資料(専)34-4 |
地層処分の是非
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地層処分という方針を国民に問うことについて
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(回答)
原子力発電により社会生活を維持している現世代は、高レベル放射性廃棄物処分について後世代に先送りすることなく、今できることについて、早急に着手する必要があります。
高レベル放射性廃棄物は、長期にわたり放射能のレベルが高いため人間の生活環境から隔離して安全に処分する必要があり、その処分方法について長年、各国及び国際機関において様々な可能性が検討されてきた結果、地層処分以外の処分方法については実現にあたっての問題が多いことから、現在、我が国を含めて国際的に、最も好ましい方策として地層処分が共通の考え方になっています。
我が国では、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月)」(以下、「原子力長計」という)に示されているとおり、「高レベル放射性廃棄物は、安定な形態に固化した後、30年間から50年間程度冷却のための貯蔵を行い、その後、地下の深い地層中に処分すること(以下「地層処分」といいます。)を基本的な方針」としています。
これを踏まえて、平成7年9月に原子力委員会は、高レベル放射性廃棄物処分の円滑な実施への具体的取組に向けた国民の理解と納得が得られるよう、社会的・経済的側面を含め、幅広い検討を進める「高レベル放射性廃棄物処分懇談会」を設置し、精力的に調査審議を行いました。処分の基本的考え方について報告書を取りまとめるに当たっては、意見募集を実施するとともに、意見発表者62名、一般傍聴者741名の参加を得て、全国5ヶ所(大阪、札幌、仙台、名古屋、福岡)において、高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組に関する意見交換会を開催しました。加えて、電力の大消費地である首都圏の方々と意見を交換する場を設けるなどしています。
このように、高レベル放射性廃棄物を地層処分することについては、技術的な検討と並行して、社会的・経済的な側面を含めた幅広い検討が行われてきております。
なお、平成12年5月には、処分実施主体の設立や事業資金の確保策等を柱とする「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(平成12年 法律第117号)が第124回通常国会で成立しました。
地層処分の着実な実施について
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(回答)
地上での長期管理について
(回答)
(対応)
地層処分可能という前提で評価を行うべきではない
(回答)
第2次取りまとめの仕様、技術、手法で地層処分を実施するわけではない
(回答)
地層処分の最終目標は、長期安全性の確保である
ご指摘のような、地表において廃棄物を超長期にわたって管理するという考え方については、将来の世代にまでも廃棄物を監視し続ける義務を課し、また、将来社会が安定で制度が維持できるという仮定に立ち、戦争や革命などの人間による災害にも脆弱であると考えられています。
その他の処分方法については、宇宙空間への処分は事故が起きた場合のリスクが大きく、南極の氷床への処分は南極条約により、海洋底又は海洋底の堆積物中への処分はロンドン条約によってそれぞれ禁止されています。このように、地層処分以外の処分方法については実現に当たっての問題が多いことから、現在、わが国を含めて国際的に、最も好ましい方策として地層処分が共通の考え方になっています。
上記のような検討を経て、我が国では、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月)」(以下、「原子力長計」という)に示されているとおり、「高レベル放射性廃棄物は、安定な形態に固化した後、30年間から50年間程度冷却のための貯蔵を行い、その後、地下の深い地層中に処分すること(以下「地層処分」といいます。)を基本的な方針」としています。
長期管理に関するご指摘があったことを踏まえて、高レベル放射性廃棄物地層処分に関する国際的な検討の経緯を参考資料として添付いたします。
<評価の位置付け>
高レベル放射性廃棄物は、長期にわたり放射能のレベルが高いため人間の生活環境から隔離して安全に処分する必要があり、その処分方法について長年、各国及び国際機関において様々な可能性が検討されてきました。しかし、宇宙空間への処分は事故が起きた場合のリスクが大きく、南極の氷床への処分は南極条約、海洋底又は海洋底の堆積物中への処分はロンドン条約によってそれぞれ禁止されています。また、地表において廃棄物を超長期にわたって管理するという考え方は、将来の世代に廃棄物を監視する義務を課し、また、将来社会が安定で制度が維持できるという仮定に立ち、戦争や革命などの人間による災害にも脆弱であると考えられています。
このような検討を経て、地層処分以外の処分方法については実現にあたっての問題が多いことから、現在、我が国を含めて国際的に、最も好ましい方策として地層処分が共通の考え方になっています。
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発は、昭和51年の原子力委員会決定を始点として、動燃事業団をはじめとする機関において着実に実施されてきました。平成4年9月には、動燃事業団が「高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術報告書-平成3年度-」(いわゆる第1次取りまとめ)を作成したのを受けて、原子力委員会は、放射性廃棄物対策専門部会における検討の結果、平成5年7月に、我が国における地層処分の安全確保を図っていく上での技術的可能性が明らかにされているとの評価を示すとともに、2000年前まで予定されている動燃事業団による第2次取りまとめ、国によるその評価等を通じ、研究開発の進捗状況を見極め、研究方策をさらに評価検討することが必要であるとしています。平成9年4月、原子力バックエンド対策専門部会は、専門部会報告書を作成し、地層処分を我が国に適用していくに当たって基本となる技術的考え方、第2次取りまとめに盛り込まれるべき事項及び第2次取りまとめに向けて実施すべき技術的重点課題を示しました。
これらを踏まえ、「Ⅰ.評価の位置付け」に示したように「この研究開発が、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり、地層処分の実現に向けての基盤技術的なものであることに留意」して評価を行いました。具体的には、①我が国の地質環境、②地層処分の工学技術、③地層処分システムの安全評価の各研究分野ごとに、専門部会報告書で示している第2次取りまとめに盛り込むべき事項や技術的重点課題等への対応について技術的に詳細な検討を行い、次に、これらの結果に基づいて、我が国における地層処分の技術的信頼性についての総合的な評価を行いました。
その結果、「Ⅱ.1.(1) 4)地層処分の技術的信頼性についての総合評価」において、「第2次取りまとめには、我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性が示されているとともに、処分予定地の選定と安全基準の策定に資する技術的拠り所となることが示されていると評価する。このことから、第2次取りまとめは地層処分の事業化に向けての技術的拠り所となると判断する。」としたものです。
本報告書案では、「Ⅰ.評価の位置付け」に「この研究開発が、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり、地層処分の実現に向けての基盤技術的なものであることに留意」して検討を行ったことを明記しています。
評価は、具体的には、①我が国の地質環境、②地層処分の工学技術、③地層処分システムの安全評価の各研究分野ごとに、専門部会報告書で示している第2次取りまとめに盛り込むべき事項や技術的重点課題等への対応について詳細な検討を行い、次に、これらの結果に基づいて、我が国における地層処分の技術的信頼性についての総合的な評価を行いました。その結果、「Ⅱ.1.(1) 4)地層処分の技術的信頼性についての総合評価」において、「第2次取りまとめには、我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性が示されているとともに、処分予定地の選定と安全基準の策定に資する技術的拠り所となることが示されていると評価する。このことから、第2次取りまとめは地層処分の事業化に向けての技術的拠り所となると判断する。」としたものです。
評価は妥当である
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(回答)
第2次取りまとめに向けた研究開発の取組は、サイクル機構を中核として、日本原子力研究所、地質調査所、防災科学研究所、電力中央研究所、大学、民間企業などが、専門的知見を生かした適切な役割分担の下に、国際協力も積極的に進めつつ行ってきました。
「Ⅰ.評価の位置付け」に示したように、評価に当たっては、「この研究開発が、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり、地層処分の実現に向けての基盤技術的なものであることに留意」して検討を行いました。具体的には、①我が国の地質環境、②地層処分の工学技術、③地層処分システムの安全評価の各研究分野ごとに、専門部会報告書で示している第2次取りまとめに盛り込むべき事項や技術的重点課題等への対応について詳細な検討を行い、次に、これらの結果に基づいて、我が国における地層処分の技術的信頼性についての総合的な評価を行いました。報告書案の取りまとめに当たっては、簡潔を旨として記述しています。
また、専門部会の審議に資するため、23名の専門家からなる「地層処分研究開発第2次取りまとめ評価分科会」を設置して、平成11年12月から平成12年7月までに、分科会を8回、地質環境、処分技術、安全評価の各分野について、関係分科会員で設けられたサブグループ会合を合計13回開催しており、審議の状況については、公開の専門部会において適宜報告を受けています。分科会委員は、地質学、地球化学などの科学的研究領域から、材料、土木などの工学的研究領域まで広範な研究領域の分野の専門家で構成しています。
さらに、本年8月8日、9日には国内外の専門家を中心に幅広く意見交換を行う国際ワークショップを参加者を公募して開催するとともに、報告書案に対する意見募集を行うなど、審議の公平性・透明性の確保に努めています。
具体的な評価は、「Ⅱ.2.各研究開発分野について」で行っていますが、結論としては、「Ⅱ.1.(3)総合的な評価」に示したように、第2次取りまとめの研究成果は「我が国の地質環境、地層処分の工学技術及び地層処分システムの安全評価の3つの研究開発分野における成果について、それぞれの関連する技術的知見を総合的に検討したことにより得られており、専門部会報告書で示した技術的重点課題等が適切に達成されているとともに、我が国における地層処分の技術的信頼性が示されている」と判断できると考えます。
(対応)
専門部会報告書で示している第2次取りまとめに盛り込むべき事項や技術的重点課題等への対応を評価するに当たって、第2次取りまとめとの対応をまとめた資料を参考までに添付いたします。
報告書の構成について
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(回答)
ご指摘のような構成も含めて、報告書の構成は様々な形態が考えられますが、本報告書案では、原子力委員会の見解にあるように、第2次取りまとめは我が国における地層処分の技術的信頼性を示すとともに、処分予定地選定及び安全基準の策定に資する技術的拠り所を与える重要なものであることから、「1.総括」において概括的な評価結果を記述するとともに、具体的な評価は「2.各研究開発分野について」において記述する構成としました。なお、ご指摘のような誤解を生じないよう、「1.(1)地層処分の技術的信頼性について」の中で、具体的な評価は「2.各研究開発分野について」において行っていることを記述しています。
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(回答)
本報告書案では、我が国の地質環境の長期安定性について「Ⅱ.2.(1)我が国の地質環境」において具体的に評価した結果、第2次取りまとめでは、「地震・断層活動、火山・火成活動のような急激かつ局所的な天然現象については、活動地域の時間的な変化や地質環境への影響に関する過去の事例調査の知見に基づき、その活動及び影響の範囲が限定されること」、「隆起・沈降・侵食、気候・海水準変動のような緩慢かつ広域的な現象については、変動の規模及びその地域性や周期性に関する知見に基づき、個々の地域における変動量が概ね推定できることから、想定される変動を考慮して、地層処分システムの設計や安全評価に反映できること」、「ナチュラルアナログとしてのウラン鉱床の調査研究では、上述の天然現象の影響を被った地質環境の長期安定性が実際に保たれる具体例」などが示されていると考えます。これらのことから、「地質環境の長期安定性について、地下深部の地質環境への天然現象の影響の程度とその範囲についての事例研究の成果が取りまとめられており、これらの成果に基づいて我が国においても地層処分にとって安定な地質環境が存在し得る」と判断できると考えます。地質環境の長期安定性についての成果「処分地選定に至る過程の各段階において評価すべき項目や必要となる地質環境に関する情報並びに各情報を取得するための調査手法や機器が整理して示されている」と考えます。なお、予測の期間が長くなるにつれて予測の不確実性が増すことについては、安全評価において検討し、「地質環境が変動することを想定した地下水シナリオを設定して評価を行い、地質環境の将来挙動に係わる不確かさの影響が定性的/定量的に検討されている。」と考えます。
欧米の安定大陸の地質環境と比較すべき
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地震の影響について
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(回答)
地下深部の岩石や地層及び処分場に対する地震の影響としては、断層活動による破断・破砕と地震動による揺れの影響が考えられます。本報告書案では、断層活動による破断・破砕については「主要な活断層の分布や活動履歴などの調査結果からその活動及び影響の範囲が限定できることが示されており、断層活動による重大な影響が及ばない地域が我が国に存在し得ることが示されている」としています。また、地震動による揺れについては「事例研究に基づき、地下深部では地震動による影響が地表付近に比べて小さいことが示されている」としています。これらのことから、「場所が特定されていない現段階において地震・断層活動による重大な影響が及ばない安定な地域が我が国に存在し得ることが科学的根拠に基づいて示されている」と判断できると考えます。
火山の影響を予測することはできない
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(回答)
火山噴火が今後何時起こるかを予測することは現状では困難ですが、それらの起きる場所に関して、第2次取りまとめにおいて火山や周辺の溶岩・火砕流等の分布の調査に加えて年代測定を行うことにより、いつどこで噴火したのか、その影響の範囲はどのくらいかを把握できるとされていることを踏まえて評価を行っています。その結果、報告書案「Ⅱ.2.(1)我が国の地質環境」に示したとおり、第2次取りまとめでは、「火山の活動履歴の調査結果から、火山・火成活動及びその熱的影響等の範囲が限定されることが示されており、火山・火成活動の著しい影響が及ばない地域が我が国に存在し得る」と判断できると考えます。
大きなカルデラをつくる火山活動や火山の将来予測について
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(回答)
報告書案で示したとおり、第2次取りまとめでは「火山の活動履歴の調査結果から、火山・火成活動及びその熱的影響等の範囲が限定されることが示されており、火山・火成活動の著しい影響が及ばない地域が我が国に存在し得ることが示されていると判断できる。」と考えており、ご指摘の点を考慮しても、適切な距離を確保することによりその影響範囲を避けることが可能と考えます。
なお、「今後の取組に当たって」において、「今後行われる処分地選定に当たっては、(中略) 地球科学分野の最新の研究成果を踏まえ、適宜知見を反映していくことが望まれる」とするなど、今後取り組むべき課題を例示して、研究開発の方向性を示しています。
活断層や火山から離れていれば安全とはいえない
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(回答)
活断層や火山以外に、長期にわたって地殻に不安定性を与える要因として、地盤の隆起・沈降・侵食があります。本報告書案で示したとおり、第2次取りまとめにおいて「隆起・沈降・侵食については、将来にわたっての変動量を推定することが可能であること、また、変動量の著しい地域をあらかじめ避けることが可能であることが示されており、その上で、個々の地域で予想される影響を考慮して処分場の設置深度を設定するなど、処分場の設計により、著しい影響を避けることができる」と考えます。
人間活動による地球温暖化の影響を考慮すべき
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(回答)
本報告書案では、ご指摘の人間活動による気候の変動に関しては、第2次取りまとめにおいて人為的な地球温暖化についても自然界での変動幅の中に含まれるものとして検討されていることを踏まえて評価を行っています。その結果、本報告書案に示したように、「気候・海水準変動については、想定される変動幅が推定できることから、これに基づいて、個々の地域で予想される影響を評価し、適切に対処をはかることができる」と考えます。
また、本報告書案では、「今後の取組に当たって」において、「地球科学分野の最新の研究結果を踏まえ、適宜知見を反映していくことが望まれる。」として、地球科学分野で得られる新たな知見の反映を提言しています。
塩淡境界の評価方法について
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(回答)
ご指摘のような淡水・塩水分布の評価については、本報告書案の「Ⅰ.評価の位置付け」において、「評価に当たっては、この研究開発が、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり、地層処分の実現に向けての基盤技術的なものであることに留意」したことを明記しています。その上で、本報告書案では、海水準変動が地質環境に及ぼす影響については、「シミュレーション解析を取入れた評価が可能であることが示されている。」と考えます。
実測データの取扱いについて
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(回答)
本報告書案では、第2次取りまとめにおいて深部地質環境の実測データとして釜石鉱山及び東濃地域におけるデータに加えて既往の文献データや全国的な深層ボーリングデータなどもあわせて検討が行われていることを踏まえて評価しています。その結果、本報告書案に示したように、「現在までに得られている科学的な知見に基づいて、地層処分にとって重要な地質環境上の要件が整理されており、実際にあり得る深部地質環境を考え合わせることにより、その要件を満たす地層が我が国に存在し得る」と判断できると考えます。
なお、報告書案の「今後の取組に当たって」において、「深地層の研究施設等を活用して深部地質環境の特性に関するデータを引き続き蓄積することも重要である。」など、今後取り組むべき課題を例示して、研究開発の方向性を示しています。
我が国の地下岩盤の初期応力状態について
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(回答)
岩盤の初期応力分布について、本報告書案においては、第2次取りまとめでは、「処分地選定に至る各段階において考慮すべき地質環境条件については、人工バリアの設置環境としては、一般的には、応力状態が均質に近く、地温が高すぎないことが好ましい条件として示されて」いるとしており、応力分布が均質であると述べているわけではありません。
なお、「今後の取組に当たって」において、「今後行われる処分地選定に当たっては、各段階において、地層処分の工学技術及び地層処分システムの安全評価と関連付けた、地表から地下深部までの調査の体系化を図ることが重要である」とするなど、今後取り組むべき課題を例示して、研究開発の方向性を示しています。
データを充実して信頼性を向上させるべき
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(回答)
報告書案では、「今後の取組に当たって」において、「引き続き、地層処分の技術的信頼性をさらに向上することに努めることが重要である。」「地球科学分野の最新の研究結果を踏まえ、適宜知見を反映していくことが望まれる。」として、今後も新たな知見を反映し、さらなる信頼性の向上に努めていくことが重要であることを提言しています。
ナチュラルアナログ研究成果の評価について
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(対応)
報告書案p16「地質環境には本来的に物質を長期にわたって保存する機能が備わっていることが示されている。」を、「地質環境条件によっては、地質環境が物質を長期にわたって保存する機能を有することが示されている。」
と修文します。
地層処分に適した地層の選定について
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(回答)
本報告書案の「第Ⅱ章2.(1)我が国の地質環境」において、我が国の地質環境について具体的な評価を行っており、評価の結論として「我が国においても地層処分にとって安定で、適切な地質環境を有する地域が存在し得ることが示されており、そのような地質環境を選定するために必要となる調査手法や調査機器についても、その技術的基盤が整備されている」と考えます。
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(回答)
ご指摘のようなオーバーパックの腐食や緩衝材の性状変化、地下水の挙動などの長期的な評価については、本報告書案の「Ⅱ.2.(2)4)人工バリアの埋設後の健全性」において示したように、第2次取りまとめにおいて「熱-水-応力連成解析による再冠水時の人工バリア挙動、岩盤の長期クリープやオーバーパックの腐食膨張を考慮した人工バリアの長期構造力学安定性、人工バリアの耐震安定性、ガス移行の挙動、緩衝材の周辺岩盤内への流出挙動について、実験室規模の試験や工学規模の試験によって検証された評価解析モデルを用いて解析評価を行い、人工バリアの埋設後の健全性が確保されることが示されて」おり、その評価結果も妥当であることから、人工バリアの埋設後の健全性に関する検討は十分に行われていると判断できると考えます。
また、安全評価に当たっては、オーバーパックの破損時期が、設計仕様である1000年間経過後という想定より早くなる場合や長くなる場合も想定して解析が行われており、オーバーパックの健全性の裕度についても検討されていると考えます。
なお、高レベル放射性廃棄物の地層処分とは、数百mより深い安定な地下深部に、適切な人工バリアと、天然の岩盤・地層からなる天然バリアを組み合わせることにより、廃棄物を生活環境から隔離し、長期的な安全性を確保することをいいます。
ガラス固化体の発熱量について
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(回答)
我が国では、原子力長計に示されているとおり、高レベル放射性廃棄物は、安定な形態に固化した後、30年間から50年間程度冷却のための貯蔵を行い、その後、地層処分することを基本的な方針としています。
本報告書案では、第2次取りまとめにおいて国内及び海外の再処理工場で製造されるガラス固化体の仕様を参考に、冷却のための貯蔵期間、発熱量、放射能などの前提条件が検討されていることを踏まえて評価を行いました。その結果、報告書案において「Ⅱ.2.(2)地層処分の工学技術」に示したように、第2次取りまとめでは「処分場レイアウトの設定については、基本的考え方、考慮すべき事項等を検討した上で、それらに基づいて我が国の硬岩系及び軟岩系岩盤のそれぞれのケースについて、処分場レイアウトの設計例が示されており、空洞の力学的安定性や緩衝材の熱的安定性についても、有限要素法等の適用実績が多く、妥当な解析手法により詳細に検討・評価されている」としているように、ご指摘のようなガラス固化体の発熱量の仕様を考慮しても、処分施設の設計に関する検討は十分に行われていると判断できると考えます。
処分場の建設、操業技術について
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(回答)
報告書案において「Ⅱ.2.(2)地層処分の工学技術」に示したように、第2次取りまとめでは、「我が国の地質環境として硬岩系及び軟岩系の岩盤を考慮し、現状の技術に基づいて設計要件を明らかにするとともに、数値解析手法による詳細な解析に基づいて、坑道の力学的安定性の検討が行われ、支保工を含めたアクセス坑道、主要坑道、連絡坑道、及び処分坑道の仕様が例示」されていることなどから、「現状技術及び近い将来実現すると考えられる技術を用いることにより、我が国の地質環境条件を前提として対応できることが個別の要素技術の検討に基づいて示されており、現実的な工学技術によって合理的に処分場を構築できる見通しが得られた」と判断できると考えます。
なお、海外における堆積岩層での地下研究施設の例として、アメリカのユッカマウンテンにおける、地下約300mの凝灰岩層での地下研究施設(Exploratory Studies Facility: ESF)や、ベルギーのモルにおける、地下約220mの粘土層中での地下研究施設(High Activity Disposal Experimental Site: HADES)があります。
地層処分の工学技術の総合的な信頼性について
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(回答)
報告書案において「Ⅱ.1.(1)2)地層処分の工学技術」に示したように、結論としては、「安全を確保するための信頼性の高い処分場についての設計要件が提示されていることから、処分場の設計に当たって、その地質環境に特有な条件を抽出して詳細な検討を行うことによって、現実的な工学技術により合理的に処分場を構築できる見通しが得られたもの」と判断できると考えます。
なお、本報告書案において「今後の取組に当たって」に示したとおり、「建設・操業・閉鎖技術については、地下深部で適用できることを確認するため、処分孔の掘削、廃棄体や緩衝材の遠隔操作を含む搬送、定置作業などについて、深地層の研究施設や選定された処分地における実規模試験での実証を行うことが重要である」とし、今後取り組むべき課題を例示して、研究開発の方向性を示しています。
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(回答)
海外レビューの結果及び対応については、本専門部会に、サイクル機構より報告を受けており、海外レビューの結果も評価の参考として活用しました。
第2次取りまとめでは、OECD/NEAによるレビューにおける指摘を踏まえて、新たな断層が発生する可能性及び処分場を横切るような断層が生活環境に及ぼす影響の大きさを検討しており、その結果、処分場に直接影響を及ぼすような活断層の発生確率が小さく、線量の解析結果は我が国の自然放射線レベルを大きく超えないことが示されており、妥当と判断しました。
(対応)
新たな断層が生じた場合の影響について検討されていることを追記します。
モデルの不確実性について
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(回答)
ご指摘のようなモデルの不確かさについては、本報告書案において、「Ⅱ.2.(3)地層処分システムの安全評価」に示したように、「地下水シナリオの解析に当たっては、我が国の深部地質環境特性に関するデータとそれを踏まえて設計された人工バリア仕様にもとづいて、地層処分システムに期待される性能が継続することを前提とした解析と、データ及びモデルの不確かさを考慮した感度解析により、基本シナリオ体系における線量評価結果の変動幅が示されている」と考えます。
さらに、第2次取りまとめでは、「岩盤の亀裂の不均質性を考慮した地下水の流れ、地下水の化学特性を熱力学データと平衡論により考慮した地球化学特性、力学的な影響及び熱的・化学的な影響を考慮した人工バリアの性状の変化、掘削の影響や岩盤の空隙構造の不均質性を考慮した物質移動などニアフィールド性能評価の主要なモデルに関して、現時点で適用可能な現象のモデル化及びモデルを用いた解析・評価が行われており、解析結果と実験結果に基づいてモデルの妥当性が確認されるなど、個々のモデルの信頼性を高めるための検討が行われている」と判断できると考えます。
ご指摘のような、モデルの不確かさについては、「今後の取組に当たって」において、評価結果の信頼性を更に向上させるために取り組むべき課題として、「データ間の相関や入力値のばらつきの評価結果への影響等の詳細な検討、地層処分の各段階において、実測値との比較による信頼性の確認及び実際の場所の特性を精度良く再現できるモデルの確立」などを例示して、研究開発の方向性を示しています。
計算に用いたデータの妥当性について
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(回答)
ご指摘のような安全評価に用いる地下深部のデータについては、本報告書案において「Ⅱ.2.(1)我が国の地質環境」に示したように、第2次取りまとめには「天然バリアとしては、動水勾配や透水性に着目し、地下水を媒体とする核種の移行が十分に低く制限できる水理学的状態であることを確認する必要があること」が明らかにされた上で、「事例研究等に基づくこれまでの知見から、地下深部では一般的に、動水勾配や透水性が低く、人工バリア中に浸透する地下水の量や速度が小さいことなど、地層処分システムに適した条件が満たされ得る」ことが示されていると考えます。
本報告書案では、第2次取りまとめにおいて地下水流速がより大きくなった場合の安全性への影響も考慮して解析されていることを踏まえて評価を行っており、その結果、「Ⅱ.2.(3)地層処分システムの安全評価」に示したように、地層処分システムの評価解析に当たっては「地下深部の現象の影響を考慮して、上記で構築されたモデル体系と文献調査や研究成果に基づき整備されたデータを用いて、シナリオ、モデルの前提及びデータの不確かさを考慮した解析が実施されており、場所を限定しない現段階においては、地層処分システム全体の解析が十分行われている」と判断できると考えます。
なお、解析の信頼性向上のため、データの取得に努めることが重要であることは、「今後の取組に当たって」において指摘しています。
評価結果の解釈について
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(回答)
本報告書案では、第2次取りまとめの安全評価の分野に対して、「Ⅱ.2.(3)地層処分システムの安全評価」に示したように、信頼性の高いデータとニアフィールド性能を中心とした地層処分システムの安全性を評価する手法が整備されているか、その手法を用いて、我が国の地質環境や現状技術及びその改良による技術を前提条件として地層処分システムの安全性を評価し地層処分の安全性が確保できる見通しが示されているか、という観点から具体的な評価を行いました。結論としては、第2次取りまとめでは、「場所を特定しない現段階において、我が国の地質環境や現状技術を前提条件として、ニアフィールド性能を中心に地層処分システムの安全性を評価する手法が整備されており、かつ解析評価の結果から地層処分の安全性が確保できる見通しが示されている」と判断できると考えます。
本分野の評価結果に加えて、我が国の地質環境、地層処分の工学技術に関する評価結果を総合的に評価した結果、「Ⅱ.1.(3)総合的な評価」に示したように「評価結果を判断する指標としては、地下水シナリオにおいては線量の最大値、接近シナリオにおいては天然の放射線レベルとの比較が例示されており、地層処分の安全性が確保できる見通しが示されている」と考えます。また、第2次取りまとめには、「地層処分の工学技術について処分場の設計・施工要件及び管理項目が示されるとともに、安全性についての評価手法及び評価結果が示されており、安全基準の策定に資する技術的拠り所となる」と判断できると考えます。
提示された評価手法を安全評価へ適用することの是非
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(回答)
本報告書案においては、第2次取りまとめにおいてご指摘のようなモデルやパラメータの不確実性に加えて、地層処分にとって適切で安定な場所に信頼性の高い処分場を建設することにより実際には避けられると考えられる事象の影響も考慮して検討されていることを踏まえて評価を行っています。その結果、「Ⅱ.2.(3)地層処分システムの安全評価」に示したように、第2次取りまとめでは、地層処分システムの評価解析に当たって「地下深部の現象の影響を考慮して、上記で構築されたモデル体系と文献調査や研究成果に基づき整備されたデータを用いて、シナリオ、モデルの前提及びデータの不確かさを考慮した解析が実施されており、場所を限定しない現段階においては、地層処分システム全体の解析が十分行われており」、「一般に地質が複雑で、地殻変動が活発であるといった我が国の地質環境や現状技術を前提条件としてニアフィールド性能を中心に地層処分システムの安全性を評価する手法が整備されており、かつ解析評価の結果から地層処分の安全性が確保できる見通しが得られている」と判断できると考えます。
ご指摘のような場所に特有のデータ、モデル等の不確かさについては、「今後の取組に当たって」において、今後、安全基準等の策定が行われることに備え、評価結果の信頼性を更に向上させるために取り組むべき課題として、「地質環境調査等で得られた各データ間の相関や入力値のばらつきの評価結果への影響等の詳細な検討、地層処分の各段階において、実測値との比較による信頼性の確認及び実際の場所の特性を精度良く再現できるモデルの確立」などを例示して、研究開発の方向性を示しています。
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(回答)
本報告書案は、「Ⅰ.評価の位置付け」に示したように「この研究開発が、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり、地層処分の実現に向けての基盤技術的なものであることに留意」して、「地層処分の事業化に向けての技術的拠り所となる」かどうかという観点から評価を行ったものです。
ご指摘のような研究開発課題については、今後、核燃料サイクル開発機構等の関係機関において「密接な協力の下に、効率的に研究開発を推進する」とともに「高レベル放射性廃棄物の実施主体において、核燃料サイクル開発機構等の関係研究機関における研究成果を活用しつつ、本報告書を参考として地層処分の実施に向けて取り組む」ことになると考えます。
また、「今後の取組に当たって」において、「高レベル放射性廃棄物の地層処分は、国民の理解と信頼を得つつ進められていくべきものであり、引き続き、地層処分の技術的信頼性をさらに向上することに努めることが重要である。」とし、地質環境の調査、地層処分の工学技術、地層処分システムの安全評価の各分野について、今後取り組むべき研究開発課題を例示して、研究開発の方向性を示しています。
(対応)
報告書本文に、以下の点を明記することとします。
複数の研究機関において研究、評価を行うべき
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(回答)
第2次取りまとめに向けた研究開発の取組は、サイクル機構を中核として、日本原子力研究所、地質調査所、防災科学研究所、電力中央研究所、大学、民間企業などが、専門的知見を生かした適切な役割分担の下に、国際協力も積極的に進めつつ行われてきています。今後の取組については、本報告書案の「今後の取組に当たって」において、「核燃料サイクル開発機構等の関係機関においては、本報告書の評価結果に基づき、密接な協力の下に、効率的に研究開発を推進することが期待される。研究開発を効率的に実施していくためには、引き続き、諸外国との国際協力を積極的に進めることも重要である」ことを明記しています。
深地層の研究施設の必要性
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(回答)
本報告書案の「今後の取組に当たって」において、「深地層の研究施設等を活用して深部地質環境の特性に関するデータを引き続き蓄積することも重要である。」、「処分孔の掘削、廃棄体や緩衝材の遠隔操作を含む搬送、定置作業などについて、深地層の研究施設や選定された処分地における実規模試験での実証を行うことが重要である。」などとしているとおり、我が国の深部地質環境の特性に関するデータの蓄積や、坑道掘削等の技術の確認や実証のために、深地層の研究施設は重要な役割が期待されています。
再取り出しについて
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(回答)
ご指摘の点については、「今後の取組に当たって」において、「地層処分を進める上で、技術的安全性に関する社会の理解と信頼は欠かせない。地層処分の基本概念は、再取り出しを意図せずに廃棄物を安全に埋設することとされているが、再取り出しなどに関し国際的に議論されていることについて留意しておく必要がある。」と記述しています。
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(回答)
専門部会報告書にあるとおり、第2次取りまとめに対する国による評価が、国民に信頼を持って受け入れられるためには、客観的に評価が行われる体制を整えるとともに、積極的に成果を公表し、国民に意見を求めるなどプロセスの透明性を確保することが重要です。このため、評価分科会委員の選定に当たっては、専門部会で公開の審議の下、第2次取りまとめの執筆に係わった専門家以外から選出し、地質学、地球化学などの科学的研究領域から、材料、土木などの工学的研究領域まで広範な研究領域の分野の専門家を網羅しました。また、専門技術的な評価を行うことを基本としつつ、人文・社会的な分野の専門家も加えることにより、幅広い観点から評価することに努めています。
さらに、客観性、視点の多様性を確保するため、国内外の専門家を中心に幅広く意見交換を行う国際ワークショップを開催しました。ワークショップでは、国内の招聘者9名、海外からの招聘者7名、公募による一般の参加者215名により幅広く議論を行いました。
報告書案の評価のプロセスを明らかにすべき
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(回答)
「Ⅰ.評価の位置付け」に示したように、評価に当たっては、①我が国の地質環境、②地層処分の工学技術、③地層処分システムの安全評価の各研究分野ごとに、専門部会報告書で示している第2次取りまとめに盛り込むべき事項や技術的重点課題等への対応について詳細な検討を行い、次に、これらの結果に基づいて、我が国における地層処分の技術的信頼性についての総合的な評価を行いました。
審議の過程では、第2次取りまとめに記述されている様々な文献、データ、試験結果及び解析結果などを踏まえて評価を行っており、根拠となるデータ、計算結果の品質管理や文献等の公開、トレーサビリティの重要性を指摘するとともに、審議の参考に資するために、第2次取りまとめの執筆に関わった専門家及びサイクル機構に対して細部にわたる説明等を求め審議を行いました。
なお、報告書案の取りまとめに当たっては、簡潔を旨として記述しています。
(対応)
専門部会報告書で示している第2次取りまとめに盛り込むべき事項や技術的重点課題等への対応を評価するに当たって、第2次取りまとめとの対応をまとめた資料を参考までに添付いたします。
他の機関による解析結果を提示すべき
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(回答)
第2次取りまとめに向けた研究開発の取組は、サイクル機構を中核として、日本原子力研究所、地質調査所、防災科学研究所、電力中央研究所、大学、民間企業などが、専門的知見を生かした適切な役割分担の下に、国際協力も積極的に進めつつ行われてきています。
ご指摘のような安全評価結果のチェックの必要性については、報告書案の「Ⅱ.2.(3)地層処分システムの安全評価」に示したように、第2次取りまとめにおいて「モデルの妥当性について国際的な検証/確証プロジェクトによる確認が行われていること」、計算コードの信頼性については「他機関の計算コードを用いた計算結果との比較による計算機能の検証、解析作業の信頼性とデータの追跡性を保証するための管理システムの構築が行われており、解析に係る信頼性は確保されている」と判断できると考えます。
また、第2次取りまとめの評価に当たっては、専門部会での審議に資するため、23名の幅広い分野の専門家からなる「地層処分研究開発第2次取りまとめ評価分科会」を設置して、分科会を8回、地質環境、処分技術、安全評価の各分野について関係分科会員で設けられたサブグループ会合を合計13回開催し、適宜報告を受けるなど十分な審議を重ねてきました。
なお、報告書案の取りまとめに当たっては、簡潔を旨として記述しています。
意見募集の周知について
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(回答)
本専門部会においては、原子力委員会決定「原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民の参加の促進について」(平成8年9月)に基づき本報告書案を公開し、これに対する意見を募集することとし、41人の方々から様々なご意見をいただきました。意見募集及び国際ワークショップの開催に当たっては、インターネットへの掲載など周知に努めましたが、今後も情報公開、透明性の確保に努めてまいります。
なお、意見募集の際には、サイクル機構において配布を行っている第2次取りまとめの入手方法についても併せて周知しました。
地層処分研究開発に関する情報提供の在り方について
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(回答)
本報告書案においても、「今後の取組に当たって」において、「研究開発成果については、わかりやすく公表するなど、技術的な観点から透明性を確保することが重要であり、本報告書案を踏まえて、国は、更にわかりやすい情報の提供を行うことが必要である」ことを明記しています。
高レベル放射性廃棄物の発生について
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(回答)
我が国では、原子力発電で発生する使用済燃料は、再処理してウランとプルトニウムを回収し、残った高レベル放射性廃棄物をガラス固化した後、30年~50年程度冷却のための貯蔵を行い、その後、地層処分することとしています。
なお、原子力発電を行っている国の中には、使用済燃料を直接処分することを基本方針としている国もあり、この場合は、使用済燃料が高レベル放射性廃棄物になります。
海外の事例について
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(回答)
我が国を含めて、米国、カナダ、スウェーデン、スイス、フランス、フィンランドをはじめとする海外諸国においても、高レベル放射性廃棄物は地層処分することを基本方針としています。例えば、8月8日の本専門部会主催の「国際ワークショップ ―我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性について―」における基調講演において、フィンランドにおける処分事業に関する取組が紹介されました。フィンランドでは、1999年にオルキルオト地区が最終処分場に選定されており、これを受け、2000年1月に環境影響評価結果の報告、市議会での承認が行われました。今後、2002年には地下研究所の建設、2010年には処分場着工、2020年には運用開始となる予定です。
なお、ドイツにおいては、1979年にゴアレーベン岩塩鉱に最終処分を行う可能性を調べる決定がなされ、調査が実施されてきました。ご指摘の点については、本年6月に発表された「ドイツ連邦政府と電力会社の取り決め」の添付文書(付属資料4「ゴアレーベン岩塩層の調査に関する連邦の声明」)によると、ドイツ連邦政府は、「ゴアレーベン岩塩鉱の調査を最低3年間、しかしどんなに長くとも10年間、中断」し、岩塩層が最終処分場の母岩として適切か等の問題の解明を着実に行うとしています。ただし、「この凍結期間を置いたからといって、最終処分場の立地サイトとしてのゴアレーベンを放棄することを意味しない。むしろ、概念上、安全上の問題を検討する間、これらの問題解明に寄与しない投資を行わないことが重要である」としています。さらに、ドイツ連邦政府は、「凍結期間中、ゴアレーベン・サイトを確保するために必要な法的措置を講じる」ことにしています。
(対応)
参考資料に、海外での高レベル放射性廃棄物対策の概要を追加します。
深地層研究所(仮称)計画について
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(回答)
ご指摘の深地層研究所(仮称)計画については、本報告書案において、「Ⅱ.2.(1)4)深部地質環境の科学的研究」に示したとおり、「堆積岩を対象とした研究施設については、北海道幌延町において新たに深地層研究所(仮称)計画として現在申入れが行われているところであることから、今後これらの施設の円滑な設置が望まれる」ものであり、「今後の取組に当たって」の中でも、深地層の研究施設の重要性を指摘しています。
平成6年6月に策定された原子力長計の抜粋にある「動燃事業団が北海道幌延町に計画している貯蔵工学センター内に予定されている深地層試験場」については、平成10年に取り止めて、新たに深地層の研究を推進することとされており、報告書本文中においては、該当する引用文に脚注を設けて、誤解が生じないようにしています。
(対応)
誤解を生じることがないように、本報告書案に添付している原子力長計の抜粋にも、
貯蔵工学センター内に予定されている深地層試験場:専門部会報告書の作成当時計画されていた「貯蔵工学センター計画」は、平成10年に取りやめて、新たに深地層の研究を推進することとされた。
との脚注を設けることとします。
ガラス固化体の中間貯蔵の安全性について
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(回答)
ガラス固化体の中間貯蔵中の安全性は、現在の工学技術により十分確保できると考えます。
ガラス固化体を中間貯蔵施設に受け入れるに当たっては、遠隔操作で輸送容器から抜き出されて、外観、発熱量、寸法などについて一本ずつ入念な検査が行われ、十分に安全が確認されます。また、中間貯蔵施設の貯蔵区域などは、放射線を遮蔽するために厚さ約1.5~2mの鉄筋コンクリートで囲まれ、24時間点検・監視する体制が敷かれるなど、十分な安全管理が行われることになります。
施設を設置するに当たっては、地質・地盤に関する様々な調査により、固くて安定している地層であることが確認されるとともに、過去に起った最大規模の地震を想定して、施設の安全機能が保持できるよう設計・施工が行われます。
ガラス固化体輸送中のリスク評価について
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(回答)
ガラス固化体の運搬については、海上輸送と陸上輸送が考えられます。このうち、海上輸送については、海外より返還されるガラス固化体を、法律で定められた技術基準に適合した輸送容器に収納し、この輸送容器を専用の船で輸送しています。陸上輸送については、海外より到着したガラス固化体が収納された輸送容器を、港から貯蔵施設まで、専用の車両で輸送を行っています。
このように、中間貯蔵施設から処分場への運搬についても、すでに行われている輸送と基本的に同様であり、安全に輸送できるものと考えます。
原子力に関する情報提供について
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