第37回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨

 

1.日  時平成12年12月14日(木)10:30~12:05
 
2.場  所東海大学校友会館「阿蘇の間」(霞ヶ関ビル33階)
 
3.出 席 者:
(原子力委員)藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(専門委員)熊谷部会長、秋元委員、石榑委員、石塚委員、岡委員、神田委員、草間委員、小島委員、小玉委員、佐々木委員、関本委員、徳山委員、中神委員、永倉委員、藤岡委員、前田委員、森山委員、山内委員
(科学技術庁)岩橋 廃棄物政策課長、青木 廃棄物政策企画官
 
4.議  題(1)ウラン廃棄物の処理処分について
(2)その他
 
5.配付資料
資料(専)37-1 第36回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)
資料(専)37-2 「ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」
(平成12年10月6日 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)
に対するご意見と回答(案)
資料(専)37-3 ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)
資料(専)37-4 「放射性廃棄物シンポジウム」について
資料(専)37-5 省庁再編後の原子力行政体制について
 参考資料
参考(専)37-1 「ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」(平成12年10月6日 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)に対する意見(寄せられた意見をそのまま複写したもの)
参考(専)37-2 放射性廃棄物シンポジウム配布資料(科学技術庁)「いま、考えてみませんか」
参考(専)37-3 放射性廃棄物シンポジウム配布資料(科学技術庁)「放射性廃棄物Q&A」
 参照資料
ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)(平成12年10月6日、原子力バックエンド対策専門部会)
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会)
RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について(平成10年5月28日、原子力バックエンド対策専門部会)
現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物処理処分の基本的考え方について(平成10年10月16日、原子力バックエンド対策専門部会)
超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方について(平成12年3月23日、原子力バックエンド対策専門部会)

6.審議の概要
(1)ウラン廃棄物の処理処分について
 分科会主査の石榑委員及び事務局より資料(専)37-2~3に基づき説明が行われた。各委員の主な意見等は以下の通り。

  • 報告書全体を通じて、線量が実効線量、実効線量当量であるという記述が見あたらないので、最初のところに記述してはどうか。

  • 資料(専)37-3のp.10の「起こり得る事象」という表現について、確率がほとんど1に近い印象を与えるのではないか。例えば、「発生する可能性の比較的高い」などと表現を変えてはどうか。

  • 資料(専)37-3のp.14の「施設概念」という言葉で分かるかどうか。一般の方が想像できるよう、説明をいただくとよい。

  • 資料(専)37-3のp.17の対象廃棄物の濃度等の記述の仕方について、高い方から低い方、という記述がなされているが、低い方から高い方なのか、どちらがよいか。

  • 報告書の中では略称が多く用いられているので、ICRPの用語解説を、IAEAと同様、「あ」の欄に記述してはどうか。

  • 資料(専)37-3の参考資料3の自然放射線のデータについて、UNSCEAR 1982,1988から引用されているが、より新しいUNSCEARのデータがあるのでそちらを参照される方がよいのではないか。

    (石榑主査より回答)
     線量の表現については、はじめの方に明記する方向で修文するよう検討する。「起こり得る事象」については、あらゆる確率を考えて、というつもりで使っている。

     「施設概念」という言葉については、これまで議論され、報告書も出され、その中に施設の図なども出ていることから、これまでの議論を念頭に置いて使用してきた。

    (熊谷部会長より回答)
     「施設概念」という言葉を適切な言葉に変えたいが、簡潔で良い言葉が見つからなければ、そのままでご容赦いただきたい。たとえば、「施設の概念」としてはどうか。詳細は事務局で検討願いたい。

  • 資料(専)37-3のp.8について、「濃縮ウラン、劣化ウラン、天然ウラン」の並びも気になるが、劣化ウランの説明がない。劣化ウランという用語については最近報道関係者の中でも注目されており、きちん説明すべき。劣化ウランについて説明するとともに、並びについては、「濃縮ウラン、天然ウラン、劣化ウラン」としてはどうか。

    (熊谷部会長より回答)
     用語解説に「劣化ウラン」を加えることとしたい。

  • 報告書案に対するご意見の中には、検討対象の廃棄物を混同している人もいる。廃棄物の分類はわかりにくいので、参考資料として廃棄物全体の中の位置づけが分かる図を入れてはどうか。参考資料に入れられないのであれば、別途用意して参照できるようにしてはどうか。

    (熊谷部会長より回答)
     そのような図があれば整理して考えられるので、報告書の後ろに入れられないか、検討していただくこととする。

    ※ 報告書案について、意見を踏まえ修文することで承認し、原子力委員会へ報告することとなった。なお、修文については部会長一任とされた。

    ※ ウラン廃棄物に関する審議の終了に当たり、分科会に参加した委員より以下の発言があった。

    (石榑主査より発言)
     分科会主査を引き受けた際には、難しい課題もあり、限られた時間でどこまで検討できるか不安もあったが、一応の答えを出すことができた。しかしながら、この報告書の中にはいろいろな課題が残されていることが記述されており、今後詰めていくことも多い。本報告書はウラン廃棄物の処理処分を行うための第一歩にすぎない。今後、原子力安全委員会における安全確保の検討や、ウラン廃棄物のデータの一層の整備などについては、これを機会に、早急、着実に進めていただきたい。

    (森山委員より発言)
     ウラン廃棄物は半減期が長いことなど、他の放射性廃棄物と異なる面があり、いろいろな側面に配慮をしなければならなかった。本報告書では現在考えられる範囲において、今後の方向を示すことができたと考える。早急かつ着実に具体化が進められることを期待している。

    (山内委員より発言)
     ウラン廃棄物は、関係者が多く、一番最後に残った廃棄物である。議論を聞いていると、本来ならば最初に検討すべきものが最後に残ってしまったという印象。本分科会の中では、今までの廃棄物とは違った議論もなされた。そのような議論が廃棄物処分全体の検討の中で十分集約されたかという点については内心忸怩たるものもある。今後、本報告書の内容がきちんと進められていくか心配である。これで検討が終わったわけではない。一段落した後に、是非とも放射性廃棄物全体を網羅するような考え方についての検討を今後続けていってほしい。

(2)その他
① 事務局より、資料(専)37-4に基づき、放射性廃棄物シンポジウムについての報告が行われた。各委員の主な意見等は以下の通り。

  • 全国的に開催されたことは非常に良かったと考えている。その結果、寄せられた意見が多岐にわたって出されたが、それぞれのご意見に対して何らかの形で答えていきたい。

  • シンポジウムで使われた参考(専)37-2などの資料は、回を重ねるごとに改良されてきている。改良の歴史をまとめてみるとおもしろい。また、日付を前に出すなど改良していることがわかるようにしておくと良い。

② 事務局より、資料(専)37-5に基づき、省庁再編後の原子力行政体制についての報告が行われた。

③ 今後について、以下の発言があった。

(藤家原子力委員長代理より発言)
 各委員の協力をいただき、大変な成果をいただいた。審議を通じて、放射性廃棄物処理処分の基本的考え方がまとめられ、これらの成果の一部は法となって動きつつある。また、これらの技術的検討のほか、国民との対話において、放射性廃棄物シンポジウムでご協力いただいた。厚く御礼申し上げる。
 専門性を中心とした「専門部会」と、高レベル放射性廃棄物に関しては、社会性、ほかの観点も含めた「懇談会」の組合せによって、廃棄物問題は大変な成果をあげた。この成果は、最近まとめられた長期計画の中にも反映されている。原子力委員会にとっては、この長期計画の理念・内容を誠実かつ積極的に具体化し、実施に移していくことが大事な役割であると考えている。
 原子力委員会は1月6日より内閣府に移り、装いを新たにしてこれからの活動を進めていく。昨日、原子力委員会において、内閣府へ移るに伴い、全専門委員の任を解くこととした。今後の専門部会組織については現在議論中であり、新しい原子力委員会の発足とともに、長期計画の具体化にとって合理的かつ効率的な運営をはかるようにしていきたいと考えている。またご協力いただきたい。
 本専門部会は平成7年に原子力委員会が考えたことを見事に達成していただいた。これを受け継いで次の段階へ進めたい。

(熊谷部会長より発言)
 現体制での専門部会はこれで閉幕となる。委員の皆様のご協力のおかげでその使命を果たすことができた。また、事務局の協力もいただき、7つの報告書をとりまとめることができた。長い間本当にありがとうございました。