原子力発電所等において発生する低レベル放射性廃棄物(発電所廃棄物)については、電気事業者等原子炉設置者に、直接の廃棄物発生者として当該廃棄物の処分を適切かつ確実に行う責任があります。当該廃棄物のうち、放射能レベルの比較的低いものについては浅地中処分を進め、放射能レベルの比較的高いものについては、その発生の実態、関連する研究開発の進展状況等を考慮しながら、合理的な処理処分が安全に行われるよう引き続き検討を進めていくこととします。
あ |
RI:
放射性同位元素(Radioisotope)のこと。元素のうち原子番号が同じで原子核の質量数の異なるものを同位元素という。同位元素の中で放射性を有するものを放射性同位元素という。
RI廃棄物:
放射性同位元素を使用した施設、医療機関や医療検査機関などから発生する、放射性同位元素を含む廃棄物。主な廃棄物は、プラスチックの試験管、注射器、ペーパータオル、手袋などである。法律上は、「放射線障害防止法」、「医療法」、「薬事法」、「臨床検査技師法」により規制を受ける施設より発生した廃棄物を指す。
α核種:
α線(「放射線」を参照)を放出する放射性核種。α核種のほとんどが、ウラン及びそれ以上の重さを持つ核種、又はそれらが順次壊れることによってできた核種であり、半減期が長いものが多い。
い |
か |
き |
け |
こ |
さ |
し |
GCR(ガス冷却炉):
冷却材として炭酸ガス・ヘリウム・空気などの気体を用いた原子炉。日本における実用発電用原子炉では、平成10年3月末で営業運転を終了した日本原子力発電(株)東海発電所の原子炉(炭酸ガス冷却)が唯一である。
支持層:
建築物を支持することができる一定の支持力のある地盤。ここでは高層建築物の荷重を支えることができる支持層を想定。
実用発電用原子炉:
電気事業者などにより、発電を目的として設置された原子炉。
Sv(シーベルト):
人体が放射線を受けた結果生ずる影響に着目した線量の単位。
処分容器:
放射性廃棄物を処分する際に用いる容器。六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターに現在埋設されている廃棄物の場合には200㍑ドラム缶が用いられている。廃棄物の形態や外部放射線量によって、より大きなサイズの処分容器や、遮へい機能を持つ処分容器の利用が考えられる。
人工バリア:
埋設された廃棄物から生活環境への放射性物質の漏出の防止及び低減を期待して設けられるコンクリートピットなどの人工構築物、廃棄物の固型化材料、及び処分容器。
す |
せ |
浅地中処分:
低レベル放射性廃棄物の処分のうち、地表付近(数十m程度まで)で行われる処分のこと。IAEAの定義によれば、地下数mの素掘りトレンチ処分、コンクリートピット処分、地下数十mの岩洞への処分を含む処分概念である。これに対して、地層処分は、地下数百mへの処分概念について用いられている。
線源:
ガンマ線の照射用や放射線測定器の校正用標準物質として、一定量の放射性物質を金属容器などに封入したものなど。代表的な線源としては、癌の治療に用いる60Coの線源が挙げられる。用途により含有される放射性核種の量は大きく異なり、10gの線源1つで1012Bqに達するものから、192Irのように107Bq程度のものまである。
ち |
て |
天然バリア:
人工構築物または埋設された廃棄物の周囲に存在し、埋設された廃棄物から漏出してきた放射性物質の生活環境への移行の抑制などが期待できる土壌など。
と |
動水勾配:
地下水の流れを起こす水圧差。一定の距離当たりの水圧差で表される。この値が大きいほど地下水を流す力が大きいことを示す。
な |
は |
(原子炉施設の)廃止措置:
役目を終えた原子炉の運転終了後の取り扱いをいう。我が国は原子炉の運転終了後できるだけ早い時期に解体撤去することを原則としている。
バーナブルポイズン:
原子炉内の出力分布を均一に保つために用いる出力調整作用を持つ物質。ホウケイ酸ガラスなどが用いられる。燃料集合体に組み合わせて用いられる。
半減期:
放射性核種の量が半分になるまでの時間。半減期は、放射性核種によって定まっており、半減期は、放射性核種によって数十億年以上といった長いものから、百万分の1秒以下の短いものまで種々ある。
反応度[原子炉の]:
原子炉内の中性子数の増減を示す量。正なら中性子数は増え、負なら減る。
ひ |
へ |
βγ核種:
β線及びγ線(「放射線」を参照)又はそのいずれかを放出する放射性核種。低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性物質の大部分はβγ核種であり、比較的短い半減期を持つ核種が多い。
ベントナイト混合土:
凝灰岩などが風化して生成した粘土鉱物の一種であるベントナイトを土と混合したもの。ベントナイトは、水に浸すと膨張する性質があり、水を通しにくい。
ほ |
放射線:
不安定な原子核が自然に壊れて別の原子核になるときに放出される高速の粒子又は波長のごく短い電磁波。主にα線、β線、γ線からなる。放射線が人体に与える影響や物を透過する能力は、その種類とエネルギーによって異なる。それぞれの放射線を放出する放射性核種をα核種、β核種、γ核種と呼ぶ。
放射線の特性を活用し、非破壊検査、がんの治療、血液検査、滅菌処理、トレーサー利用などで、放射線や放射性物質が利用されている。一方、放射線は、受けた放射線量に応じてがんなどの発生確率が増えるなど、人体への影響を考慮する必要があるので、原子力の利用に当たっては、一般公衆及び放射線業務従事者に対する放射線被ばく管理が重要である。
α線: | 原子核から放出されるヘリウム原子核(陽子2個、中性子2個からなる)。α線は、空気中を数cm程度しか飛ばないため、衣服の表面でα線が吸収され、外部からの放射線の被ばく(外部被ばく)による影響はほとんどない。しかし、α核種の場合、呼吸や食物により体内に放射性物質を摂取し、放射性物質が肺や骨などの組織に沈着などして人体の細胞や組織への影響を及ぼす(体内被ばく)ことによる被ばくの寄与が大きい。このため、主にα線を放出するウランやTRU核種(参照「TRU核種(Transuranium)を含む放射性廃棄物」)については、内部被ばくを避けることが重要である。 |
β線: | 原子核から放出される高速の電子。物を透過する能力はα線とγ線の中間であり、人体は、外部被ばく、内部被ばくの両方の影響を受ける。β線を放出する核種の場合、放出するβ線のエネルギーが低い14Cや3Hなどは、外部被ばくよりも体内被ばくによる影響を避けることが重要となる。エネルギーの高いβ線を放出する90Srなどは内部被ばくに加え外部被ばくを避けることも必要となる。 |
γ線: | 原子核からα線やβ線が出たあとに残ったエネルギーが電磁波(光の仲間)の形で出てくるもの。物を透過する能力が高く、この放射線を止めるには鉛板や分厚いコンクリート壁を必要とする。外部被ばく、内部被ばくによる人体内への影響があるため、両者を避けることが重要である。 |
ボーリング調査:
地下の地質、水質、資源などを調べるために、直径数cmの穴を掘削して行う調査。調査孔から水などをくみ上げて行う調査、掘削した岩石などを試料とする調査などがある。
ボーリングコア:
ボーリングによって取り出された岩石や土壌の試料。これを用いて地質の調査や、地層の力学的特性の調査などを行う。
ろ |
1.目的
今後の原子力開発利用を円滑に進めていくためには、平成6年6月に原子力委員会が定めた「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」に基づき、社会的理解を得てバックエンド対策を推進していくことが重要であり、原子力開発利用の長期的見通しも背景に据えつつ、バックエンド対策を推進していく具体的な方策について調査審議するため、原子力バックエンド対策専門部会(以下、「専門部会」という。)を設置する。
なお、放射性廃棄物対策専門部会は廃止する。
2.審議事項
(1)高レベル放射性廃棄物の処理処分に係る技術的事項
(2)TRU核種を含む放射性廃棄物の処理処分に関する事項
(3)ウラン廃棄物の処理処分に関する事項
(4)RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理処分に関する事項
(5)原子力施設の廃止措置に関する事項
(6)その他、原子力バックエンド対策に関する重要事項
3.構成員
別紙のとおりとする。
4.その他
専門部会の下に、必要に応じて、分科会を置くものとする。また、専門部会は、必要に応じ、専門部会構成員以外の者からの意見を聞き、あるいは、報告を受けるものとする。
秋 元 勇 巳 | 三菱マテリアル株式会社取締役社長 | |
石 榑 顕 吉 | 東京大学教授 | |
一 政 満 子 | 茨城大学教授 | |
大 桃 洋一郎 | 財団法人環境科学技術研究所専務理事 | |
岡 芳 明 | 東京大学教授(第15回~) | |
川 人 武 樹 | 財団法人原子力環境整備センター理事長 | |
神 田 啓 治 | 京都大学教授(第15回~) | |
草 間 朋 子 | 大分看護科学大学学長 | |
部会長 | 熊 谷 信 昭 | 大阪大学名誉教授 |
小 島 圭 二 | 地圏空間研究所代表 | |
小 西 攻 | NHK解説委員 | |
坂 本 俊 | 社団法人日本原子力産業会議理事・事務局長(第10回~) | |
佐々木 史 郎 | 日本原燃株式会社技術顧問 | |
佐 藤 壮 郎 | 通商産業省工業技術院長 | |
鈴 木 篤 之 | 東京大学教授 | |
鈴 木 進 | 社団法人日本アイソトープ協会理事(第16回まで) | |
関 本 博 | 東京工業大学教授(第15回~) | |
池 亀 亮 | 電気事業連合会原子力開発対策会議委員長(第11回まで) | |
鷲 見 禎 彦 | 電気事業連合会原子力開発対策会議委員長(第12回~) | |
田 中 知 | 東京大学教授 | |
田 中 靖 政 | 学習院大学教授 | |
徳 山 明 | 常葉学園富士短期大学学長 | |
鳥 井 弘 之 | 株式会社日本経済新聞社論説委員 | |
須 田 忠 義 | 動力炉・核燃料開発事業団副理事長(第12回まで) | |
竹 内 榮 次 | 動力炉・核燃料開発事業団副理事長(第13回~18回まで) | |
中 神 靖 雄 | 核燃料サイクル開発機構副理事長(第19回) | |
永 倉 正 | 財団法人電力中央研究所名誉特別顧問 | |
東 邦 夫 | 京都大学教授 | |
藤 岡 淳 介 | 社団法人日本アイソトープ協会常務理事(第17回~) | |
松 浦 祥次郎 | 日本原子力研究所副理事長 | |
松 田 美夜子 | 生活環境評論家(廃棄物問題とリサイクル) | |
森 山 裕 丈 | 京都大学教授 | |
山 内 喜 明 | 弁護士 |
開催日 第10回 平成 9年 5月27日(火) 第16回 平成10年 5月28日(木) 第11回 平成 9年 7月25日(金) 第17回 平成10年 6月25日(木) 第12回 平成 9年10月 2日(木) 第18回 平成10年 9月 2日(水) 第13回 平成 9年12月 1日(月) 第19回 平成10年10月 8日(木) 第14回 平成10年 2月 5日(木) 第15回 平成10年 4月 3日(金) |
1.設置の目的
原子力バックエンド対策専門部会における、炉内構造物、制御棒等の放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物の処理処分に関する事項の審議に資するため、「低レベル放射性廃棄物(現行の政令濃度上限値を超えるもの)分科会」を設置する。
2.分科会の構成員
原子力バックエンド対策専門部会の部会長が、別途指名する。
3.その他
低レベル放射性廃棄物(現行の政令濃度上限値を超えるもの)分科会は、その検討状況を、適宜、原子力バックエンド対策専門部会に報告するものとする。
飯 村 秀 文 | 日本原燃株式会社理事、環境整備部長 | |
大 迫 政 浩 | 国立公衆衛生院廃棄物工学部主任研究官 | |
鈴 木 康 夫 | 東京電力株式会社理事 | |
田 中 知 | 東京大学大学院工学系研究科教授 | |
田 中 貢 | 日本原子力研究所バックエンド技術部長 | |
田 代 晋 吾 | 財団法人原子力環境整備センター理事 | |
辻 倉 米 蔵 | 関西電力株式会社副支配人、原子力建設部長 | |
中 村 裕 二 | 放射線医学総合研究所第4研究グループ総合研究官 | |
永 田 勝 也 | 早稲田大学理工学部教授 | |
(主査) | 東 邦 夫 | 京都大学大学院工学研究科教授 |
松 元 章 | 財団法人 原子力施設デコミッショニング研究協会専務理事 | |
松 本 良 | 東京大学大学院理学系研究科教授 | |
森 山 裕 丈 | 京都大学原子炉実験所教授 | |
柳 沢 栄 司 | 東北大学大学院工学研究科教授 | |
油 井 宏 平 | 日本原子力発電株式会社廃止措置計画部長 |
開催日 第1回 平成 9年 6月11日(水) 第11回 平成10年 3月16日(月) 第2回 平成 9年 6月26日(木) 第12回 平成10年 4月22日(水) 第3回 平成 9年 7月 8日(火) 第13回 平成10年 5月14日(木) 第4回 平成 9年 8月26日(火) 第14回 平成10年 7月29日(水) 第5回 平成 9年 9月17日(水) 第15回 平成10年 8月20日(木) 第6回 平成 9年10月24日(金) 第16回 平成10年 9月10日(木) 第7回 平成 9年11月18日(金) 第8回 平成 9年12月16日(火) 第9回 平成10年 1月22日(木) 第10回 平成10年 2月23日(月)
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