資料(専)26-2

「核種分離・消滅処理」の用語について

 

 「核種分離・消滅処理」の用語について分科会で議論した結果、分科会として「分離変換技術」の語を提案する。

 

<提案のポイント>

         
「核種分離」、「消滅処理」ともいくつかの提案が行われた。議論している候補についてはそれほどの相違はないが、いずれについても実際に行われている研究開発とは何らかのずれのあることが指摘された。一般の人にも分かりやすく、イメージをつかみやすい言葉とするために、どのような技術であるのかが具体的に示されているか、すなわち、「何をどうする」という情報が示されているかという観点でそれぞれひとつの言葉を選ぶとすると「核種分離」及び「核変換」ということになった。

「核種」等の語がつくといずれの案もすべてのメンバーがともに満足するのが難しい。原子力バックエンド対策専門部会での「分離」「変換」ということでそれが何を指すかは自ずと明らかになることから、「核(種)」の語を省略する。特に「分離」と「変換」とを並べて使用すると、議論している対象を誤解することは少ない。

また、必要に応じて「長寿命核種の」といった修飾語を付けることもありうるということで、用語としては簡単な方がよい。

これまで用いていた「処理」という言葉は、廃棄物の処理というイメージを与えやすい。本技術は、廃棄物処理という側面以外にもいろいろな効果、可能性を持つ技術であるため、「技術」という言葉を使用する。

「・(中黒)」は本来日本語にはない文字であり、これがなくても誤解を与える可能性は低いことから、これは使わない。

(参考)

1.「核種分離」の用語について

 「核種分離」技術を表す用語として、従来の「核種分離」に加え、「群分離」、「分離」、「分別」、「分別分離」等の用語が候補として挙げられた。
 「核種分離」は、現状の技術レベルでは到達していないものの、将来的に目指すもの、近い将来に到達する可能性があることから提案された。その一方で、核種分離までは実施しない、究極的に過ぎるとの意見があった。
 「群分離」は、技術の現状をより適切に示しており、誤解を与える可能性が少ないこと、群分離を目的として研究を進めていること等から提案された。その一方で、群分離までで満足して良いかという意見があった。
 「分離」「分別分離」は、群分離、元素分離、核種分離の概念を包括的に表現しており、英語表記(partitioning,separation)にも自然に対応していることから提案された。その一方で、概念が広いため、未定義に近いという意見があった。
 「分別」は、分かりやすさの観点から、日常生活において使用している言葉という観点で提案された。

2.「消滅処理」の用語について

 「消滅処理」技術を表す用語として、従来の「消滅処理」に加え、「核(種)変換(処理)」、「変換(処理)」、「削減」等の用語が候補として挙げられた。
 「消滅処理」は、これまで広く使われていること、学会で使用されるなど学術用語として定着していること、研究の目指す方向を示しており、研究者として意欲的に取り組める課題であること、一部を消滅しているという意味では正しいこと、将来技術として期待を込めた名称とすることに意味があること、等から提案された。また、時間の感覚を添える意味から「消滅処理システム」としてはどうかとの提案もあった。その一方で、全ての廃棄物を消滅することができるとの誤解を与える、究極的に過ぎる、全てがなくなるわけではないことを併せて説明していく必要があるとの意見があった。
 「核(種)変換(処理)」は、「長寿命核種の短寿命化処理」という主旨に最も近い表現であり、英語表記(transmutation)にも自然に対応していることから提案された。また、「核(種)」をとり、より一般的な用語である「変換(処理)」とすべきとの意見や、「(核種)変換」だけでは、人間の行為というよりも自然現象の印象があるため、「処理」の語は付けるべきとの意見もあった。その一方で、「変換」という言葉が一般の人にはかえって分かりにくいという意見もあった。
 「削減」は、「消滅」の用語が与える印象の誤解の可能性を少なくするために提案されたが、やや分かりにくいとの意見であった。

 また、「核種分離」は「消滅」の一プロセスであるとの観点から、「核種分離・消滅処理」の用語を一括して、「核変換・減容処理」「核変換・減量処理」としてはどうかとの提案も出された。