《原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画抜粋
(原子力委員会平成6年6月24日)》

Bサイクル廃棄物の処理処分
再処理施設や燃料加工施設などの核燃料サイクル関連施設から発生する放射性廃棄物(以下「サイクル廃棄物」といいます。)は、再処理施設において使用済燃料から分離される高レベル放射性廃棄物、再処理施設やMOX燃料加工施設から発生する超ウラン(TRU)核種を含む放射性廃棄物、ウラン燃料加工施設やウラン濃縮施設から発生するウラン廃棄物に大別されます。

(略)

(ハ)ウラン廃棄物の処理処分
ウラン廃棄物については、廃棄物を直接的に発生するウラン転換・成型加工事業者や濃縮事業者と、その発生に密接に関連する原子力発電を行う電気事業者が、当該廃棄物の帰属や処分に関する責任を当事者間において明確にします。その結果を踏まえ、処分の責任を有する者は、実施スケジュール、実施体制、資金確保等について検討を進めることとします。ウラン濃度が比較的低い大部分の廃棄物については、段階管理(放射能の減衰に応じて、保安のための措置を段階的に変更する管理方法)を伴わない簡易な方法による浅地流処分を行うことが可能と考えられ、今後、具体的な方法の検討を行った上で、基準の整備等を図っていくこととします。


(仮)

用語解説

IAEA(International Atomic Energy Agency):
 世界の平和、健康及び繁栄のための原子力の貢献を促進、増大することを目的に、国際連合の提唱により、1957年7月に設立された専門機関。開発途上国への技術協力、原子力発電の安全対策等、原子力の平和利用を促進するために必要な支援活動を行うと共に、関係国と保障措置協定を締結し、これによって軍事転用されないように保障措置を実施している。

RI:
 放射性同位元素(Radioisotope)のこと。元素のうち原子番号が同じで原子核の質量数の異なるものを同位元素という。同位元素の中で放射性を有するものを放射性同位元素という。

RI廃棄物:
 放射性同位元素を使用した施設、医療機関や医療検査機関などから発生する、放射性同位元素を含む廃棄物。主な廃棄物は、試験管、注射器、ペーパータオル、手袋などである。法律上は、「放射線障害防止法」、「医療法」、「薬事法」、「臨床検査技師法」により規制を受ける施設より発生した廃棄物を指す。

α(アルファ)核種:
 α線(「放射線」を参照)を放出する放射性核種。α核種のほとんどが、ウラン及びそれ以上の重さを持つ核種、又はそれらが順次壊れることによってできた核種であり、半減期が長いものが多い。

安定化:
 物理的、化学的性質が安定するようにする処理のことをいう。例えば、液状、粉状の廃棄物をセメント等の固型化材で固型化するなどの処理をいう。

一般的であると考えられる地下利用に対して十分余裕を持った深度(例えば50〜100m)への処分(地下利用に余裕を持った深度への処分):
 一般的な地下利用が行われない深度に放射性廃棄物を埋設処分するもの。跡地居住などの行為において有意な被ばくが生じないことなどから、コンクリートピット処分や素掘り処分よりも高い濃度の廃棄物を安全に処分することができると考えられている。

インベントリ:
 在庫量の意味であり、処分場等に存在する放射性廃棄物の量(重量又は体積)、放射性核種の量等の種類別存在量のことをいう。

飲料水基準:
 「水道法第4条」、「水質基準に関する省令」で定められた水道水が備えるべき水質上の要件。健康に関する項目(重金属、細菌等29項目)、監視項目(健康に関する項目のうち現状では基準化の必要はないが監視が望ましい項目、ウラン、亜硝酸性窒素等28項目)の濃度等の基準が定められている。

宇宙線:
 地球外部から地球上に放射される放射線のことを宇宙線という。平均的には年間約300μSv程度の線量になる。

ウラン核種:
 ウラン廃棄物に含まれる放射性核種で、質量数の異なる3つの同位体がある。ウラン濃縮操作を行う前の天然の同位体比(重量比)は、238Uが約99.3%、235Uが約0.7%、234Uが約0.014%である。

ウラン燃料加工:
 ウラン濃縮の製品である濃縮ウラン(六フッ化ウラン:UF6)を原料として、ウラン燃料を製造すること。原料のUF6を酸化物(二酸化ウラン:UO2)に変換する再転換加工工程と、UO2を原料として燃料集合体を製造する成型加工工程がある。

ウラン濃縮:
 天然のウランに約0.7重量%の割合で含まれる235Uを3〜5%程度に濃縮すること。重量の差を利用して遠心分離機によって濃縮する方法が我が国では実用化されている。

ウラン濃縮度:
 235Uの重量%をウラン濃縮度という。

遠心分離機:
 高速で回転する円筒状の機器で、ウラン濃縮に用いられる。UF6ガスを遠心分離機に供給すると、軽い235Uは、円筒の中心部に濃縮される。

介入:
 「行為」とは逆に、「介入」は、被ばくを低減または回避するか、あるいは被ばくの可能性を低減しようという、人の活動である。「介入」の対象は、管理された「行為」の一部でない線源(例えば、過去において行われた規制されていない活動の結果として導入された線源、自然放射線源による長期的な被ばく)や、事故の結果として生じたような管理外の線源への被ばく等である。

核分裂生成物:
 ウランやプルトニウムの核分裂に伴って生じた核種のこと。大部分が放射性であり、その半減期は1秒以下のものから数百万年以上に及ぶものまで幅広い。

化学毒性:
 特定の元素や化合物の化学的な性質による毒性のこと。

環境基準:
 環境の質がどの程度に保たればよいかを示す目標となる基準。化学物質等の環境中の存在濃度(例えば土壌中濃度や水中濃度)等の形で与えられる。

緩衝材:
 人工バリアの構成要素の1つで、候補材料の一つにベントナイト混合土がある。地下水の浸入と放射性核種の溶出・移行を抑制する機能の他、化学的緩衝性により地下水の水質変化を抑制する機能や物理的な緩衝性が期待されている。

規制除外線量:
 被ばく管理の観点から考慮する必要がない低い線量であり、線量評価において算定された線量がこれを下回る場合は、放射線障害防止の観点からの管理を規制除外できるとされている。放射線審議会によって、10μSv/年がその判断の基準とすべき線量とされている。

吸収線量;
 物質に吸収された放射線のエネルギーをいい、グレイ(Gy)という単位で表される。

クリアランスレベル:
 これを下回るものについては、放射性物質として扱う必要がないものを区分するレベルのこと。原子力安全委員会において、当該物質に起因する線量が自然界の放射線レベルと比較して十分小さく、また、人の健康に対するリスクが無視できることを要件として、主な原子炉施設から発生するコンクリートや金属に関する具体的な値が算出され取りまとめられている。(「主な原子炉施設におけるクリアランスレベルについて」平成11年3月17日)

研究所等廃棄物:
 原子炉等規制法による規制の下で、試験研究炉などを設置した事業所並びに核燃料物質などの使用施設などを設置した事業所から発生する放射性廃棄物。試験研究炉の運転に伴い発生する放射性廃棄物は、原子力発電所から発生する液体や固体の廃棄物と同様なものである。その他は、核燃料物質などを用いた研究活動に伴って発生する雑固体廃棄物が主なものである。
 また、試験研究炉の運転、核燃料物質などの使用などを行っている研究所などにおいては、併せてRIが使用されることも多く、原子炉等規制法及び放射線障害防止法の双方の規制を受ける廃棄物も発生している。

原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR):
 国連に設けられた科学委員会で、自然及び人工の放射線源による影響の国際的な状況に関する報告書を随時提出している。

減衰:
 放射性核種が放射線を放出すると別の核種に変わってしまう。結果として生成する核種が放射性核種でない場合は、元の放射性核種が減少していくことになり、放射能が低減する。このようにして起こる放射能の低減のことを減衰という。

減容:
 放射性廃棄物の体積を減少させる操作を減容という。同じようなシステムが採用できる場合は、体積が小さい方が少ない費用で輸送あるいは処分が可能となる。

行為:
 放射線防護に関連する記述に用いられる場合、「行為」とは、人の活動(事業、教育、医療、研究等)で、放射線の線源(人工および天然の放射性物質)、被ばく経路、被ばくの範囲を、現状あるものに対して付加的に導入するものをいう。放射性廃棄物の処分や輸送等の活動は、例えば原子力発電という「行為」の結果あるいは一部分であるとされている。

公衆の線量限度:
 ICRPが勧告している一般公衆の線量限度は、1mSv/年である。これは、すべての線源からの線量に対する限度であり、単一の線源に対してはこれより小さい値が割り当てられることがある。放射線作業の従事者に対しては20mSv/年の線量限度が勧告されている。公衆との違いは、従事期間や年齢構成の違い等の理由による。

国際放射線防護委員会(ICRP):
 放射線防護の基本的考え方を勧告することを目的として運営されている国際的な委員会組織。ICRPの勧告は、国際的に権威あるものとされ、各国あるいは国際機関の放射線防護基準の基本として尊重されている。

コンクリートピット処分:
 廃棄物を浅地中処分する一つの形態で、地表を掘削したのち、コンクリート製の箱を設置してその中に廃棄体を定置し、モルタルなどで充填するもの。原子炉等規制法においては、原子炉施設から発生する放射性物質を含む廃棄体を対象として、処分場跡地に居住した場合などを考慮し、浅地中処分が可能な放射性核種の濃度上限値が設定されている。廃棄物の最上部が地下数mの比較的浅い地中処分。

再処理によって回収された回収ウラン:
 ウラン燃料は、原子炉で一定期間使用された後、原子炉から取り出されて新しい燃料と取り替えられる。取り出された燃料を使用済燃料といい、その中には再び燃料として利用できる235U等が残存しており、これは再処理により回収される。この再処理によって回収されたウランのことを回収ウランという。核分裂生成物等の不純物を除去した一定の品質を満たすものは、再度ウラン濃縮等を行ってウラン燃料に加工されることがある。

産業廃棄物:
 産業活動に伴って排出される廃棄物で、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」で規制されるものをいう。廃棄物処理法では、放射性物質及びこれによって汚染されたものはその適用対象から除外している。

支持層:
 建築物を支持することができる一定の支持力のある地盤。

自然放射性核種:
 人工的な核反応等によって生成されたものではない、天然に存在する放射性核種。天然核種等ともいわれる。ウランとその子孫核種やトリウムとその子孫核種、40K等がある。

子孫核種:
 ある核種が放射線を放出した結果として生成する核種のことを子孫核種という。例えば、238Uは、α線を放出して234Thに変わっていく。この場合、238Uが親核種で、234Thが子孫核種である。

シナリオ:
 放射性廃棄物の処分などの影響を評価する場合、処分された廃棄物中の放射性核種が体内に取り込まれる状況や廃棄物中の放射性核種からの放射線を受ける状況を想定する必要がある。この場合において想定される状況を総称してシナリオという。線量評価シナリオ等といわれることもある。ありそうないくつかのシナリオを考慮して、ある範囲の状況を包括できるような保守的な想定のシナリオによって代表され、地下水移行シナリオ、跡地居住シナリオなどが挙げられる。

Sv(シーベルト):
 人体が放射線を受けた結果生ずる影響に着目した線量の単位。
 mSv:ミリシーベルト(0.001シーベルト)
 μSv:マイクロシーベルト(0.000001シーベルト)

焼却処理:
 作業委、手袋等の可燃性廃棄物を焼却炉で焼却し、廃棄物の重量及び体積を減少させるための処理。焼却処理の結果発生する焼却灰等が二次的な廃棄物として発生する。

除染(処理):
 放射性物質によって汚染された対象物から放射性物質を除去し、対象物の汚染レベルを下げることを除染といい、そのための処理を除染処理という。

除染係数:
 除染の効率を表す指標であり、除染対象物の放射能が除染前後でどの程度低減するかを示す。除染前の対象物の放射能を除染後の対象物の放射能で割ることによって求められる。

人工バリア:
 埋設された廃棄物から生活環境への放射性物質の漏出の防止及び低減を期待して設けられる緩衝材、コンクリートピットなどの人工構築物、廃棄物の固型化材料、及び処分容器。

素掘り処分:
 コンクリートピット等の人工バリアを設けず、素掘りの溝状等の空間に廃棄体を定置して埋設する処分方法。原子炉等規制法においては、原子炉施設から発生するコンクリート等の放射性廃棄物を対象として処分場跡地の掘り返しや跡地に居住した場合等の評価シナリオを考慮し、素掘り処分が可能な放射能濃度上限値が規定されている。廃棄物の最上部が地下数mの比較的浅い地中処分。

スラッジ:
 排水中の放射性物質を除去する処理などによって発生する廃棄物の形態であり、化学的な沈殿や吸着性の粒子等を脱水等の処理によって取り出したもの。

制度的管理:
 放射性廃棄物の処分場の閉鎖後に行われる跡地に対する管理で、モニタリングや監視等の能動的活動を伴う能動的管理と土地利用制限等の受動的管理がある。

線量拘束値:
 線量限度がすべての線源からの個人の線量を制限する限度という意味を持つのに対し、線量拘束値は特定の線源あるいは行為に関連して設定される限度であり、線量限度を上回ることはない。線量拘束値は、放射線防護の最適化(経済的、社会的要因を考慮して合理的に達成可能な限り線量を低く保つこと)において、制限条件として機能する。すなわち、放射線防護の最適化においては、線量を拘束値以下に保ちつつ、さらにこれを最適化するような方策がとられる。

線量評価:
 放射性廃棄物の処分等によって公衆や作業者等が受ける放射線の量を評価すること。放射線を受ける状況を想定したシナリオによって、線量を評価するための計算モデル(計算式)を使用して評価される。計算に使用されるモデルやパラメータはそれぞれ評価モデル、評価パラメータといわれる。

セメント固化:
 廃棄物を容器に固型化する方法として、セメントを固型化材料として用いる方法。

浅地中処分:
 低レベル放射性廃棄物の処分のうち、地表付近(数十m程度まで)で行われる処分のこと。IAEAの定義によれば、地下数mの素掘りトレンチ処分、コンクリートピット処分、地下数十mの岩洞への処分を含む処分概念である。これに対して、地層処分は、地下数百mへの処分概念について用いられている。

大地放射線:
 自然(あるいは天然)の放射線のうち、大地に含まれる放射性核種から放射されるγ線による放射線のことを大地放射線という。大地を構成する土壌や含まれる鉱物成分などによる地域差があるが、我が国では平均年間約320μSv程度の線量になる。自然の放射線には、このほか、食事等によって体内に取り込まれた自然に存在する放射性核種からの放射線や宇宙から放射される宇宙線による放射線などがある。

段階的管理:
 長寿命放射性核種を有意に含まない低レベル放射性廃棄物は、時間の経過とともに放射能が減衰する。放射線防護上の管理も放射能の減衰に伴って軽減化することができ、有意な期間内(300〜400年程度)に放射線防護上の管理を必要としない段階に至る。このように段階的に管理を軽減し、最終的には管理を必要としない段階に至るまでの管理を段階的管理という。

地下水移行シナリオ:
 地中に埋設された放射性廃棄物と地下水が接触し、地下水中に廃棄物中の放射性核種が溶出などによって移行し、さらにその地下水が地中を移行して河川等の地表水になり、その水を飲用水や家畜の飼育などに利用することによって放射線被ばくが起こり得ると想定するシナリオ。

地層処分:
 人間の生活環境から十分離れた安定な地層中に、適切な人工バリアを構築することにより処分の長期的な安全性を確保する処分方法。

超ウラン(TRU:Transuranium)核種を含む放射性廃棄物:
 再処理施設及びMOX燃料加工施設から発生する低レベル放射性廃棄物で、ウランより原子番号の大きい人工放射性核種(TRU核種)を含む廃棄物。TRU核種には、237Np(半減期:214万年)、239Pu(半減期:2万4千年)、241Am(半減期:432年)のように半減期が長く、α線を放出する放射性核種が多い(「放射線」、「α核種」を参照)。

定置密度:
 放射性廃棄物の浅地中処分等では、廃棄体を処分場に配置し廃棄体間の空間や上部が埋め戻し等によって充填される。廃棄体が占める空間のうち、純粋に廃棄体が占める空間の割合を定置密度という。

同位体組成:
 ウランのように同じ元素でも中性子の数の違いによって異なる質量数の元素がいくつか存在する場合がある。質量数の異なる同種元素を同位体といい、各質量数の同位体の組成割合(原子数あるいは重量の割合)を同位体組成という。

トリウム:
 核原料物質(核燃料の原料となる物質)の一つである。トリウム自体は核分裂性ではないが、中性子を吸収して、233Uという核分裂性の核種が生成する。

人間侵入シナリオ:
 例えば、放射性廃棄物の埋設処分場の跡地で行われる建設活動や、居住によって生じ得る放射線被ばくの状況を想定するシナリオ。汚染土壌が空中に浮遊した粉じんの吸入や汚染土壌・廃棄物からの直接放射線、汚染土壌で栽培された農作物の摂取などによって放射線被ばくが起こり得ると想定するシナリオ。

廃棄体:
 放射性廃棄物を、ドラム缶にセメント固化するなど、十分安定化処理するか又は容器に封入し、最終的に埋設可能な形態にしたもの。

廃棄体の確認行為:
 埋設処分される廃棄体の放射性核種濃度等の性質が、法令に定められた基準や安全審査などで決められた条件に適合していることを確認するために行われる行為。

排水基準:
 工場等からの化学物質の環境への排出を規制するための基準であり、排水中の濃度の形で与えられる。

パラメータ:
 線量評価モデルに代入して線量の評価値を得るのに必要な数値。線量を過小評価することを避けるため、幅のある数値をとり得るものについては保守的に設定されることが多い。

半減期:
 放射性核種の量が半分になるまでの時間。半減期は、放射性核種によって定まっており、半減期は、放射性核種によって百万分の1秒以下の短いものから、数十億年以上といった長いものまで種々ある。

被ばく線量:
 体外にある放射線源あるいは体内に摂取された放射性物質から個人が受ける放射線の影響に着目した量。Sv(シーベルト)という単位で表される。吸収線量に補正係数をかけて、放射線の影響という観点で共通の尺度を与える量であり、被ばく線量は、放射線による影響と比例関係にある。

比放射能:
 放射性核種の単位質量当たりの放射能をいう。半減期が長い核種ほど小さい値となる。

不確実性:
 線量評価のためのシナリオ、モデル、パラメータの設定において、設定可能な範囲が大きい等の理由により、評価結果に高い信頼性は期待できないような状況をいう。

Bq(ベクレル):
 放射性核種が崩壊して放射線を出す特性の単位。1Bqは、放射性核種が崩壊する数が1秒につき1個であるときの量。1Ci(キューリー)=3.7×1010Bq

βγ核種:
 β線及びγ線(「放射線」を参照)又はそのいずれかを放出する放射性核種。低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性物質の大部分はβγ核種であり、比較的短い半減期を持つ核種が多い。

崩壊系列:
 放射性崩壊(放射線を放出する等により他の核種に変換する現象)によって、安定な核種になるまでにいくつかの放射性核種を経る系列のこと。

放射化:
 物質に中性子が照射されることによって、物質を構成する原子の一部が放射線を放出する性質を持つ原子に変わること。例えば、60Coは、59Coという安定核種が中性子を1個吸収して放射性核種になったものである。

放射線:
 不安定な原子核が自然に壊れて別の原子核になるときに放出される高速の粒子又は波長のごく短い電磁波。主にα線、β線、γ線、中性子線からなる。放射線が人体に与える影響や物を透過する能力は、その種類とエネルギーによって異なる。それぞれの放射線を放出する放射性核種をα核種、β核種、γ核種と呼ぶ。
 放射線の特性を活用し、非破壊検査、がんの治療、血液検査、滅菌処理、トレーサー利用などで、放射線や放射性物質が利用されている。一方、放射線は、受けた放射線量に応じてがんなどの発生確率が増えるなど、人体への影響を考慮する必要があるので、原子力の利用に当たっては、一般公衆及び放射線業務従事者に対する放射線被ばく管理が重要である。

 α線:原子核から放出されるヘリウム原子核(陽子2個、中性子2個からなる)。α線は、空気中を数cm程度しか飛ばないため、衣服の表面でα線が吸収され、外部からの放射線の被ばく(外部被ばく)による影響はほとんどない。しかし、α核種の場合、呼吸や食物により体内に放射性物質を摂取し、放射性物質が肺や骨などの組織に沈着などして人体の細胞や組織への影響を及ぼす(体内被ばく)ことによる被ばくの寄与が大きい。このため、主にα線を放出するウランや超ウラン核種(参照「超ウラン(TRU:Transuranium)核種を含む放射性廃棄物」)については、内部被ばくを避けることが重要である。
 β線:原子核から放出される高速の電子。物を透過する能力はα線とγ線の中間であり、人体は、外部被ばく、内部被ばくの両方の影響を受ける。β線を放出する核種の場合、放出するβ線のエネルギーが低い14CやHなどは、外部被ばくよりも体内被ばくによる影響を避けることが重要となる。エネルギーの高いβ線を放出する90Srなどは内部被ばくに加え外部被ばくを避けることも必要となる。
 γ線:原子核からα線やβ線が出たあとに残ったエネルギーが電磁波(光の仲間)の形で出てくるもの。物を透過する能力が高く、この放射線を止めるには鉛板や分厚いコンクリート壁を必要とする。外部被ばく、内部被ばくによる人体内への影響があるため、両者を避けることが重要である。
 中性子線:原子核から放出される中性子の流れ。電荷を持たない中性子はものを透過しやすく、物質中で原子核をはじき飛ばしたり原子核と反応したりすることにより、人体の細胞や組織へ影響を及ぼす可能性がある。中性子線を止めるには水素原子を多く含む水やプラスチックなどを用いる必要がある。

放射線防護の最適化:
 ICRPによって勧告されている放射線防護の基本原則の一つで、個人の被ばく線量を線量限度以内とするのは当然のこととして、なおかつ線量を合理的に可能な限り低く保つこと。

放射平衡:
 放射性核種は、α線やβ線等の放射線を放出して別の核種に変わっていく。Aという核種が放射線を放出してBという核種に変わる場合、Aを親核種、Bを子孫核種という。Bも放射性核種である場合は、さらにBが放射線を放出してCという核種に変わるという現象を繰り返す。親核種の半減期が子孫核種の半減期に比べて十分長い場合は、親核種が子孫核種に変わる速度と子孫核種がさらにその子孫核種に変わる速度が釣り合う状態が生じる。この状態を放射平衡といい、親核種の放射能と子孫核種の放射能が等しくなる。

MOX(モックス;MixedOxide)燃料加工施設:
 ウラン−プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の成型加工施設。主な工程としては、ウランとプルトニウムを所定の割合で混合し、焼き固め、被覆管に充填して燃料集合体に加工することなど。施設の運転・解体に伴い、主としてウランやプルトニウムを含む様々な性状の放射性廃棄物が発生する。

モデル:
 線量評価を行うための一連の計算式。例えば、ある放射線源からの被ばく線量を評価する場合、単位時間当たりの線量は、線源の強度と線源からの距離等の関数で与えられ、被ばく線量はそれを時間的に積分したものとなる。

ラドン:
 ウランの子孫核種の一つで、気体状のもの。気体状であるため、地中から大気中に放散し、吸入による被ばくの原因になる。自然界から受ける被ばく線量の約半分は、地殻から放出されるラドンによる線量であるとされている。

リスク:
 放射性廃棄物管理の分野においては、放射線被ばくによる有害な影響の生じる確率。ある線量の被ばくを受ける確率と、その被ばくによる健康への重大な影響を引き起こす確率との積で表される。

臨界:
 235U等の核分裂性物質の核分裂が持続されるためには、核分裂性物質の濃度、量等がある一定の限界以上である必要がある。この一定の限界に達した状態を臨界という。


原子力バックエンド対策専門部会の設置について

平成7年9月12日
原子力委員会決定

1.目的
 今後の原子力開発利用を円滑に進めていくためには、平成6年6月に原子力委員会が定めた「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」に基づき、社会的理解を得てバックエンド対策を推進していくことが重要であり、原子力開発利用の長期的見通しも背景に据えつつ、バックエンド対策を推進していく具体的な方策について調査審議するため、原子力バックエンド対策専門部会(以下、「専門部会」という。)を設置する。
 なお、放射性廃棄物対策専門部会は廃止する。

2.審議事項
(1)高レベル放射性廃棄物の処理処分に係る技術的事項
(2)TRU核種を含む放射性廃棄物の処理処分に関する事項
(3)ウラン廃棄物の処理処分に関する事項
(4)RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理処分に関する事項
(5)原子力施設の廃止措置に関する事項
(6)その他、原子力バックエンド対策に関する重要事項

3.構成員
 別紙のとおりとする。

4.その他
 専門部会の下に、必要に応じて、分科会を置くものとする。また、専門部会は、必要に応じ、専門部会構成員以外の者からの意見を聞き、あるいは、報告を受けるものとする。



ウラン廃棄物分科会の設置について

 

平成12年3月8日
原子力バックエンド対策専門部会

 

1.設置の目的
 原子力バックエンド対策専門部会における、ウラン燃料加工施設、ウラン濃縮施設等から発生するウラン廃棄物の処理処分に関する事項の審議に資するため、「ウラン廃棄物分科会」を設置する。

2.分科会の構成員
 原子力バックエンド対策専門部会の部会長が、別紙のとおり指名する。

3.その他
 ウラン廃棄物分科会は、その検討状況を、適宜原子力バックエンド対策専門部会に報告するものとする。