資料(専)32-2

ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方についての検討状況

 

平成12年7月13日

 ウラン廃棄物分科会では、ウランの製錬、転換、濃縮、再転換、成型加工の各施設から発生する放射性廃棄物(以下、「ウラン廃棄物」という)及びRI・研究所等廃棄物のうちウラン廃棄物に相当するものを対象に、具体的な処理処分方策の検討を行ってきた。
 本資料は、ウラン廃棄物の特徴を踏まえた安全かつ合理的と考えられる処理処分方策の基本的考え方について、これまでに当分科会で行ってきた検討をまとめたものである。

 

1. ウラン廃棄物の発生の現状と将来の見通し
(1)発生形態
 ウラン廃棄物の主な発生形態は、気体廃棄物の処理によって発生する使用済排気フィルタ、液体廃棄物の処理等から生ずるスラッジ(水分を含んだ粉粒状の物質)、可燃性雑固体廃棄物(作業着、手袋、木材等、これらの一部については焼却処理が行われ焼却灰となっている)、難燃性雑固体廃棄物(ゴム靴、ビニールホース等)、不燃性雑固体廃棄物(金属、コンクリート、ガラス等)、使用済遠心分離機(ウラン濃縮施設で使用される機器の一つで、一定期間の操業を経たものは、新しいものと取り替えることがある)等である。

(2)発生の現状
 ウラン廃棄物は、ウラン燃料加工施設(再転換、成型加工)及びウラン濃縮施設の操業や核燃料サイクル開発機構(以下、「サイクル機構」という)等の研究開発活動に伴って発生し、一部については焼却処理が行われているが、固型化等の処理は行われておらず、焼却処理の結果発生する焼却灰も含めて、未処理のまま貯蔵施設に保管されている。これらの廃棄物の1999年3月末(平成10年度末)時点までの累積発生量は、未処理の廃棄物として200Lドラム缶で約10万本(累積貯蔵量実績等の調査による)となっている。

(3)将来の見通し
 将来的には、上記の施設の解体や、ウラン濃縮施設の遠心分離機の取り替えが行われることも考えられ、それらに伴うウラン廃棄物の発生が予想される。
 今後の発生量として、2030年度末時点の主要発生施設(ウラン燃料加工施設、ウラン濃縮施設及びサイクル機構)からの累積発生量を試算した。この試算においては、ウラン燃料加工施設、サイクル機構の関連施設の解体及びウラン濃縮施設の遠心分離機の取り替えも想定した。この結果、これらの累積発生量(可燃物については焼却処理を前提)は、200Lドラム缶換算で約56万本になり、このうち、約6割は、解体及び遠心分離機の取り替えにより発生すると推定される。
 RI使用・研究所等の施設からの2030年度末の発生量は、アンケート調査等に基づいて検討され、200Lドラム缶換算で約4万本と推定される。
 以上の結果、2030年度末時点の総累積発生量は、200Lドラム缶換算で約60万本と推定される。

(参考資料1…ウラン廃棄物の発生量と濃度分布)

 

2. ウラン廃棄物の特徴
(1)ウラン廃棄物の特徴
 ウラン廃棄物は、ウラン核種を含む物質が付着したもの等、含まれる核種が実質的にウランに限定されており、原子炉等において生ずるような放射化による放射性核種が含まれないという特徴を有する。具体的な形態としては、金属、プラスチック等の表面にウラン核種が付着した廃棄物と焼却灰、スラッジ等のウラン核種が均質に含まれる廃棄物に分類される。ウランは、他の放射性核種と比較して、質量当たりの放射能が小さく、同じ濃度でも、より質量が大きくなるため、ウラン廃棄物は比較的除染が容易とされる。これらのうち、ウラン核種が表面に付着したものは高い除染効果が期待でき、平滑で単純な形状のものは、ほぼ完全にウラン核種を除去することも可能と考えられる。
 ウラン廃棄物に含まれるウラン核種の濃度については、除染前の値で1010Bq/tオーダーのものから、10Bq/t以下のものまで幅広く分布している。

(2)ウラン核種の特徴
 ウラン核種は、天然起源の放射性核種であること(土壌等にも有意に存在する)、半減期が長く減衰し難いこと、質量当たりの放射能は小さく比較的容易に除染できると考えられること、酸化的環境では溶解度が高いこと等の特徴を有している。また、ウランの性状によっては資源価値を持つこと、精製されたウランについては娘核種の生成及び累積によって数十万年間にわたって放射性核種の合計濃度が増大すること、存在する量によっては化学毒性が問題となる可能性があること、ウラン濃縮度及び一箇所に集中して存在する量等の条件によっては臨界の可能性があること等の特徴を有している。
 天然起源の放射性核種であることに関しては、土壌中に含まれる238Uの平均的な濃度は 40Bq/kg(放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)1993、放射平衡を前提とすると全ウラン濃度は約80Bq/kg=8×104 Bq/t)とされており、ウラン等の自然放射性核種による線量(外部被ばく線量)は、日本(約320μSv/年)を含む13カ国の平均で約450μ Sv/年(ウランの寄与は約1/3)になるとされている。また、土壌中に含まれるウラン等の自然放射性核種の濃度には地域差があり、それによる被ばくへの寄与は、UNSCEAR1993の報告によると国別の平均値の範囲で約150μSv/年〜980μSv/年と試算される(換算係数0.7 Sv/Gy)。また、国内の県別の大地放射線+宇宙線の地域差は最大380μSv/年程度とされている。

(参考資料2…ウラン核種の天然賦存性について)

ウラン及び娘核種の合計放射能の経時変化をみると、初期には緩やかに増加しており、数十万年後にピークあるいは平衡に達する。このような放射能の増大が生じるのは、ウラン核種が放射線を放出して別の核種(娘核種)になっても、その別の核種も放射性であるからである。ウラン核種の主要な崩壊系列には、238Uでは13の、235Uでは10の放射性娘核種がある。天然に存在する状態では、娘核種とともに存在しているが、原子燃料として利用される場合には、ウラン元素が抽出された段階で、娘核種は分離されている。娘核種のうち、短期間で存在比が平衡に達するもの(238Uでは3核種、235Uでは1核種)は、当初からウラン廃棄物中に含まれているが、これ以外の娘核種(238Uでは10核種、235Uでは9核種)は、長期間かけて生成及び累積していく。また、娘核種の中には、気体状のものも存在する。
(参考資料3…ウラン廃棄物のα、βγ核種濃度の経時変化)
(参考資料4…ウラン核種の崩壊系列)

 

3.ウラン廃棄物処理処分方策の検討にあたって考慮する事項
(1)処理処分の基本的考え方に影響するウラン廃棄物の特徴
 上述したとおり、ウラン核種は、これまでに処分方策の検討が行われてきた放射性廃棄物に含まれる核種とは異なる特徴があり、特に、天然にも存在すること、半減期が長く実質的に減衰しないこと、放射性娘核種が生成及び累積することについてはウラン核種の顕著な特徴である。これらの特徴は、ウラン廃棄物の処分方策を検討する上で重要であると考えられる。
 また、放射線防護以外の観点、例えば臨界管理、化学毒性等による制約から処分されるウラン核種濃度に制限が加えられる可能性も考えられ、処分可能な濃度が放射線防護以外の観点からの濃度制限の可能性も考慮する必要がある。
 なお、ウラン燃料は、再処理によって回収されたウランが使用されることもあり、この場合、天然に存在するウラン核種以外に人工放射性核種を伴っているが、核種組成の違いを考慮しても、基本的に処理処分方策を決定づける核種がウラン核種であるものについては、本検討で対象とするウラン廃棄物として扱うことが可能であると考える。また、濃縮ウラン、劣化ウラン、天然ウラン等、同位体組成が異なるものがあるが、これらの違いを考慮しても、処理処分方策の基本的考え方に影響を与えるものではないと考える。

(2)国際放射性防護委員会(ICRP)等における放射性廃棄物処理処分の考え方
 放射性廃棄物の処理処分にあたっては、放射線の影響の防止(放射線防護)を図ることが基本となる。放射線防護の基本的考え方はICRP等によって勧告されており、行為の正当化、放射線防護の最適化、線量あるいはリスク限度の遵守という3原則に要約される。このICRPの勧告は、IAEA等の国際機関、日本を含む世界各国の放射線防護方策の検討において尊重されており、ウラン廃棄物の処理処分の具体的方策の検討にあたっても、このような国際的なコンセンサスを基礎とした枠組みとの整合性を考慮する必要がある。
 ICRP等では、長寿命固体放射性廃棄物の処分に対する放射線防護の考え方等について検討されており、ICRPが出版した最新の勧告(Publ.81:Radiation Protection Recommendations as Applied to the Disposal of Long-Lived Solid Radioactive Waste, 2000 長寿命放射性固体廃棄物の処分に対して適用されるものとしての放射線防護勧告、仮訳)では、次のような考え方が示されている。

(参考資料5…放射性廃棄物の処分に係る線量基準の検討状況について)

(3)海外における処分事例
 ウラン廃棄物は、海外においては、独立した放射性廃棄物のカテゴリとして扱われておらず、低レベル放射性廃棄物の一種として、処分方策・安全規制等も低レベル放射性廃棄物の一環として扱われている例が多い。
 ウラン核種を含む放射性廃棄物の浅地中処分場の例としては、低レベル放射性廃棄物の浅地中処分場又は一般及び産業廃棄物処分場が挙げられる。前者の処分濃度の上限値は、10Bq/tオーダーであり、後者の処分濃度の上限値は10Bq/tオーダーとなっている。前者の処分は、米国(素堀り処分相当)、英国(かつては素堀り処分相当であったが、現在はコンクリートピット処分相当)、仏国(コンクリートピット処分相当)で行われており、後者は、米国、英国、スウェーデン(いずれも素堀り処分相当)で行われている。
 これらの処分濃度の上限値の一部は、核燃料物質の臨界管理の観点から決定されていると考えられる。

(参考資料6…ウラン核種を含む放射性廃棄物の海外での浅地中処分状況)

 

4.ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方
(1) 放射性廃棄物処理処分の基本的考え方
 放射性廃棄物対策としては、一般の廃棄物と同様に、発生量の抑制が大前提であり、廃棄物の発生量低減や有効利用に努めることが重要である。
 放射性廃棄物の処分は、廃棄物に含まれる放射性核種が生活環境に対して影響を及ぼすことを防止することが必要であり、このためには、処分方法に適した形態に処理した後、放射性物質(放射線)の影響が安全上支障のないレベルになるように処分することが基本となる。したがって、処分の方法は、廃棄物の性状、特にこれに含まれる放射性物質の種類及び濃度を考慮して設定する必要がある。
 これまでの低レベル放射性廃棄物においては、上述の基本的考え方を踏まえ、含有する放射性核種の濃度等により適切に区分し、その区分に応じた合理的な処理処分方策が検討されてきた。すなわち、濃度等の性質によって、コンクリートピット等の人工構造物を設けない簡易な方法による浅地中処分(素堀り処分)、浅地中へのコンクリートピットへの処分、一般的と考えられる地下利用に対して十分余裕を持った深度(例えば、地下50〜100m)への処分、(例えば、地下数百m以深の)地層処分等の適切な処分概念を適用するという考え方である。

(2)ウラン廃棄物処理の基本的考え方
 廃棄物処理の基本的考え方は、取扱い作業の安全性や利便性、処分の安全性への寄与等を考慮して、合理的な廃棄体の形態及び処理の方式を選択するということである。ウラン廃棄物の場合、具体的な方法としては、廃棄物の性状及び濃度に応じた分別、ウラン核種の除染、廃棄物の減容化・安定化等が考えられる。原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物における廃棄体の例としては、濃縮廃液等を200Lの金属製ドラム缶にセメント等の固型化材によって安定に固型化したものがある。
 ウラン核種は単位質量当たりの放射能が小さく、金属等の表面に付着している場合には、除染が比較的容易と考えられ、高い除染効果が期待できる。焼却灰やスラッジのように、ウラン核種が物理的・化学的に媒体に取り込まれている場合には除染が困難であるが、これらについては除染係数100程度までの除染が可能であるとの試験結果が得られている例もある。
 一般的に、除染処理に期待する効果は、廃棄物の放射能濃度を低減することにより、濃度に応じた処分方法が選択可能となること、クリアランスレベル(放射性物質として扱う必要がないものを区分するレベル)まで除染することにより、放射性廃棄物量の低減化が可能となることである。また、ウラン廃棄物中に含まれるウラン核種は、資源としての性格も有しており、特に濃縮ウランにおいては資源的価値が高い。したがって、これらの観点から、合理的に可能な範囲でウラン廃棄物からウランを除染回収することを検討する必要がある。
 また、除染処理は、放射線防護の最適化の一つの構成要素であると考えることができ、クリアランスレベルの達成に伴う放射性廃棄物量の低減、処分方法の選択肢の拡大が期待される一方で、除染に伴う作業者の線量や除染に要する費用の増加等を考慮する必要があり、取扱い作業の安全性や利益性、処分の安全性への寄与を総合的に判断して、適切な除染処理システムが検討されるべきである。

(3)ウラン廃棄物処分の基本的考え方
 有意な管理期間内に十分な放射性核種濃度の低減が期待できる従来の低レベル放射性廃棄物の浅地中処分施設については、処分された廃棄物の放射能の減衰に応じて管理を軽減し、10μSv/年の規制除外線量(昭和62年12月、放射線審議会、基本部会報告)を判断規準として、放射線障害防止の観点からの管理を終了できる段階管理の考え方が適用されている。
 ウラン廃棄物は、半減期が長く(例えば238Uの半減期は約45億年)、娘核種の生成及び累積があることから、廃棄物に含まれる放射性核種濃度の減衰が期待できない。したがって、従来の低レベル放射性廃棄物の処分で適用されていた段階管理の考え方、すなわち、一定の管理期間後に管理を終了するという考え方が適用できず、処分と同時に管理を終了することや長期的に管理を継続することについても考慮する必要がある。
 ウラン核種は天然にも普遍的に存在する核種であり、地殻からの平均的な自然放射線量約 450μSv/年(外部被ばく線量)の約1/3は、238U系列からの寄与である。規制除外線量(10μSv/年)は、地殻からの平均的な自然放射線量やその地域差と比較して小さいことは明らかであることから、ウラン廃棄物処分についての適切な線量基準の設定にあたっては、このような点についても考慮するべきであり、公衆の線量限度の1mSv/年を守ることを基本として、適切な線量基準を設定することが考えられる。なお、放射線防護の最適化の観点から、社会的、経済的因子を考慮して、合理的に可能な限り線量低減化の努力が払われるべきである。
 ウラン廃棄物は、処分後の線量評価においてピークが現れる時期が数十万年後になることから、評価にあたっては、時間の経過とともにモデルやパラメータに関する不確実性が大きくなることを考慮する必要がある。さらに、ウラン核種の娘核種には、気体状のラドンが含まれることも、線量評価において留意すべき事項である。

 

5.ウラン廃棄物処理処分の見通し
(1) クリアランス
 既に述べたとおり、ウラン核種は比放射能が低く、除染が比較的容易であり、また、ウラン核種は資源として利用できる可能性があることから、処分の前に合理的な範囲で可能な限り除染処理を行うことが重要である。除染処理によって十分ウラン核種が除去されたことが確認できれば、放射性廃棄物として扱う必要のないもの(クリアランスレベル以下のもの)として処分することも可能と考えられる。クリアランスレベルの概念はウラン廃棄物についても適用可能と考えられ、今後、クリアランスレベルが検討・設定されることが必要であると考えられる。

(2) 浅地中処分(素堀り処分、コンクリートピット処分)
 上述したウラン廃棄物処分の基本的考え方を踏まえて、以下のような処分方策が考えられる。
a.ウラン核種の半減期、娘核種の生成及び累積等を踏まえて、評価の長期性、モデルやパラメータ等に関する不確実性を考慮した上で、放射線防護上の観点から、浅地中処分の対象となる廃棄物のウラン濃度を制限する。
 ただし、浅地中処分の対象となる廃棄物のウラン濃度については、評価の長期性を考慮して、適切なシナリオ、評価期間に応じた評価基準や評価指標、評価期間に応じたモデルやパラメータ等の不確実性を考慮して制限されるべきであり、具体的な濃度の値については、放射性廃棄物処分の全体的な安全規制の枠組みの中で検討・設定されるべきものである。
b.処分場の閉鎖後は、管理(長期的な土地利用の形態が処分の安全性に影響しないような制度的方策)を行うことが必要と考えられる。管理の内容については、覆土等の維持管理、地下水のモニタリング等の能動的管理と、廃棄物処分に関する記録の維持管理、跡地の適正な利用形態の明確化や土地利用計画への反映等の受動的管理が考えられる。これらのうち、能動的管理については有限期間内に終了することになると考えられるが、処分に関する記録の維持管理等の受動的管理は、期限を設けないことも考えられる。
c.ウラン核種は天然にもある程度普遍的に存在すること、海外での処分事例やICRP等での考え方を考慮した上で、例えば、自然のプロセスによって生じるような被ばくに対して0.3mSv/年の線量基準を設定する等、適切な線量基準を適用することが考えられる。
 仮に、0.3mSv/年を線量基準として、現行の政令濃度上限値に準じた評価を行った場合、ウランの娘核種が既に生成及び累積し放射能が最も高くなっていることを想定しても、将来発生すると推定したウラン廃棄物量の約9割(除染後の運転廃棄物についての割合、解体廃棄物についてはさらに大きな割合になる)が浅地中処分(素堀り処分)できる可能性があると試算される。
 ただし、処分による線量、リスク等の評価においては、地下水の移行に伴う放射性核種の移動等の自然のプロセスによって生ずるものと、跡地における居住等の人為的事象によって生ずるものを区別して検討されるべきであり、それぞれの評価について、aで述べたような評価の長期性、モデルやパラメータに関する不確実性を考慮した上で、線量基準の適用にあたっては十分な検討が必要であり、他の放射性廃棄物の安全規制との整合も図るべきである。

(3) 一般的な地下利用に対して十分余裕を持った深度への処分及び地層処分
 ウラン濃度が浅地中処分可能な濃度を超えるものについては、浅地中処分よりも地下水の流速が遅く、人間侵入の可能性が低い、一般的な地下利用に対して十分余裕を持った深度(例えば地下50〜100m)への処分、あるいは、地層処分の適切な処分を行うことによって対応できる可能性があると考える。
 ただし、この場合も浅地中処分と同様に、対象となる廃棄物のウラン濃度については、評価の長期性を考慮して、適切なシナリオ、評価期間に応じた評価基準や評価指標、評価期間に応じたモデルやパラメータ等の不確実性を考慮すべきであり、具体的な数値については、放射性廃棄物処分の全体的な安全規制の枠組みの中で検討・設定されるべきである。

 なお、素掘り処分、コンクリートピット処分及び一般的な地下利用に対して十分余裕を持った深度(例えば地下50〜100m)への処分の施設概念は既に検討されており、これらの施設概念を踏襲することができる。また、対象廃棄物が産業廃棄物に対する規制を適用すべき性状を有している場合には、その規制を満足するような処分施設概念を採用することにより、産業廃棄物に対する規制との整合性は満足できると考える。

 

6.今後の進め方
 今後、分科会においては、ウラン廃棄物特有の課題として認識されている臨界防止上の管理や化学毒性の取扱等の視点を考慮して、検討を進めることとする。
 また、処分に関する技術的事項以外の部分、すなわち処分事業の責任分担の在り方や諸制度の整備についても検討し、ウラン廃棄物処理処分の基本的考え方を明らかにしていく予定である。