資料(専)34-2

「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術的 信頼性の評価(案)」
(平成12年7月13日 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)
に対する意見(寄せられた意見をそのままタイプしたもの)


花沢 定雄   58歳No.1

 高レベル放射性廃物は、放射能レベルが十分低くなるには数千年かかるが、この期間管理するのか、それとも30~50年間冷却し、地下に埋設すれば、管理しないのか不明です。

 高レベル放射性廃物としては、使用済核燃料を再処理したときに発生する、核分裂生成物と超ウラン元素に大別される。超ウラン元素は別 して核分裂生成物のうち半減期の長い核種としてはCs-137、Sr-90がありこれらの核種が低レベルになるまで管理するのか、地下に埋設すれば、安全上問題ないとするのかである。30~50年間保管冷却すれば、問題ないと評価しているものと思う。
 いろいろの点から評価されており、技術的には、特にないかと思います。

花沢 定雄   58歳No.2

超ウラン元素(TRU)の廃棄物処理は高レベル放射性廃棄物処分とは別に管理するのか、同一にするのか、方針はあるのでしょうか。

 超ウラン元素(TRU)の廃棄物処理は高レベル放射性廃棄物処分とは別に管理するのかが明確になっていない。使用済核燃料を再処理した場合に、超ウラン元素は、234Puは核燃料として再利用されるが、これ以外の超ウラン元素で核分裂しないものは高レベル放射性廃棄物として扱うのか、超ウラン元素として別に管理するのか明きらかきする。高レベル放射性廃棄物と同様に評価して、問題がなければ、同じ場所に埋設することがコスト面、管理面から見て、妥当だと思う。
 核分裂する超ウラン元素は分離して別に管理することは当然である。

西村 進    67歳No.3

なぜ10万年予測か。世代の交代は30~40年である。二、三世代たてばかなり科学的に進歩が見られ、より良き処分法が考えられると思うので、なぜ、1,000年でも確実に管理・保存するという選択肢があってもいいのではないか。人間の歴史をみても、縄文時代からどれだけ年数がたっているのかから考えても、なぜいま無理をして10万年予測をするのか。
 われわれは低レベル放射性廃棄物地層処分可視画像化調査のプロジェクトで真剣に10万年予測の可能性について議論をした。その結果、やはりこのプロジェクトでは10万年予測は無理ではないかの結論に至った。
 次に、その理由を述べる。
 此のプロジェクトでは、列島規模、広域規模、中域規模の長期地質変動シミュレーションツール作りをめざした。とくに、広域・中域モデルに重点を置いた。列島規模では地質構造の解析とその変動史を明確にすることが重点で、応力場としてはプレートの運動がどの様に変化してきたかが重要になる。選択された近畿地方と東北地方について、

三次元地質構造を既存のデータやプロジェクト途中でのデータをとりこみ、物性モデルを作リ上げた。近畿地方は硬い地殻、すなわち微小地震の起こる範囲とその下部に分けられた。さらに、プロツク構造がすでに出来ていたとして考察した。
東北地方は二次元構造で代表でき、地殻の層状構造のモデルを作り熱構造モデルについて考察した。
プレートの動きを調べ、プルームテクトニクスの考えで、最も若い激動の時代は日本海生成時の15Ma頃までで、その次の変動はほぼ百万年前まてであることが示唆された。50万年前からは、ほぼ現状と変わらないプレートの動きで広域応力場が安定してきている。東北地方は太平洋プレートと島弧地殻のカップリングで考察し、近畿地方はフィリピン海プレートの広域応力場を考慮に入れた大平洋プレートとの応力場として考察した。
広域・中域モデルでは、三次元の地質構造モデルを作り、一万年程度の応力解析で長期地質変動シミュレーションを行うこととした。
 地質の変動の読みとりをすると、近畿地方の変動量・変動速度は20数万年前は現在よりかなり大きいと考えられる(古琵琶湖層群・大阪層群の堆積物の変動からみて)。東北地方も火山活動からみて同じことが推察された、最終間氷期段丘面の12万年前あたりからは、現状の状態と殆ど変わらないとして将来予測が可能とした。解析結果の検証方法は1万年前をスタートとし現状に整合する結果が得られることとした。その考えからは、このプロジェクトでは1万年の外挿が出来るとした。
 20数万年前の変動量・変動速度の違いはどうして出てくるかは議論すべき問題で、プレートの動きと地質構造がこの百万年変化がないとすると、物性モデルが変化したと考えざるを得ない。物性モデルの変化は氷期・間氷期と関係あるのではないかと考えざるを得ない。これらの変化に伴う海水準の変化の地質構造への影響が層状構造やその物性の変化、断層の物性の変化を与えるのではないかと考えられる。 核燃料サイクル開発機構の地層処分研究開発第2次とりまとめ分冊1のPⅡ-170~175に議論されていて、周期性がみとめられるので予測されるとしているが、人間活動による気候の変動が地球温暖化をもたらし、海水準に変動を与えるとは考慮されていないが、その影響を考える必要があろう。そうすると、推定されている周期性は再検討せざるをえない。
 火山活動でも次の二点に予測の議論が手薄である。①通常の火山活動の最初にイグニンブライト(しらす)の大きなカルデラを作る活動の予測。②単性火山の将来予測。

西村 進    67歳No.4

(2)核燃料サイクル機構のナチュラルアナログの研究になぜ鳥取・岡山のウランの非平衡状態での元素移動の議論を加えるともっと信頼性がますと考える。

 最終的にはこれらの変動予測は総合的に判断されるべきで、個々の現象にわけてそれぞれ個別に判断すべきでない。
 核燃料サイクル機構の「わが国における高レベル放射性廃薫物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発第2次取りまとめ-」の研究は上記の気になる点以外は非常によく研究され、まとめられている。しかし、別冊地層処分の背景のP53の処分候補地を選定するプロセスの処分候補地選定プロセスにはひじょうに役立つと思われるが、処分予定地選定プロセス・処分地選定プロセスには不充分でそれらに関する問題点、解決方法などを至急議論しまとめる必要があろう。

武部 慎一   47歳No.5

 評価報告書では、各項目毎にもう少し具体的な科学的な評価を行っても良いのではないか。

 「2次とりまとめ」は、現在の考えられる限りの知見を基に、膨大な作業によりまとめられたものと思われるが、処分技術の信頼性に関しては、多くの問題が残されている。現段階で「地層処分の技術的信頼性を示す」というのは、多くの項目の不確実性等から非常に難しく、「現在の考えられる限りの知見を基に、地層処分の技術的な可能性あるいは具体性(どこまでできるのか等)を示した」ものではないかと思われる。
 本評価報告書では、「考えられる項目は抜けがなく挙げられており、整理されている。」「・・・見通しが得られた」「・・・判断できる」と断定的に評価されているが、全体計画の中で、どこまでできたのか?、どこまで信頼性(具体性?可能性?)があるのか?、今後、処分システムの信頼性の向上(具体化)に向けて何が必要か?等々、具体的な問題あるいは内容についての科学的な評価があっても良いのではないか。
 ペーパー上の評価としてはこれで良いのかもしれないが、各項目毎にもう少し具体的な評価があれば、今後の研究計画、具体的な研究項目など明確に示されるものと思われる。

塩野谷 元   20歳No.6

 私は北海道民の1人として幌延に深地層研究所が建設されることに絶対反対の考えであり、将来近いうちに国内全ての原発を停止しなければならないと考えている。

 まず本題に入る前に少し意見を言わせてもらう。私は北海道の札幌に住んでおり、今幌延の深地層研究所建設が重大な問題になっている。私がこの意見募集の紙をもらったのは専門部会に参加した北海道大学のある教授からだった。私はこの専門部会が8月9~10日にあることをどこからも知らされなかった。道内の幌延にこのような研究施設の建設計画が持ち上がっているからには少なくとも道民にこの部会があることを積極的に知らせて、招待するくらいの対応が必要だった。科学技術庁はホームページにその情報を掲示したというが、それだけでは全くの不適切な対応であるし、道民をばかにしている。もし私があの教授から用紙をもらっていなければ、この部会が開かれたこと自体知らなかったし、意見が反映されることもなかったのだから。
 では本題の評価案についての意見を述べる。まず第一に原発推進及び核廃棄物処理場建設推進派の学者だけによって作られた評価は全く信用ができないということだ。彼らが今まで認めてきた原発や諸々の原発に携わる施設で何度も危険な事故が起きているのだから。つまり、反対派のいない委員会や専門部会(あなた方のいう慎重派は結果的に原発を認めるのだから賛成派である)では非常に偏った意見しか出てこなくて、とても信頼できるものではないということだ。第二に日本列島は火山列島であり、いつどこで火山噴火や地震が起きるかわからないということだ。核廃棄物を何万年も管理していく上でどんな自然災害が起こるかということは絶対に予測できるものではなく、そもそも学者のいう「可能性」も何千年周期で見れば、到底信用できないだろう。
 核のゴミをどう処分するかを考える前に、大量の核のゴミが実際に増やし続けている原発をまず全て停止しなければならない。私たち国民は、CO2よりも核廃棄物の方がはるかに恐ろしいと思っている。原発を全廃しろ!!!

長   秋雄  42歳No.7

我が国の地下の初期応力状態は、「均質」(報告書(案)15ページ)ではなく、3つの主応力の大きさがそれぞれ異なる「不均質」な状態にある。

 「第2次とりまとめ」では、図3.3-18(初期応力データ)の結果より、我が国の地下での初期応力状態は「鉛直応力と水平面内応力の比が深度の増加とともに1前後(0.5~2.0)に近づく傾向を示すことが確認されている」と述べ(総論レポートⅢ-71)、「地圧も均等に近いような深部岩盤がわが国にも広く存在し得る」と述べている(総論レポートⅢ-75)。バックエンド対策専門部会の報告書(案)でも、「第2次取りまとめ」の内容を追認し、「その要件(「応力状態が均質に近い」こと:意見者但し書き)を満たす地層が我が国に存在し得ることは示されていると判断できる(15ページ下から6行目から)」と述べられている。
 しかし、これまでの初期応力測定結果(例えば、斎藤ほか(1988)(これは、「第2次取りまとめ」で使われているデータ)、TANAKA(1986))では、鉛直応力と水平面内最小応力と水平面内最大応力の大きさは、いずれの成分も深度の増加とともに増加する傾向がある。斎藤ほか(1988)とTANAKA(1986)では、応力の深度分布はそれぞれ以下のように一次近似されている。

鉛直応力= Depth×0.023MPa/m,Depth×0.022MPa/m
水平最小応力=Depth×0.006MPa/m+3.25MPa,Depth×0.020MPa/m+1.0MPa
水平最大応力=Depth×0.024MPa/m+3.88MPa,Depth×0.029MPa/m+2.5MPa
 これらの結果から、地下の応力状態は、深い深度においても3つの応力成分の大きさは異なり、「均質」な応力状態とはならない。最も大きい応力と最も小さい応力の比は1.5~4となる。「第2次取りまとめ」での地下の応力状態の誤認は、水平面内応力は、本来、水平最小応力と水平最大応力で示されるべきであるのに、両者の平均である「水平面内平均応力」で代表させていることに起因する。

坂本  義昭  37歳No.8

安全性評価の信頼性向上には用いるデータの信頼性の向上も必要である。

今後の取組に当たっての中のp.31、32行目以降に「安全性を評価する手法が整備されているとともに解析評価の結果から地層処分の安全性が確保できる見通しが得られており、今後、安全基準等の策定が行われることに備え、評価結果の信頼性をさらに向上させるために、発生しにくいシナリオを排除する根拠を明確にする取組を継続することや確率論的な安全評価手法を用いたリスク評価についても検討することが望ましい。」とされている。ここで挙げられた信頼評価においては、安全評価に使用される種々のデータの信頼性向上を図ることも重要である。また、リスク評価を検討するに際しても、種々の現象の発生確率について信頼あるデータの収集・評価が必要である。したがって、上記の記述において、安全性評価に用いるデータに関する信頼性向上に係る研究の推進を行うことを加えるべきである。

坂本  義昭  37歳No.9

今後の高レベル放射性廃棄物の安全性評価研究については、複数の研究機関により推進すべきである。

今後の取組に当たっての中のp.31、4行目に「核燃料サイクル開発機構等の関係機関においては、本報告書の評価結果に基づき、密接な協力の下に、効率的に研究開発を推進することが期待される。」とあるが、今後、具体的な処分場の選定・建設にあたっては、国民に対して信頼性のある評価結果を示すために、単一機関を中心とした研究開発ではなく、複数の研究開発機関による独立した研究開発とそれに基づく安全性評価結果を示すことが必要と思われる。このため、本節について、「核燃料サイクル開発機構及びその他の研究開発機関等において、本報告書の評価結果に基づき、密接な協力を行いながらも、各々独立して研究開発を推進するとともに、安全性評価結果を広く公開することが期待される。」等の記述にすることが必要であると考える。

小川  光子  59歳No.10

いわゆる深地層研究所は特に地震地帯の上にある日本では不適当。データーを公表し、多くの学者の意見を謙虚に聴き早まった政治的解決をしない。その元である原発を止める。

8月13日に札幌で深地層研究所について「道民の意見を聴く会」が催され私も傍聴した。驚いた事に道主催なのに知事が来ていない。泊原発の時も同じであったが、お盆のお墓参りも返上して全道からかけつけた人々に対し不在とは逃げる事しか考えていない。この様に誰も責任をとらないのは目に見えている。しかも深地層研究所は既に幌延と決まっているかの毎き立派なパンフレットが配られた。深地層に高レベル核廃棄物を埋めるのは多くの学者が指摘しているように自殺行為である。日本列島は全域が地震地帯である。どんなにバリアを強くしようと日本中どこを探しても適当な場所は見付からない。活段層のない所でも大地震は起るし、地震が50k先であってもその影響は受ける。天然バリア、人工バリア、抗道埋め戻し材がズレ破壊を被るので地下水により放射能が漏れる。地下のため地上より複雑な影響が考えられ微妙な変化が地下水に影響を与える。地震は地下何十キロで起るのにこれは500mというむしろ浅地層といいたい場所である。地表に近く人々の目が届かない最悪の場所である。海外に深地層研究所があるから日本もというのは条件が違うので当たらない。しかもドイツは工学的安全性に問題ありとして中断する。アメリカのヤッカマウンテンは押しつけられた状態で問題になっている。日本も工学的安全性の疑問が指摘されている上、中間貯蔵期間を50年でなく30年とすると難しいとJNC自身が報告している。実際は100年以上取らないとまずいという。現に核廃棄物は存在するのだからどこかに捨てねばというのなら、なぜこれからも人間の手に負えない核廃棄物を出す原発を作ろうとするのか、まずなすべき事は原発の増設中止は勿論、今動いている原発を止める事を考えるべきだ。再処理はいいかげんにやめるべきだ。再処理による汚染も問題になっており、日本は以後唯一の再処理推進国になりその責任も問われるだろう。

田中  捷一  61歳No.11

評価(案)の「第2次取りまとめは地層処分の事業化に向けての技術的拠り所となると判断する」とする結論は不当である。

評価(案)の「第2次とりまとめには、我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性が示されているとともに、処分予定地の選定と安全基準の策定に資する技術的拠り所となることが示されている」とする結論は、不合理そのものである。その理由をいくつか列挙する。

1)第2次取りまとめは、はじめに結論ありきで、「地層処分可能」とするための有利な証拠集めをしたにすぎない。
2)評価(案)は、第2次とりまとめを全文にわたって逐一精査して評価したようには見受けられない。
3)地質データは観測された箇所で有効なのであって、それを全国版に敷衍して議論するのはどうであろうか。。
4)活断層を避ければ地震の影響を回避できるとは、とても信じられない。
5)オーバーパックの腐食や緩衝材の性状変化、地下水の挙動などについて、数年間のわずかなデータから1000年先を推定するなど無謀としかいえない。
6)処分地の選定についてもさることながら、オーバーパックの製作、溶接からはじまって処分地の建設、廃棄物の埋設などの実際の作業について、いくらかの実験や試作と机上のアイデアを示しているだけで、すべては今後の技術開発にかかっている状況では、とても技術的信頼性が得られたなどとはいえない。
7)評価(案)でも再取り出しについて言及しているが、状況の変化に対応できる処分方法であることが必要である。
いずれにしても、原発を早急に廃止ことにして、すでに発生してしまった廃棄物だけは何とかしようということでないと、処分について国民の理解と協力は得られない。

阿波野 俊彦  32歳No.12

H12レポートに対する評価の概要としては妥当だと思う。報告書案の透明性確保、議論の活性化のためは評価のプロセスをより詳細に公開する必要があるのではないかと思う。

「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術的信頼性の評価(案)(以下、報告書案とする)」において、H12レポートが「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について(以下、今後の進め方とする)」で提示した技術要求を満たしているという判断を下したことは理解できた。また、H12レポートに関しては技術的観点から我が国での処分事業の成立性を示すものとして現段階では十分な成果であると考えている。
技術的評価として考えると、報告書案は若干説得力に欠ける感が否めない。これは報告書案が評価の概要を文書で提示する形式としたことにより、評価基準や評価のプロセスに関する表現が抽象化したためであると思う。報告書案における評価の透明性を高め、議論を活性化するためには、詳細な評価のプロセスを示す必要があると考える。例えば、今後の進め方における技術要求とH12レポートの記載箇所との対応表の様な資料を公開するだけでも、報告書案の評価に際し、今後の進め方およびH12レポートをどのように参照したかということに関してトレーサビリティが確保され、報告書案の透明性が格段に向上すると考える。先の国際ワークショップにて、今後の処分事業を推進する上で社会的合意形成のための透明性確保は重要であり、そのためには検討結果だけでなく思考の過程、決定のプロセスを公開する必要があるとの指摘があった。今後の処分事業における透明性確保の先鞭を付ける意味からも、高レベル廃棄物処分についての議論を活性化のためにも、報告書案と併せて評価のプロセスに関してより詳細な情報を開示してはどうかと思う。

小野  有五  52歳No.13

評価委員会の公正性・透明性がglobal standard を全く満たしていないので、この評価は無効である。公正な委員会をつくり、評価をやりなおすべきである。

今回の「評価(案)」を作成した委員会そのものに問題がある。すなわち評価の対象となっている「第二次とりまとめ」を作成した委員の二人までが、評価委員会の主査と副主査になっており、これでは評価の公正性・中立性を確保できない。さらに評価委員会には、深地層処分研究計画に反対、あるいは批判的な見解をもつ専門家や市民団体の代表が一人もふくまれておらず、これは、この評価委員会がglobal standard における公正性・透明性を根本的に欠いていることを示している。したがって、今まず、なすべきことは、この評価(案)を無効とし、あらためて公正性・透明性を保証できる評価委員会を組織しなおすことである。
評価委員会の委員の人選にあたっては、深地層処分研究計画に反対あるいは批判的な専門家や市民団体からの推薦を受付け、計画を推進する側と同等な数の委員構成とすべきである。そのうえで委員会での討議を公開し、あらたに評価(案)をつくりなおすべきである。

小野  有五  52歳No.14

評価(案)では、活断層や火山の近傍以外は基本的に安全としているが、欧米の地質環境の安全性とこれらの地域での安全性との科学的な比較検討なしには、そうは断定できない。

評価(案)では、地層処分に対して、「長期にわたって安定で安全性が確保できる地質環境が我が国にも存在しうることが示された」と一方的に評価している。しかし、そのような評価を下すにあたって、欧米で選定されている深地層処分地における地質環境と、「我が国にも存在しうる」とされる地質環境との比較検討は全く行われていない。
評価(案)は、「日本列島の活断層や火山活動は、既知の活断層や火山地域の近傍でのみ繰り返し生じており、それらをはずれた地域は安定で安全である」と評価している。たしかにそれらの地域は、活断層や火山のごく近傍に比べれば相対的に安全であろう。しかし、いくら相対的に安全だといっても、それらの地域は、いくつものプレート境界をもつ日本列島の変動帯に位置していることに変わりはない。そのような地域の地質環境での安全性と、数億年にわたって激しい地殻変動を免れてきた欧米の安定大陸の地質環境における安全性を同一視してよいのいであろうか。
数億年にわたって安定した岩盤をもつとされる欧米ですら、深地層処分にはきわめて慎重な態度をとっているのは周知の事実であり、そのような安定地域ですら、実際の地層処分については強い反対がある。活発な変動帯にあり、地下水の条件からみても深地層処分には問題が多い日本列島で、活断層や火山の近傍でなければ安全、と言うためには、その安全性が欧米の安定大陸の地質環境での安全性と少なくとも同じレベルにあることの科学的な検証が必要であろう。
そのような科学的検討もなしに、活断層や火山から離れていさえすれば安全とする本評価(案)は、非科学的ですらある。

小野  有五  52歳No.15

安全評価指標について、放射線量を基本とし、それに対応する諸外国の基準を参照するとしているが、同様に地質環境についても諸外国の基準を参照・評価すべきである。

求められているのは地層処分における長期的な安全性に対する国際的なスタンダードである。放射線量だけを国際的な基準で論じ、地質環境や地下水環境についてはそれを行わないというのでは片手落ちである。
地質環境についていえば、まず、評価委員会は、欧米でとられている地質環境についての基準をすべてとりあげ、それらの項目一つ一つについて、日本の地質環境との比較検討を行うべきである。本評価委員会ではそのような検討を全く行っておらず、日本列島のなかでの議論に終始している。これでは、国際的な安全性を確保できない。
たとえば、OECDは「第二次取りまとめ」に対し、「活断層シナリオの検討が不十分」との見解を示しているが、本評価(案)では、そのような国際的な評価をなんら参考にされていないことも、本評価(案)の客観性・公正性を疑わせるものとなっている。
地下水環境についても同様である。

小野  有五  52歳No.16

オバーパックの寿命がわずか千年程度(長くても数千年)しかないことが報告書で明らかにされているのに、数十万年にわたって安全に保管できるとする論理は飛躍している。

「第二次取りまとめ」では、高レベル放射性廃棄物を密封・保管するためのオバーパックの腐食モデルを検討し、その寿命は千年ていどであるとしている。オーバーパックの破損時期がそれより長く、数千年後になる場合も想定されているが、いずれにしても、十万年間にわたる長期の保管をめざす深地層処分計画において、オーバーパックの寿命が長くても数千年程度という現状では、その期間を越える安全性は保証できないというのが正当な評価であろう。しかし、本評価(案)では、そのような危惧についてはいっさい述べられておらず、このような現状にもかかわらず、十万年間の保管を「安全」と断定する本評価(案)は、とても科学的とは言えない。

小野  有五  52歳No.17

再取り出しを考慮すべきという国際的議論に留意する必要が指摘されているが、地上での保管も含め、地層処分に批判的な国際的議論に対する検討があまりに不十分である。

評価(案)では「今後の取り組みにあたって」、再取り出しを意図しない現計画に対し、再取り出しを考慮すべきという国際的議論に留意するよう注意をうながしている。この点は高く評価できるが、国際的議論について留意するのなら、そもそも深地層処分に関して、きわめて強い反対や批判が国際的になされていることにまず留意すべきである。評価(案)では、この部分の検討がきわめて不十分であり、最初から深地層処分がベストであるという評価を充分な検討なしに行っている。ここにこの評価(案)の大きな欠陥がある。

小野  有五  52歳No.18

評価(案)の付帯資料「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画抜粋」では幌延が明確に対象とされており、地域を特定しないという本評価(案)は欺瞞的である。

評価(案)では、この評価は、「この研究開発が、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり」と述べられている。しかし、評価(案)の付帯資料「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画抜粋」(原子力委員会平成6年6月24日)では幌延が明確に処分地の対象とされており、地域を特定しないという本評価(案)は欺瞞的である。
たしかに、地元や全道的な反対により、科学技術庁や核燃料サイクル機構は、現時点ではなお深地層処分研究施設の予定地を特定できずにいる。しかし、付帯文書で幌延が言及されているとすれば、「地域を特定しない」という言い方が欺瞞的であるのは自明であろう。
この観点からすれば、評価委員会では、すでに候補地として名前があがっている幌延地域を事例として、その地層環境や地下水環境を検討しながら、より一般的な結論を導き出すべきである。しかし、本評価(案)では、あくまで「地域を特定しない」としてそれを避けている。一方で地域を特定しておきながら、他方では地域を特定していないというのは詭弁以外のなにものでもない。
8月8-9日に東京で開かれた深地層処分研究に関する国際ワークショップについて、またそこで討議されたこの評価(案)について、またそれに対する本意見書の募集について、重大な利害関係をもつ幌延の住民や道民に、十分な周知がなされなかったことも、本評価委員会の評価手続きとしては許されないことである。 評価委員会はこれらの批判を受け止め、まず幌延地域の住民や道民を加えた評価委員会を再編し、公正、かつ透明な評価を行うべきである。

今泉 みね子  51歳No.19

評価委員会には原発に対して批判的な立場をとる専門家や環境団体も加えるべきである。

環境ジャーナリストとして、ドイツを中心とするヨーロッパの環境政策・対策を調査・執筆している立場から、上記評価(案)について意見を申し上げます。
そもそもこの評価(案)作成委員会の人選に問題があります。評価の対象となっている「第二次とりまとめ」報告書を作成した委員の二人までが、評価委員会の主査と副主査であるという点です。これでは評価の公正さを確保できません。
評価委員会に、本研究開発に対して批判を表明している専門家や環境団体の代表者が含まれていないという点も、この事業が環境・健康へ及ぼす影響力の大きさからみて、国際的な観点からも考えられないことです。
ドイツ政府が核廃棄物処分施設の立地選択のために設けた研究委員会には、日本の原子力資料室に相当するエコ研究所のような、原子力発電に明確に反対の立場を取る専門機関の代表者も含まれており、研究会の活動成果は刻々とインターネットで伝えられ、公開のワークショップで発表されるなど、すべて透明にされています。ですから、今回の日本における計画に当たっては、まず一度この評価(案)を無効とし、本研究計画に批判的な立場をとる専門家を含めた公正な評価委員会を組織して、委員会の討議内容を公開すべきです。

今泉 みね子  51歳No.20

地殻の安定した欧州ですら、高レベル廃棄物処分地選択には非常に慎重である。地殻の不安定な日本で、活断層や火山から離れていれば安全ということはできない。

日本より地殻がはるかに安定したヨーロッパにおいてすら、危険性のあまりに高い高レベル放射性廃棄物の最終処分地は存在しないとすらいわれており、立地選択はきわめて慎重におこなわれております。
ドイツでは、これまで高レベル廃棄物最終処分地の予定地ゴアレーベン岩塩層において、多大な資金を投じて試掘が進められておりました。けれども、このほどドイツ連邦政府は、この岩塩層を処分地とすることに安全性と適性に問題があるとして、問題解明まで試掘を中断するという英断を下しました。高レベル廃棄物を深地層にいれても危険が伴うことを、政府自身が認識し、表明しているのです。
評価(案)は、既知の活断層や火山地域のごく近傍をはずれた地域は安定で安全であると評価しています。けれども日本の「安定さ」は、数億年にわたって地殻変動を免れてきたヨーロッパの安定大陸とはくらべられず、安全性をヨーロッパと同レベルとすることはできません。つまり処分に当たっては、ヨーロッパよりもさらに慎重でなければならないのです。

今泉 みね子  51歳No.21

原子力発電をやめなければ、今後どれだけの量の放射性廃棄物が生じるか見通しが立たず、最終処分の計画も立てられない。

ドイツでは2000年6月に、政府と原子力発電事業主との間で、原発運転を32年に制限する合意が成立しました。このおかげで、今後生じる廃棄物の全体量があらかじめ計算できるようになり、非常に困難であるとはいえ、核廃棄物の処分計画を立てることもできるようになりました。
地殻が不安定で、放射性廃棄物処分に適した土地など本来ない日本が、いまだに核廃棄物を際限なく増やすような電力政策を取っているというのは、無責任としかいえません。原子力発電は発電自体で危険であるだけでなく、その後の廃棄物処分においても、時間的、空間的に膨大な危険を伴うのです。このようなエネルギー政策は「持続可能な発展をもたらす」とはいえず、1992年のリオ・デ・ジャネイロ環境サミットで日本も署名した決議にも反するものです。

今泉 みね子  51歳No.22

報告書では廃棄物のオバーパックの寿命は長くて数千年とされているのだから、数十万年間にわたって廃棄物を安全に保管できると結論することはできない。

ドイツでは高レベル放射性廃棄物の保管にこれまで用いれられた炭素鋼の容器に、腐食の点で問題があるとされ、新たにセラミック容器が検討されています。容器にほんのわずかでも漏れがあると、高レベル放射性廃棄物は「手がつけられない」ほどの事態を招くことが認識されているのです。
日本の「第二次取りまとめ報告書」は、この容器をさらに密封・保管するオバーパックの寿命は千年、長くて数千年と想定しています。十万年間という長期保管を予定する深地層処分計画において、オーバーパックの寿命が最高数千年であるのなら、その後の安全性は保証されないことになります。しかし本評価(案)では、このような危険性が指摘されていません。こうした条件のもとで十万年間の保管を安全であるする本評価(案)は根拠がなく、無責任です。

新保  千代  49歳No.23

国民的議論も無いまま、「再処理」、「地層処分」が自明のこととして報告がなされ、この方法が次世代に対して、責任をとれる唯一のものなのか改めて不安を感じております。

この意見募集そのものに疑問を持ちました。文中に、「国民の皆さまにご意見を伺う」とありますが、年寄りにでもわかるような、明確な広報活動をしてもらわなければ、何の意味もありません。国民はほとんど電気を使って生活をし、電気料金、税金も払い、この廃棄物問題には等しく関わりがあるのです。こうした募集の仕方では、一部の人にしか問題点も難しさも目に触れることができず、多くの人は何も知らないうちに結論が出てから驚くのではないでしょうか。
新聞などで外国の状況が報じられ、再処理を止める所が多くなり、地層処分も非常に慎重なことがわかります。地震の多い日本で、地層処分は大丈夫なのですか。何万年も管理しなければならないといわれる廃棄物の、万が一の事故の際の責任者は、誰ですか?皆、死んでしまっているわけです。次の世代の人のためには、返って無責任な方法と思われます。
「資・2」のページに誤りがあります。現在、幌延町への貯蔵工学センター計画は白紙撤回され、その後の深地層研究所(仮称)計画は、検討段階です。知事が、道民合意がなければ受け入れないと、公約で示しています。全国に配布された文章でありますので、あたかも幌延町で計画が進められているかのような誤解をされることを、大変不安に思いました。
報告書全体に安全性ばかりが強張され、逆に不信感を覚えました。「ガラス固化体を運搬する際の事故や、深い地中の水の流れは、地上では予測できない面もあるなど、危険性もありますが、それでも良いですか?」という、本当の意味での国民への問いかけが必要と思われました。

以上

合田  誠子  52歳No.24

 いわゆる"第2次取りまとめ"は、地層処分が可能との結論を前提とした恣意的なもので信頼性がない。評価を白紙に戻し、地層処分を見直し、研究施設計画を中止すべきだ。

 いわゆる"第2次取りまとめ"は、地層処分が可能という結論を前提としている恣意的なもので、地層処分の可能性、安全性に関わる重要な事項に対し、科学的に不十分であり、技術的信頼性を著しく欠くものです。その根拠は、高木学校と原子力資料情報室が作成した批判レポートに明らかです。"第2次取りまとめ"のような、欺まんに満ちたものを、公の資料として提出するようでは、核燃機構の体質が、旧動燃と同様であることを示し、これを専門部会が追認すること自体、一般市民の信頼を失うことになります。この評価を白紙に戻して下さい。
 批判レポートでは、地層処分の実施がいかに困難であるか、科学的な検証のもとに書かれており、こうした指摘を謙虚に受け止めるべきです。国際的にも、地層処分見直しの動きがあり、原子力推進派の中にも、同様の意見があります。地層処分を前提とした高レベル廃棄物政策を見直すことです。従って、現在、幌延に計画されている深地層研究所や、瑞浪などの、地層処分研究目的の研究施設計画は、速やかに撤回するべきです。そして重要なのは、高レベル廃棄物や、余剰プルトニウムを生み出す再処理政策をやめ、その根源となる原子力政策を、脱原発に変更することです。まずは、未来世代への負の遺産である高レベル廃棄物の発生量を、可能な限り少なく押えなければなりません。その上で、いかに安全に管理していくか、第三者に開かれた論議や、評価作業を行いつつ、道筋を練り上げていく必要があると思います。
 なお、意見募集については、その内容を一般市民にわかりやすく、第三者の批判も併わせて、広く情報公開し、論議をする場を設けるなどした上で、意見募集をするべきだったのではないでしょうか。私は、幌延深地層研究所計画のある北海道におりますが、道主催の"意見を聴く会"の会場で、質問をした方を通じ、初めて意見募集を知ったのです。このような状況を改善して下さい。

市來  正光  22歳No.25

「評価(案)」は驚くべき安全神話で染め上げられている。核燃料サイクルの確立を軸とする原子力政策はすでに破綻した。悪無限的に核廃棄物を出す原発そのものをとめよ。

 原子力委員会の「評価(案)」は、専門用語を駆使して科学的な装いを凝らして綴られているが、その内実は、核燃料サイクル開発機構の「第2次取りまとめ」にたいするなんらの批判的検討もなしに、高レベル放射性廃棄物をガラス固化して地層処分することについて「技術的基礎は整った」「技術的信頼性が示されている」「安全性が確保できる」という結論のみを書き連ねているにすぎないものである。しかも、「地層処分システムの安全評価」の結論部分では、"たとえ地震や侵食、ボーリングなどの人間侵入によってオーバーパックが破壊されて放射性核種が漏れだしたとしても、「天然の放射線レベルに著しい影響を与えない」「諸外国で提案されている防護レベルを下回る」"などと宣言している。なんと驚くべき非科学的な結論であろうか。このような「我が亡き後に洪水は来たれ」というべき無責任さと安全神話で染めあげられた「評価(案)」は、即刻撤回するべきだ。
 そもそも、政府・科学技術庁による高レベル放射性廃棄物の地層処分計画は、あくまでも使用済み核燃料の再処理=プルトニウムの抽出・保有、「核燃料サイクルの確立」を基軸とする原発・核開発政策にもとづくものである。しかし、このような政府の原子力政策は、95年の高速増殖炉原型炉もんじゅのナトリウム漏れ事故・97年の東海村再処理施設爆発事故・99年の東海村JCO臨界事故などによって、すでに破綻が露わとなっている。それにもかかわらず、原発を稼働させ続けていることで、日々不断に原発労働者は被曝労働を強制され・すべての国民が核惨事の恐怖にさらされつづけている。
 いま必要なのは、原子力政策の破産の根拠を真摯に反省し、まずもって悪無限的に核廃棄物を排出する原発そのものを止めることだ。無謀な高レベル放射性廃棄物の地層処分計画とそれにもとづく幌延「深地層研究所」建設計画を白紙撤回せよ。

朝野  英一  43歳No.26

地層処分の工学技術について、今後取り組むべき技術課題として、人工バリアの設計、製作の基礎となる「設計手法の基本的考え方の検討」について「今後の取組に当たって」において言及して欲しい。

「今後の取組に当たって」では今後取り組むべき課題が指摘されている。オ-バ-パックや緩衝材の諸挙動に対する現象解明とその理論化、及び処分技術の具体化は勿論重要である。しかし、人工バリアの設計を行うためには、設計手法が確立していなければならない。例えばオ-バ-パックについていえば、オ-バ-パックの容器としての位置付けが明確にならないと設計の根拠を明確にすることができないのではないかと考える。またオ-バ-パックを製作する際に用いる手法(技術)の選択においても、オ-バ-パックの設計根拠が明確でないと適切な技術の選択ができなくなる。
今後の課題として「設計手法の基本的考え方の検討」に言及して欲しい。
将来、技術基準を検討する際に役に立つものと考える。

朝野  英一  43歳No.27

今後取り組むべき技術課題として、「品質管理手法の検討」を「今後の取組に当たって」において言及して欲しい。

オ-バ-パックや緩衝材など個々の対象物に関する品質管理の検討の評価はなされているが、地層処分に関わるものや技術それぞれについて品質の維持と管理が要求されることになる。
従って品質管理手法の検討が今後の重要課題のひとつとして考えられる。
様々な物品とプロセスが関係し合う処分事業を考えると品質管理の対象とその展開、相互の関連性は膨大なものになる。個々の品質管理対象を明確にしてその手法を検討すると共に、全体を網羅するシステムの検討も必要である。
管理対象、管理項目、管理範囲などを明らかにすると共に、管理手法そのものの検討が重要であると考える。
「今後の取組に当たって」において「品質管理手法の検討」についても言及して欲しい。

藤村   陽  38歳No.28

『第2次取りまとめ』によって、地層処分の実現可能性と、未来にわたって処分場を確保できることが具体的にどれだけ保証されるのか不明である。

 『第2次取りまとめ』は地層処分の技術的信頼性を示していると評価されているが、それが地層処分を安全に行えることを現時点でどの程度確実に保証しているのか、この評価の意味するところが具体的にはわからない。将来、処分場は日本中に何ヶ所でも確保できるのか、それとも良い場所を見つけるのはかなりの困難を伴うのか、またはそうしたことも現時点では断言はできないのか、それによって高レベル放射性廃棄物政策ならびに原子力政策の見通しも変わってくる。このことを率直にわかりやすく述べて欲しい。

藤村   陽  38歳No.29

地震の問題が、活断層の問題にすりかえられている。安全とわかるところを選ぶというよりは非常に危険なところを避けたに過ぎないと述べるべきである。

 『第2次取りまとめ』は確認可能な活断層を避けることで地震の影響を避けることができるとしているが、これは地震学者や地球物理学者の大勢を占める見解とは言えないのではないか。しかもその活断層にしても、処分地選定の際に調査可能な範囲の地表近くに届いていない断層を避けることはできず、そうした断層がその後の地震のときに処分場に影響を与える可能性は十分にある。安全な場所が積極的に選べるかのように述べるのは誇大な言い方で、何をおいても避けるべき危険な場所を避けるに過ぎないということを率直に述べるべきである。

藤村   陽  38歳No.30

ガラス固化体の発熱量の不確実は、緩衝材の制限温度に与える影響が大きい。場合によっては処分が難しい場合があることも、述べておくべきである。

 『第2次取りまとめ』は、日本原燃仕様のガラス固化体について、その発熱によって緩衝材の制限温度(100℃)を超えないように廃棄体を配置できると試算している。しかし、計算に使われた発熱量は、日本に現存する海外から返還されたガラス固化体より場合によっては約2倍は低い設定となっている。埋設深度、地温、地質の熱伝導特性にもよるが、核燃料サイクル開発機構の技術資料でも、日本原燃仕様のガラス固化体を30年貯蔵で処分する場合には廃棄体の埋設間隔によらず緩衝材の制限温度を超えることが示されている。したがって、発熱量の大きな海外返還分のガラス固化体については、原子力委員会の方針とされている30年から50年の貯蔵では冷却が不十分となる。これは政策との整合の上で大きな問題であるから、技術報告書であってもきちんと触れておくべき点であると考える。
 ガラス固化体の発熱量が大きい場合に緩衝材の最高到達温度は、廃棄体の埋設間隔によらずに決まっているので、ガラス固化体の発熱量に合わせて処分場を設計することはできず、処分場の地質特性に合わせてガラス固化体の発熱量が下がるのを待つしかない。したがって『第2次取りまとめ』が地層処分の事業化の技術的拠り所として位置づけられるのであれば、ガラス固化体の内蔵放射能量は日本原燃の仕様を上回らないということも一つの目安として示されるべきである。

藤村   陽  38歳No.31

事故対策も含めて、処分場の建設、埋設、閉鎖といった技術は何年頃に実現する見込みなのか具体的に示すべきである。

 ガラス固化体の放射能が強いので人間が近づいて作業ができないため、埋設作業は遠隔操作で無人化・自動化されるとされている。処分場の建設からこうした操業全般について、事故対策も含めて何年頃に実現する見込みなのか具体的に示されていないのは、地層処分が法制化されている実情にそぐわない。具体的な見通しを述べるのは難しいという回答でもいいから、現状を率直に述べることが国民の理解につながると考える。

藤村   陽  38歳No.32

線量評価は安全であることを強調しすぎているのではないか。

 線量評価については多くのパラメータがあるため取り扱いは単純ではないとはいえ、レファレンスケースでは安全側に立った設定、平均的な設定、安全側でない設定が入り組んでいる。約80万年後に1年当たり0.005マイクロシーベルトが最大被曝線量であるというレファレンスケースの結果が代表値として使われ、自然放射線レベルよりも遙かに低いことが強調されているが、このようにどう転んでも安全であるかのように言うことは公正で誠実な印象を与えるとは思えない。ある程度最悪の組み合わせの結果も、もっと示すべきではないか。それなしには、今後、深地下研究施設が何のために必要とされるのか、処分地の選定に当たって地質条件が適した場所を公正に誠実に選ぶのかといったことへの信頼感が得られないと考える。
 なお『第2次取りまとめ』でも、3つほどの条件を安全側に組み合わせた場合の評価を行っているが、少なくともこれは生物圏評価を安全側に取った値(線量は100倍近くになる)で示すべきであり、さらにいくつかの条件も安全側に取るべきと考える。隆起・浸食や接近シナリオなど極端な場合についても同様に、生物圏評価を安全側に取った値を示し、地域と条件によっては自然放射線レベルを超える可能性があることを示すべきである。繰り返しになるが、ある程度最悪の結果を示しておくことが、信頼を持って受け入れられるために必要なことであると考えるからである。

藤村   陽  38歳No.33

深地下研究施設に関連して、地下深部の一般的な知見として何が足りないのか、また処分場固有の情報や試験として何が必要なのか具体的に示すべきである。

 『第2次取りまとめ』後の取組として、深地下研究施設と処分場固有の情報に基づいた研究の必要性が述べられている。深地下研究施設が受け入れられないのは、そのまま処分場になる懸念を関係住民が拭うことができないためであるのは明白である。処分場とは切り離して研究すべきことが残っているのなら、深地下の一般的な知見として何が欠けており、そのためにどういったことにどれだけの不確定があるのか、現状をありのままに示すべきである。しかし、『第2次取りまとめ』が述べるところは、深地下について一般的にわかっていないことが多く、地層処分を実施するために問題となる不確定要素がまだまだあるというよりは、地下深部では地層処分が安全に行える要素が多く、その一般的期待が十分に裏付けられたとされている。これでは、今後必要なのは処分場の地質固有の情報であり、深地下研究施設が処分場になるという懸念は一層増すだけである。
 実際の処分実施の前の実証段階としてガラス固化体の実体を埋設するテスト処分場といったものが必要であるならば、そういったものも含めて今後の研究開発計画を予め具体的に示すべきである。

田中  忠夫  42歳No.34

 個々の課題の到達度を評価した結果として、今後取り組むべき研究開発課題が具体的に示されることを期待。

 平成9年4月の専門部会報告書では、評価に当たっては、今後の課題と進め方を明らかにすることが求められております。
 専門部会及び分科会で技術の到達度を評価した結果として、今後取り組むべき研究開発課題、検討項目、取り組みの着眼点についてもう少し具体的に示された方が良いのではないでしょうか。中間整理の段階では、個別研究開発課題の評価の中で具体的に示されていました。例えば、本評価報告書案p.26の③物質移動の中では、「地下水中でのコロイドの生成・移行については、~コロイドの影響は小さいことが示されている」と第2次取りまとめの内容の説明が述べられているに留まっていますが、中間整理では、この後に「コロイドによる放射性核種の移行については、~安全評価への反映を検討することが求められる」と専門部会及び分科会の意志をもって今後への期待が示されていました。

田中  忠夫  42歳No.35

 処分技術は確立したものではないことへの言及、及び研究オプションや基礎研究の継続の重要性に対する明確な指摘を期待。

 第2次取りまとめを読んで「第2次取りまとめ記載の仕様、技術、手法で地層処分はできる」と受け取る方、あるいはそういう先入観で本評価報告書案を読んだ場合に「地層処分の技術は確立したものと判断されている」と理解される方が多数いるのではないでしょうか。8月8~9日の国際ワークショップでも、そのような理解に基づいた質問や発言があったように感じます。
 また、第2次取りまとめでは地層処分の技術が確立したのではなく、処分予定地の選定や場所に応じた処分場の設計などの事業化の段階に進めるための技術的基盤が整備されたものであることを理解されている有識者方々の中にも、基礎研究や基盤技術はすでに成熟し、今後の技術的課題は地下実験施設を活用したモデルや現象の検証や事業化に当たっての技術の改良開発に絞られたと受け止められている方もいるのではないかと思います。
 本評価報告書案では、以上のような受けられ方をしないよう、「場所が特定されていない段階~」、「基盤技術的な~」、「現状技術を前提として~」といった説明節をもって対応しているかと思いますが、以下の点に関連する記述があれば、誤解は少なくなるのではないかと思います。

第2次取りまとめに記載の仕様、技術、手法をそのまま適用した場合の地層処分の実現性を評価したものではない。
処分技術の中には事業を進める中で確立されていくべきものも多数あり、処分技術が確立していなくても事業化の段階に進める。
1つの技術が確立できたとしても、それに代わる技術についても研究開発を進め、オプションの幅は常に広げておく。
事業化に当たっての技術や知見は、関連する多くの基礎研究によって論理的に支えられていることが必要であり、今後も事業化と並行して基礎的な研究開発に取り組むべきである。

山口  徹治  34歳No.36

 「1.総括」と「2.各研究開発分野について」の順序を入れかえてはいかがでしょうか。

 各研究分野についてレポートの内容を詳細に検討・評価したうえで、「総括」として総合的な評価が下されるわけですから、案の構成では順序が逆だと思います。私はそうは思いませんが、バックエンド対策専門部会の評価は、地層処分の技術的信頼性は示されたとの結論を導くことに最初から決まっている、と考える人もあるようです。この章構成だと、結論ありきで、議論は後付との誤解を生みかねません。第2次とりまとめ自身が、総論レポート+3分冊の構成になっているので、評価案のほうもそれに合わせたのかもしれませんが、それにこだわる必要はないと思います。

山口  徹治  34歳No.37

 支保工材料の選択肢として普通コンクリートも残すような評価をするべきではないでしょうか。

 第2次とりまとめでは支保工の材料として、ニアフィールドの性能に影響を及ぼす可能性のある普通コンクリートではなく、低アルカリ性コンクリートを使うことにしています。これに対して評価案では特に言及していないようです。HLWの処分場を建設する時点においても、低アルカリ性コンクリートの使用実績が数十年にすぎないことを考えれば、バックエンド対策専門部会は、普通コンクリート支保工も選択肢のひとつに残すような評価をしておくべきではないでしょうか。

中山  真一  42歳No.38

今後の課題・取り組みに対する記述が不十分だと思います。

我々が現在手にすることが出来る最高の科学技術知見が投入されているという点を認め、合格点を与えたという印象です。その評価結果には反対はしませんが、しかしながら、技術的信頼性があるということと信頼感を得ると言うことが必ずしも同一ではないことを考えると、今後の課題・取り組みに関する指摘内容は不十分と思います。
たとえば、いろいろな分野のリスク評価において確率論的・統計的手法が求められ、また一般の方々も「絶対」は存在しないと理解が進んでいる現在の状況を考えれば、決定論的評価手法のみに頼った安全評価結果が今後受け入れられるとは到底思えません。それに対して「確率論的な安全評価・・・検討することが望ましい」(p.32)という程度の指摘にとどめるべきではありません。
各種のデータについても、「必要なデータが整備されている」という判断が多々されていますが、これがもし、推定値や外挿値や予測値を駆使してデータ一覧表は確かに埋められている、という意味ならば、これらの数字を使って行った安全評価結果が大きな安全裕度を示したとしても、それは「信頼性がある」とは言わない。可能な限りのデータ取得の努力が求められるわけで、このことは強く指摘すべきです。
なお細部に及びますが、文章表現のためか、どう対処すべきか判断できない箇所があります。たとえば、「8) 安全評価指標の設定の考え方」(p.29)において、「線量による評価結果を補完する考え方が提示されたものと判断する」と結論していますが、これは「この指標でOK」と言っているのでしょうか、あるいは考え方の一つとして「聞き置く」と言っているのでしょうか。(さらに、当該段落の日本語はやや妙です。今のままですと「有意な影響を及ぼさないことが確認されたから、提示されたものと判断する」と読めます。「7) 地層処分システムの安全評価に関わる期間」の項も同様。)

中山  真一  42歳No.39

ナチュラルアナログを「事例研究」とみなすことは無意味ではないのか。

評価案ではナチュラルアナログ研究に対する評価結果が2ケ所に出て参ります。p.15の「3) ナチュラルアナログの調査研究」およびp.28の「6) ナチュラルアナログ研究の適用」です。後者では、鉱床、火山ガラス、考古学的出土品等について変質などを調査・研究し、「安全評価で考慮した現象を理解するための支援的な研究事例として活用されている」ことを評価しています。この方法が、ナチュラルアナログから学ぶという意味でナチュラルアナログの実効のある使い方ではないでしょうか。
つまり、長期間にわたって考古学出土品が健全に保持されていたなら、その理由を、材料学的、化学的、地球化学的に明らかにし、得られた知見を安全評価に反映させるという方法です。
これに対して前者は「保存されてきた事例を示している」のであって、こういう場合もあります、というリストを示されたからといって「地質環境には本来的に・・・機能が備わっている」と判断したことを評価することについては納得しかねます。

齋藤  茂幸  46歳No.40

深部地質環境の実測データとして主として東濃地域・釜石鉱山のデータのみが扱われているが、それによってもたらされる制約の存在等については明記されることが望ましい。

第2次取りまとめで対象とした研究開発は、地層や処分場の場所が特定されていない段階のものであり、地層処分の実現に向けての基盤技術的なものであると認識されている。しかしながら、第2次取りまとめの「我が国の地質環境」の章の記述は、その性格上、関係するデータは様々な特定の地域から得られたデータから構成されることとなる。天然現象が扱われた「地質環境の長期安定性」の項目においては、我が国から広く集められたデータに基づく記述がなされていると判断されるものの、「地質環境の特性」の項目においては、主として「東濃地域及び釜石鉱山での実測データ及び既往の文献データ」に基づいて記述されたことが示されている。特に、これまでの深部地質環境データが地層処分の観点から集められたのは主として東濃地域及び釜石鉱山のみに限られているのは確かではあるが、それら2地域で得られたデータが我が国の深部地質環境を代表するもの、あるいは網羅するものとして扱えるのかどうか、またどのように扱えばよいのかについては十分な検討が必要である。しかしながら、その検討自体が困難な側面を有しているとも言える。したがって、東濃地域及び釜石鉱山で得られた実測データのみを用いることによる制約(文献データによる補完では不十分な、同一の領域が示す諸特性間の相互関連性やシステムとしての特性などについての取りまとめが、当該2地域での地質環境データセットに基づくもののみに限定されていること等)がもたらす取りまとめとしての問題及び今後の展開に及ぼす影響については、明記されるのが望ましい。

齋藤  茂幸  46歳No.41

淡水・塩水分布の変化等はシミュレーション解析を取り入れた評価ではなく、個々の実サイトでの調査とそこでの現状を説明できる水質進化の解析により評価されるべきである。

「海水準変動が地質環境に及ぼす影響については、海岸線の位置の移動及びこれに伴う地下水位の変化や淡水・塩水分布の変化等が挙げられており、これらの影響については、シミュレーション解析を取り入れた評価が可能であることが示されている」と述べている。一方、第2次取りまとめ総論のⅢ-43頁には「海水準変動の影響としては、海岸線の位置が移動することにともなう、地下水位の変化や淡水と塩水の分布の変化が想定される。その変化の程度は、シミュレーション解析により評価することが可能である」と記述されている。これらからは、淡水/塩水分布の変化はシミュレーション解析で評価できると述べていると理解できるが、地下深部での淡水/塩水分布を規定するのは、海水準変動のみではなく、地層の低透水性領域の広がり具合や海水面からの距離なども影響している。単純なモデルによる解析でその変化が説明可能なのは浅い深度領域で、かつ固結性が低い等のために地盤が高透水性である場合であろう。地下深部での淡水/塩水分布の変化は、適切な条件設定と入力データの把握が難しいために、シミュレーション解析ではむしろ適切な評価が困難であり、調査により現実をまず把握していく必要があると捉えるのが望ましいであろう。そしてまた、現状の分布は過去からの水質進化の結果として捉えることが可能であり、それを説明できることがまず重要であろう。淡水/塩水分布とその変化はシミュレーション解析により評価することが可能であるという表現については誤解のない取り扱い方が望ましいと思われる。

齋藤  茂幸  46歳No.42

「地質環境の長期安定性」という表現は、地層処分の安全性を論議し、それを一般公衆に伝える上においては誤解を与えやすい概念であり、今後用い方を注意する必要がある。

地質環境の長期安定性が地層処分の安全性を確保する上での前提であるかのような論旨が構築されている。これは一見もっともらしい考え方に見えるが、以下のような問題を有している。即ち、長期安定性という時の長期とはどの程度の期間のことを述べているのか、安定とはどの程度の状態のことを述べているのか、安定であれば即ち安全であると言えるのか、安全と評価されたものは全て安定な地質環境の場合にのみ言えることなのか等の疑問が提示できるのである。これらについての回答は様々な定義を与えて始めて適切に得られることになると考える。一方、安全評価によって得られた解析結果は基準との対比によって、安全であるかどうかを一義的に示すことができる。この場合の安全評価の結果は、安定性も何らかの形で取り込んだはずのものである。即ち、安全性を確保するということは安定性をも含めてなされるのである。しかしながら、長期安定性という概念を安全性から切り離すと、それは固有の絶対条件として扱われてしまうという恐れが生じる。現状はそれに近いと言える。地層処分での最終的な目標は、長期安全性の確保であって、長期安定性の確保ではない。後者は、前者の最終目標に到達するための重要な手段ではあるが、しかし必ずしも必須の手段ではない。この部分に十分な注意が必要であろう。我が国が変動帯にあるから長期的安定性はなく、したがって安全性も示すことができないと言うのか、変動帯の中にあってもその中から場所を適切に選べば安全評価でその変動の仕方を不確実さをも含めて取り込むことができ、安全性を示すことができると言うのかでは大きな違いがあると思われる。一般公衆に地層処分の問題を適切に理解してもらうためにも、地質環境の長期安定性という表現の用い方には今後十分な注意と配慮が必要と思われる。

末田  一秀  43歳No.43

意見①内蔵放射能等について
核燃サイクル機構のレポートにおいても条件によっては30年間の貯蔵では処分場の設計が困難とされている。 また、現在返還されている固化体の内蔵放射能量は、「第2次取りまとめ」の値よりも高く、100年程度の冷却が必要と指摘されている。
このことをきちんと評価すべき。

意見②地層の選定について
天然バリアとして機能する地層を選定できるとする考えは誤りである。
神戸大学石橋氏の指摘に答えるべき。

意見③透水係数について
第1、第2ドラフトにはなかった地下深部の透水係数のデータが最終報告書では追加された。その結果、これまでのデータでは深いところほど透水係数が小さいとされていたが、深いところのデータはばらついてそのような関係を認めることができなくなっている。
ところが、被曝量の計算では、データで否定された「深いところは透水係数が小さい」という仮定をそのまま使い、透水係数を一桁も低く加工して計算している。
この矛盾を説明すべき。

意見④断層シナリオについて
第2ドラフト(草稿)を対象に行われたOECD・原子力機関の専門家による査読では、地殻変動の大きい日本で新たな断層が発生するシナリオを除外していることは受け入れられないと指摘されている。きちんと評価すべき。

意見⑤輸送のリスクについて
六ケ所の貯蔵施設から1処分場あたり4万本とされるガラス固化体を運んでくる輸送中のリスク評価についても行うべき。

意見⑥批判者との討論会について
原子力委員会は、第2次レポートへのカウンターレポートを発表している木学校等のグループと公開討論会を行い、疑問点に答えてから評価作業を締めくくるべき。

八木  健三  85歳No.44

評価委員会の構成に問題があるので、まず評価(案)を破棄し、公正な委員会を作ることが必要である。

 今回の評価委員会の構成を見ると、深地層研究所計画に反対、乃至批判的な見解の専門家は含まれておらず、すべてこれを推進する専門家のみからなっている。
 これは公正性が求められる本委員会の性質に大きく違反する。
 この評価(案)を破棄し、批判的な専門家、及び市民団体から推薦を受けた専門家を多数加えた委員会を新たに構成し、評価を行うべきである。

八木  健三  85歳No.45

かつて幌延で行われた調査の結果を報告すること
評価において「安定な地質環境」を先カンブリア紀を基盤とする、欧米の地質環境と厳密な比較検討をおこなうこと。

評価(案)では「地域を特定することなく...」と述べながら、しばしば東濃鉱山や釜石鉱山に於ける調査結果を引用している。これについて想起するのは1985-88年3ヶ年にわたり、幌延の貯蔵工学センターに関して行われた調査結果を、動燃(当時)が「調査の取りまとめ」と題したわずか18ページのパンフレットで発表したことである。
 1988年行われた北海道議会のエネギー特別委員会で議員が「もっとくわしい報告はないのか」と質問したのにたいし、植松理事(当時)が「これ以外に報告書はありません。科学技術庁に提出したのもこれだけです」と答えたのを、傍聴席からきき、たいへん驚いたことがある。
 その動燃が「核燃料サイクル」と名をかえた現在、「地層処分」に関して膨大な、4分冊の報告書を出したのに再び驚いた。
 その中で、地域を特定しないとしながら、東濃鉱山、釜石鉱山に関する調査の結果を盛んに引用して、わが国においても地層処分にとって、安定な地質環境が存在しうることが示された」と結論している。
 その見地から、幌延において3年間の調査で得られた結果からも、そのような結論が可能か否かを示すべきである。そのために、幌延でえられた調査結果を詳細に報告すべきである。
 さらにそれらの『安定な地質環境』を数億年の単位で安定しているカナダ、スカンジナアなどの地質環境との比較検討を行い、真に安定か否かを検討することが肝要である。

藤井 虎雄 77歳No.46

概要記入欄
地層処分には反対です。10万年を問題にしなければならない危険物をつくるのが間違い。あるものは仕方がない地下格納庫に永久管理の方が状態が分るだけ地層処分より安心だ。

意見記入欄
北海道民は極く少数の人を除いて「第2次取りまとめ」を目にすることはできない。閲覧に供されていないからである。したがって「第2次取りまとめ」を検討なしに、この評価(案)に対して摘格な意見は無理だ。しかも評価(案)は各項目総べてが100点万点となっている。これではそれぞれ1000億円余の税金をつぎ込んで東濃超深地層研究所、幌延深地層研究所(仮称)は必要ない。(案)23pの③の2)「処分地において(中略)処分技術の実証を行えば税金の無駄使いの批判は受けなくて済むし、合理的だ。
そもそも日本の北の果幌延町の堆積岩を選んだのかあれこれ理由を並べているが全部後からつけた理屈だ。例えば動燃当時の調査では、深地層試験場候補地の「犬曲断層は活断層の事実は認められない」が、核燃は「大曲断層は活断層の可能性がある」に変り、「北海道北部は非常に地震の少ない地域」が「地震防災、津波防災の観点から非常に重要な地域」と、地震では正反対の発言である。津波は奥尻島の例を引合いに出しているが、仮に幌延がその津波被害を受けるとすれば、幌延町より西南の日本海沿岸周辺市町村は壊滅的被害を受ける。幸い北海道はそのような非科学的根拠を持ち合わせていない。核燃は幌延町で「第2次取りまとめの地層処分技術の検証を行う」のが「深地層研究所」日本で唯一のものだ。幌延の堆積岩は「非常に軟らかい」と説明する。「取りまとめ」では深度500mが限界とし、処分坑道にガラス固化体横置の場合坑道の長さ約600m、縦置の場合は900m、いずれも処分孔掘削機は13切羽並進と記載されている。深地層の堆積岩、しかもバージン地層の掘削は世界的にも未経験だ。核燃にその技術も経験もない危険極まりない設計である。核燃は深地層研究所(仮称)の概要で深地層研究所(仮称)の完成イメージ図を掲載してるが、これは入排気坑道が結合する排気不能の欠陥図、技術能力を疑う。具体的な計画不明の研究は反対だ。

長谷川 のぞみ 50歳No.47

 危険な原発をすぐに停止し、再処理やMOX燃料は絶対に使わず、核のゴミを増やさないようにする事。地震国の日本における地層処分には、安全性がないため絶対に反対。

 再処理やMOX燃料を使わなければ、高レベル放射性廃棄物は出ません。これ以上の核のゴミを増やすことには、絶対に反対します。現在動いている原発をすぐに停止し、処分の方法も決まっていない核のゴミを作らないようにすることを、まずすべきです。
 ここ数年で露呈された「国、科技庁、旧動燃、核燃サイクル、電力会社、原子力産業」などのずさんな有様を反省することもなく、このような案を作るなどもってのほかです。様々な事故や事故隠し、死者が出ても反省もしていないことに怒りを覚えます。
 自分たちで勝手に作り、その費用を国民に押しつけないで下さい。これ以上の税金の負担はごめんです。そして、他の国々ではやめてしまっている地層処分にあくまでも固執するなど狂気の沙汰です。研究費の欲しい御用学者と、金づるを掴んで離さない原子力産業と、それに群がる族議員と行政。このような人々のために、私達が大変な苦労をして払っている税金を湯水のように使うことや、将来何千年も管理しなければいけない核のゴミなどを私達やその子孫に残すことには、絶対に反対します。

須藤  茂韶  61歳No.48

高レベル放射性廃棄物の地層処分については、いたずらに先送りすることなく、産官学一致協力して国内に最適地を選定し、実地処分を試行する時期に来ている。

 私は大学卒業以来、資源開発一筋に奉職してきました。元来、エネルギー資源に乏しい我が国ではエネルギーコストが安く、しかも消費増に対応できるのは原子力エネルギーしか無いと若い頃から信んじていました。不幸にも戦争という手段に活用され、唯一の被爆国となった日本は、毎年繰り返えされる原爆を風化させないセレモニーに、知らず知らずのうちに放射能アレルギーに染まり、その平和的利用について省みられることが少くなくなり、これに携わる者達が肩身の狭い思いをしているのも事実である。将来にわたって、原子力エネルギーの確保は避けて通れない現実であり、平和的目的に絞って、原子力エネルギ-と人間生活を共存させることに、人類の総智を上げて取り組むべきであり、21世紀を迎えるにあたって、待った無しで従来の先送り対策はもう許されることではないと考える。 国民のコンセンサスを得られないのは、産官学の関係者が積極的に広く一般大衆に、その重要性と安全性を訴える努力がまだ足りないのだと反省するとともに、不幸にして事故が発生した時、どんな些細なことでも、情報公開する姿勢が不透明のところから、国民の不信感を増長していく原因があると思える。
 今度、「原子力バックエンド対策専門部会報告書を読ませて頂きました。内容通り高レベル放射性廃棄物の地層処分が、今迄の研究成果通り安全だと自信を持って云い切れるなら、日本国内に急ぎ候補地を選定し、試行実施に踏み切るべきと考える。トイレ無き原子力行政は絶対ありうべきではなく、断固とした信念の下に地層処分の政策を進めるべきである。いたずらに世間に慮って躊躇してはならない。地層処分の技術的信頼性の評価が出来ているのだから...。

以   上

長谷川 さかえ 53歳No.49

 危険な原発の停止を求める。再処理をしないこと。MOX燃料は絶対に使用しない事。核のゴミをこれ以上増やさない事。地層処分は、大変危険なので絶対に反対。

 最初から「トイレ無きマンション」と言われていながら原発を大量に動かしてしまい、あきれはてた。
 そして今度は、何千年も管理しなければいけない核のゴミを新たに大量に作り、地層処分にするとは、「エネルギー後進国の日本」を、世界に露呈し、物笑いされるばかりだ。
 人間の管理できないゴミの発生源の原発を、すぐに停止せよ!
 僻地に人のいやがる核のゴミを押しつけるな!
 核燃料サイクルはもう破綻したのだ!
 国民にこれ以上の税金の負担をさせるな!
 子々孫々まで祟る地層処分などもってのほかだ!

山口 たか 50歳No.50

概要記入欄
地層処分を前提とした研究開発であり、近年の頻発する地震などを考えても、地層処分そのものを再検討すべきである

意見記入欄
<地層処分の技術的信頼性について>
そもそも、高レベル放射性廃棄物は、原子力発電によって発生する使用済燃料を再処理することによって発生する。処理処分の技術が確立していないにもかかわらず見切り発車した、わが国の原子力発電政策-とりわけ再処理施策にこそ、大きな問題があることを指摘したい。

今回成立した「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」は、市民から、地方公聴会の要望や、拙速な判断をさけるよう要望が強かったにもかかわらず、充分な議論もなく、地層処分のみを前提とする法律です。

国民の幅広い意見を聴くという姿勢を、国はとっていますし、原子力政策円卓会議を開催するなどしています。しかし、その会議でも、原発の賛否をおいても、深地層処分への疑問が多かったときいています。

最近各地で活発化している火山活動などをみるにつけても、深地層において天然バリアの役割が果たせるとは到底思えません。又、事故や地震などで、地下深く埋設した高レベル放射性廃棄物を回収する事態になった場合などを考えると、深地層ではなく、管理・回収が容易な形での貯蔵がベターであると思います。

 従って、まずもって、核燃料再処理を即、中止すること。すでに発生した高レベル廃棄物については、地層処分を前提とせず、徹底した検討・議論を行い、そのプロセスについても国民に公開しつつ十分時間をかけて研究 検討すべきであると考えます。

長谷川 翔 24歳No.51

概要記入欄
 若者に様々な高負担をしいる核のゴミを、これ以上増やさないでほしい。大変危険な地層処分には、絶対反対です。

意見記入欄
 もうほとんどの国でやめてしまった再処理を、なぜ日本だけ続けるのですか。再処理をしなければ、高レベル放射性廃棄物はでません。つまり若者はその分の負担を金銭的にも、将来長い年月の間管理しなければならない義務も負わなくていいのです。
 現在あちこちで火山が噴煙をあげています。このような日本の中で地層処分に適したところなどありえません。そして、技術的にもそれを補うことなどできません。原発を止めて、省エネ・節電・自然エネルギーの普及をもっと本腰をいれてきちんとすすめて下さい。
 地層処分には、絶対に反対です。

長谷川 麻衣 22歳No.52

概要記入欄
 ずさんなことが明らかになった核燃料サイクルをすすめていくことに、反対します。私達若者は、この無謀な地層処分計画に反対します。

意見記入欄
 あまりにもずさんなことが、世界中に知れ渡った核燃料サイクル。データーの改ざんは、日本だけでなく外国でもされていたことが分かり、あまりにもおそまつな原子力産業だと思いました。
 このような危険な計画を、身内だけで決めているからいつまでも改善できないのです。もっとたくさんの市民の参加で、できてしまった核のゴミの今後をじっくり考ええていくことが必要です、そのためには、処分方法も決まっていない核のゴミをこれ以上出さないために、すぐに原発を止めましょう。
 そして、あちこちに活断層のある日本での地層処分計画はやめましょう。このように危険な核のゴミを、将来幾万年もどうやって管理するのですか?そんな先まで日本はあるのですか?絶対に地層処分には反対します。

栗原 哲 50歳No.53

概要記入欄
 評価(案)は、いかなる意味においても、技術評価の体をなしておらず、無効である。原発・再処理についてゼロからその可否を十分な時間をかけ、公平に議論しなおすべき。

意見記入欄
 この(案)は、「専門部会報告書」が出した課題である「地層処分ができる」という初めから決まっている、全く誤った結論に向けて、それらしい体裁を整えようとして見事に失敗したものである。一言で言えば、あまり出来がよくないが教師の顔色をうかがうのが得意な学生のもっともらしいレポートといった程度の内容である。
 専門部会もサイクル機構も、そのメンバーは同じ穴のむじなといっていい、お仲間たちであり、批判的な立場の研究者はほとんど見あたらない。
 多少内容について述べると、地震についての検討が途中で活断層の検討にすり変わっているが、とんでもない誤りだ。活断層がなくても大地震が起こり得ることは今では常識だ。又近い将来実現すると考えられる技術という表現が繰り返し出てくるが、これは単なる願望であって技術評価とは全く言えるものではない。
 又、この(案)では、数値、数式、図、グラフ等が一切出てこないが、第2次取りまとめで検討された条件を様々に変えた時の被ばく量等がどうなるかを検討していないと思われる。これでは評価(案)とはとても言えない。又、根拠となる文献等も、内部資料が多く、広く研究者の間で認められたものとは言いがたい。 すなわちガラス固化体もオーバーパックも緩衝材も天然バリアも強烈な放射線を浴びた状態で、地下深くで、十万年以上健全でいられることは、世界のどこでもいまだかつて実証されていないことで、大丈夫だろうという願望と見込の下に着々と計画を進めることは、言葉の真の意味で犯罪である。
 まず、再処理をやめる、そしてできるだけ早く原発を停止していく、そこにしか明るい未来への道はないことを知るべきだ。

中島 和子   歳No.54

概要記入欄
評価(案)では「評価の位置づけ」に「処分場の特定がなされていない段階」と言及しつつも「幌延町で計画している貯蔵工学センターについて」の記述がある資-1が添付されていることは矛盾しており、認めることは到底できない。

意見記入欄
評価(案)では、「評価の位置づけ」に「処分場の特定がされていない段階」と言及しつつ、資料-1付帯(「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画抜粋」原子力委員会平成6年6月26日)の中では、幌延が処分地の対象とされていることは矛盾しており納得できません。本評価委員会の評価手続きとして、8月8日、9日に東京で開催された深地層処分研究に関する国際ワークショップについて、また、その中で討議された評価(案)について、またそれに対する本意見書の募集について、重大な利害関係をもつ幌延の住民や道民に十分な周知がなされなかったことは許されない行為です。
1984年に幌延町に貯蔵工学センター計画が浮上して以来、高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設と深地層試験場による地層研究を主なものとしたこの計画が、なし崩し的に高レベル放射性廃棄物の最終処分場になるのでは、との強い不安から、北海道では周辺自治体や道議会での誘致反対決議により計画が凍結されてきました。
その後、1998年2月、科学技術庁及び核燃料サイクル開発機構(以下、核燃)が北海道に対して貯蔵工学センター計画を白紙に戻して、新たに深地層研究所(仮称)計画を申し入れたため、核抜きの担保措置を前提に深地層研究所(仮称)計画が進められてきました。
'99年1月、北海道は核燃と科学技術庁が研究実施区域には放射性物質を持ち込まないことや中間貯蔵施設や処分場につながらないことを明らかにしたとして、庁内の「深地層研究所計画検討委員会」で検討をすすめ、「深地層研究所計画懇談会」を開催して「幌延町における新地層研究所(仮称)計画に対する基本的な考え方について」をまとめ、8月に幌延周辺を中心に9か所で「道民の意見を聴く会」を開催しました。多くの道民から反対意見が述べられました。
さらに、本評価(案)が示すような説明は県民に対して一切ありません。この評価(案)には、依然として幌延での貯蔵工学センター計画が残っており、北海道の説明と矛盾していることが明らかです。認めることができません。
評価委員会はこの評価(案)の矛盾点を明らかにし、「市民参加」で評価し直すべきであります。

佐藤 典子 43歳No.55

概要記入欄
活断層や火山周辺以外の地域の安全性と、欧米の地質の安全性との科学的な比較検討なしには地層処分は安全とはいえない。高度電力使用域内での完結型システムを早急に確立すべき。

意見記入欄
安定な岩盤を持つ欧米ですら深地層処分には極めて慎重で地層処分には強い反対がある。評価案では活断層・火山活動は、既存の同一地域で繰り返し生じるとしているが、いくつものプレート境界を持つ日本列島は多くの変動帯に位置しており、阪神・淡路大震災を例に出すまでもなく、活断層・火山活動など激しい地殻変動の可能性を持っている。評価案での「長期にわたって安定で安全性が確保できる地質環境が存在しうることが示された。」という評価は一方的であり、安全性は安定大陸と少なくとも同レベルであるという科学的検証が必要である。
長期にわたる管理の安全性と信頼性を保証するためには、地上で目に見える形で管理するのが最も安全である。都知事発言で、東京に原発を作る計画も浮上している。例えば臨海副都心に原発・高レベル放射性廃棄物処分場を誘致し、高度電力使用域内での完結型システムを早急に確立すべき。

高橋 英子 47歳No.56

概要記入欄
評価委員会を再構成し直し、公正な委員会により評価をやり直すべき。

意見記入欄
8月8日、9日に東京で開かれた深地層処分研究に関する国際ワークショップ、そこで討議された評価(案)、又、それに対する意見書の募集について、重大な利害関係をもつ幌延の住民や道民に、十分な周知がなされていないことは許されないことです。
評価委員会の人選にあたっては、深地層計画に反対・批判的な専門家や市民団体からも推薦を受け付け、推進と同数の委員構成とすべきである。又、幌延地域の住民や道民をメンバーとして評価委員会を再構成し、公正で透明性のある評価をやり直すべきである。

七里 とみ子 49歳No.57

概要記入欄
評価(案)の付帯資料「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画抜粋」に、幌延が明確に対象とされており、地域を特定しないという評価(案)は認める事ができない。

意見記入欄
高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術的信頼性の評価について、「わが国における地層処分の技術的信頼性が示されていると判断できる。(9p)」、「場所が特定されていない段階(11p)」と、いいつつも、「動燃事業団が北海道幌延町に計画している貯蔵工学センー内に(17p)」は、すでに、道民に周知している「貯蔵工学センターは白紙撤回」と矛盾するうえ、「北海道幌延町において新たに深地層研究所計画として申し入れが行われている(17p)。」と、地域を特定している。また、付帯資料-1「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画抜粋」に、幌延が明確に対象とされており、この評価案は欺瞞である。

池野 正治 50歳No.58

概要記入欄
国際的に検討が進められている「再取り出し」が可能な貯蔵形態、技術開発も選択肢の一つとして考慮すべきである。

意見記入欄
「今後の取組に当たって」に上記の件に言及されているが、なぜ言及するだけで真剣に取組もうとしないのか。今現在起きている火山噴火や地震の予知すら困難を極め、迷走している状況を見れば、数万年先、数十万年先を予測することは人知を越えており、「地層処分」を唯一の方法とすることは非科学的ですらある。もし情報の透明性を確保するのであれば、まず、「地層処分」がなぜ唯一の方法なのかを国民に問うべきである。捨てることのできない放射性廃棄物を作り出してきた愚かな世代が、これからの世代に負担とリスクを負わせる愚かな選択は再考すべきではないだろうか。わが国は、米国ヤッカマウンテンのように「政治的」に処分場が決めてしまう愚だけは避けなければならない。「処分」によって原子力政策策定者と発生者の責任が免責されてはたまらない。「隔離」によって永遠に責任を負っていただきたい。私は「地上保管」-「モニュメント」として永遠に残すように提案する。

池野 正治 50歳No.59

概要記入欄
JNCレポートは、専門部会報告書が示した課題に沿って解析・評価したものであるから、「意」には合っているだろうが、だからといって安全性が確保できると結論づけるのはおかしい。

意見記入欄
評価分科会やサブグループで検討はされたのであろうが、どのように検討されたのかが分からない。多様な意見がある分野では、当構成員の意見と異なる場合もあろう。そしてこの評価について国内で第三者機関によるレビューを受けていない。OECD/NEAのレビューでもいくつか問題点が指摘されている。(例えば断層活動について)にも係わらず当報告書の結論が「地層処分の安全性が確保できる見通しが得られているものと判断できる」と全面賛成しているのは不可解である。「見通し」を省いて語られ、実施主体が設立される現状を非常に危惧している。

石川  浩次  67歳No.60

我が国の地質環境の長期安定性評価に関する、候補地の地域特性を確証するため、特に結晶質岩分布域における深部地質環境の長期安定性評価のための岩盤水理特性の把握、深層地質調査機器の開発、海水準変動が及ぼす影響等に関する現地実証試験調査を行うこと。

我が国における「高レベル放射性廃棄物の地層処分」に関する技術的信頼性を高めるためには、少なくとも2万年以上の長期安定性を評価しうる候補地における「現地実証試験」の実施が急務と考えられる。我が国の地質環境の長期安定性評価のための調査研究はこれまで、全国的には堆積岩並びに結晶質岩を対象として進められ、現地調査は東濃、釜石等で進められてきたが、以下の点については未解明と考えられる。①力学特性、透水係数等水理特性に及ぼす岩盤の割目頻度及び土被り厚、熱特性等の影響の定量的検討②深部地質調査における岩盤の透水性とその評価に関する機器の開発(特に、10-13m/s以下の測定)③沿岸域における海水準変動が透水性の変化に与える影響について、時間軸を入れた四次元的調査研究 等である。そのため、沿岸域における①活断層帯分布域以外の堆積岩分布域②結晶質岩分布域を対象とした、変動地形調査、地球化学的調査と併せて、深度1000m程度の地質調査の実施による水理特性分布、地下水の変化、淡水・塩水分布の変化等に関する実証実験を実施し、また、地下水移行経路の形成の解析、地震力による岩盤や地下水の性質の変化の影響調査し、深部地質環境における「長期安定性の評価」の推進が急務であり、必要であると考えます。

林   久子  40歳No.61

放射性廃棄物は、埋めずに手を加えられる形で管理すべき。まずは、国民に原子力発電からは、放射性廃棄物が出ること、その管理には時間と費用が膨大にかかる事を知らすべき。

 「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術的信頼性の評価(案)」を読ませていただきました。高レベル放射性廃棄物を地層処分することを前提とした取り組みですが、地層処分には反対です。「処分」という言葉が使われていますが、放射性廃棄物の場所を地下に移し、人間の目(意識)から見えなくしただけのことのように思えます。放射能を弱くするのは時間に頼るしかない現状では、「処分」方法が確立するまで、目に見え、手を加えられる形で管理すべきだと思います。
 高レベル放射性廃棄物はガラス固化した後30~50年貯蔵するそうですが、第二次世界大戦が終わったのがわずか55年前。30~50年の貯蔵でさえ、きちんとできるという見通しが立っているとは断言できないと思います。
 「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術的信頼性の評価(案)」がまとまったので国民の意見をきくとのことですが、原子力発電をすることにより、このように大がかりで時間も費用も想像できない程かかる放射性廃棄物が出ることを全ての国民が知っているとは思えません。また、このようにやっかいな放射性廃棄物が出ることを知れば、原子力の電気が必要とは言わないと思います。私は負担が大きすぎる原子力で電気を作らなくてもよいと思っています。
 原子力発電から放射性廃棄物が出ること、その廃棄物のことを、まず国民に知らせるべきだと思います。
 原子力を推進しようとする方々には、自分(個人)で本当に責任の持てる時間はどの位かを考えていただいて世界地図をながめていただきたい。シワがよったような日本列島に放射能を埋めるとはどういうことなのかを真剣に考えて下さい。そして、これ以上、放射能を生み出さない方向に、知恵を使って下さい。

牧野  紘子  55歳No.62

報告書案の技術的信頼性はどこにもみいだすことはできない。安全審査というものをガラス固化体の本体、現在の貯蔵からやり直すべき。入り口の問題を解決せずして出口はない。

理由①核燃料サイクル開発機構まずやるべき事は人形峠のウラン残土の問題。それをやらずに何の信頼ももちえない。②六ヶ所村のガラス固化体そのものが30年~50年の貯蔵に耐えられるかコジェマが保証していないのにガラス固化体の安全基準さえないのにどうして最終処分の話にゆくのか疑問。貯蔵中にも破損のおそれがあるのにそれさえチェックもできず、最終処分地にとりだすことも不可能(ガラス固化体の首部分の溶接の問題)(すきまが小さくてクレーンのはが入らない)こういった問題について明確な情報を提示して始めて信頼がえられる
③自分達に都合のよいように解析評価しているにすぎない。日本の花こう岩は割れ目が多くて地層処分には適さない。濃尾大地震(M8)を引き起こした根毛谷断層のような活断層のある所も候補地の一つにあげられている地震・断層活動による重大な影響が及ばない安全な地域が我が国に存在し得ることが科学的根拠に基づいて示されていると判断できるとかかれてあるがウソイツワリを科学的とはいうべきではない。
④アメリカ スウェーデンの事がかかれてあるが世界中どこをとっても地層処分できえた国はない。今世界の潮流は「廃棄物は地上に保管して常に監視をし何か起った時にはすぐ対策がとれるようにするべき」再処理も停止の動きがあるなか 将来的に4万本のガラス固化体の処分を考えるのではなく、毒性が弱まるのに数百年から1万年もかかる人間の手にはおえないものをうみだし続けることを今すぐやめることを本筋。アメリカの責任者が「1万年もの米国民の命を預かっていると思うと夜もねむれない」といわれたが、日本の行政を預かる人もこのようであるべき。⑤全て机上の理論で負の遺産を後世に残しつづけ処分しえないことを国民の合意もないまま強引に処分地を建設しようとする姿勢が明白でこの報告に強い怒りを感じる。⑥日本は全ての施策に責任をとらないのが問題。

杉山  綾子  35歳No.63

1万年先、10万年先の評価を一つの機関だけの計算で信じなさいと言われてもとても信じることは出来ません。せめて、いろいろな立場の違う人達の評価結果も見せてください。

友人が報告書を手に入れて読ませてもらいました。どのようにお考えなのかは、理解できました。処分したときの影響が思っていたほど大きくはないということで少し安心しました。しかし、1万年先、10万年先の影響の評価というのは、誰も保証してくれるものでもなく、いわば一つの小説が書かれているということだと思います。しかも、その小説の作者が過去にいろいろと隠し事をして見つからなければそのまますませようとして問題を起こした組織であることを思うと、そのまま信じても良いとは委員会の先生方でもお考えにはならないと思います。うそが書かれているとは思いませんが、いろいろな考え方のうちのひとつに強引に絞り込んで書かれていると思います。個人の考え方をそのまままとめないで報告書が書かれていれば、理解できない報告書になってしまうということは当然ですが、400年前に実在した家康についての小説ですら作者によって私たちは様々な家康像をもたされます。
先頃開かれた国際ワークショップでも、複数機関による評価が必要だということがお話しされたと聞いています。また、3月の第29回原子力バックエンド対策専門部会資料でもほぼ同じ趣旨の記述がありますが、なぜこの最終評価(案)ではその記述がなくなったのでしょうか。
科学技術庁のホームページhttp://www.sta.go.jp/genan/hakusyo/siryo2430.htmlには、動燃以外にもいくつかの機関で高レベル廃棄物の研究とくに安全評価の研究に私たちの税金が使われていることが書かれています。また、電柱研という電力会社の研究所でも廃棄物の研究をしていると思いますし、多くの大学でも研究をされていると思いますので、いろいろな機関で評価ができるのだと思います。こういう機会に是非その成果を並べて出して私たちにも比較させて下さい。きっと別の家康像が得られ、理解が深まるのではないかと思います。

石神  博子  42歳No.64

 資1-2のページについて
「北海道幌延町で計画している貯蔵工学センターについて~」という記述に対する反対の意見。

 現在北海道幌延町には、「深地層研究所計画」があります。1984年に突然持ち上った「高レベル放射性廃棄物処分場(貯蔵工学センター)」を幌延町に誘致する計画は、周辺自治体や道議会で誘致反対決議により、凍結されていました。
 しかし、科学技術庁は、1998年、「貯蔵工学センター計画」を白紙に戻し、新たに「深地層研究所計画」の推進を申し入れてきました。
 北海道は、貯蔵工学センター計画の白紙と深地層研究所計画の推進は、核抜き担保を前提に全く別の計画としています。しかし、現実には、幌延町に旧動燃の気象観測施設や事務所敷地、警備員の配置があり、その維持費用は核燃の予算から支出されています。施設が現存し予算もあるにもかかわらず「白紙になった」とするのは、とても納得がいきません。さらに今回の貴評価(案)の資2ページには、今だに「北海道幌延町で計画している~」というはっきりとした記述があり、白紙に戻っていないことは明らかだと思います。
 北海道や周辺自治体は、深地層研究所計画すら容認はしていないはずです。さらに現在ある幌延の計画は地層の研究のみを目的とするとしており、貯蔵工学センター計画とは違うものとしているはずです。
 このことについて、どのように考えていらっしゃるのか解答をいただきたいと思います。
 以上のようなことからも、貴評価(案)には、信頼性がなく再考をお願いします。

宗像  雅広  36歳No.65

 H12レポートの"信頼性は十分である"との根拠の記述を具体的に示すべきである。独立した他の機関による安全評価結果のダブルチェック等が必要ではないか?

 地層処分システムの安全評価について、専門部会報告書で示している本分野の目標は、我が国の地質環境において、ニアフィールドを中心とした地層処分システムの性能を十分な信頼性を持って評価することとなっている。しかし、その信頼性を本報告書において"信頼性は十分である"としている根拠は明確に記述されているのであろうか。最終的に信頼性を判断するのは国民であり、自治体である。H12レポートでは国民に向けてのにわかりやすい技術説明資料が欠落しているように感じる。特に、技術的説明の根拠となる資料は内部公開レポートであったり、公開準備中であったり透明性が確保されているとは言い難い。透明性・信頼性の確保を達成させるため、独立した他の機関による安全評価結果のダブルチェック等が必要ではないか?報告書内の技術的要件に対し、専門家によるチェック(レビューではなく独自の解析事例等)は十分であったのか、ならば、報告書にその評価結果と内容を記して、"信頼性は十分である"との根拠具体的に示すべきである。

宗像  雅広  36歳No.66

 H12レポートの不確かさ解析において安全裕度が十分見込めるとの記述には疑問である。アルタナティブなモデルシステムの提示が必要である。

 地層処分システムの安全評価について、専門部会報告書で示している"データ及びモデルの不確かさを考慮した解析も行われている。(中略)・・十分な安全裕度を見込むことを想定した評価手法が整えられたと判断できる"(Page 6)と記述されている。H12レポートでは1つの基本となる評価モデルシステムをベースに、"単一の"パラメータを変動させてその影響度合いを調査している。しかし、複雑なモデルシステムでは複数のパラメータの相互作用により、予想外の変動が得られる場合があり、十分な安全裕度を見込んだとは言い難い。不確かさ解析をしたとのことであるが、パラメータの変動、シナリオの変動については感度解析を実施している。しかし、塩水解析の例を見てもわかるように、塩水中での放射性核種移行現象を解析している訳ではなく、結果的に波及する影響について考察し、パラメータを変化させているのみであり、十分に現象解析しているとは言い難い。また、モデル不確かさについては、レポート内では言及もしていない。本来、複数のモデルシステムを例示し、そのいずれのシステムによる評価結果においても安全裕度が見込めなければいけないのではないか。H12レポートの不確かさ解析において安全裕度が十分見込めるとの記述には疑問である。本報告書においては、不確かさ解析の不達成、アルタナティブなモデルシステムの提示が必要であるとの記述が必要と考える。

宗像  雅広  36歳No.67

 H12レポートの線量に関する評価結果は指標とはなり得ない.提示された安全評価解析例は単なる解析例であり、これによって安全性が確保できる見通しが得られたとするのは過大な評価である。

 地層処分システムの安全評価について、専門部会報告書で示している"解析評価の結果から地層処分の安全性が確保できる見通しが得られているものと判断できる。"(Page 30)とあるが、注意して欲しいのは、H12レポートの線量に関する評価結果は指標とはなり得ない点である。モの解析手順を見てみるとわかるように、ソースターム>母岩>断層>生態圏、と核種の移行がモデル化されているが、それぞれのインターフェィスにおいて、核種の濃度を計算するため、仮想的な流入量・或いは希釈推量が仮定されている点である。これらの値は、特にサイトスぺシフィックな値であり、"一般的な値"という物は存在しない。従って、提示されたジェネリックな評価手法を想定するのは難しい。提示された安全評価解析例は単なる解析例であり、これによって安全性が確保できる見通しが得られたとするのは過大な評価である。