資料(専)29-1

第28回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)

 

1.日時:平成12年3月8日(水)10:00−12:00

2.場所:科学技術庁第1・2会議室(科学技術庁2階)

3.出席者:

(原子力委員)藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(専門委員)熊谷部会長、秋元委員、阿部委員、石榑委員、一政委員、大桃委員、川人委員、神田委員、小島委員、小玉委員、小西委員、齋藤委員、佐々木委員、関本委員、田中(知)委員、田中(靖)委員、徳山委員、中神委員、永倉委員、藤岡委員、前田委員、松田委員、森山委員、山内委員
(説明員)山本(財)原子力環境整備センター浅地処分システム研究部長代理
(科学技術庁)中澤審議官、青木廃棄物政策課企画官、中矢放射性廃棄物規制室長補佐

5.議題
(1)ウラン廃棄物について
(2)超ウラン核種を含む放射性廃棄物処分について
(3)長寿命核種の分離変換技術について
(4)その他

5.配付資料
資料(専)28-1第27回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)
資料(専)28-2ウラン廃棄物の処理処分に関する審議について
資料(専)28-3ウラン廃棄物の現状について
資料(専)28-4ウラン廃棄物分科会の設置について(案)
資料(専)28-5「超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」に寄せられた意見の概要
資料(専)28-6「超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」に寄せられた意見に対する対応案
資料(専)28-7「超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」の修文案
資料(専)28-8「長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方(案)」に寄せられた意見の概要
資料(専)28-9「長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方(案)」に寄せられた意見に対する対応案
資料(専)28-10「長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方(案)」の修文案
資料(専)28-11「放射性廃棄物シンポジウム」について

  参考資料
参考(専)28-1我が国において発生する放射性廃棄物の処分方策
参考(専)28-2原子力バックエンド対策専門部会の設置について
参考(専)28-3「超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)」に寄せられた意見をそのまま複写したもの
参考(専)28-4「長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方(案)」に寄せられた意見をそのまま複写したもの

  参照資料
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会)
群分離・消滅処理技術研究開発長期計画(昭和63年10月11日、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会)

6.審議の概要

(1)ウラン廃棄物について

 事務局及び山本説明員より資料(専)28-2及び28-3に基づき説明が行われた後、議論が行われた。各委員の意見等は以下の通り。

 ○ウラン廃棄物の範囲について、ここに示されたもの以外は含まれるのか。大学等、文部省関係の機関の保有する核燃料物質について調査した結果、戦前から使用しているもの等、未登録であったものを登録したケースがたくさん出てきた。これらは、今回検討されるウラン廃棄物の範囲に含まれていないのではないか。文部省関係の施設から出るものが含まれるのか、定義を明確にしておいてもらいたい。

 ○ウランとRIの両方で汚染された場合、原子炉等規制法と放射線障害防止法の規制がかかるものが混在する。その場合の取扱はどうなるのか、明確にしておいてほしい。

 ○RI・研究所等廃棄物の検討においても同様の議論を行い、関連する記述を報告書に記述した経緯がある。

 ○クリアランスレベルの考え方を国民によく説明することが必要。一般廃棄物に入れても良いと安易に言うのは気をつけるべき。産業廃棄物は放射性廃棄物よりは管理が徹底していないとの見方もあり、一般の人は産廃処分場をある種の不信感をもって見ている。そこに放射性廃棄物を入れるとさらにややこしくなる。産業廃棄物の処分の分野でも、最近は規制が強化されていく傾向にあり、このような検討を安易に進めることは好ましくなく、国民に向けて説明できるように議論してほしい。

 ○参考(専)28-1に関して、ウラン廃棄物は、放射性廃棄物全体の中で従来から位置づけられていたか。また、ウランは様々な放射性廃棄物に含まれている。ウラン廃棄物という用語で、専門家、関係者であれば対象物がすぐに理解されるのか。
(事務局より回答)
ウラン廃棄物は平成6年の原子力長期計画にも位置付けられている。また、ウラン廃棄物という用語は、専門家、関係者であれば理解されると考える。

 ○ウラン濃度で処分方策が云々されているが、ウラン濃度で表現するのが適切なのか。放射能レベルが高い低いという表現もあるが、どう違うのか。今後もこのような区分なのか。

 ○用語の定義については、脚注などで明確化することが望ましい。

 ○未臨界実験に使用した燃料の扱いについて、以前、使用済燃料として扱うべきなのか、新燃料として扱うべきなのかが不明確であった事例がある。明確な区分をお願いしたい。
 ○ウラン核種が天然にもあるレベルで存在することと、現在のウラン廃棄物の濃度分布とが資料に説明されているが、ウラン核種は天然に存在しているという事実は重要な観点であると考えるので、今後の検討で留意する必要がある。

 ○分科会の設置はありがたいこと。先行している海外でのウラン廃棄物(相当廃棄物)の処分場について紹介されているが、ウラン廃棄物処分場が公衆にどのように受け入れられているのかといった社会的な観点で海外事例を詳細に調査してもらいたい。そのような検討を通じて、わが国においても一般公衆に受け入れられるものが見いだせるのではないか。

 ○ウラン238の半減期は45億年と非常に長いので、これまでの放射能減衰に基づく処分の考え方にそぐわない。そのような点では、減衰しない重金属である水銀や砒素などの有害物と同じカテゴリとも考えられる。産業廃棄物でも未だ議論ができていない部分があるが、産業廃棄物の処分の考え方と整合性をもった検討も必要と考える。また、ウランについては放射線の影響とウランの重金属としての影響がほぼ同じレベルであり、この面からの検討も必要と考える。

 ○わが国ではウラン廃棄物は検討の初期から放射性廃棄物として位置づけられており、ウランの性状はご指摘のとおりであるが、枠組みそのものを変えてしまうような発想からの検討は困難ではないか。

 ○廃棄物の処分については、公衆のリスクを基準に検討することが大切。ウラン廃棄物については、リスクとして放射性物質としてのリスクと一般の化学物質としてのリスクのどちらが大きいのかを勘案して検討すべきということ。これまでの考え方にとらわれずに、柔軟な発想が必要とされるのではないか。

 ○計量管理、即ち保障措置の観点も含めて検討してほしい。

  ※事務局より資料(専)28-4について説明が行われた後、ウラン分科会を設置し、検討を行うこととなった。

 分科会での検討についての各委員の意見は以下の通り。

 ○海外の事例を参考にして合理的な概念を構築してほしい。

 ○設置の目的に「ウラン濃縮施設等から発生するウラン廃棄物」とあるが、大学・研究施設から発生するものも対象であることを、分科会設置の目的に明示したほうが良いと思われる。この種の施設は非常に数が多く、商業施設から発生する廃棄物と同一の枠組みで検討するとすれば困難な局面も考えられる。検討対象とする範囲をどうするか分科会でよく議論してほしい。

 ○臨界実験装置、未臨界実験装置から出るウラン及び微量照射したウラン燃料試料も含まれるのか。先に話が出たウラン濃度か放射能レベルかについては、放射能レベルで議論することにすれば含めることができるのではないか。検討願いたい。

(2)超ウラン核種を含む放射性廃棄物処分について
 田中(知)主査及び事務局より資料(専)28-5〜7に基づき説明が行われた。対応・修文について意見があれば後日事務局まで連絡することとなった。

(3)長寿命核種の分離変換技術について
 関本主査及び事務局より資料(専)28-8〜10に基づき説明が行われた後、議論が行われた。各委員の意見等は以下の通り。

 ○資料(専)28-10(1)のp23の修文案に記述されている潜在的な危険性の低減は、分離変換技術の効果・意義というよりそもそもの目的ではないか。「つまり、」の意味合いを検討されたい。

 ○研究の進め方について、独創的なアイディアや多様性の観点で進めるべき部分と、それぞれのシステムに共通する基盤技術の部分とがある。これらをどう効率的に進めるかが重要であり、大学等と協力して進めていく。

 ○分離変換技術の有効性や技術開発の方向性は、例えば5年区切りといった定期的なチェックアンドレビューにより確認しながら進めていく必要があろう。

  ※対応・修文について意見があれば後日事務局まで連絡することとなった。

(4)その他
 事務局より、資料(専)28-11に基づき、放射性廃棄物シンポジウムについて説明が行われた。

 次回(第29回)専門部会は、平成12年3月23日(木)に開催することとして閉会した。