資料(専)36-4

「ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」
(平成12年10月6日 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)
に対するご意見と回答の方針(案)

 


はじめに

検討方針について

     
  • 今、現在の科学的技術で可能な処分方法をとっても、私たちの世代で全て片が付くことではなく、必ず子や孫に受け継がれていきます。(13)
  • ウラン廃棄物の発生を直ちに止める方向へ進み、しかるのち処分方法を出すべき。もちろん原発も早期に段階的廃止を進めるべきである。政策次第で、日本は自然エネルギーの大国になりうる。(22)
  • 千年ほどは屋内保管をし、生物やさまざまの物質との反応をまず調べあげてから処分を論じるべきである。(23)
  • 原子力事業は国家的プロジェクトであり、科学技術庁も科学者、企業者も国民もすべての者が真剣に取組んで行かなければ前に進むことはできない。原子力発電所はウランの力でエネルギーに変えたが、廃棄物処理処分は人間のエネルギーで解決したいと考える。(30)
  • 最終処理処分方法が確立できるまで、関連の作業は、一時停止すべきである。(50)
  • この種の案を検討するメンバーは、ほとんど、「お仲間」であり厳しい批判、疑問など出されるはずがない。(17)
  • 原子力バックエンド対策専門部会に関わる人が生存中に結果が判明しないような計画はやるべきではない。(51)

 放射性廃棄物の処理処分は、原子力の開発利用を行う上で最も重要な課題の一つであり、避けては通れない問題です。ウラン廃棄物は、原子炉施設の運転に使用されるウラン燃料の成型加工などに伴って既に発生しており、また、今後施設の解体も予想されることから、その処理処分についての対応を急ぐ必要があります。
 「はじめに」に示したように、「これらの廃棄物については、これまで処分方策が確立されておらず、その処分制度は整備されていない」ため、「廃棄物の発生状況に鑑み、廃棄物の安全かつ合理的な処分方策を確立するとともに諸制度の整備を図るための具体的な取組を着実に進める必要がある」ことから、原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会において、当該廃棄物の特徴を踏まえた安全かつ合理的と考えられる処分の基本的考え方について検討を行い、今般、報告書案を取りまとめました。
 なお、検討に当たっては、専門部会で公開の審議の下、ウラン廃棄物の特徴に鑑みた広範な分野の専門家による分科会を設置するとともに、分科会で作成し専門部会へ提出された資料は公開の場で審議されています。
→修文なし

早急に処分方策を確立すべき

     
  • ウラン廃棄物は放射性廃棄物処分の中でも特に遅れており、必要な措置をもっと早く実行するように取り組むべきである。この際その遅れを取り戻すような取り組みを示すべきである。今回示された案の内容を見ても遅れてしまった具体的な背景とか特別の理由は見当らない。(12)
  • 現状のウラン廃棄物の発生による焼却処理は、焼却灰も含めて未処理のまま廃棄物貯蔵施設内に保管されているようだが、増々累積発生量は増えていくので、対策を急がなければならない。(18)

 放射性廃棄物の処理処分は、原子力の開発利用を行う上で最も重要な課題の一つであり、避けては通れない問題です。これまでに、放射性廃棄物の処分方策については、発生源別に廃棄物を分類して順次検討を進めてきた結果、今般、ウラン廃棄物の処分方策の検討が行われることとなった次第です。
 報告書案の「はじめに」に示したように、ウラン廃棄物は、原子炉施設の運転に使用されるウラン燃料の成型加工などに伴って既に発生しており、また、今後施設の解体も予想されることから、その処理処分についての対応を急ぐ必要があります。
したがって、この点を明確にするため「はじめに」について修文します。

ウラン廃棄物の定義、検討の対象範囲を明確にすべき

     
  • 報告書内で検討された「対象廃棄物」の範囲は明確に示されているが、「ウラン廃棄物」の範囲は不明確ではないか。ウラン廃棄物の範囲を定義する考え方について補足することは可能か。(6)
  • 過去に行なわれた採掘に伴う鉱滓の扱いについて、この報告ではよくわからない。(25)
  • 「対象廃棄物」に人形峠での採掘残土が含まれていないが、「対象」に入れるべきではないか。このウラン鉱石を含む残土がなぜ今回の「ウラン廃棄物」に該当しないのか。(31)
  • 今回の「ウラン廃棄物」には「劣化ウラン」や「減損ウラン」は含まれていないが、これらはいずれ「廃棄物」として再利用か処分されると思われるので、対象とすべき。(32)

 ウラン廃棄物の定義は、報告書案の「はじめに」に、以下のとおり記述しています。「原子炉施設の運転に使用されるウラン燃料は、その原料となるウラン鉱石から、製錬、転換、濃縮、再転換、成型加工などの工程を経て製造される。これらの各工程を行う施設の運転・解体に伴い放射性廃棄物が発生する。これらの放射性廃棄物をウラン廃棄物という。」
 また、これらの各工程を行う施設は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の対象施設となっています。
 処分方策の検討に当たって、対象とした具体的な廃棄物は、報告書案第1章1.及び第2章1.に示した既に発生しているもの及び2030年までに発生すると考えられるものを試算したものです。これらの検討の中で、報告書案第1章4.(1)に同位体組成の違いについても考慮しており、「線量評価試算を行った結果によると、これらにおける同位体組成の違いは、線量評価に大きな影響を与えるものではない」ことから、「同位体組成の違いについては、処理処分方策の基本的考え方の検討に当たって特別の配慮が必要となるものではないと考えられる」としています。したがって、ご指摘のような「劣化ウラン」や「減損ウラン」が将来的に廃棄物となった場合でも報告書案5.で示した処分方策で対応できると考えます。
 ウラン鉱石の採掘に伴って発生する捨石や鉱滓は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の対象施設から発生するものではないことから、本検討の対象外となります。なお、捨石や鉱滓については、「鉱山保安法」に基づいて安全確保が行われることとなります。
→修文なし

対象廃棄物の特徴

トリウム廃棄物の取扱いについて

     
  • トリウムを含む廃棄物がウラン廃棄物と同様に扱えるかどうかの判断を与えるためには、トリウムを含む廃棄物のおおよその量と濃度を示し、ウラン廃棄物に比べて廃棄物量及び濃度が同等以下であることを示しておくことが必要ではないか。(7)

 報告書案第2章に示したとおり、RI・研究所等廃棄物のうちウラン廃棄物に相当するものについては、トリウム及びその子孫核種を含んだ廃棄物(トリウム廃棄物)も存在します。
 過去に事業者が実施したアンケート調査の結果によると、トリウム廃棄物の量は、RI・研究所等廃棄物のうちウラン廃棄物に相当するものの1%未満と少量であり、また、トリウム廃棄物の濃度(106Bq/t未満〜109Bq/t)も、 RI・研究所等廃棄物のうちウラン廃棄物に相当するものの濃度の範囲内にあることが確認されています。
 したがって、報告書案第2章の脚注14に記述したとおり、「トリウムは天然起源の放射性核種であり、半減期が長いことなどウランと類似する性質を有している」一方で、「トリウムの子孫核種はウランの子孫核種と比較して半減期が短く、子孫核種の生成及び累積という点に関してはウランよりも影響が小さい」ことも踏まえると、トリウム廃棄物はウラン廃棄物と同様に取扱いが可能と考えられます。
ご指摘を踏まえて、トリウム廃棄物の量及び濃度に関する記述を本文に追加します。

回収ウランの取扱いについて

     
  • 「回収ウラン」は「ウラン廃棄物」か「TRU廃棄物」で取り扱える、としているが、さらなる検討が必要である。回収ウランはTRUを含むゆえ、ヨウ素129並の隔離が必要ではないか。又232Uと236Uを含むが、これらの毒性についても検討する必要がある。(33)

 報告書案第1章4.(1)の記述にあるとおり、「対象廃棄物には、使用済燃料を再処理することによって回収された回収ウランの使用に伴って発生するものも存在」します。これは、「天然に存在するウラン核種以外に人工放射性核種を伴っていることから核種組成が異なるが、基本的に処理処分方策を決定づける核種がウラン核種であれば、回収ウラン以外の使用に伴って発生する対象廃棄物と同様に扱うことが可能である」と考えます。また、同頁の脚注で「ウラン核種以外の人工放射性核種の影響が、ウラン核種の影響よりも大きくなると考えられる場合は、「超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方」原子力委員会(平成12年3月23日)に基づき検討される」としており、ウラン廃棄物又は超ウラン核種を含む放射性廃棄物の処分方策に基づいて処分可能と考えます。
 また、報告書案第1章4.(1)に記述したとおり、同位体組成の違いについても考慮しており、「線量評価試算を行った結果によると、これらにおける同位体組成の違いは、線量評価に大きな影響を与えるものではない」ことから、「同位体組成の違いについては、処理処分方策の基本的考え方の検討に当たって特別の配慮が必要となるものではないと考えられる」としています。したがって、ご指摘のようなU-232、U-236の毒性を考慮しても、報告書案5.で示した処分方策で対応できると考えます。
→修文なし

自然放射能の考え方が不適当

     
  • 「自然放射能」をひとつの基準ないし目安とされているが、人工の核分裂ができるようになり、実験された後の測定値を使用することは不適当と考える。人間の活動に伴う放射能の地表への集積がみられ、これを分けずに「自然放射能」と見ることには、納得できない。(27)
  • ウランと子孫核種が外部被ばくの1/3もしめている物質だからこそ、その量を増やすことは重大であると認識すべきだ。気体であるラドンは内部被ばくも心配される。(41)

 自然放射能に寄与するのは天然に存在する放射性核種であり、フォールアウト(放射性降下物)に含まれる人工放射性核種と区別して測定することは可能です。したがって、自然放射能、自然放射線の評価では、人工核種による寄与は除外されています。報告書案の自然放射能、自然放射線に関するデータは、主に「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」の年次報告データに基づいており、この報告では、人工放射能と天然放射能は区別されています。
 なお、廃棄物処分による被ばく線量については、生活環境に対して影響を及ぼすことがないように処分されることが基本です。
→修文なし

放出される放射能も考慮されるべき

     
  • 焼却処理した場合、大気中に出てしまったものは考慮されているのか。それとも濃度が低く問題ないと考えているのか。液体廃棄物についても同様に問う。環境中に排出されていると考えられるが、濃度が比較的薄いとしても、持続的に排出され続ける放射能を放置しても良いのだろうか。濃度が薄いとしても全体の放射能量についても問題とすべきである。(38)

 ご指摘のような可燃性固体廃棄物の焼却処理時の排気は、フィルタなどによって放射性物質がろ過処理されています。放出される排気については、放射線モニターにより常時監視されており、周辺監視区域外の空気中濃度が法令に定められた濃度限度を超えないよう、排気中の放射性物質濃度が管理されています。
廃液などの液体廃棄物は、イオン交換、凝集沈殿などの処理により、液体中の放射性物質が除去されます。放出される廃液については、液中の放射性物質濃度の確認を行ってから海洋などに放出され、周辺監視区域外の水中の濃度が、法令に定められた濃度限度を超えないよう、排水中の放射性物質濃度が管理されています。
 また、事業者は、定期的に施設及び放出口周辺の土や陸水などの環境試料中の放射性物質濃度を測定して、異常のないことを確認していることから、全体の放射能についても問題とならないと考えられます。
→修文なし

ウランの特徴について

     
  • ラドン気体については、ごく一般的な記述しかない。詳細方針を示されたい。(25)
  • ウランの放射性毒性とともに、重金属としての毒性が疑われている。L−50が0.23gとされるが、案ではこの毒性について考察していない。(32)

 ウラン廃棄物の場合、ウランの子孫核種が生成及び累積し、数十万年かけて放射平衡に達するため、緩慢にではあるが、線量評価値が時間の経過に伴って増加する潜在的な可能性があることが重要な特徴であり、このような特徴を踏まえて処分方策の検討を行っています。したがって、ご指摘のようなラドンについても検討に当たって考慮した上で、報告書案第1章4.(3)に「ウランの子孫核種の一つである気体状のラドン及びその子孫核種による被ばく線量については、モデルやパラメータに関する不確実性の影響を特に大きく受けることも留意すべき事項である」と記述しており、評価パラメータ設定への影響が大きいことを指摘しています。
 また、ウランの重金属としての毒性については、報告書案第1章5.(4)に「ウランの重金属としての性質による影響については、平成10年に厚生省の飲料水基準の監視項目にウランが追加されているが、排水基準や環境基準などの項目には含まれておらず、実際の処分時には、水質保全や環境汚染に係る規制動向などを考慮した検討が必要である」としており、今後の検討の必要性を示しています。
→修文なし

処理処分の基本的考え方

発生量の抑制について

     
  • 発生施設のウラン加工事業者が、多いのには認識不足で驚いた。ウラン廃棄物は、これからも多量の発生が予想される。(3)
  • 放射性廃棄物対策は、一般廃棄物と同様に、発生量の抑制が大前提としながらも、そのための道筋も方法も全く示されていず、この案は無効である。(17)
  • 放射性廃棄物は発生量の抑制が大前提であるのなら、除染による切り下げやクリアランスレベルで放射性ではないと評価するのは許されない。廃棄物の発生量を抑えるのは利用を抑制するしか方法はない筈である。(39)

 ご指摘のような発生量の抑制については、放射性廃棄物そのものの発生量を低減することや、一度発生した廃棄物を再利用することにより、結果的に処分の対象となる廃棄物の発生量を減らすことが考えられます。
 放射性廃棄物発生量そのものの低減対策としては、主に、放射線管理区域に持ち込む物品を制限することや発生した廃棄物の減容、圧縮処理などが実施されています。
 廃棄物の再利用としては、報告書案第1章5.(1)に記述されているとおり、「除染処理によって十分ウラン核種が除去されたことが確認できれば、放射性廃棄物として扱う必要のないもの(クリアランスレベル以下のもの)として処分または再利用することも可能」と考えられ、この場合、除染処理によって回収されたウランは、その性状によっては資源価値を持っていることから、廃棄物でなく、資源として再利用することも可能と考えます。
 なお、クリアランスレベルについては、環境の保全及び安全の確保を大前提として、今後原子力安全委員会において検討が行われるものと考えます。
ご指摘を踏まえ、発生量の低減対策について、本文に追加します。

除染処理について

     
  • 除染により廃棄物の低減が可能とあるがそれはおかしい。全体としての放射能の量は変わらない筈だし、むしろ放射能汚染の拡散につながることを懸念する。作ってしまったウラン廃棄物はそのまま閉じ込めることが、拡散を少しでも防ぐ方法なのではないか。(40)

 ご指摘のとおり、除染処理によって全体の放射能の量は変わりませんが、処分する放射性廃棄物の量は低減することができます。報告書案第1章4.(2)に記述したとおり、「ウランは質量当たりの放射性核種量が少なく、金属などの表面に付着している場合には、除染が比較的容易と考えられ、高い除染効果が期待できる」ものであり、除染処理の効果としては、「廃棄物の放射性核種濃度を低減することにより、濃度に応じた処分方法の選択肢が広がること、クリアランスレベル(放射性物質として扱う必要がないものを区分するレベル)まで除染することにより、放射性廃棄物量の低減が可能となること」が考えられます。
 また、ウランは「資源として利用できる可能性があることから、処分の前に合理的な範囲で可能な限り除染処理を行うことが重要」であり、除染処理によって回収されたウランは、廃棄物でなく、資源として再利用することも可能であることから、この場合、廃棄物として処分される放射能の量は減少すると考えられます。
 ただし、「除染処理は、クリアランスレベルの達成に伴う放射性廃棄物量の低減、処分方法の選択肢の拡大が期待される一方で、除染に伴う作業者の被ばく、除染に要する費用の増加及び二次廃棄物の発生などを考慮する必要があり、これらを総合的に判断した上で、適切な除染処理システムが検討されるべき」であり、「合理的に可能な範囲で対象廃棄物からウランを除染回収することを検討」する必要があります。
 なお、技術開発課題として、報告書案第1章6.(1)では、「除染技術については、一部の廃棄物について除染性能データが得られているが、除染対象廃棄物の範囲の検討を含め、さらに効率的な除染処理技術の実用化などを積極的に進めることが重要である」とともに、「廃棄物の発生過程と除染技術の適用工程を考慮した除染処理の合理化の可能性についての検討も重要である」ことを記述しています。
→修文なし


クリアランス、再利用について

     
  • 対象廃棄物でクリアランスレベル以下のものについて放射性廃棄物として扱いを規制外とする点については賛同出来る。(11)
  • クリアランスレベル以下のものについて、ウラン廃棄物の特殊性から言って、産廃扱いすべきではない。(23)
  • クリアランスレベル以下のものを放射性廃棄物として処分しなかったり、再利用することに反対する。(49)
  • 原子力発電の運転によって廃棄されるウランのリサイクル化は、安全面から考えると今すぐに賛成できるものではない。原子力に対する国民の人的作業による不安というものが、かなり強いものである。しかし、安全が厳守されれば、おおいに賛成できるものであり、むしろ、リサイクル化については大賛成できる。実行までの安全対策方については、二重、三重の部分チェックといった手法をとることが必要なことである。(5)

 クリアランスについては、報告書案第1章5.(1)に「除染処理によって十分ウラン核種が除去されたことが確認できれば、放射性廃棄物として扱う必要のないもの(クリアランスレベル以下のもの)として処分又は再利用することも可能と考えられ、今後、対象廃棄物のクリアランスレベルが検討・設定されることが必要であると考えられる」としています。
 既に、主な原子炉施設から発生するコンクリートや金属に関するクリアランスレベルについては、原子力安全委員会において、環境の保全及び安全の確保を大前提に、「自然界の放射線レベルと比較して十分小さく、また、人の健康に対するリスクが無視できることを満たす線量の目安値として10μSv/年を設定し、クリアランスレベルが算出」されています。
 また、ウランは「資源として利用できる可能性があることから、処分の前に合理的な範囲で可能な限り除染処理を行うことが重要」であり、除染処理によって回収されたウランは、廃棄物でなく、資源として再利用することも可能と考えられます。
→修文なし


処分方法について

報告書案の処分方法に関する賛否

     
  • 2.の(1)対象廃棄物の特徴の中の作業着、手袋、木材などの可燃性雑固体廃棄物、ゴム靴については、今後の処理研究結果次第では、地下に埋設しなくとも地上で処置が出来るのではないか。(2)
  • 原子力エネルギーを利用した残留物に関しては未知の世界に等しい事であり、これを完全に制御出来るようになるには、人類の英知を以ってしても、地球から出て来たものは地球に戻す他ない。もとの地球の土に戻すことを考えて、出来るだけ人類が地球に永く住めることを地球人として望む。(10)
  • 私共は無知に等しい人間であり、いくらこうだからとかどうだからとか云われても信頼する訳にはいかない面がある。要は地中深く残滓物を処理しましたということならば納得する。(10)
  • 「廃棄物処分の基本的な考え方」にもあるように、発生量の抑制が第一で、その低減や有効利用を考えることが重要で、廃棄物の特徴、放射性核種の種類及び濃度を考慮し設定することは最もなことと考える。(18)
  • ウラン廃棄物は、原子力発電の残滓としてどんどん増加しており、ガラス固体化して埋めておく方法では将来心もとない、子孫のことを考えれば、これは良くない行為である。(52)

 放射性廃棄物処分の基本的考え方については、報告書案第1章3.(1)に記述したとおり、「放射性廃棄物対策は、一般の廃棄物と同様に、発生量の抑制が大前提であり、廃棄物の発生量の低減や有効利用に努めることが重要である」とともに、「放射性廃棄物の処分は、廃棄物に含まれる放射性核種が生活環境に対して影響を及ぼすことを防止することが必要であり、このためには、処分方法に適した形態に処理した後、放射性物質から放出される放射線の影響が安全上支障のないレベルになるように処分することが基本」となります。
 この考え方をもとに、処分方法を検討した結果、報告書案第1章7.にまとめられているとおり、「対象廃棄物に対して除染処理を行うことにより、放射性核種濃度を低減し、クリアランスレベル以下になるものについては、放射性廃棄物として扱う必要のないものとして処分又は再利用」を行い、「それ以外のものについては、濃度などに応じて適切に区分し、それぞれの区分に応じた処分方策を講じる」ことにより、安全かつ合理的に処分することができると考えられます。
 具体的には、報告書案に示したように、クリアランスレベル以下の処分、素掘り処分、地下利用に余裕を持った深度への処分などが考えられますが、「今後、廃棄物の処分可能となる濃度基準の設定に当たっては、線量評価の長期性に伴う不確実性を考慮した適切なシナリオ、モデルやパラメータに関する不確実性を考慮すべきである」と同時に、「線量目標値については、適切なシナリオを検討しそれに応じて設定することが必要であり、公衆の線量限度の1mSv/年を守ることを基本とし、国際的な動向なども踏まえて、被ばく管理の観点からは管理することを必要としない低い線量(10μSv/年)に代わる線量目標値を設定することや、評価シナリオの発生の可能性との関連においてその線量目標値を設定することなどが考えられる」など、引き続き検討を行うことが重要です。
→修文なし

他の放射性廃棄物や海外の事例を参考にすべき

     
  • 放射性廃棄物処理処分については、安全上支障のないようにすることが基本。低レベル、高レベル放射性廃棄物の処分方法は、はっきりと、処分方法も決まっており、素掘り処分やコンクリートピット処分は、よく考えている。他の方法を研究しているのだろうか。(3)
  • 「放射線防護の最適化」という考え方にしても、社会的、経済的事項を考慮しつつとあるように要するに原子力産業にとって過大な負担にならないような費用しかかけないということである。(17)
  • 海外での処分の方法は低レベル放射性廃棄物の一種として扱われている例が多く、素堀り処分相当が多く行われている様子ですが、我が国としては国土は狭いものの、やはり安全処理処分を第一に考え、地下利用をしたコンクリートピット処分が最適と思う。又、更に地域や環境の相違はあるものの、海外の新しい考え方、方法等も参考にすべきと思います。(18)

 ご指摘のとおり、ウラン廃棄物の処分方法の検討に当たって、ウラン廃棄物がこれまで検討されてきた廃棄物と異なる特徴を有することを踏まえ、我が国でこれまでに検討されてきた処分方法や海外での処分事例も参考にすることは重要であり、報告書案でもこれらを考慮して処分方策の検討を行っています。
 具体的には、報告書案第1章3.(2)に「我が国でこれまでに検討されてきた処分方法」、(3)に「国際放射線防護委員会(ICRP)における放射線防護の考え方」、(4)に「海外での処分事例」を記述しており、これらを考慮した上で処分方策の検討を行っています。
→修文なし

従来の処分方法の適用は矛盾している

     
  • 従来の低レベル放射性廃棄物の処分に適用されていた段階管理の考え方が適用できないとしながら、段階管理を前提とした従来の処分方法を適用するのは矛盾している。(45)

 ご指摘のとおり、報告書案第1章4.(3)では「従来の低レベル放射性廃棄物の処分について適用されていた段階的管理の考え方、すなわち、放射性核種濃度の減衰に応じて段階的に管理を行い一定の管理期間後に管理を終了するという考え方が適用できない」としており、したがって、「対象廃棄物については、除染処理による初期濃度の低減化を行い、合理的に可能な限りクリアランスレベル以下のものとすることが重要であるとともに、それ以外の処分の際には長期にわたって管理を継続することなど、管理の在り方についても検討する必要がある」ことを示しています。
 この基本的考え方に基づき、報告書案第1章5.(2)c.「処分場の管理」について記述したとおり、基本的に放射線防護の最適化の観点から考慮されるものとして、長期にわたる管理について、その考え方を示しています。
 処分の方法や処分施設概念については、廃棄物に含まれる放射性核種が生活環境に対して影響を及ぼすことを防止することが基本であり、管理の考え方と直接関係するものではありません。したがって、素掘り処分、コンクリートピット処分などの従来の処分方法に対して、従来と異なる管理の考え方を適用しても問題ないものと考えます。
ご指摘を踏まえ、この点についてより明確にするため、本文を修正します。

広い範囲に分散処理すべき

     
  • 埋設施設の規模がドラム缶100万本相当となっており、1個所に集中して処分する場合は管理の効率を考慮していると思うが、その個所に何等かの異常事態が発生した場合の危険度は計り知れない。ドラム缶1万本相当に縮小し、広い範囲に分散処理することを安全確保の面から提言する。(11)

 埋設施設については、大きな事故の誘因となる事象が起こるとは考えられないような場所に設置することが基本であり、仮に1個所に集中して処分する場合でも、適切な場所に埋設施設を設置するなどの措置を講ずることにより、安全が確保できると考えられます。
 また、処分場への偶然の人間侵入などに対する安全確保策としては、報告書案第1章4.(4)に「対象廃棄物の処分場における定置密度についても、安全確保を検討する上で重要な項目となり得ると考えられる」と記述しています。
 なお、具体的な埋設施設の規模などについては、個別の安全審査により判断されることになります。
→修文なし

安全評価について

長期評価に伴う不確実性について

     
  • ウラン廃棄物はプルトニウムに比べて一見処分が簡単そうに見えて、実はとんでもない難物である。土・水に拡散すればよいというものではない。国土全体のウランとその子孫核種の汚染がうすく広がり、それに合わせて規制がゆるめられる、というような日本にしてほしくない。(22)
  • ウラン廃棄物は、時間の経過による放射性物質の低減が期待できないこと、及び線量評価に関してシナリオ、モデル、パラメータの不確実性という当たり前のことを認めながらも、何ら根拠も示さずに、適切な処分方策を行なうことにより、安全かつ合理的に処分できると結論を出している。(17)
  • ウラン廃棄物は、土にばらまいたり、水によって流出移行すれば、どうにかなる、とは考えないでほしい。移行したものは消えるものでないから、あるいは薄く広く拡散し、あるいは、なんらかの契機によって濃縮、偏在するであろう。人、動植物、バクテリア等への影響は平均的ではなく、想定外のことが起こるだろう。今後、温暖化による異常な降雨による洪水、大地動乱の時代ゆえに津波での一挙流出も考慮に入れねばならない。(23)
  • 長期間の評価に伴う不確実性については、必ずしも処分の潜在的な影響を増幅するものばかりではなく、処分の影響を低減するようなものも存在する。したがって、不確実性の事例として隆起・浸食だけを表記するのは適切ではなく、長期の不確実性については、総合的に判断を行うように努めることが基本となるべき。(29)
  • 放射平衡に達するまでに数十万年もかかる物質を安全に処分できると考えることは、極めて異常ではないか。(42)
  • 可能性の小さい事象は分けて評価するとあるが、どんな事象が発生するか予想できないことは現在明らかになっており、把握できると安易に考えるのは危険である。(44)

 報告書案第1章7.にまとめているとおり、「対象廃棄物に対して除染処理を行うことにより、放射性核種濃度を低減し、クリアランスレベル以下になるものについては、放射性廃棄物として扱う必要のないものとして処分又は再利用」を行い、「それ以外のものについては、濃度などに応じて適切に区分し、それぞれの区分に応じた処分方策を講じる」ことにより、安全かつ合理的に処分することができると考えており、処分の安全性については、線量目標値とそれに基づく濃度基準を遵守することなどにより確保されることになります。
 ウラン廃棄物の場合、ウランの子孫核種が生成及び累積し、数十万年かけて放射平衡に達するため、緩慢にではあるが、線量評価値が時間の経過に伴って増加する潜在的な可能性があることが重要な特徴であり、ウラン廃棄物に対するような長期にわたる評価に当たっては、報告書案第1章4.(4)に示したように、「発生する可能性の小さい事象に対しては、通常考えられるシナリオと分けて考察し線量を評価した上、その評価結果と事象の発生の可能性との関連から、処分の安全性について総合的に評価することも考えられる」としています。
 また、線量目標値の設定に当たっては、報告書第1章5.(2)a.に示したとおり「廃棄物処分による被ばく線量、リスクなどの評価において、地下水の移行に伴う放射性核種の移動などの自然プロセスによって生じる被ばくと、跡地における居住などの人為的事象によって生じる被ばくは区別して検討されるべきであり、それぞれの評価について、評価の長期性に伴う不確実性を考慮した適切なシナリオ、評価期間に応じたモデルやパラメータなどの不確実性を考慮した上で十分な検討が必要である」としています。
 したがって、長期間の評価に伴う不確実性については、幅広い観点から十分な検討が必要であり、今後、原子力安全委員会で議論されるものと考えます。
 ご指摘のとおり、長期の不確実性については、総合的に判断を行うように努めることが基本であり、誤解のないように修文します。

ウラン核種の移行シナリオによる評価について

     
  • 16頁に「長期間経過後においては、地下水移行などによる濃度低減が有意になる」と記されているが、「長期間」とはどの程度か。又地下水移行をどう評価したのか、モデルを公表されたい。(37)
  • 参考資料9でウラン核種の地下水による流出するシナリオを示してあるが、流出した場合、跡地のシナリオの線量評価は1/5になる、としている。これはトレンチ処分の場合であるから、300年後を想定しているのであろうが、流出した4/5のウランはどこへ行ったのか。又300年でウランは4/5流出すると考えているのか。(37)
  • シナリオにより被ばく線量の試算値が低くなる場合が考えられているが、濃度の低下は拡散したことを意味するのではないか。(43)

 報告書案で試算した線量評価は、「素掘り処分の政令濃度上限値評価」に準じて行い、評価モデルもこれを準用して評価しています。ウラン廃棄物の場合、ウランの子孫核種が生成及び累積し、数十万年かけて放射平衡に達するため、緩慢にではあるが、線量評価値が時間の経過に伴って増加する潜在的な可能性があることが重要な特徴であり、参考資料9(図1)における試算結果は、基本的に線量が最大となる時点における線量を示しています。線量が最大となる時期(図2)は、評価シナリオによって異なりますが、5%濃縮ウランの場合、跡地居住・跡地建設シナリオ(移行流出なし)では処分後約20万年、地下水移行シナリオでは処分後約4万年になります。
 ウラン核種の移行を考慮した線量評価については、報告書案第1章6.(2)に、「現行の政令濃度上限値の線量評価においては、減衰による放射性核種濃度の減少のみが考慮されているが、長期間経過後においては、地下水移行などによる濃度低減が有意になる」と考えられ、「したがって、長期間の安全性評価については、このような因子を組み込んだ評価方法を検討し、安全かつ合理的な処分システムの設計に反映することも重要であると考えられる」と記述しており、今後の検討課題として指摘しています。
 ウラン核種の移行を考慮した評価において、試算結果の線量が跡地居住シナリオで、移行を考慮しない場合に比べて約1/5になるということは、線量の最大時(約20万年後)で比較しているものであり、300年後に1/5になるということではありません。したがって、ウラン核種の移行を考慮した評価では、処分されたウランの4/5が約20万年の期間にわたって徐々に移行したという結果になっています。
 ご指摘を踏まえ、誤解のないように参考資料を修文します。

線量目標値について

報告書案に例示した線量目標値に関する賛否

     
  • ICRPの勧告を最大限に活用すべきであり、したがって0.3mSv/yを線量目標値にするのが妥当。放射性廃棄物処分に当っての放射線の影響の防止については、ICRP勧告に準拠した数値を採用することは国際的コンセンサスの枠組となり、異論はないが、当勧告は数年毎に改訂されて来た経緯があることを考えに入れ、かつ諸外国の安全基準等も視野に入れ策定願う。(11)
  • 線量目標値についても人口密度の高い日本ではICRPの0.3mSvより低い基準を早期に決定し、それをもとに各種具体的な検討をすべきである。フィンランドや北欧諸国、スイス、米国等が高レベル廃棄物に対して0.1mSvを設定した例を参考にしてもらいたい。(12)
  • 線量目標値、クリアランスレベルについて、原発反対の政治的な意図により過剰な要求となり、コストアップから結果的に原子力が敬遠されることを避ける。(21)
  • 放射線の規制値は従来、ガンの発生を増やさないことを中心として設定されていると考えられるが、わが国のガンの予防、治療技術は最近急速に進歩していること、ガンの発生が、放射線以外の要因によるリスクが大きいこと、更に放射線被爆医療技術の進歩から、わが国独自の規制値を設定する必要があり、少なくとも現段階では暫定値とすべきであり、定期的に見直すべきである。(21)
  • 「公衆の線量限度の1mSv/年を守ることを基本とし」(p16)とあるが、国際動向の如何にかかわらず、この値あるいはもっと低い価を守り、国民の今後の健康な生活を守ってほしい。(26)
  • 規制除外線量10μSv/年に代る線量としてICRPの0.3mSv/年を想定しているが、きわめて高すぎる。処分時に「拘束値」を導入しても、ピークが数十万年後に来るのであるから、ピークにはその10倍の値となり(資料16ページ)、この「ウラン廃棄物」処分場だけによる被曝線量が上限で3mSv/年となる。これでは後世の人たちに責任はとれない。よって処分時のレベルは10μSv/年にするべきである。(34)
  • これまで低レベル放射性廃棄物の処分方策の検討に当たっては、線量目標値を10μSv/年としてきたにもかかわらず、ウラン廃棄物では0.3mSv/年とした理由を記載すべき。理由がないのであれば、比較のため、10μSv/年を目安値とした場合の処分可能性の検討結果も併せて記載すべき。(46)

 報告書案第1章7.にまとめているとおり、「対象廃棄物に対して除染処理を行うことにより、放射性核種濃度を低減し、クリアランスレベル以下になるものについては、放射性廃棄物として扱う必要のないものとして処分又は再利用」を行い、「それ以外のものについては、濃度などに応じて適切に区分し、それぞれの区分に応じた処分方策を講じる」ことにより、安全かつ合理的に処分することができると考えられます。
 また、処分の具体化に当たって、「今後、廃棄物の処分可能となる濃度基準の設定に当たっては、線量評価の長期性に伴う不確実性を考慮した適切なシナリオ、モデルやパラメータに関する不確実性を考慮すべきである」と同時に、「線量目標値については、適切なシナリオを検討しそれに応じて設定することが必要であり、公衆の線量限度の1mSv/年を守ることを基本とし、国際的な動向なども踏まえて、被ばく管理の観点からは管理することを必要としない低い線量(10μSv/年)に代わる線量目標値を設定することや、評価シナリオの発生の可能性との関連においてその線量目標値を設定することなどが考えられる」としています。被ばく管理の観点からは管理することを必要としない低い線量の目安である10μSv/年については、個人が自分の行動を決定する際に考慮に入れないリスクレベル(10−6/年)に相当する100μSv/年の個人線量を複数の線源を考慮して1/10としたものです。また、報告書案に示されている0.3mSv/年については、ICRPが勧告しているものとして第1章3.(3)に「廃棄物処分からの公衆被ばくの管理に関する拘束値は、1mSv/年以下とすべきであり、約0.3mSv/年を超えない値が適切であろう」と記述しています。0.3mSv/年は例として示した数値であり、線量目標値については、関連する海外における検討や放射性廃棄物処分の安全規制の考え方について国内で行われている検討などを参考にしながら、今後、原子力安全委員会などによって適正に定められるべきものと考えます。
 なお、ウラン廃棄物の場合、ウランの子孫核種が生成及び累積し、数十万年かけて放射平衡に達するため、緩慢にではあるが、線量評価値が時間の経過に伴って増加する潜在的な可能性があることが重要な特徴であり、報告書案の線量評価においては、処分時の線量に線量目標値を導入するのではなく、数十万年後に線量評価値が最大となる時点で線量目標値を適用する試算を行っています。
→修文なし


処分場の管理について

管理の有効性は期待できない

     
  • 線量ピークが数十万年〜百万年(p.資32)では、五十年・三百年の管理や管理の少々の継続では追いつかず、管理不能で、処分は必ず汚染の拡散をもたらす。(22)
  • 潜在的影響が長期間経過後に大きくなることを理由に、制度的管理の維持の重要性を謳うのは、制度的管理の長期にわたる有効性を疑問視する国際的な検討結果に反する。長期間経過後に起こる特定のシナリオの排除を目的として、長期有効性を期待できる制度的管理方法の検討を行うことは適当ではなく、閉鎖後管理についても検討する、という程度の記述にとどめるべきである。(47)

 報告書案第1章5.(2)に記述したとおり、「処分の安全性については、基本的に線量目標値とこれに基づく濃度基準の遵守によって確保されるもの」であるが、「対象廃棄物の特徴を考慮し、偶然に人間侵入が起こる可能性を低減させるため、長期間にわたって土地利用の形態が処分に影響を及ぼさないようにする制度的方策など、処分場の管理について努力が払われることが望ましい」としています。さらに、「このような制度的方策は、基本的に放射線防護の最適化の観点から考慮されるもの」であり、安全確保の観点から制度的管理の長期にわたる有効性を期待しているものではありません。
 その上で、「管理の内容については、覆土の維持管理、地下水のモニタリングなどの能動的管理と、廃棄物処分に関する記録の維持管理などの受動的管理」が考えられ、「これらのうち、処分事業者が対応すると考えられる能動的管理については、有限期間内に終了することになると考えられるが、処分に関する記録の維持管理などの受動的管理については、長期間有効となるようにすることについても検討すべきである」とし、管理の内容やその有効性について、今後の検討課題として指摘しています。
→修文なし

処分に当たって留意すべき事項

介入について

     
  • 「介入」レベルについて、現存年線量10mSv以下を正当化できないレベルとし、100mSv以上を正当化できるレベルとする、ICRPPubli81を参考にしているが、これでは処分場周辺住民に説明はできない。(35)
  • 「介入」は通常、事故時の公衆構成員の防護を目的としている。(Publ60−68)放射性廃棄物処分場における緊急時のレベルにはこの「介入」という概念はなじまない。通常の規制値を超えた時点で行動するのが当然である。(35)
 ウラン廃棄物は、放射性核種濃度などに応じて適切に区分し、それぞれに応じた処分方策を講じることにより安全かつ合理的に処分できると考えており、処分の安全性については、線量目標値とそれに基づく濃度基準を遵守することなどにより確保されることになります。
 ウラン廃棄物の場合、ウランの子孫核種が生成及び累積し、数十万年かけて放射平衡に達するため、緩慢にではあるが、線量評価値が時間の経過に伴って増加する潜在的な可能性があることが重要な特徴であり、ウラン廃棄物に対するような長期にわたる評価に当たっては、報告書案第1章4.(4)に示したように、「発生する可能性の小さい事象に対しては、通常考えられるシナリオと分けて考察し線量を評価した上、その評価結果と事象の発生の可能性との関連から、処分の安全性について総合的に評価することも考えられる」としています。
 報告書第1章5.(4)に記述したとおり、「安全確保方策を合理的に可能な限り取り入れたとしても、長期間を対象とする評価において、シナリオ、モデル、パラメータ、将来の人間の生活様式などの不確実性の影響を完全に払拭することは不可能である」と考えられます。しかしながら、「予測できないような事象が、遠い将来に万一発生したとしても、ICRPなどの考え方に示されているとおり、放射線防護の体系の中には、事故による放射線影響、自然放射線源からの慢性的被ばく及び過去の事象あるいは状況による残留汚染に対して「介入」という概念があり、必要と判断された場合は適切な対応措置をとることが可能である」と考えられることから、報告書案の「処分に当たって留意すべき事項」として「介入」という概念を記述しています。
 なお、介入レベルについては、報告書案では例として「ICRP,Publ.82」を引用していますが、既に、食品が放射性物質に汚染された場合の放射線防護を目的に食品中の基準濃度を策定した「放射性降下物に対する放射能対策暫定指標」などの例があり、そのような介入時の線量指標は通常時とは異なった観点から設定されます。
→修文なし

有害な物質の取扱について

     
  • 原子力委員会が平成10年5月に取りまとめた「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」での放射能以外の有害な物質の扱いに関する主旨は、本ウラン廃棄物に関する報告書案p.14の3段落目に記載された「また、対象廃棄物が、産業廃棄物に対する規制を適用すべき……必要である。」の文章に要約されているものであり、報告書案でのp.18の記述は、p.14と同様な記述に改めるべきである。(1)

 ご指摘の記述については、第1章のウラン廃棄物と異なる点について留意する必要性について述べたものであり、「有害な物質」はその例示として挙げたものです。ご指摘のとおり、例示として必ずしも適切でない点があり、本文を修文します。

技術開発課題について

今後検討すべき技術開発課題

     
  • 処分後の技術開発を積極的に進める事は勿論、長期間の安全性評価の合理的在り方、管理システムの改善および各時点毎に国際的動向を踏まえて、処分処理の見直しが可能な機能を持たすことが重要である。(11)
  • ウラン廃棄物の線量測定方法を改善してほしい。計れなければ計る手段を開発する方針を立ててほしい。廃棄物は決して均一ではない。容器の中央にα・β線量の偏って大きなものが入っていたとしても、外からは分るまい。(28)
  • 処分に関する安全評価において、ウランに限らずどの場合も国際機関の評価パラメータが使用されているケースが多いが、廃棄物処分に関する安全評価パラメータは、国内で可能な限り整備する必要がある。(15)

 今後、処理処分を具体化するに当たっては、より一層の安全かつ合理的な処理処分を目標として、技術開発を行うことが重要であり、報告書案第1章6.において、その内容を記述しています。
 例えば、線量測定方法については、「低濃度(1Bq/g以下のオーダー)の確認が必要になることも考えられ、それに対応できる精度を持ち、適切な測定時間で対象廃棄物の放射性核種濃度を評価する技術及びシステムの検討を行うことが重要である」としており、また、安全評価に関しては、「他の放射性廃棄物に含まれる長寿命放射性核種に係る安全性評価に関する研究開発や、長期間の評価という観点から関連すると考えられる高レベル放射性廃棄物地層処分の研究開発などの成果を参考にしつつ、対象廃棄物の特徴を踏まえた処分の安全性評価などの研究開発に取り組むことも重要である」と記述しています。
 報告書案は、当該廃棄物を安全かつ合理的に処分するための処分方策について基本的考え方を検討したものであり、その中で技術開発の重要性について指摘しています。
→修文なし

技術開発主体を明記すべき

     
  • 「5.技術開発課題への取組」を示す際には、その技術開発主体が誰であるかを明記すべき。(48)

今後の技術開発については、濃縮事業者、再転換・成型加工事業者などの「発生者等」が積極的に取り組むことはもちろんですが、国、大学など、関係者を特に限定せずに、幅広く行っていくことが重要であると考えます。
ご指摘を踏まえ、この点について修文します。

今後の取組に関する事項

今後の進め方について

     
  • ウラン廃棄物処理処分について、安全規制、線量目標値の設定、安全基準の基本的な考え方については、よくまとまっており、この後は、廃棄物処理処分して、最終の処分地の選定を急ぐべきである。(3)
  • こういった実施までの期間を決して急ぐものではなく、じっくりとした期間をおいて十分に研究をしたうえで実行にうつるというようにしなければならない。(5)
  • ウラン廃棄物は2030年時点でドラム缶560,000本にもなると云う。国民が原子力に対し不安を抱く主因ともなっている。早急に処理処分方について決める必要がある。(11)
  • 放射性廃棄物安全研究年次計画にも至急ウラン廃棄物の安全性に関する研究項目を追加し実行して頂きたい。その他必要な具体的事項の検討もスケジュールを明確にして取り組んで頂きたい。(12)
  • 「ウラン廃棄物」を特定しての処理処分に関して、安全性を十分検討されている事は当然の話であり、考え方としては理解できるが、その先の課題は未解決の部分が多いと思う。(19)
  • 廃棄物発生者の顔が全く見えない。責任の在り方と研究体制、そして処分場建設に向けての制度、そして処分費用の積立てを早急に確立すべきである。(36)
  • 試験・探求・研究の段階を乗り越えて、早い時期に確定した処理方法を決めていただく事を切望する。試験研究とを繰り返しながら確かめていく手続きは、文書で公開しても不都合の無い様に、きちんと手順を踏んで遂行願いたい。(50)

 ご指摘のとおり、当該廃棄物の処理処分に向けた早急な取組が必要になる一方で、着実にその取組を進めていく必要があると考えており、報告書案第3章では、責任分担の在り方や処分費用の確保などについて記述するとともに、「4.実施スケジュール」では、「今後の放射性廃棄物全体の処分計画などを踏まえ、実施体制を含めて当該廃棄物の処分計画の明確化及び安全確保に係わる関係法令の整備が行われることが重要である」と指摘しています。また、これと同時に技術開発課題への取組や積極的な情報公開、情報提供についても報告書案に記述しています。
 ご指摘を踏まえ、今後の取組を早急かつ着実に進めることが必要という主旨を本文に追加します。

処分事業の責任は国にもある

     
  • 線量目標値や対象廃棄物のシナリオ通りに設定しても、これが完璧ではなく、何が起こるか分からない。処分事業の責任については、廃棄物の発生者等の責任処分は、当然であるが、国が厳正な規制をして、後は知らぬ顔をすることは出来ない。(3)

 処分事業の責任分担の在り方については、報告書案第3章1.に記述されており、その中で、「国は、当該廃棄物の処分に係る安全基準・指針の整備などを図り、これに基づく厳正な規制を行うとともに、発生者等及び処分事業を行う者が廃棄物の管理や処分を安全かつ合理的に実施するよう、関連法令に基づきこれらの者への指導監督などの必要な措置を講じる」こととし、また、「当該廃棄物の潜在的影響は長期間にわたるため、処分に関する記録の維持管理などの適切な役割を果たすことが必要である」としています。
→修文なし

理解を得るために積極的な情報公開を行うべき

     
  • 表題に直接かかわる部分に問題は無いと思うが、その先の課題は予想以上に多いと思う。安全を認め更に必要性を認識して、計画に賛同できる生活者が多くなるよう周辺整備にも期待する。(19)
  • 情報公開及びその提供について、「必要」とか「不可欠」等の言葉で簡単に済まされている。もう少し厳しいものが欲しい。(4)
  • これまでも識者や専門家の間では数多い安全論が唱えられて来たが、事故は起こっており、その際、極論すれば、国民と立地地域に伝えられる前に、真実が隠されてしまうケースが目立つ。原子力に携わる全ての人々に、是非共積極的な情報公開を周知徹底させて頂きたい。(4)
  • 原子力に対する知識や常識は普通知られていないし、まちがったものが多い。(13)
  • ウラン廃棄物は、今の技術では確実に私たちの世代で消滅することはなく、そして、それは日本だけでなく世界中で起こっている。と、いうことは、より多くの人間が原子力の知識や廃棄物に対する理解がなければ、正しく次世代までその安全性を受け継ぐことは難しいのではないか。(13)
  • 生活者の立場で、要は第3章がどこまで実行されるかが問題。これ程重要な原子力利用を、生活者はどう受け止めているかに問題があると思う。現在の暮らしを支えるエネルギー源が、どのような状況か、多くは知らないままに過ぎており、必要なエネルギー源をどう理解してもらうかについての対策が必要。情報公開とか情報提供の具体策を知りたい。(19)
  • 低レベルにせよ、クリアランスレベルにせよ、もっと合理的な計測方法を開発・開示し、かつすべてのロットについて、計測結果を、だれでも、いつでも知りうるようにしてほしい。(28)
  • これからは専門家や女性による生活エネルギーの講演会など行ったらどうでしょうか、日本人皆んなで考えるエネルギーとして。(30)

 ご指摘のとおり、積極的な情報公開、情報提供については、非常に重要であると認識しており、報告書案第3章6.に記述したとおり、「放射性廃棄物処分事業の実施に当たっては、安全が確保されるとともに、処分事業に対する国民の理解が得られ、国民はもちろん立地地域に受け入れられなければならない」ことから、このためには、「諸制度の整備や実施体制の確立などの一連の取組とともに、放射性廃棄物全体の処分計画を踏まえた安全かつ合理的な処分に関する的確で分かりやすい情報を積極的に提供していくことが不可欠である」と考えています。また、「この際、当該廃棄物の発生者等が多岐にわたること、その処分方策についてもクリアランスをはじめ、当該廃棄物の濃度などに応じて適切に区分した上で、素掘り処分、コンクリートピット処分及び地下利用に余裕を持った深度への処分など複数想定されることを踏まえて、処分事業の各段階において必要とされる情報を分かりやすく提供できるよう体制を整える必要がある」ことを指摘しています。
 なお、原子力や放射性廃棄物に関する情報については、未来科学技術情報館、サイエンス・サテライト、原子力公開資料センター、原子力発電ライブラリなどで入手することができます。また、科学技術庁では全国各地で放射性廃棄物シンポジウムなどを行うことにより、放射性廃棄物処理処分についての情報提供、理解促進に努めています。
→修文なし

ウラン廃棄物に関する具体的な情報を公開すべき

     
  • 科技庁でも、通産省等でも多くの特別会計などによる研究が実施されているが、データがなかなか公開されないのは国にとっても損失である。可能な限り速やかに、タイムリーに、まずは国内に広く公開されることが望ましい。(16)
  • 国内における加工施設や、人形峠の各施設などに関する国内の問題について、具体的な方策や考え方などはデータもなければ、何が問題になるかも書かれていない。これらの国内の問題部分について一覧表などを作成して公開し、具体的にどう考えるのか、議論が必要である。ウランに関する問題をきちっと情報公開する必要がある。(16)

 国の委託による研究成果報告書については、(財)原子力発電技術機構内の原子力発電ライブラリや(財)原子力安全技術センター内の原子力公開資料センターにて閲覧することができます。
 また、報告書案は、ウラン廃棄物を安全かつ合理的に処分するための処分方策について基本的考え方を検討したものであり、個別の具体的事項については言及していませんが、情報公開の重要性については第3章6.で指摘しています。
→修文なし

安全確保に係わる事項

     
  • 第3章の中の3.安全確保に係わる関係法令などの整備について、関係法令の整備、規則、規定等を明文化しても、守らせる安全でなく、守る安全でなければ、安全、安心に結びつかないと考えられる。タテ・ヨコのパイプがいつも風通しの良い状態にしておくことが望まれる。(2)
  • ややもすれば、上意下達になりやすいが、下意上達も大切なので、部下の意見には耳を傾け、良い提案があればほめてあげることが非常に大切なことなので是非実行してほしい。(2)
  • 職務に専念するため、健康管理には十分意をそそいで頂きたい。(2)
  • ウラン廃棄物処分の基本的な考えとしての原子力バックエンド対策については、政府の機関で定めた基準をクリアしているから良いという考え方だけでは不十分であり、もっと学識経験者やこの種の専門的な分野にたずさわっている方々の協力を十分にふまえたうえで実行するようにしなければならない。(5)
  • 放射性廃棄物の処分に係る維持管理等の責任分担や、処分場閉鎖後の安全は、本当に確実的なものか。(13)
  • 現在の技術の全てを投じても、核施設での無事故は先ずあり得ない。起こり得る事故ならば、全国民が納得できる事故処理が不可欠であり、事故対策さえ完ペキならば、廃棄物処理も間違いないであろう。(4)
  • 高レベル放射性廃棄物の処分についてはガラス固化体にして、地下100m以内に地層処分する。現在検討されている地下数100mの深地層での処分については、地下岩石地下水の調査研究が未定の状態で行うのは危険が多く、安全性を考えると認められない。深地層について調査研究が充分に行なわれた後に、核種濃度に応じた合理的な処分を行うことが必要である。(11)

 ウラン廃棄物は、放射性核種濃度などに応じて適切に区分し、それぞれに応じた処分方策を講じることにより安全かつ合理的に処分できると考えており、処分の安全性については、線量目標値とそれに基づく濃度基準を遵守することなどにより確保されることになります。
 今後、処分の具体化に当たっては、報告書案第3章に記述した、「責任分担の在り方と実施体制」、「処分費用の確保」、「安全確保に係わる関係法令などの整備」などについて、濃縮事業者、再転換・成型加工事業者などの「発生者等」が自らの役割を十分認識し、報告書案の主旨を十分踏まえて、努力していくことが重要と考えます。
 なお、処分方策の検討に当たっては、専門部会での審議に資するため、ウラン廃棄物の特徴に鑑みた広範な分野の専門家による分科会を設置しています。
→修文なし

報告書全体に関するご意見

処分の考え方をもっと具体的に示すべき

     
  • これまでに示された「処分の考え方」に比べて多くの項目が検討事項として挙げられているが、基本的考え方のみで国内の現状の具体的な解決策等が不足している。具体化については、p19、責任分担のあり方に発生者責任が唱われているが、国による見方、考え方を具体的に示すことは難しいのか。(16)

 報告書案は、ウラン廃棄物を安全かつ合理的に処分するための処分方策について基本的考え方を検討したものであり、具体的な事項まで言及していませんが、今後の技術開発課題については報告書案の第1章6.に記述しているとともに、今後の取組に当たっては、第3章に処分事業の責任分担の在り方、諸制度の整備などについてまとめて記述しています。
→修文なし

報告書本文の記述について

     
  • 放射性廃棄物処理全体の体系がよく分らないので、簡潔に示すことが望ましい。
    ウラン廃棄物、対象廃棄物、当該廃棄物等の記述を統一できないか。
    全体的に、その結論を補足する説明が、蛇足的、繰返しでくどくどと分かりにくい。
    あいまいな表現はできるだけ避け、明確に規定するだけの権威がほしい。
    ICRPの引用は、なぜ仮訳なのか、最初の一節は全く意味がつかめない。
    p3の「有意に含まれていない」の表現もよく分らない。
    p5の有効利用や、処理の技術開発などは、本文中でもっと力説してほしい。(20)

 ご指摘を踏まえ、必要に応じて修文します。

参考資料について

     
  • 資32ページの参考資料9の添付図について、1つの図に多くの情報を入れるための苦労が感じ取れるが、これをわかりやすくする工夫を期待する。図1の題「ウラン濃縮度等及び評価シナリオによる線量比較と経時変化例(5%濃縮U跡地居住流出なしのみ)」も図の理解を妨げるものとなっているように思う。(9)
  • 参考資料9として示されている線量試算例は、最も安全側のものなのかどうか不明である。参考資料7にあるICRPの文書は、日本語としては最悪に近い文章である。(17)
 ご指摘を踏まえ、必要に応じて修文します。

用語解説について

     
  • 「地下利用に余裕を持った深度への処分」について、本文中に多数回用いられていることから、用語解説に取り上げてはどうか。(8)
  • 用語解説の「浅地中処分」では、「地下利用に余裕を持った深度への処分」に相当する概念として、「地下数十mの岩洞への処分を含む処分概念」と具体的に示されており、「一般的と考えられる地下利用に対して十分余裕を持った深度(例えば50〜100m程度)への処分」の用語解説に関しては、具体的な例を示すなり、「浅地中処分」との整合性を考慮してはどうか。(8)
  • 用語解説にある「ウラン濃縮度」の説明も明らかにおかしい。(17)

 ご指摘を踏まえ、必要に応じて修文します。

意見募集について

     
  • 基本的考え方についての報告書案に対する意見募集期間がなぜこんなに短かいのか。本当に意見を広く聞く、聞き入れるつもりならば、情報公開の方法をもっとよく考えて、TV等のメディアを利用して、真剣に議論が必要ではないか。(14)
  • 意見募集をされるだけで少しも考え方に反映されないのでは意見をだす気をなくす。ただ意見募集を形式上やっているにすぎない感を強くうける。(51)

 本専門部会においては、原子力委員会決定「原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民の参加の促進について」(平成8年9月)に基づき報告書案を公開し、これに対する意見を募集することとしています。これまでに「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」などの報告書をいずれも30日間公開し、それぞれ数十〜百数十人の方々からご意見をいただいており、それらの意見に対して公開の専門部会でその対応を検討した上で回答を作成し、必要なものについては報告書へ反映してきました。このような「報告書案に寄せられたご意見」や「報告書案に対するご意見と回答」についても、報告書と同様に公開されています。
 本報告書案についても、本年10月6日より30日間意見募集を行い、26人の方々から52件の様々なご意見をいただきました。また、意見募集に当たっては、インターネット上のホームページへの掲載や、意見募集期間中に全国各地で行われた科学技術庁主催の放射性廃棄物シンポジウムにおいて報告書案が入手できるように展示するなど周知に努めました。
→修文なし
その他

原子力政策について

     
  • 核燃料のリサイクルは、資源の乏しい我が国に絶対必要である。(4)
  • 原子力エネルギーは諸刃の剣である以上ゆりカゴから墓場までの確信がなければ利用してはならない常に経済問題だけでなく人類滅亡につながる大問題である。(10)
  • 発生量の抑制という大前提に立てば、原子力発電、再処理を含む核燃料サイクルの終止へと向かうしかない。(17)
  • 今後の経済活動は持続可能なエネルギー資源の枠組みの中で最適化を追求する必要があり、あらゆるエネルギー資源を最大限有効に活用することが重要である。(21)
  • 半減期が45億年もの物質は人間の手におえない事は明らか。発生量の抑制が大前提とかかれてあるがウランをほりだす事使う事をまずやめることこそ最も大切。(51)
  • 原発を推進した人たちの責任はどのように問われるのか。(51)
  • 基本的には、化石燃料に代わる発電を追求すべきである。クリーンやCO2を考えれば、太陽光や、風力発電、地熱発電をもっと追求すべきである。(52)
  • 従来ICRPの勧告案の日本での施行が10年以上遅れていたがそういうことはもう許されることではない。(12)


高レベル放射性廃棄物について

     
  • プルトニウムを取り出した際に出た廃液はステンレス製の容器に流し込み冷却のため50年程度貯蔵した後、地下数百メートル以深の安定した地層中の岩盤に埋設する。(2)
  • 高レベル放射性廃棄物と言えども、エネルギー資源としての有効活用を図るべきで、ガラス固化は冷却が終了する30年乃至50年後に是非を見直すべきである。具体的には、環境改善のための酸化チタン触媒活性エネルギーへの活用、RI電池等が考えられる。(21)

劣化ウランの環境汚染について

     
  • ウラン産業の出した劣化ウランに対して国内外の懸念事項を精査・対策するとともに、ウラン産業・医療・研究所以外の民間・自衛隊から出てくる劣化ウランのゴミがないか、検討してほしい。(24)
  • 米国や英国では劣化ウランが堂々と再利用され、被曝や環境汚染が問題になっている。日本国内での劣化ウランの使用状況を科技庁や通産省、厚生省(医療用)、運輸省(航空機の翼等)などは把握しているのであろうか。劣化ウランや減損ウランを当然「ウラン廃棄物」に加えるべきである。(32)
  • 劣化ウランによる慢性疾患について情報公開・調査研究・障害の予防に十二分の配慮をされたい。(24)


安全に関する事項

     
  • ロボットは教えられたことしか出来ないが人間は感情がある。早くしろと云われたとたん教えられたことを間違えて早く処理する可能性が多分にある。それが殆んど初歩的なミスにつながると思う。(10)
  • 阪神・淡路大震災では、工場・研究所・病院などのRIは倒壊、炎上に巻き込まれて行方不明となったはずである。また、人工核分裂ではないが、チタン精練にともなう鉱滓(ウランを含む)が当地近傍では問題にされている。(27)
  • 数しれぬ事故かくし・トラブルかくし・ねつ造とそのチェック不全……私たちの疑念は、ふくらみ放しである。(28)
  • 資料を読めばよむ程に科学の世界が迷路のごとく遠いものになってしまう。使ったものは当然片付けをする。簡単な発想から、原子科学を知り日本の地質学を学ぶことから始める。(30)
  • 原子力発電所に比べると世間で注目されていない医療機関や研究施設からの廃棄物は監視が甘いと言われ、一般廃棄物への混入や、環境中に捨てられていることが珍しくないと聞いている。(39)
  • ウラン廃棄物を発生させる事業体及びその監督官庁は、必ずISO9000を導入していただきたい。(50)