放射性同位元素等の使用施設等から発生する放射性廃棄物(RI廃棄物)の処分については、日本原子力研究所と廃棄事業者としてRI使用者等からRI廃棄物を譲渡され自ら保管廃棄している(社)日本アイソトープ協会等の主要な責任主体が協力して、実施スケジュール、実施体制、資金確保等について、早急に検討を始めることとします。国は、海洋投棄に替えて地中埋設を実施に移すための基本方針を策定し、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」等関係法令の改正など、制度面での整備を行うなど、処分が適切かつ確実に実施されるよう措置することとします。処分については、比較的半減期の短いベータ・ガンマ核種が主要核種である廃棄物のうち、放射能レベルの比較的低いものは浅地中処分又は簡易な方法による浅地中処分を行うものとします。さらに、半減期が極めて短い核種のみを含むものについては、段階管理を伴わない簡易な方法による浅地中処分を行うこととします。今後、これらの具体的な方法を検討した上で、基準の整備等を図っていくこととします。アルファ核種のような長半減期核種が主要であるものについては、TRU核種を含む廃棄物及びウラン廃棄物を参考に処分を検討することとします。
研究所等廃棄物の処分については、直接の廃棄物発生者である日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団等の主要な機関が協力して、実施スケジュール、実施体制、資金の確保等について、早急に検討を進めることとします。
あ |
RI廃棄物:
放射性同位元素で汚染された廃棄物。放射性同位元素を使用した施設、医療機関や医療検査機関等から発生する。主な廃棄物は、プラスチックの注射器やペーパータオル、手袋、試験管等である。法律上は、「放射線障害防止法」、「医療法」、「薬事法」、「臨床検査技師法」により規制を受ける施設より発生した廃棄物を指す。
α核種:
α線を放出する放射性核種。α核種から放出されるα線は、空気中を数cm程度しか飛ばないため、外部被ばくよりも、体内に摂取した場合の内部被ばくの影響が大きい。α核種のほとんどが、ウラン及びそれ以上の重さを持つ核種、またはそれらが順次壊れることによってできた核種であり、半減期が長いものが多い。α核種は高レベル放射性廃棄物、TRU廃棄物、ウラン廃棄物に多く含まれて半減期が長いことから、α核種を含む廃棄物は長期にわたる影響を考慮する必要がある。
う |
か |
核燃料物質等の使用施設等:
研究等の目的で核燃料物質等を使用、貯蔵、廃棄する施設。
ガスクロマトグラフ:
気体中の微量物質の分析に用いられる装置であり、一部の装置の検出器に密封されたRI(63Ni)を使用しているものがある。
加速器:
電子、陽子等を電場により加速して運動エネルギーを与える装置。直線加速器、サイクロトロン等がある。核融合の研究、放射光の利用、種々の物性値の測定、放射性医薬品の製造、癌治療のための重粒子線治療等に用いられている。放射性廃棄物としては、加速された粒子線が当たるターゲット周辺、コリメーター(放射線を平行にし集束させるもので、鉛等)等が放射化したもの、大型の加速器においては発生する2次中性子により放射化したコンクリート等がある。
感染性廃棄物:
医療機関・医療検査機関においては、治療・検査の後に、血液の付着した脱脂綿、注射針等の廃棄物が廃棄物として発生しており、病原菌による2次汚染の恐れがあることから、これらを感染性廃棄物としている。
け |
こ |
し |
浸出水:
埋立地内に浸透し、埋立ごみと接触して汚れた雨水をいい、最終処分場で降雨や廃棄物中の含有水から浸出してくる汚水のことをいう。
す |
素堀り処分:
コンクリートピット等の人工バリアを設けず、素堀りの溝状等の空間に廃棄体を定置して埋設する処分方法。原子炉等規制法においては、原子炉施設から発生するコンクリート等の放射性廃棄物を対象として処分場跡地の掘り返しや跡地に居住した場合等の評価シナリオを考慮し、素堀り処分が可能な放射能濃度上限値が規定されている。
せ |
て |
と |
は |
半減期:
放射能の量が半分になるまでの時間は放射性核種によって定まっており、それらを半減期と呼ぶ。半減期は、放射性核種によって数十億年以上といった長いものから、百万分の1秒以下の短いものまで種々ある。
バックエンド対策:
原子力開発利用に伴い発生する放射性廃棄物の処理処分対策、及び原子力施設の廃止等に伴う原子力施設廃止措置対策の総称。
ひ |
へ |
ほ |
放射線:
不安定な原子核が自然に壊れて別の原子核になるときに放出される高速の粒子又は波長のごく短い電磁波。主にα線、β線、γ線からなる。放射線が人体に与える影響や物を透過する能力は、その種類とエネルギーによって異なる。それぞれの放射線を放出する放射性核種をα核種、β核種、γ核種と呼ぶ。
放射線の特性を活用し、非破壊検査、がんの治療、血液検査、滅菌処理、トレーサー利用等で、放射線や放射性物質が利用されている。一方、放射線は、受けた放射線量に応じてがん等の発生確率が増える等、人体への影響を考慮する必要があるので、原子力の利用に当たっては、一般公衆及び放射線業務従事者に対する放射線被ばく管理が重要である。
放射能:
α線: 原子核から放出されるヘリウム原子核(陽子2個、中性子2個からなる)。
α線は、空気中を数cm程度しか飛ばないため、衣服の表面でα線が吸収され、外部からの放射線の被ばく(外部被ばく)による影響はほとんどない。しかし、α核種の場合、呼吸や食物により体内に放射性物質を摂取し、放射性物質が肺や骨等の組織に沈着等して人体の細胞や組織への影響を及ぼす(体内被ばく)ことによる被ばくの寄与が大きい。このため、主にα線を放出するウランやTRU核種(参照「TRU核種(Transuranium)を含む放射性廃棄物」)については、内部被ばくを避けることが重要である。β線: 原子核から放出される高速の電子。物を透過する能力はα線とγ線の中間であり、人体は、外部被ばく、内部被ばくの両方の影響を受ける。β線を放出する核種の場合、放出するβ線のエネルギーが低い14Cや3H等は、外部被ばくよりも体内被ばくによる影響が避けることが重要となる。エネルギーの高いβ線を放出する90Sr等は内部被ばくに加え外部被ばくを避けることも必要となる。 γ線: 原子核からα線やβ線が出たあとに残ったエネルギーが電磁波(光の仲間)の形で出てくるもの。物を透過する能力が高く、この放射線を止めるには鉛板や分厚いコンクリート壁を必要とする。外部被ばく、内部被ばくによる人体内への影響があるため、両者を避けることが重要である。
ポジトロン断層診断(PET):
陽電子(ポジトロン)を放出する放射性核種11C等を用いた標識試薬を体内に投与して、体内から放出される放射線を測定して人体内の機能を調べる手法。
み |
む |
よ |
1.目的
今後の原子力開発利用を円滑に進めていくためには、平成6年6月に原子力委員会が定めた「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」に基づき、社会的理解を得てバックエンド対策を推進していくことが重要であり、原子力開発利用の長期的見通しも背景に据えつつ、バックエンド対策を推進していく具体的な方策について調査審議するため、原子力バックエンド対策専門部会(以下、「専門部会」という。)を設置する。
なお、放射性廃棄物対策専門部会は廃止する。
2.審議事項
(1)高レベル放射性廃棄物の処理処分に係る技術的事項
(2)TRU核種を含む放射性廃棄物の処理処分に関する事項
(3)ウラン廃棄物の処理処分に関する事項
(4)RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理処分に関する事項
(5)原子力施設の廃止措置に関する事項
(6)その他、原子力バックエンド対策に関する重要事項
3.構成員
別紙のとおりとする。
4.その他
専門部会の下に、必要に応じて、分科会を置くものとする。また、専門部会は、必要に応じ、専門部会構成員以外の者からの意見を聞き、あるいは、報告を受けるものとする。
秋 元 勇 巳 | 三菱マテリアル株式会社取締役社長 | |
石 榑 顕 吉 | 東京大学教授 | |
一 政 満 子 | 茨城大学教授(第10回~) | |
大 桃 洋一郎 | 財団法人環境科学技術研究所専務理事 | |
川 人 武 樹 | 財団法人原子力環境整備センター理事長 | |
草 間 朋 子 | 東京大学助教授 | |
部会長 | 熊 谷 信 昭 | 大阪大学名誉教授 |
小 島 圭 二 | 東京大学教授 | |
小 西 攻 | NHK解説委員 | |
森 一 久 | 社団法人日本原子力産業会議副会長(第9回まで) | |
坂 本 俊 | 社団法人日本原子力産業会議理事・事務局長(第10回~) | |
佐々木 史 郎 | 日本原燃株式会社代表取締役副社長 | |
佐 藤 壮 郎 | 通商産業省工業技術院長 | |
鈴 木 篤 之 | 東京大学教授 | |
鈴 木 進 | 社団法人日本アイソトープ協会常務理事 | |
池 亀 亮 | 電気事業連合会原子力開発対策会議委員長(第11回まで) | |
鷲 見 禎 彦 | 電気事業連合会原子力開発対策会議委員長(第12回~) | |
須 田 忠 義 | 動力炉・核燃料開発事業団副理事長(第12回まで) | |
竹 内 榮 次 | 動力炉・核燃料開発事業団副理事長(第13回~) | |
田 中 知 | 東京大学教授(第10回~) | |
田 中 靖 政 | 学習院大学教授 | |
徳 山 明 | 常葉学園富士短期大学学長 | |
鳥 井 弘 之 | 株式会社日本経済新聞社論説委員 | |
中 尾 欣四郎 | 北海道大学名誉教授(第9回まで) | |
中 西 準 子 | 横浜国立大学(第9回まで) | |
永 倉 正 | 財団法人電力中央研究所名誉特別顧問 | |
東 邦 夫 | 京都大学教授 | |
松 浦 祥次郎 | 日本原子力研究所副理事長 | |
松 田 美夜子 | 生活環境評論家(廃棄物問題とリサイクル) | |
森 山 裕 丈 | 京都大学教授(第10回~) | |
山 内 喜 明 | 弁護士 |
第1回 平成7年 9月25日(月) |
第2回 平成7年11月 9日(木) |
第3回 平成7年12月 4日(木) |
第4回 平成8年 3月14日(木) |
第5回 平成8年 6月26日(水) |
第6回 平成8年 9月26日(木) |
第7回 平成8年11月15日(金) |
第8回 平成9年 2月13日(木) |
第9回 平成9年 4月 9日(水) |
第10回 平成9年 5月27日(火) |
第11回 平成9年 7月25日(金) |
第12回 平成9年10月 2日(木) |
第13回 平成9年12月 1日(月) |
第14回 平成10年 2月 5日(木) |
2.分科会の構成員
原子力バックエンド対策専門部会の部会長が、別途指名する。
3.その他
RI・研究所等廃棄物分科会は、その検討状況を、適宜、原子力バックエンド対策専門部会に報告するものとする。
浅野 闘一 | 三菱マテリアル㈱環境リサイクルセンター所長 | |
(主査) | 石榑 顕吉 | 東京大学工学部 教授 |
市川 逵生 | 日本原子力研究所 理事(第8回まで) | |
齋藤 伸三 | 日本原子力研究所 理事(第9回~) | |
内山 正史 | 放射線医学総合研究所 人間環境衛研究部長 | |
遠藤 啓吾 | 群馬大学医学部 教授 | |
小佐古 敏荘 | 東京大学原子力研究総合センター 助教授 | |
坂本 俊 | (社)日本原子力産業会議 事務局長 | |
大和 愛司 | 動力炉・核燃料開発事業団 環境技術開発推進本部副本部長(第5回まで) | |
大内 仁 | 動力炉・核燃料開発事業団 環境技術開発推進本部次長(第6回~第15回) | |
佐々木 憲明 | 動力炉・核燃料開発事業団 環境技術開発推進本部副本部長(第16回~) | |
清水 雅美 | (社)日本アイソトープ協会 環境整備部長 | |
鈴木 進 | (社)日本アイソトープ協会 常務理事 | |
瀬田 春生 | 日本放射性医薬品協会 会長 | |
田中 勝 | 国立公衆衛生院 廃棄物工学部長 | |
宮坂 靖彦 | 日本原子力研究所 バックエンド技術部長(第6回まで) | |
田中 貢 | 日本原子力研究所 バックエンド技術部長(第7回~) | |
藤田 薫顕 | 京都大学原子炉実験所 教授 | |
山内 喜明 | 弁護士 | |
鹿園 直建 | 慶応義塾大学理工学部 教授(第5回まで) | |
渡辺 邦夫 | 埼玉大学工学部附属地盤水理実験施設 助教授(第6回~) |
第1回 平成7年10月20日(月) |
第2回 平成7年11月27日(月) |
第3回 平成8年 1月26日(金) |
第4回 平成8年 3月 5日(火) |
第5回 平成8年 6月28日(金) |
第6回 平成8年10月 1日(火) |
第7回 平成8年12月 3日(火) |
第8回 平成9年 2月26日(水) |
第9回 平成9年 4月15日(水) |
第10回 平成9年 5月19日(月) |
第11回 平成9年 6月24日(火) |
第12回 平成9年 7月15日(火) |
第13回 平成9年 8月18日(月) |
第14回 平成9年 9月25日(木) |
第15回 平成9年10月23日(木) |
第16回 平成9年11月13日(木) |
第17回 平成9年12月16日(木) |
第18回 平成10年1月19日(月) |