資料(専)29-10

「放射性廃棄物シンポジウム」について

平成12年3月23日
科学技術庁原子力局
廃 棄 物 政 策 課

1.開催の目的
 放射性廃棄物処分の問題は、原子力の恩恵を享受した私たちの世代が解決しておかなければならない差し迫った問題であり、国民の方々に十分に理解していただき、また、十分に議論が行われることが必要である。
 放射性廃棄物の処理処分については、原子力委員会において検討が進められており、高レベル放射性廃棄物、RI・研究所等廃棄物、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物について報告書がとりまとめられ、それぞれの廃棄物の処分に向けた基本的考え方が示されたところ。これらの報告書においては、放射性廃棄物処分に取り組むにあたり、国民の皆様の理解を得ることが重要であるとの指摘が重ねてなされている。
 これらの提言を踏まえて、放射性廃棄物の処分への取組について国民の皆様に関心を持っていただき、広く議論が行われるよう、地域の方々、原子力委員会専門部会構成員等の参加を得て、次の目的のもとで平成11年度シンポジウムを開催した。

 ○放射性廃棄物問題の存在や現状の取組状況について、広く情報提供を行う。
 ○同問題について意見交換の場を設け、国民の理解を一層深めるとともに議論の喚 起をはかる。
 ○国民一人一人が同問題を自分自身の問題と捉えるようにする。

2.平成11年度の活動
(1)開催状況(別紙1参照)
第4回(広島)平成11年7月17日(土)広島県情報プラザ(広島市)
第5回(青森)平成11年8月28日(土)青森県教育会館(青森市)
第6回(鹿児島)平成11年10月16日(土)KCプラザ(鹿児島市)
第7回(千葉・柏崎)平成11年12月18日(土)幕張メッセ(千葉市)
柏崎コミュニティセンター(柏崎市)
第8回(松山)平成11年2月5日(土)松山市総合コミュニティセンター(松山市)

(2)主な議論(別紙2参照)
  ○第4回(広島)
 処分場と地域の共生や情報公開のあり方が主に議論された。議論のまとまりがあった反面、反対意見が少なかった。
 マスコミの報道はやや低調であった。
  ○第5回(青森)
 高レベル放射性廃棄物の問題や情報公開のあり方、処分場の立地について活発に議論が行われた。放射性廃棄物の青森県集中への不安から、処分地の全国分散を訴える意見や情報公開の拡充を求める意見が出された。議論が白熱し、意見交換の時間が足りないとの声が多かった。
 シンポジウムの内容が地元マスコミで大きく報道され、地域へ広く情報提供、放射性廃棄物問題の周知を行うことができた。
  ○第6回(鹿児島)
 主に、情報公開、教育問題、処分場と地域の共生について議論された。JCO事故の直後の開催であったことから、参加者から原子力行政への不信を訴える意見が多く出された。
 また、事故直後で世間の原子力行政に対する関心の高まっている時期であったこともあり、シンポジウムの結果については、地元マスコミで比較的大きく報道された。
  ○第7回(千葉・柏崎)
 首都圏の千葉市と原子力発電所立地市である柏崎市をテレビ会議システムで結んで開催した。主に、高レベル放射性廃棄物の処分方法や情報公開について議論された。JCO事故や人形峠のウラン残土問題等に端を発した原子力行政への不信感を訴える発言があった。通常に比較して時間を30分長く設定したものの、柏崎会場を中心に議論が白熱し、時間不足の感があった。
 地元の報道ぶりについては、柏崎地域でテレビ・新聞による報道が大規模に行われ、広く情報提供、放射性廃棄物物問題の周知を行うことができた。一方、千葉地域の報道はやや低調であった。
  ○第8回(松山)
 高レベル放射性廃棄物の問題を中心に活発な議論が行われた。地層処分の安全性やどうすれば国民が安心できるかといったこと、マスコミ報道のあり方が主に議論された。
 地域最大のブロック紙の第一面でシンポジウム開催結果が報道されたほか、地元の主要マスコミで報道が行われ、地域へ広く情報提供、放射性廃棄物問題の周知を行うことができた。また、シンポジウムの詳細が地域最大のブロック紙で特集記事として報道され、広く議論喚起を行うことができた。

3.平成12年度の計画
  ○当該シンポジウムは、放射性廃棄物処分に関する情報公開・議論喚起の場として、また国民各層との意見交換を通して行政の透明性を維持する場として有用であったと考えられる。平成12年度も当該シンポジウムを継続し、より密に住民参加型(PP)活動を展開していく計画。
  ○具体的には
  (1)開催回数の大幅増加をはかる
  (2)開催形態や運営方法の多様化をはかる
  (3)マスメディアを積極的活用に活用し、地域社会へ広く情報提供を行っていく。議論の喚起、無関心層へのアプローチの強化をはかる。
  (4)広報ツール(パンフレット等)の充実をはかる。

 

(別紙1)

「放射性廃棄物シンポジウム」の開催状況

 

<第1回(静岡)>
(1)日時・会場

平成10年12月4日(金)13:30~16:35
静岡市民文化会館「大会議室」(静岡市)
(2)出席者
  ①パネリスト(4名)
落合 艶子  「アトムレディース」主宰
寺田 朝子  「女性談話室しずおか」代表
早川 潤子  市民サークル「Connection(コネクション)」代表
原田 誠治  静岡新聞社取締役編集局長
  ②原子力委員会専門委員(4名)
石橋 忠雄  弁護士
大桃洋一郎  (財)環境科学技術研究所専務理事
徳山  明  常葉学園富士短期大学学長
鳥井 弘之  日本経済新聞社論説委員
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
一般傍聴者:111名
関係者:17名 報道関係:7社

<第2回(京都)>
(1)日時・会場
平成11年1月27日(水)13:30~17:10
京都リサーチパーク「バズホール」(京都市)
(2)出席者
  ①パネリスト(6名、*印は公募によるパネリスト)
我妻 伸彦  立命館大学経済学部教授
佐伯 昌和 *農業・京都反原発めだかの学校
末田 一秀 *日本消費者連盟関西グループ
山崎 晴雄  東京都立大学大学院理学研究科教授
山下  修  京都新聞社論説委員
渡辺 三郎  原発反対福井県民会議常任幹事
  ②原子力委員会専門委員(5名)
大桃洋一郎  (財)環境科学技術研究所専務理事
田中 靖政  学習院大学法学部教授
鳥井 弘之  日本経済新聞社論説委員
東  邦夫  京都大学大学院工学研究科教授
松田美夜子  生活環境評論家
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
一般傍聴者:115名
関係者:27名 報道関係:8社

<第3回(福島)>
(1)日時・会場
平成11年3月24日(水)13:00~16:30
福島ビューホテル「安達太良」(福島市)
【中継による参加】福島県原子力センター(双葉郡大熊町)
【中継】未来科学技術情報館(東京都新宿区)
(2)出席者
  ①パネリスト(5名、*印は公募によるパネリスト)
芦野 英子 *著述業
佐藤 和良  会社員
菅野 幸雄 *高校講師
橘  政道  福島民報社編集局長
花田  茂  中学校教諭
  ②原子力委員会専門委員(5名)
石橋 忠雄  弁護士
大桃洋一郎  (財)環境科学技術研究所専務理事
神田 啓治  京都大学大学院エネルギー科学研究科教授
徳山  明  常葉学園富士短期大学学長
松田美夜子  生活環境評論家
  ③福島県原子力広報連絡会議会議員(46名)
  ④コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
一般傍聴者:117名
関係者:26名 報道関係:15社

<第4回(広島)>
(1)日時・会場
平成11年7月17日(土)13:30~16:35
広島県情報プラザ「多目的ホール」(広島市)
(2)出席者
  ①パネリスト(5名、*印は公募によるパネリスト)
木原 省治  「原発はごめんだヒロシマ市民の会」代表
田中 高宏 *元会社員(公募)
土井 敏詳  中国電力株式会社常務取締役
宮坂 靖彦  中國新聞社論説委員
湯本 泰弘 *岡山大学アイソトープ総合センター助教授(公募)
  ②原子力委員会専門委員(3名)
神田 啓治  京都大学大学院エネルギー科学研究科教授
徳山  明  常葉学園富士短期大学学長
鳥井 弘之  日本経済新聞社論説委員
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
一般参加者:137名
関係者:20名 報道関係:5社

<第5回(青森)>
(1)日時・会場
平成11年8月28日(土)13:30~16:35
青森県教育会館「はくちょうの間」(青森市)
(2)出席者
  ①パネリスト(5名、*印は公募によるパネリスト)
石川はじめ *医師
江波 戸宏  デーリー東北新聞社論説委員
須藤  豊  東北電力株式会社常務取締役
対馬 秀雄 *元青森県医師会会長
平野 良一  元青森県南津軽郡浪岡町長
山下  博  日本原燃株式会社専務取締役
  ②原子力委員会専門委員(4名)
石橋 忠雄  弁護士
大桃 洋一  郎財団法人環境科学技術研究所専務理事
神田 啓治  京都大学大学院エネルギー科学研究科教授
徳山  明  常葉学園富士短期大学学長
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
一般参加者:157名
関係者:17名 報道関係:14社

<第6回(鹿児島)>
(1)日時・会場
平成11年10月16日(土)13:30~16:40
KCプラザ「7階ホール」(鹿児島市)
(2)出席者
  ①パネリスト(5名、*印は公募によるパネリスト)
小川美沙子  「自然の灯をともし原発を葬る会」代表
久本 勝紘  南日本新聞社編集委員
福永 節夫  九州電力株式会社常務取締役
森  賢士 *農林業
山口 榮智 *元公務員
  ②原子力委員会専門委員(4名)
神田 啓治  京都大学大学院エネルギー科学研究科教授
小島 圭二  地圏空間研究所代表
鳥井 弘之  日本経済新聞社論説委員
森嶌 昭夫  上智大学法学部教授
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
参加者:117名
関係者:23名 報道関係:12社

<第7回(千葉・柏崎)>
(1)日時・会場
平成11年12月18日(土)13:00~16:35
 *千葉市と柏崎市をテレビ会議システムで結んで開催。
  <千葉会場>
幕張メッセ「国際会議場中会議室301号室」(千葉市)
  <柏崎会場>
 中央地区コミュニティセンター「講堂」(柏崎市)
(2)出席者
  ①パネリスト(7名、*印は公募によるパネリスト)
  <千葉会場>
榎本 聰明  東京電力株式会社常務取締役
村上 利子  千葉県消費者団体連絡協議会会長
  <柏崎会場>
伊藤 絢子  柏崎市連合婦人会会長
大矢良太郎  株式会社柏崎コミュニティ放送代表取締役専務放送局長
北岡 逸人 *プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク事務局長
武本 和幸  柏崎原発反対地元三団体
三善万里子 *ライフコンサルタント
  ②原子力委員会専門委員(5名)
  <千葉会場>
大桃洋一郎  財団法人環境科学技術研究所専務理事
小島 圭二  地圏空間研究所代表
中村 政雄  元読売新聞社論説委員
  <柏崎会場>
石橋 忠雄  弁護士
神田 啓治  京都大学大学院エネルギー科学研究科教授
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
  <千葉会場>
参加者:138名
関係者:13名報道関係:4社
  <柏崎会場>
参加者:156名
関係者:10名、報道関係:10社

<第8回(松山)>
(1)日時・会場
平成12年2月5日(土)13:30~16:30
松山市総合コミュニティセンター「大会議室」(松山市)
(2)出席者
  ①パネリスト(5名、*印は公募によるパネリスト)
太田 克己  四国電力株式会社常務取締役原子力本部長
大谷 伸ニ  愛媛新聞社論説委員
古茂田知子  愛媛の活断層と防災を学ぶ会代表
須藤自由児 *松山東雲女子大学人間心理学科教授
矢田部龍一 *愛媛大学工学部教授
  ②原子力委員会専門委員(4名)
小島 圭二  地圏空間研究所代表
鈴木 篤之  東京大学教授
田中 靖政  学習院大学教授
中村 政雄  元読売新聞社論説委員
  ③コーディネーター
土屋 佳子  フリーアナウンサー
(3)傍聴者
参加者:174名
関係者:15名 報道関係:9社

(別紙2)

「放射性廃棄物シンポジウム」(第1回~第8回)でいただいた主な意見

 

○技術的な事項、研究開発について

○処分方策について

○処分事業について

○高レベル放射性廃棄物の処分に関する法律について

○処分場の立地・地域共生について

○情報公開・広報

○報道

○教育

○原子力利用全般・エネルギー問題