度上限値を平均で1~2桁上回るため、現行の低レベル放射性廃棄物の処分よりも、人間が廃棄物と接触する可能性が十分小さくなる処分を考えたためです。
 「地下の天然資源の存在状況を考慮するとともに、支持層の上面よりも深く、基礎となる地盤の強度などを損なわないための離隔距離を確保した、例えば地表から50~100m程度の深さに処分することにより」一般的な地下利用や高層建築物などを考慮した地下利用によっても被ばくは生じず、現在の大都市におけるその他の地下利用を仮定してもその大部分を避けることができ、また、より深い地下(地下数十m)の利用が計画される場合には、「様々な調査が事前に行われ」、「処分に関する記録が管理期間経過後も期限を切らずに国において保存されることや、処分施設が適切な地質条件の地中を選んで設置されること、想定される処分施設の規模などを考慮すれば、これらの調査によって処分施設の存在が十分認知される」ものと考えています。
 また、これらによる被ばく線量は、「一般的であると考えられる地下利用によっては、被ばくは生じず」、ボーリングコアなどを通じての被ばくを仮定しても、「数十μSvのオーダーであり、このような行為によって安全上問題となるような被ばくが起きることはない」ものと考えています。
 報告書案のこのような流れをより理解しやすくするために、「第1章6.管理期間経過後の安全確保」の冒頭に、「第1章3.対象廃棄物処分の基本的考え方」で記述した人間活動によって発生する被ばくに対する対策の考え方を、以下のように再度記載します。
 「このような事象に対する安全を確保するためには、「3.対象廃棄物処分の基本的考え方」で述べたように、①の人間の活動によって発生する被ばくについては、まず住居の建設や居住などの一般的であると考えられる人間活動に対して、それが処分場跡地で起こっても人間が廃棄物に接触することのないような処分深度を確保する。さらに、その他の事象についてもできるだけ起こることのない深度に処分することによって、人間が廃棄物に接触する可能性が十分小さく、かつ、万一人間が廃棄物に接触した場合でも人間が廃棄物に直接接触することにより安全上問題となるような被ばくが起きないようにしておくことが必要である。②の放射性核種の地下水による生活環境への移行によって発生する被ばくについては、放射性核種の処分施設からの漏出と地中の移行が抑制されるよう、放射性核種の移行抑制機能の高い地中を選ぶなどの対応が必要である。」
 また、「第1章6.1.2.処分施設に達する地下利用の回避」の第1段落の最後に、まとめとして以下の記述を追加しました。
 「即ち、実際の処分場跡地の地下利用の可能性については、その立地場所によっても異なり、また、このような深度に達する地下利用が計画されるか否かについては処分を行う時点で明確に見とおすことは難しい面もあるが、仮にそのような地下利用が計画されたとしても、処分施設の存在は十分認知されるものと考えられる。

 

放射性核種の地下水による移行による被ばくの安全確保

処分施設からの放射性核種の漏出対策を検討すべきである

地下水に漏れたときには打つ手はないので、処分施設の条件を明確にすべきである。(13)
処分施設は現行のコンクリートピットより改善された施設とすべきである。(17,25)
地下水の汚染が後になって分かるようなことがないようにすべきである。(36)
地下水移行に対する安全対策が明確でなく安心できない。(45)
一度発生した放射能は土中で消えることなく地下水に流れ出す。(59)
天然バリアの特性に応じて合理的な人工バリアの選択も可能。(64)
300~400年の管理期間中に、固化体から放射性核種が漏出しないか。(83)
コンクリートピットは外部的要因や地震などにより絶対漏れない構造とする。(116)
放射性廃棄物は水に溶け出さないことを絶対条件にすべきである。(123)
処分施設は2重構造にし間に砂等を入れ、鉄筋の代わりに鉄道の線路を使う。(128)
放射性核種の地下水への移行が十分抑制されるよう万全を期すべきである。(133)
コンクリートの間に鉛の板を入れ、防水と放射線防護に用いる。(162)

 放射性廃棄物の処分においては、含まれる放射性核種の処分施設から生活環境への移行は、人工バリアと天然バリアの組み合わせによって防止又は抑制し、時間の経過に伴って人工バリアの機能が低下したとしても安全が確保される必要があります。即ち、人工バリアによって放射性核種が処分施設から漏出しない又は漏出が少なくなるようにするとともに、処分施設から漏出したとしても、一般公衆に対して安全上問題となるような被ばくが生じないように天然バリアが機能するように処分しなければなりません。この考え方は、従来の低レベル放射性廃棄物の処分と同じですが、その旨が記述されていなかったため、「第1章6.2 管理期間経過後の放射性核種の地下水移行に対する安全確保」に以下のように記述を追加しました。
 「放射性核種の処分施設から生活環境への移行は人工バリアと天然バリアの組み合わせによって防止又は抑制されるが、時間の経過によって人工バリアの機能が低下したとしても安全が確保されるようにしなければならない。
 なお、対象廃棄物については、「現行の低レベル放射性廃棄物と比べ、放射性核種の生活環境への移行をより一層抑制する対策をとる必要があるので、処分施設を、より放射性核種の移行抑制機能の高い地中に設置することを基本として考えることが適切である。」と考えています。

 

制度の整備

法令整備等に取り組むべきである

処分施設について、浸入する地下水量や湿度値の基準を明確にすべきである。(13)
制度整備を図るとともに、その決定過程を透明化することが重要。(23)
法令には、実効性のある強力な罰則規定を設けることが必要。(23)
現行の低レベル放射性廃棄物などにおける法令整備の現状を示すべきである。(96)
放射性核種濃度ではなく、放射性核種量による規制を行うべきである。(111)
徹底した安全対策を追求しつつ関係法令の早急な整備に取り組むべきである。(168)

 対象廃棄物の処分に係る技術基準などについては、この報告書を受けて、今後原子力安全委員会において具体的に検討されます。一方、現行の低レベル放射性廃棄物の処分については、既に安全規制に係る一連の手続きや基準などが整備されて来ているところです。このような現状を踏まえつつ、今後の制度整備の方向を示すため、現行の低レベル放射性廃棄物規制の内容をまとめて「参考資料 21」に載せるとともに、「第2章3.安全確保に係る関係法令の整備」においても以下のようにその概要を追加しました。
 「現行の低レベル放射性廃棄物については、既に原子力安全委員会において安全規制の基本的考え方、放射性核種濃度の上限値、安全審査の考え方などが取りまとめられ、これらを踏まえて、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」、同法施行令などに、廃棄物埋設事業の許可、保安規定の認可、埋設廃棄体の確認など一連の手続きが整備されるとともに、政令濃度上限値、技術基準などが定められ、安全規制が行われているところである。今後、このような処分概念に関して、対象廃棄物についても、その処分概念を踏まえて、上記と同様に安全規制に関する基本的考え方、政令濃度上限値などについて検討し、これらを踏まえ関係法令の整備を行う必要がある。(参考資料 21)」
 なお、廃棄物埋設事業の許可の際の安全審査において、処分施設に埋設される廃棄物に含まれる放射性核種の濃度だけでなくその量も評価されます。

 

情報公開

情報の積極的な公開と提供が必要

安全性を信じさせるよう、不祥事などの速やかな情報公開を望む。(1)
科学技術庁が扱う分野は秘密めいており、監視がとどかず分かり難く、問題。(7)
いいところだけ国民に伝えているようだ。情報を提供し安心と信頼を得るべきである。(8)
放射性廃棄物があることすら知らなかった。もっと多く広報して欲しい。(10)
処分場の立地に当たっては、地域住民の合意を得るのは当然。十分な説明、PRなど透明性を確保した取り組みが重要。(22,36,71)
放射性廃棄物の濃度を人間活動に安全な値まで減衰させることを周知すべきである。(44)
国民、地域住民へ説明し理解を得るのは当然。(48)
環境保全調査は、その過程で結果を縦覧し、公聴などの機会を与えるべきである。(54)
記録や処分の実施状況が分かりやすい形で遅滞なく公開されることを望む。(57, 135)
一度発生した放射能の処分がどれだけやっかいかを国民にPRすべきである。(59)
報告書案は内容が難しいので、アニメや討論会など年齢層に応じた工夫が必要。(76)
軽微な事故でも地震速報のように国民に知らせる事が必要。(76)
情報公開は、原子力の乱用、無駄遣い防止の観点からも必要。(77)
微量でも事故で放射能が漏れれば、周辺地域に警報が早く伝わるようにすべきである。(79)
事故がなくても生産活動で放射性廃棄物が発生することを国民に啓蒙すべきである。(81)
放射性廃棄物の処理は、きちっとしたデータを国民に示し透明に行うべきである。(123)
公開可能な情報は、積極的に分かりやすい内容で、遅滞なく公開すべきである。(127)
これまで参考にした意見、現在受け入れている土地の方の意見も知りたい。(131)
安全であることを知らせ、現地に案内し、幾度も意見交換すべきである。(131)
立地に際して理解が得られるよう的確で分かりやすい情報を提供すべきである。(133)
分かりやすく透明性のある内容で必要性を訴え続けることが欠かせない。(138)
一般に原子力への関心は事故だけで、このような話には興味がないのが実状。(141)
地域住民の不安を除くためにも十分な影響評価、設備設計、説明を行うべきである。(147)
確かな情報チャンネルがあれば国民の原子力に対するイメージは変わる。(149)
行政の対応の拙さから報道の一方通行により、不信感が陰を落としている。(149)
原子力発電を国民に理解してもらうことで処分場建設の理解が得られる。(151)
エネルギーを利用している我々全てが知識や理解を深めることも大切。(152)
報告書を読んで改めて危険なものを処理しようとしていることが分かった。(155)
徹底的に嘘偽りのない情報公開をしていくことがまず第一に重要。(157)
処分施設には国民の理解が必要。政府広報を通じ廃棄物の処分を伝えるべきである。(159)
国民全体の理解を得るのは容易でないが、どのように情報提供するかが課題。(164)
過去の原子炉の事故後の対応や情報公開に対する不信感が根強く残っている。(165)
これまでの事故例を踏まえてさらに徹底した対応や情報開示の検討が必要。(168)
廃棄物処分についてマスコミから断片的情報しか得ていなかった。(175)
生活していくために廃棄物などが出ることを理解するためにも公表が必要。(178)

 放射性廃棄物処分事業の実施にあたっては、情報公開と情報提供が不可欠であると認識しており、「おわりに」の中に記述していました。
 今回の意見募集で、情報公開と情報提供について数多くの意見が寄せられたことを踏まえ、この問題の重要性に鑑みて、改めて第2章5.に「積極的な情報公開、情報提供」の項目を設け記述しました。また、多様な情報公開への意見が寄せられたことなどを踏まえ、「求められている情報が何であるかに十分留意し、受け手にとって必要で分かりやすい情報が伝わるよう、誠実な対応に心がける必要がある。また、情報提供が的確に行われるよう、情報伝達の手段や体制などについても改善を図っていくことが重要である。」という記述を追加しました。

 

放射性廃棄物の現状を公開すべきである

放射性廃棄物の処理の現状について、処理方法、場所、深度を公開すべきである。(81)
現状の当該廃棄物の保管量、保管状況を明記すべきである。(86)

 原子炉施設の運転と解体に伴って発生する廃棄物処理処分について、参考資料1-1、1-2に紹介していますが、この廃棄物も含めた我が国における放射性廃棄物の発生状況をまとめたものを、「参考資料 5」に追加しました。また、対象廃棄物の現在までの累積発生量を「このような廃棄物は、全国の原子炉施設でこれまでに約8千トン発生し、原子炉施設内に保管されている。」と「第1章2.対象廃棄物の特徴」に記述しました。
 なお、放射性廃棄物の処分場所、深度などは、廃棄物埋設事業許可申請書に記載され公開されており、対象廃棄物についても、今後、同様に公開されることになります。

RI廃棄物

RI・研究所等廃棄物と他の廃棄物の発生者間の連携

RI・研究所等廃棄物と他の廃棄物の発生者間の連携に言及することが必要。(73)

 報告書案においては、対象廃棄物を含む処分の実施体制などについては、RI・研究所等廃棄物事業推進準備会との連携の必要性について「第2章1.責任分担のあり方と実施体制」において言及していますが、「第3章 RI廃棄物について」の項にも以下の下線部のように同様な記述を加筆しました。
 「なお、このようなRI廃棄物の処分費用の確保や実施体制などについても、RI・研究所等廃棄物事業推進準備会を中心に、検討を行う必要がある。あり、前述したとおり確実に処分が実施されるよう、関係機関との十分な連携が必要である。

 

報告書案全体に関するご意見

人材の育成、モラルの向上

事故防止には立派な法令よりも施設に勤務する職員の責任感やモラルが重要。(46)
原子力従事者や放射性物質使用者になる者は、テスト等で勉強させるべきである。(47)
人的ミスを報告する勇気を徹底しミスを隠した場合の罰則を盛り込むことが効果的。(60)
処分事業の末端作業者への教育体制はどうなっているか。(83)
処分に当たり、絶対安全と環境保全のため管理、運用にあたる人材育成が必要。(133)
最も重要なのは管理者、管理体制であり、安全に対するモラルの堅持が重要。(134)
通常の管理、監視体制、補修対策、多面的危機管理体制に十分な人材が必要。(137)
廃棄物処理に係わる人は、常に危機意識を持ち人間性豊かな人であるべきである。(153)
積極的な海外留学交流を行い、優秀な科学者を育てるべきである。(169)
自然を害しない放射性廃棄物の扱いが必要。正しく扱い報告することが大切。(179)

 ご指摘のように、放射性廃棄物処分を始め、原子力に係わる者の意識、モラルの問題などは重要であると考えています。また、これらのご意見のほかにも、原子力に対する不安や不信の声も寄せられています。そこで、「はじめに」に以下の文章を追記しました。
 「寄せられた意見には、ここで検討の対象とした廃棄物処分に関してのみならず、原子力全体に対する不安、不信、原子力に係わる者の意識、モラルの問題などを指摘するものも多数見られた。原子力関係者は、このような声を真摯に受け止め、原子力に対する国民の信頼を獲得する努力を重ねていく必要があると考える。

 

報告書案の分かりやすさ

報告書案は非常に専門的で理解に苦しむ。(84,129,161)
対象廃棄物が高レベル放射性廃棄物と混同されないよう配慮が必要。(49)
処分施設のイラストに寸法を入れるなど分かりやすくすべきである。(83)
資料1の処分のイメージ、資料4施設の例などは分かりやすかった。(84)
「土壌」という言葉はイメージからも専門的な意味でも不適切。(92)
「はじめに」にごく低レベル放射性廃棄物の説明がなく、分かりにくい。(98)
第1章5.(2)⑤の「事業者」について説明すべきである。(101)
今、何を国民に問いかけているのか、分かりやすい報告書にすべきである。(132)
参考資料、図、語句の説明などで理解できた。(178)

 報告書案については、特に技術的検討結果については「まとめ」を設けることなど、できるだけ理解しやすい記述・構成を心がけましたが、さらに全体を通して御指摘の点を踏まえ、上記のような修正を加えるとともに、用語解説の追加などを行いました。

 

Ⅱ.論点については既に記述があるなどにより、報告書案の記述で良いと考えられるご意見

 

対処廃棄物の特徴

廃棄物量の試算

廃棄物の量は、半減期並に数百年単位で試算すべきである。(123)

 対象廃棄物の発生量については、原子炉施設の廃止時期などによっても異なりますが、処分方策を検討する上で現実的な発生量の目安とするため、一定の仮定のもとに2030年時点の物量を推定しました。
 なお、参考のため、原子力発電所1基あたりの解体廃棄物の発生量試算例について、「参考資料 8-5」に示しています。

 

対象廃棄物の物量について

対象廃棄物が現行低レベル放射性廃棄物よりずっと少ないことを明記すべきである。(49)

 ご指摘のように、対象廃棄物の発生量は現行の低レベル放射性廃棄物に比べれば少なく、例えば、「参考資料 8-5」では実用発電用原子炉1基あたりの解体廃棄物量の試算例を示していますが、軽水炉(BWR、PWR)においては低レベル放射性廃棄物のうち、対象廃棄物は数%以下となっています。
 しかしながら、本文「第1章1.放射性廃棄物処分の基本的考え方」に記述しているように、放射性廃棄物の処分にあたっては、廃棄物の性状、特に廃棄物に含まれる放射性核種の種類及び濃度などを踏まえ、適切に処分方策を検討する必要があります。
 報告書案においては、このような対象廃棄物の特徴を踏まえた上で、その安全かつ合理的と考えられる処分方策について、基本的な考え方を取りまとめているものであり、その発生量について、他の廃棄物との比較は行いませんでした。

 

FBRなどの異なる炉型への対応を明記すべきである

高速増殖炉等の異なる炉型にも、この基本的考え方が同様に適用されることを明記すべきである。(124)

 報告書案では、「はじめに」などにあるように、原子炉施設としては現在運転中の実用発電用原子炉及び試験研究用原子炉などを対象として、その特徴を踏まえ、対象廃棄物の処分方策の検討を行いましたが、炉型が異なっても、「第1章2.対象廃棄物の特徴」に記載されているような特徴を持つ廃棄物であれば、その処分にあたっては本報告書案の基本的考え方を同様に適用することができると考えられます。
 いずれにしても、放射性廃棄物はその特徴、特に、含まれる放射性核種の種類や濃度に応じ、適切に処分を行う必要がありますので、高速増殖炉などの新しい炉型に関しては、今後、原子炉施設の運転や廃止措置に伴って発生する廃棄物に含まれる放射性核種の種類や濃度などを十分把握し、その特徴を踏まえて安全かつ合理的に処分を行う必要があります。

 

対象廃棄物の種類と特徴

対象廃棄物の種類と特徴をしっかり把握しなければならない。(38)

 ご指摘のとおり、対象廃棄物の処分にあたっては含まれる放射性核種の種類や濃度などの特徴を把握することが重要と考えており、本文「第1章1.放射性廃棄物処分の基本的考え方」においては「廃棄物の生活環境からの隔離方法及び期間は、廃棄物の性状、特にそれに含まれる放射性核種の種類及び濃度を考慮して設定する必要がある」としており、「参考資料4」においても処分方法を検討するうえで考慮すべき主な項目について記述しています。

 

具体的な放射性核種濃度

参考資料6には具体的な放射性核種濃度が記載されていないので、とっても危ないものという印象。(106)

 参考資料6は、放射性廃棄物に含まれるα核種、βγ核種の濃度により大まかな区分けをしたものです。ご指摘のような対象廃棄物の放射性核種濃度については、参考資料9に具体的に示されているほか、参考資料7においては高レベル放射性廃棄物や現行の政令濃度上限値相当の低レベル放射性廃棄物と比較した放射性核種濃度の経時変化を図示しています。

 

電力試算値をそのまま使う姿勢は問題

原子力委員会として、電気事業者等の試算値をそのまま使用する姿勢は問題。(106)

 対象廃棄物の処分方策の検討に当たっては、対象廃棄物の放射性核種濃度などのデータについては、原子炉施設の保有者で直接の廃棄物発生者であり、データを所有している電気事業者などから提出されたものも使用しています。
 しかしながら、処分の実施にあたっては、本文「第2章1.責任分担のあり方と実施体制」にあるように、「国は、対象廃棄物の処分に係る安全基準・指針の整備などを図り、これに基づく厳格な規制を行うと共に、原子炉設置者や処分事業主体において、対象廃棄物の管理や処分が適切に行われるよう、関係法令に基づくこれらの事業者への指導監督などの必要な措置を講じること」としています。このような安全規制の一環として、既に現行の低レベル放射性廃棄物の埋設処分にあたって実施しているように、関係法令に基づき、国として、埋設する廃棄物の放射性核種濃度の確認などを行うことになります。

 

廃棄体について

廃棄体に対する考え方(固形化、処分容器等)も記載すべきである。(105)

 報告書案では、対象廃棄物の物量の試算において、本文「第1章2.対象廃棄物の特徴」に記述されているように、「「核燃料物質等の埋設に関する措置等に係る技術的細目を定める告示」第4条に定められている放射性廃棄物を処分容器に固型化する方法を参考に、この廃棄物を固型化した場合」を想定しています。
 廃棄体の具体的な固型化方法などについては、今後、対象廃棄物の処分に係る安全基準・指針などが検討される際に明らかにされていくものと考えています。

 

対象廃棄物処分の基本的考え方

報告書案の処分方法に関する賛否や疑問など

廃棄物処分について多角的に検討し、十分な安全の確保ができている案である。(5)
埋設場所の確保、処分の深さの検討など課題が多い。(6)
廃棄物の処分には細心の管理体制で臨まねばならず、本報告書はこの点について細かく検討がなされている。(18)
処分方法は人間生活に影響しないとの基本方針で対応しているので問題ない。(34)
報告書は処分事業に対するよき指針であり、正確な方向づけ。(38)
処分施設は、最終的に一般の使用に戻すという考え方は我々を安心させる。(45)
報告書のとおり、手抜きをせず、計画をきちっと実行して欲しい。(57)
細かい点まで規定されており、この通り行われれば問題ない。(60)
報告書案の処分方法であれば、放射能被害はほとんどゼロに近づくだろう。(61)
報告書案には必要事項が十分盛り込まれており、基本的考え方に異存はない。(109)
本案の処分方法には賛成だが、動燃のドラム缶腐食の印象が強く安全面が不安。(114)
基本的な考え方は廃棄物の特徴に基づいて定められており、適切。(124)
基本的な考え方がよくまとめられている。(126)
報告書のように地下埋設等によって安全確実な管理体制を講ずべきである。(127)
案の通りに実行されれば結構だが。(157)
廃棄物処分の基本的考え方を読んで、完璧なほどの処理のやり方に感心したが、紙面上の検討だけでなく、実験を繰り返してから、埋設に取り組むべきである。(159)
報告書案の内容に、日々安全確保を基準とした取り組み姿勢がうかがわれる。(171)
基本的な考え方の方向は理解するが、実現には依然として大変な問題を伴う。(177)

地中処分の安全性に関する賛否や疑問など

隔離したり地下深く埋めて、監視や湧水の採取や測定だけで安全が守れるのか。(8)
海洋投棄や宇宙処分等を考えれば、本案は現実的で現段階で最も安全な提案。(82)
放射性核種の移行抑制機能の高い地中への処分と、現行の低レベル放射性廃棄物処分 と同等以上の施設とすることについては、現在考えられる最良の方法。(134)
バケツ(地中)にゴミ(廃棄物)を入れて蓋をしただけで何の解決にもならない。(136)
放射性廃棄物という身体に悪いものを土に埋めたりしても本当に大丈夫か。(178)

安全性に関する具体的な疑問や提案など

行政に住民代表を加えた管理・監視機構により、放射性物質漏出を監視しては。(2)
処分施設規模が小さいことを、ボーリング確率等、安全評価で考慮できないか。(11)
例えば5年毎に民間検査会社に入札で委託する等、緊張感が継続する管理が必要。(13)
処分の実施状況、処分場の点検などを管理して欲しい。(17)
処分場は満杯後30年程監視し、漏れを300年後に外挿して問題なければ埋め戻す。(25)
試算や仮定、数百年などの要素から算出した「許容量」は本当に安全なのか。(33)
定期的な健康診断、海生魚の生態系変化の定期的な調査結果の公表を望む。(36)
十分な安全対策を行い、それなりの処理処分をしてもらいたい。(37)
濃度上限値は安全を保証しない。机上の議論でなく現地で問題点を確認すべきである。(38)
人災を減らすため、ソフト面を完備した管理マニュアル作成などの明示が必要。(41)
地下水の水質検査、地域住民の健康診断等、管理期間後の安全対策検討が必要。(48)
処分施設での作業従事者の安全確保を行うべきである。(48)
環境保全調査は自然環境他全ての分野に対して、総合的多角的に取り組むべきである。(54)
放射性核種の漏洩を確認しても、施設修復に時間を要し環境へ影響するのでは。(69)
作業性の悪い地下に埋設する際の被ばくなどの安全対策が充分か検討が必要。(75)
埋設装置にトラブル等が生じた場合、補修作業等で多大な被ばくが生じないか。(75)
地下水への漏れが心配なので、巡視、点検、湧水の採取・測定は必ず行うこと。(82)
観測井戸の存在は管理期間後の地下水流動、核種移行で問題視される可能性もある。(92)
地上で漏れを完全に検知し、地域社会にもリアルタイムに通報するシステム構築が重要。(116)
放射性核種の漏出防止、特に地下水の動向監視が重要。(137)
地下水による放射性核種の漏出・移行の監視策について詳細資料の追加を希望。(156)
大丈夫と思っても事故は起こるので、実験を繰り返し確認して取り組むべきである。(159)
河川水利用について絶対安全と確信できるよう、管理期間中の定期検査が必要。(164)
資材等の腐食で廃棄物が土壌に漏出し、生活環境に影響することが不安。(171)

 報告書案は、対象廃棄物の安全かつ合理的と考えられる処分方策について、基本的な考え方を検討しているものです。
 当専門部会としては、報告書案で示した処分方法により対象廃棄物を安全かつ合理的に処分できると考えていますが、本文「第2章3.安全確保に係わる関係法令の整備」に記述しているように、今後、原子力安全委員会においてこのような処分に対して適用される安全規制の基本的な考え方、処分できる放射性廃棄物の濃度上限値などについて検討し、これらを踏まえて具体的な技術基準など関係法令の整備が行われることになります。
 また、廃棄物埋設事業の実施にあたっては、処分場固有の立地条件などを勘案した厳格な審査が行われると共に、それ以降も処分施設の確認などが継続的に行われるなど、安全確保のため一貫した規制が行われることとなります。
 なお、参考として、廃棄物埋設事業に関する現在の規制体系と今後の制度整備の流れを説明する資料「参考資料21」を追加しています。

 

漏洩時の対応について

放射性廃棄物が漏出した場合の処置対策はどのような手段を考えているか。(83)
事故による予想外のもれがあった場合の対応も重要。(174)

 放射性廃棄物の処分にあたっては、廃棄物に含まれる放射性核種が生活環境に対して及ぼす影響を未然に防止することが必要です。
 このような観点から、例えば、対象廃棄物を処分する地下空洞の埋め戻しが終わるまでは、放射性核種が処分施設から外に漏出しないことを監視する必要があり、本文「第1章5.(2) ②廃棄物の定置作業中の処分空洞を対象とした管理」においても、この段階においては「放射性核種を人工バリアによってこれより外へ漏出させないこととなるので、この人工バリアの健全性を確認する」旨記載されています。また、処分空洞が埋め戻された後の期間についても、「この期間中に、万一、放射性核種の漏出が認められた場合には、その補修など所要の措置を講じる」などとしています。

 

埋設処分以外の方法を検討すべきである

廃棄物の半減期をゼロに近づける方法、地球外へ放出する方法を研究すべきである。(20)
放射性廃棄物処分は、自然を介さず、すべて人工的に行うべきである。(21)
廃棄物は地球の外、宇宙空間へ処分するのが最も望ましい。(28)
埋設処分が最善なのか。他の海底や宇宙などがなぜ選ばれなかったのか。(33)
数十年後、百年後には捨てる所がなくなり、数千メートルの深海投棄が必要。(61)

地上保管を検討すべきである

世界一厳しい安全レベルの方法が確立するまで地上管理する移行的な案が良い。(21)
2030年時点で2万m3程度の量であれば、将来世代に負担を残さないとの観点からは、埋設処分よりもむしろ地上管理の方が良い。(119)
地上で管理して異常時の対策がとれるようにすべきである。(155)

地下処分で良い

ガスタンク状の球形コンクリート処分施設を地下数メートルに多数まとめて建設するのが良い。(28)
コンパクトなカプセル型発電所にして、使用後はカプセルごと地下深く埋設。処分を前提として発電方法を研究すべきである。(62)
現在の発電方法では廃棄物は地下深く埋めるしかない。 (62)
宇宙処分と比べれば、人類が始めたのだから、責任上、処分は地下しかない。(84)

 対象廃棄物については、原子炉施設の運転に伴って発生し、現在既に発電所の施設内に保管されているものもあること、原子炉施設の廃止措置が具体化していくので今後発生が見込まれることを踏まえれば、本文「はじめに」に記述しているように、その処分についての対応を急ぐ必要があり、早急に処分方策を確立し、諸制度の整備を図り、最終処分に向け具体的に取り組むことが必要です。
 このような状況を踏まえ、報告書案においては、対象廃棄物の特徴を明らかにし、既に実施されている低レベル放射性廃棄物処分の考え方を参考に、安全で合理的と考えられる処分方策について検討したものです。
なお、地表において廃棄物を長期にわたって管理するという考え方もありますが、これについては将来の世代にまで廃棄物を監視し続ける義務を課すことにもなり、また、宇宙空間への処分については事故が起きた場合のリスクが大きくなるなど、他の方法では問題が多く、対象廃棄物の処分方法としては、現時点では報告書案において示したように埋設処分が妥当なものであると考えます。

 

安全評価の試算モデルは現実離れしている

ドラム缶100万本という安全評価モデルの廃棄物量設定は、同10万本の発生量推定とかけ離れすぎている。(11)

 対象廃棄物の発生量については、原子炉施設の廃止時期などによっても異なりますが、処分方策を検討する上での現実的な発生量の目安とするため、一定の仮定のもとで2030年時点の廃棄物量を推定したものです。
 一方、参考資料19の試算モデルは、現行の低レベル放射性廃棄物処分と同じ条件で計算した結果と比較するため、200㍑ドラム缶を100万本埋設した場合を想定しています。

 

リスクと経済性を考慮した処分

コストも考慮し、実質的な危険度が削減されるよう柔軟性をもった規制を望む。(12)
リスクと経済性を考慮した合理的な処分を行い、産業廃棄物処分の考え方とも整合をとり、必要以上に過剰な施設や管理にならない配慮が必要。(65)

 報告書案では、「はじめに」において「原子力バックエンド対策専門部会は、対象廃棄物の特徴を明らかにし、既に実施されている低レベル放射性廃棄物処分の考え方を参考に、安全で合理的と考えられる処分方策について検討を行った。」と記述しており、ご指摘のように、安全であるとともに合理的な処分が必要であると考えています。

 

柔軟な対応が必要

技術の進展を考慮し、処分の方法を50年単位で見直すべきである。(15)
将来の考え方の変化に柔軟に対応できる余地を残すことが望ましい。(66)
将来再利用の技術が開発された時のため、いつでも取り出せる体制にすべきである。(157)

 ご指摘のように、今後、技術に飛躍的進歩のあった場合や社会的な情勢が大きく変化した場合には、他の方法について改めて検討することを排除するものではなく、柔軟な対応が必要であると考えています。
 一方、対象廃棄物の中には、原子炉施設の運転に伴って発生し、現在既に発電所の施設内に保管されているものもあることを踏まえれば、本文「はじめに」に記述しているように、その処分についての対応を急ぐ必要があり、早急に処分方策を確立し、諸制度の整備を図り、最終処分に向け具体的に取り組むことが必要です。
 このような状況を踏まえ、報告書案においては、対象廃棄物の特徴を明らかにし、既に実施されている低レベル放射性廃棄物処分の考え方を参考に、安全で合理的と考えられる処分方策について検討したものです。

 

将来世代への負担に関する考え方

管理期間を300年も設けるということは、十分将来世代に負担を残している。(91)
跡地の利用に制約があったとしても小範囲で重大な負担ではないのではないか。(122)
将来世代への負担とはいかような負担なのか。考え方の実像が読みとれない。(156)

 廃棄物の処分については、「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(平成10年5月29日、原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会)」にも示されているように、「後世代に影響を及ぼす可能性のある廃棄物の処分について、後世代に負担を残さないことがわれわれの責務である」と考えます。
「後世代に負担を残さない」ことの内容としては、関係法令の整備や処分費用の確保など、さまざまな事項が含まれていると考えられますが、ここでは、対象廃棄物の処分方策を検討するにあたって、「処分場跡地については一般的であると考えられる利用が制約されないようにすること」もその一つであると考え、報告書案において明示しました。

 

管理期間中の管理

管理期間は具体的に何年か

被ばく評価で10μSv/yを超えない管理期間は何年か具体的に示すことが必要。(108)

 報告書案では、一般的と考えられる事象に対して「目安線量」である10μSv/yを超えないようにすることを基本として処分概念の検討を行いました。具体的な管理期間の長さは、処分場の設計や処分場の地質、地下水の条件などによって異なり、廃棄物埋設事業の許可の申請において個別に審査されますが、参考資料20に示した条件に基づき一般公衆の被ばく線量を試算した結果では、一般的であると考えられる事象について、当初より一般公衆の被ばく線量が10μSv/yを超えることはありませんでした。すなわち、処分場の埋め戻し直後に、処分場敷地内で住居建設を行ったり、居住した場合を仮定しても、廃棄物と人間との接触が起きないので、被ばくは生じません。また、放射性核種の地下水による移行に伴う被ばく線量も、処分施設の埋め戻し直後から10μSv/yを超えることはありませんでした。

 

管理終了時点の安全確認について

管理終了時点で安全確認等の適切な判断が行われることを明確に記載すべきである。(121)

 ご指摘の点については、本文「第1章5.管理期間中の管理のあり方」において、「以上のように、対象廃棄物に含まれる放射性核種濃度の減少を考慮した数百年間の管理を行ったうえで、この間に蓄積された地下水の流動状況、放射性核種の移行状況などの処分場に関するデータに基づき、被ばく管理の観点からは処分場を管理することを必要としないことを国によって確認した後、管理が終了されることとなる。」と記述しています。

 

人間活動に対する安全確保

処分場跡地における人間活動

日本も処分場跡地に居住するほど小さな面積ではない。(47)

 実際の処分場跡地の地下利用可能性については、その立地場所によっても異なりますが、長期間経過後の将来においては、処分場跡地の利用について不確実性があるため、報告書案においては現在最も高度な地下利用が行われている大都市の現状を踏まえるとともに、報告書案に示したような地下深度における地下利用が計画された場合も仮定した検討を行いました。

 

処分場の立地条件と想定すべき処分深度

処分場は原子力施設の近傍に限定すべきである。大都市以外であれば深度50mで十分。(27)
都市部と処分場の地下利用の違いを指摘すべきである。全国一律が国(民)益にかなうか。(49)

 ご指摘のように、具体的な処分深度は立地場所の条件(地質条件など)によって異なると考えています。社会的な条件については、考えている期間が長期にわたり処分場跡地の利用について不確実性があるため、最も高度な地下利用が行われている大都市の状況を踏まえ、また、さらにこのような深度における地下利用計画も仮定して検討を行いました。

 

処分深度は放射性核種の地下水移行による被ばくの観点から決まるのではないか

移行抑制策に「距離を確保する」とあるが「より深い深度への処分」とすべきである。(92)
処分深度は廃棄物の性状から示されるべきで地下利用から設定すべきではない。(100)
数十mの深度は核種移行にも意味があるものか。人間活動に対するものか。(102)

 対象廃棄物に起因する被ばくには、人間の活動によって発生する被ばくと、地下水による放射性核種の移行による被ばくの2つがあり、実際の処分場の深度にはそれぞれが影響します。
 対象廃棄物は、含まれる放射性核種が生活環境まで移行する前に、その濃度が十分減少するような地中を選んで処分する必要がありますが、含まれるβγ核種の濃度が現行の政令濃度上限値より平均値で1~2桁高いため、従来以上に、地下水の流れが遅く、生活環境までの距離が長くなる場所を選ぶ必要があります。このような場所は地形や地質によるものであって、深い所の方が適切である場合が多いが、浅くても適切である場合もあり、深くても地下水の水みちとなって不適切な場合もあります。したがって、地下水による放射性核種の移行の観点から処分深度は決まらないため、処分深度についてはもっぱら将来の地下利用に対する観点から述べています。

 

処分深度ではなく地下利用の制限によって安全を確保すべきである

処分施設の上に高層ビル等を考えているが埋めたことを標す施設を作るのは容易。(25)
管理期間経過後も地下利用を制限すればもっと浅い地層に処分施設がつくれる。(50)
300年後に処分場の上での居住を考えずに、立ち入り禁止区域としておくべきである。(59)
処分記録が永久保存され法令を整備するなら、50~100mより浅くすることも可能。(80)
地下利用は、国が情報の管理、提供を実施することで対応可能。(139)

 本文4ページ脚注2)に記述しているように、現行の低レベル放射性廃棄物について管理を行う有意な期間は数百年(300~400年が目安)とされており、対象廃棄物処分についてもこの考え方を適用しました。数百年後には管理に頼ることなく安全が確保されるために、ここで検討した深度に処分することが適当であると考えました。
 また、一般的な土地利用で使われる程度の地下に処分施設を建設すると、長期にわたって利用できない土地が生じることから、安全確保とともに将来の土地利用を制約しないという観点からも、この深度が適当であると考えられます。

 

放射性核種の地下水による移行による被ばくの安全確保

井戸水の直接利用、施設立地による地下水脈や地盤などの変化も考慮すべきである

井戸水の直接利用、施設立地による地下水脈や地盤などの変化も考慮すべきである。(112)

 報告書案では、処分場の場所を特定せず、一般的に考えられる条件で対象廃棄物を処分するのに適当な処分概念について検討しました。この処分概念に基づいて、対象廃棄物処分の安全規制の基本的考え方や、どのような放射性核種濃度の廃棄物まで処分できるのか(政令濃度上限値)などの基準について、今後原子力安全委員会において検討が行われます。さらに、実際の廃棄物埋設事業の許可の申請が行われた際に、立地場所の特徴を踏まえた安全審査が行われます。
ご指摘のような点は、このような中で考慮されることになると考えます。

 

責任分担

事業主体、管理の体制、責任分担

もしもの時、発生者はどこまで責任をとってくれるのか。(8)
万一被ばく、被害が生じた場合の対処、補償にも言及すべきである。(18)
何かあった時保障はできるのか。誰が埋めた後のこともちゃんと見ているのか。(22)
国は企業に任せっきりにせず、企業は国の作った案を超える力をつけるべきである。(24)
国家が最も長寿な法人、原子力推進母体であり、国が管理するのが合理的。(25)
処分場選定には処分事業主体だけでなく国も早期に取り組むべきである。(34)
「廃棄物倉庫株式会社」を電力の費用負担で運営し、処分場は国が選定。(58)
監督官庁が工事全般の監査ができるのか。報告書に表現があってもよい。(60)
責任分担は報告書案で妥当だが、数百年の事業であり国が直接指導監督すべきである。(66)
組織が変化したとき、事故時の責任の所在及びその取り方を明確にすべきである。(123)
放射性廃棄物の処理を低コストにしかも安全に実施させるのは国の責任。(147)
国と電気事業者が連帯を密に取り組み、処分事業を国営管理にすべきである。(149)
国は生活への安全が十分保証される基準、制度を整備する義務がある。(168)
事故が発生した場合は、処分及び管理期間の安全上の責任は国が持つべきである。(170)

 放射性廃棄物の処理処分については、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力委員会 平成6年6月)において、「事業活動等にともなって発生した放射性廃棄物の処理処分の責任については、各事業所等が自ずからの責任において処理処分することを基本とし、処分の責任を有するものは、その具体的実施計画を整備し、処分費用を負担する等、処分を適切かつ確実に行う責務を果たすこととします。国は、処分方策を総合的に策定し、また、処分の安全性の確認を行うとともに、処分の責任を長期的に担保するために必要な法制度等を整備する等、最終的に安全が確保されるよう、所要の措置を講ずる責任があります。」とし、事業者の役割と国の役割について記述されています。
 報告書案では、このような基本的な考え方の下、「第2章1.責任分担のあり方と実施体制」において記述されているように、廃棄物処分に係る発生者責任の原則を明確にした上で、原子炉設置者については、対象廃棄物の発生者としての責任を踏まえ、処分計画の作成、処分費用の確保などに適切に取り組むこと、処分事業主体については、技術的、経済的に十分な能力が要求されることに加え、処分の安全確保に関する法律上の責任を負うこと、国については、処分の安全基準・指針の整備などを図り、これに基づく厳正な規制を行うと共に、対象廃棄物の管理や処分が適切に行われるよう、原子炉設置者や処分事業主体への指導監督などの必要な措置を講じること、としています。
 また、原子炉設置者は、処分事業主体に適切な支援を与えることなどにより、安全な処分に万全を期すことが必要である、としています。

 

処分費用の確保

処分費用の確保

最終的には国民が利益を享受するとすれば、開発費の大半は税金で賄うべきである。(15)
廃棄物処分は発生者責任において実施するのが合理的。(19)
公的資金を投入するかどうかを慎重に検討すべきである。処分費用は事業者負担が原則。(23)
費用負担は受益者負担が原則。(25)
処分費用は電気料金に算入し現世代から徴収。早期に制度を定めるべきである。(29,80)
対象廃棄物の処分費用は高くなると考えられるが、いくらぐらいになるのか。(30)
私大炉からの廃棄物は原子力利用研究、人材育成の結果であり費用の減免について盛り込んで欲しい。(43)
処分に関するコストは電力に関するトータルコストの一部と考えられるべきである。(45)
処分費用確保の具体的方法を検討すべきである。(48)
処分費用の確保について、具体的にはどのように検討するのか。(145)
費用は最終的に受益者の国民が負うので、早急な概算の開示を希望。(66)
処分費用は国と県と市町村で半分、電力と石油会社で2割、残りを国民負担する。(128)
処分費用は発電に伴う費用であり、あらかじめ確保すべきであるが、電気料金の上乗せが必要な場合には、利用者の十分な理解と納得を得る努力が必要。(133)
費用については、素人にも分かるように検討して欲しい。(161)
原子力発電所の解体廃棄物の処理処分費用は電気料金に加算されるのか。(162)
経済的負担は原子炉設置者である。(170)

 報告書案では、処理処分に係る発生者責任の原則の下、処分費用は発生者が確保することを明確にしています。特に、「実用発電用原子炉施設の解体に伴う廃棄物処分の費用は、施設を廃止した後に発生するが、これは発電に伴う費用」であるので、「今後、前述した処分方法を踏まえ、合理的積算を行った上で対象廃棄物の処分費用の確保を図っていく必要がある。」としています。

  

関係法令の整備

対象廃棄物を含む放射性廃棄物の分類

対象廃棄物は中レベル放射性廃棄物と呼ぶべきではないか。 (26,103,119,167)
対象廃棄物は主に核燃料物質以外の核種について議論しており、原子炉等規制法の「核燃料物質又は核原料物質によって汚染されたもので廃棄しようとするもの」で定義するのは無理。(31)
放射性廃棄物は、発生源でなく、放射性核種の種類、濃度で分類すべきである。(67)
現行の政令濃度上限値を超えるものを低レベル放射性廃棄物と呼ぶのは問題。(110)

 原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力委員会 平成6年6月)では、「放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類などにより多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分管理に応じた合理的な処理処分を行う」とされており、報告書案における名称、区分は原子力開発利用長期計画に沿ったものです。
なお、それぞれの廃棄物処分方策の検討の進展も踏まえ、その必要性があれば、名称などについても適切に見直されるべきものと考えています。

 

濃度上限値、目安線量などについて

α核種濃度が政令濃度上限値を超えても埋設量に制限を加え対象から排除しない。実質的な危険度が削減されるよう、柔軟な規制を求む。(12)
低レベルとはいえ、我が国の基準が他国と比較して甘いかもしれない。(21)
厳しすぎる放射線の基準を改め、管理期間を短縮し、現実的な管理をめざすべきである。(51)
各省庁の委員会で1Sv以下は産業廃棄物とするなど法令改正も必要。(56)
目安線量10μSv/yは合理的か。過剰な安全性で電気料金を引き上げていないか。(140)
過剰な安全性がコストを引き上げ電気料金を引き上げる要因になっていないか。(142)
10μSv/年の妥当性はどこにあるのか。(144)
行き過ぎた基準等の見直しを行い、合理的にプロジェクトを進めるべきである。(147)
原子力施設で予想外の事故が起きている。今までの処分で良いか基準を見直すべきである。(150)
対象廃棄物については、クリアランスレベルの再確認も含めて慎重な検討が必要。(168)

 「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」(昭和63年3月17日 平成5年1月7日一部改訂)において、管理期間の終了の要件を「管理期間終了後において、埋設した廃棄物に起因して発生すると想定される一般公衆の線量当量は、被ばく管理の観点からは管理することを必要としない低い線量であること。」としており、その線量として、放射線審議会基本部会報告「放射性固体廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」(昭和62年12月)に示された規制除外線量である10μSv/yを目安としています。報告書案においても、「第1章3.対象廃棄物処分の基本的考え方」の中で述べているように、一般的であると考えられる事象に対して「目安線量」である10μSv/yを超えないようにすることを基本としています。
 なお、濃度上限値などの基準については、今後、原子力安全委員会において検討されることになります。

 

対象廃棄物について今後設定される濃度上限値を超える廃棄物の処分概念

βγ放射能濃度上限値1E15Bq/tが示されているが、これを超えるものは更に新たな処分概念で処分するのか。(106)

 1015Bq/tという濃度は、対象廃棄物の放射性核種濃度の最大値について推定したもので、検討の参考にした値です。今後、今回検討した処分概念によって廃棄物埋設事業を行う許可申請が可能である放射性核種濃度(すなわち濃度上限値)については、具体的に検討されることになります。したがって、現段階でこの値が濃度上限値として決まっているわけではありません。
 対象廃棄物についての濃度上限値が設定された場合、仮にこれを超える廃棄物が一部残るような場合には、その処分方策について、改めて検討を行う必要があると考えます。

 

情報公開

処分場の管理期間中の管理記録(測定結果など)を保存、公開すべきである

処分場の管理結果の情報公開を基本とすべきである。(13)
処分場の記録として処分施設の地名を内容が連想される名前にしてはどうか。(14)
記録の公開を進める。「適切に保存する...」などと書いてあるだけでは駄目。(24)
処分の実施状況、管理期間中の測定記録(地下水、核種の移行データ)を保存、公開すべきである。(27,135,168)
記録を的確に保存、管理し、ミス、虚偽報告、引継ぎの怠りがないようにすべきである。(48)
ドラム缶からの漏れを報告しなかった例があった。点検や測定状況を定期的に国民に公開すべきである。(82)
記録は改ざんされることなく国民に公開され、300~400年引継がれることが必要。(83)
安全確保のために処分の記録の保存等が重要であり、第1章に記述すべきである。(85)
国に記録が保存されれば建設には至らないので、保存を確実に行うことが重要。(107)
地上で漏れを検知し地域社会にリアルタイムで異常を通報するシステムを構築。(116)
管理期間中もある程度は記録を公開する方向で検討すべきである。(125)
国民への日常的公開に耐えうる施設でなければならない。(137)
技術の発展により深い地下利用も可能性があり、情報公開の方策を検討すべきである。(160)
管理期間中のデータ等を公表し、国民に安心感を与えること。(163)
管理モニタを設置し映像を保存し、基本通り処分しているか確認し公開すべきである。(173)

 ご指摘のように、処分に関する記録の保存と公開は重要であると考えており、「第1章6.管理期間経過後の安全確保」に「処分に関する記録が適切に保存、公開され、地下利用を企画する者がこれに容易にアクセスできるようになっていれば、大規模な開発行為とそれに伴う被ばくに至る前に地下利用の計画が変更される、あるいは処分施設の認知につながる適切な調査計画が立てられる確実性がいっそう高まると考えられる。また、対象廃棄物処分の安全性に関して社会的に安心を得るという観点からも記録の保存と公開は重要であると考えられるので、管理期間経過後における処分に関する記録の効果的な保存と公開のあり方について検討を行うことが必要である。」と記述しています。また、「第2章5.積極的な情報公開、情報提供」でも、記録の保存や公開の重要性などについて指摘しています。
 なお、現行の低レベル放射性廃棄物の処分においても、処分に関する記録が、管理期間中、事業者及び国において保存され、廃棄物埋設事業が廃止された後も、それらの処分に関する記録が、国において期限を切らずに保存されることになっています(「第1章5.(2)⑤処分に関する記録の保存」)。
 また、廃棄物埋設事業許可申請書は公開されており、廃棄物の埋設量、環境モニタリングの記録については、事業者から国、及び関係する地方公共団体に報告され、公開されています。

 

RI廃棄物

RI廃棄物が検討から漏れないように留意すべきである

RI廃棄物には対象廃棄物やα核種などを含むので、検討漏れがないようにして欲しい。(72)

 報告書案においては、α核種の濃度は現行の政令濃度上限値を下回るものの、βγ核種についてはこれらを上回る放射性廃棄物について検討を行いました。御指摘のようにRI廃棄物にはα核種の濃度が現行政令濃度上限値を超えるものが含まれていますが、「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」(原子力バックエンド対策専門部会 平成10年5月28日)に述べられているように、このような廃棄物は「TRU核種を含む放射性廃棄物」として今後処分方策の検討を行うこととしています。

 

今後の取り組み

処分を開始する時期が明確でなく、緊急性を理解してもらえないのではいか。(90)
早急に実施体制の整備や処分費用の確保に向けて準備を開始すべきである。(133)
やるべきことが多岐にわたるので国が中心となりパワーアップとスピードアップをすべきである。(138)
原子力施設や運転終了後の解体で発生する放射性廃棄物の処理問題は最重要。(168)
低レベル放射性廃棄物の処分が安全に、真剣に、遅滞なくすることを期待する。(174)

 ご指摘のように、対象廃棄物の最終処分に向けた早急な取り組みが必要であると考えており、報告書案では「第2章4.実施スケジュール」で、「具体的には、今後の廃止措置に関するスケジュールも踏まえ、2000年頃を目途に、原子炉設置者は、実施体制を含めて対象廃棄物の処分計画の明確化を図るよう取り組むとともに、国は、安全確保に係わる関係法令の整備を行うことが重要である。」としています。

 

その他

処分地の選定

処分候補地選定に当たっての評価内容などを記載すべきである。(95)

 報告書案において、立地条件に関する事項としては、将来利用可能と考えられる地下の天然資源が存在しない場所を処分場に選定すること及び放射性核種の移行抑制機能の高い地中を選定することを述べています。また、これ以外にも、地震などを考慮する必要がありますので、新たに「第1章 7.その他の安全対策」の項を設け、自然現象、社会現象などに対する安全対策を行うことを求めています。
 なお、立地条件についても、今後、原子力安全委員会における安全規制の検討の中で明らかにされていくことになります。

 

意見募集が形式的

説明会、分科会での議論経過の公開も行わないままの意見募集はあまりに乱暴。意見募集の周知も不十分なまま、わずか30日間で意見募集を行うのは形式的。(113)

 本専門部会においては、原子力委員会決定「原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民の参加の促進について」(平成8年9月)に基づき報告書案を公開し、これに対する意見を募集することとし、これまで「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究等の今後の進め方について」、「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」をいずれも30日間公開し、それぞれ63人、126人の方々からご意見をいただきました。本報告書案についても30日間意見募集を行い、159人の方々から様々なご意見をいただきました。意見募集に当たっては、プレス発表やインターネットへの掲載など周知に努めました。専門部会の審議に資するため、具体的には審議に必要な資料を作成するための分科会を置いていますが、分科会で作成し専門部会に提出された資料は公開の場で審議されており、また、報告書案はこのような専門部会での審議結果をとりまとめたものです。また、専門部会も毎回公開して開催しています。このような経過を踏まえれば、専門部会として十分審議を行ったと考えています。

 

立地条件

具体的な立地条件などについての意見。(27,33,47,56,71,115,162,167,169,172)

 報告書案においては、対象廃棄物の処分方策について基本的考え方を取りまとめたものであり、具体的な立地場所などについては、今後実施主体などにより検討が進められることになります。

 

説明が抽象的

説明が抽象的であり、どうにでも取れるので、不安にさせる要因になっている。(87,88)

 報告書案においては、対象廃棄物処分方策の基本的考え方を取りまとめたものであり、必ずしも定量的、具体的でない点がありますが、これらについては、今後、処分事業の具体化や、関係法令の整備などの中で明らかにされていくべきものと考えています。

 

 

Ⅲ.報告書案における検討の対象外と考えられるご意見

 以下のご意見は、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物処分の基本的考え方について審議を行ってきた原子力バックエンド対策専門部会の報告書案の検討の対象外と考えられますが、今後、原子力委員会における政策の検討などに当たって参考とすべきであると考えられますので、他のご意見とともに原子力委員会へ報告又はその他の関係部署に伝達します。

 

処分場の跡地利用

管理期間が終了しその安全性を保証するには、施設設置前の山林、田畑に戻すべきである。(4)
地上は大規模な公園にするのがよい。(28)
埋め戻した後の地上部分は、管理期間中に自然環境に戻すなど環境破壊につながらないようにするべきである。(74)
植物は地上の丈と同じ分根は地下に伸びる。コンクリートが地下3mにある六ヶ所村の処分場では将来そこに居住する人は家の高さよりも低い緑しか眺められない。(167)
処分場の周辺には植林を施し、森林にしてはどうか。(169)

エネルギーと原子力開発利用についての情報提供、教育など

原子力発電の重要性がますます増大することを国民に正しく認識させるべきである。(1,109)
国民に対してエネルギー節約と多様化に一層の協力を要請するPRが必要。(133)
エネルギーや原子力の教育について取り組みをもっと進めるべきである。今回のような概念は特に今の子供たちに理解しておいて欲しい。(141)
安全性と合理性は相反するもの。合理的に推進するならもっと教育が必要。(143)
原子力について学校教育の場などでもっと取り上げるべきである。(146)
原子力発電の必要性と併せて省エネルギーに対して理解と協力を求めるべきである。(165)
原子力エネルギーを市民に身近に理解させ親しませて、議論の輪に加える環境を創るPR努力はまだ粗末。(166)
原子力技術がこれからの世界や日本に必要なことをもっと知らせるべきである。(179)

病院などの廃棄物の処理、管理

病院や製薬会社などから出される廃棄物の処理、管理はどこでやっているのか。(162)

 病院や製薬会社などから発生する放射性廃棄物については、放射線障害防止法、医療法などに基づき、現在、そのほとんどが(社)日本アイソトープ協会において保管されており、一部焼却などの処理がなされています。

 

液体廃棄物、気体廃棄物の安全性

液体廃棄物及び気体廃棄物の環境への放出の安全性について。(10,120,154)

 原子炉等規制法、放射線障害防止法等において、処理施設から排出される放射性の液体廃棄物及び気体廃棄物については、既に環境への排出に係る基準が整備されており、安全を確認した上で放出されています。

 

保管庫の地震対策

保管庫の地震対策はどのようなものか。(10)

 放射性廃棄物の保管施設については、原子炉等規制法、放射線障害防止法等において、地震対策も含めた技術基準が整備されています。

 

現行の低レベル放射性廃棄物の処分法

現行の制令濃度上限値を超えない廃棄物の処分法を知りたい。(162)

 現行の制令濃度上限値を超えない廃棄物の処分施設や安全確保策などについては、報告書案の「第1章 3.対象廃棄物処分の基本的考え方」、参考資料10などに記述しています。

 

その他のご意見

地下水の飲料水としての利用をやめて上水道施設を完備することが必要。(2)
放射性廃棄物の輸送に係る安全確保と事故対策について。(2,174)
家庭で出るゴミの処理法について。(6)
廃棄物発生量抑制のため、省エネを推進すべきである。(20)
幌延の計画が白紙に戻り残念。(27)
原子力施設の定期点検は、事故の防止のため必要である。(38)
放射性廃棄物処分における国際協力、世界的な取り組みが必要。(40,45,115,136,176)
原子力開発初期の、処分についての考え方はどうであったのか。(47)
核燃料サイクル廃棄物の処分方策を確立し、廃棄物処分の全体像を明らかにすることが必要。(53,126)
廃棄物発生量を減らすには、電力消費の減少即ち節電化製品の開発が必要。(63)
ライフスタイルを変え、風力等の自然エネルギーの開発が必要。(77)
高レベル放射性廃棄物を処分する方針を早く明らかにすべきである。(82)
報告書案でも再生紙や両面コピーを使用すべきである。(82,160)
原子力に変わるエネルギーを目指して欲しい。(84)
本案の処分技術を発展させて高レベル放射性廃棄物処分に応用できる。(104)
動燃事故を機に原子力政策の大幅見直しを望む。(129)
ドイツの廃棄物処理処分方策は、日本の廃棄物政策に関する認識とはかなり違う。(148)
原子力行政に係わる全ての関係者と国民との協力体制の確立を希望する。(149)
原子力モニターを引き受けて原子力の必要性を実感したが、国民の大多数は原子力発電イコール絶対反対だと考える。(151)
原子力は危険なものだとはっきり述べ、それに対して対策していると言うべきである。(158)
フランスから六ヶ所村に搬入された高レベルの処理管理はどうなっているのか。(162)
原爆による被爆者の健康悪化が新聞に出ていたが、放射線の減少についてのデータが知りたい。(162)
原子炉設置者は、安全性の確保に関する具体的な提言や意見を国側に率直に発言することが必要。(168)
放射性廃棄物処理からの解放と、地球環境保護の推進、化石燃料の消費減少の努力が必要。(177)
ウランを繰り返し利用し、廃棄物が少なくなるようにすべきである。(179)
原子力発電を止め、安全性も高い無尽蔵の水力・火力・地熱発電に変えたらどうか。(180)