資料(専)26-1

第25回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)

 

1.日時:平成11年9月30日(木)10:00−12:00

2.場所:科学技術庁第1・2会議室(科学技術庁2階)

3.出席者:
(原子力委員)藤家委員長代理、依田委員
(専門委員)熊谷部会長、阿部委員、石榑委員、一政委員、大桃委員、岡委員、川人委員、神田委員、小島委員、草間委員、小島委員、小西委員、齋藤委員、佐々木委員、鈴木委員、関本委員、田中(靖)委員、徳山委員、鳥井委員、中神委員、永倉委員、東委員、藤岡委員、前田委員、松田委員、森山委員
(説明員)高野日本原子力研究所中性子科学研究センター次長
若林核燃料サイクル開発機構事業計画部研究主席
井上電力中央研究所原燃サイクル部長
(科学技術庁)興原子力局長、中澤原子力局審議官、青山廃棄物政策課長、青木廃棄物政策課企画官、飯島廃棄物政策課専門職
4.議題
(1)核種分離・消滅処理技術開発の現状について
(2)地層処分研究開発第2次取りまとめの評価について
(3)その他

5.配布資料
資料(専)25-1第24回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)
資料(専)25-2核種分離・消滅処理技術の現状
資料(専)25-3地層処分研究開発第2次取りまとめの評価について(案)
資料(専)25-4地層処分研究開発第2次取りまとめ評価分科会の設置について(案)
資料(専)25-5「放射性廃棄物シンポジウム」について

  参考資料
参考(専)25-1日本原子力研究所における核種分離・消滅処理技術の研究開発
参考(専)25-2核燃料サイクル開発機構における核種分離・消滅処理技術の研究開発
参考(専)25-3電力中央研究所における核種分離・消滅処理技術の研究開発
参考(専)25-4原子力バックエンド対策専門部会の設置について

  参照資料
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会)
群分離・消滅処理技術研究開発長期計画(昭和63年10月11日、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会)
高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について(平成9年4月15日、原子力バックエンド対策専門部会)

6.審議の概要

(1)核種分離・消滅処理技術開発の現状について

 関本委員及び事務局より資料(専)25-2に基づき説明が行われた後、議論が行われた。各委員の意見等は以下の通り。

核種分離・消滅処理に高速増殖炉(FBR)を使う場合、FBRができていることが前提であるが、軽水炉でも3割程度は燃焼するし、加速器でも核変換処理は可能である。先にFBRが存在することを前提としたものであることをタイムテーブルで示し、国民に解りやすく説明する必要がある。

この技術は、高レベル放射性廃棄物の処分のためのものか、それとも科学技術の進歩のためのものなのかという疑問がある。

「高速増殖炉」「消滅処理」と、増殖と消滅という相反する用語が使われているが、適切な用語ではないのではないか。以前から指摘があるように、これらの用語を見直すべきではないか。

核種分離技術を再処理技術と分けて考えるのは如何なものか。再処理技術の一部ではないのか。分離技術として、将来もPUREXを続けるのか、別の処理が確立されうるのか、将来像が見えない。

高レベル放射性廃棄物の潜在的毒性指数の減衰カーブを見ると、天然ウランと同レベルになるまでの期間は、消滅効果90%の消滅処理を導入した場合、消滅処理を行わない場合の3万年から3千年へと短くなる。多大なお金をかける事業としての意義を問われた場合、これがどのような意味を持つのかを説明する必要がある。

技術の研究と実用化は分けて考えるべきである。研究は十分にお金をかけて多角的に行っても良いが、実用化には別の判断基準があるのではないか。

核種分離・消滅処理技術は、先端研究としての意味はあると思う。しかし、国のお金を使う場合、先端研究としての位置づけが国民に受け入れられるものかどうか。国のお金を使う場合は、将来の雇用や産業を生み出すという観点が求められると考えるが、本技術は、現時点では、そこまでの判断が示せるほどの段階にまで至ってはいないのではないか。

国のプロジェクトとして進める場合には、目的、目標をはっきりさせる必要があると考える。

核種分離・消滅処理技術は、廃棄物をどうするかという観点から本専門部会で議論されているが、本来は、核燃料サイクルの中に位置づける必要がある。本技術は、もう少し進んだ核分裂エネルギーの利用方法として考えるべきである。本技術の実用化の可能性を論じるとき、目標とする時間をどこにおくのかが重要である。現状では、本技術は科学技術の一分野であり、今すぐ実用化が可能であるとは誰も考えていない。本技術の科学的な可能性と工学的実現性は分けて考える必要がある。

FBRについては別の場で議論されているが、将来の非化石エネルギーの有力な選択肢のひとつとして、安全確保を前提に、経済性向上を目標としつつ検討を進めることが必要である。核種分離消滅処理技術については、現在、実用化戦略調査研究を国内外の機関との情報交換を行いながら研究を進めている。今後は、処理や燃料に係る技術を幅広く評価しつつ、各機関の経験、特長を生かしながら検討を進めて行きたいと考えている。

消滅処理により、千年オーダーで毒性指数を3桁減少させるといった予測が示されているが、人間の社会あるいは社会システムを扱う場合、具体的な話をすることができるのはせいぜい50年から100年程度の範囲内であり、それより長期になると仮定が入ってくる。消滅処理の場合はFBRを使うことなどがそれである。FBRは技術的には可能であろうが、商業化するまでのシナリオは全く不明である。消滅処理技術は何を前提とした場合のものなのか、シナリオを示さないと国民の理解は得られないのではないか。

分離技術は、消滅処理技術に依るところが大きく、消滅処理技術は核燃料サイクルの在り方によって変わる。これは国の理念の問題であり、技術的面だけで判断することは困難である。技術者としては開発は多角的に進めるべきと考えており、今後も、柔軟性のある考え方をもって検討が行われるとともに、検討に当たっては透明性を持たせて判断の過程をしっかりと残すことが必要と考える。

施設建設など初期に投入するエネルギーが大きいと考えられるので、エネルギーをいつ、どれだけ投入するのか、核燃料サイクルがいつ成立するのかが明確にされる必要がある。

前提として、地層処分が難しいというのが出発点になっている印象が強い。核種分離・消滅処理の位置づけをよく考えるべきである。

高レベル放射性廃棄物の毒性指数の減衰カーブで、天然ウランと同レベルになるまでの3千年という期間は、消滅効果90%の消滅処理を導入した場合であり、各機関で目標としている消滅効率99%以上の場合では数百年になり、現実的な数字になる。ただし、これは基礎研究段階のものであり、実用化は未だ先の話である。今後の分科会の検討において、50年後、100年後に実用化できるか、その場合の前提は何かなどの研究開発の見通しを示していただくことを期待する。

 ※本議題については、今回の議論を参考として引き続き分科会で検討することとし、次回専門部会でもう一度審議することとした。

(2)地層処分研究開発第2次取りまとめの評価について
 事務局より資料(専)25-3及び25-4に基づき説明が行われた後、議論が行われた。各委員の意見等は以下の通り。

良いか悪いかは分からないが、分科会の委員のうち2〜3名を公募してはどうか。これにより、都合の良い委員ばかり選んでいるのではないということを示すことができるのではないか。

公募した結果、複数の応募者があった場合、その中から選ぶ判断基準をどうするかが問題になってくるであろう。

案として示されている委員の人選自体は妥当であろうが、これは単なる学術研究ではなく、「地層処分」という目的のある研究である。強く主張するものではないが、原子力に関連する地方自治体の関係者に入ってもらってはどうか。学者が社会とリンクしないということは今後成立しない。両者に議論と現実とが如何に乖離しているかを評価の段階で理解してもらうことは、今後の取組みに重要と考える。

第2次取りまとめは技術主導であるので、評価分科会では技術的に詳細に検討し、社会的面については場を変えて意見交換を行った方が良い。ある程度まとまったところで意見を求めるなどが良いのではないか。この分科会において社会的側面まで審議することは困難ではないか。

本部会では、報告書を作成するステップの中で、報告書案を公表して意見を求める手順を踏むことになっているので、その段階でも意見を反させることは可能であろう。

地質の専門家からは、それぞれに異なった意見が出てくることがあり、専門家としての意見が統一されていないように思われる。専門家間の意見を収束し、統一させていく必要があるのではないか。

処分懇談会が継続していることもあり、本専門部会は、技術的部分を中心に審議することとしたい。

 ※分科会を設置し、第2次取りまとめが国に提出された後、すみやかに評価を開始することとなった。なお、分科会構成員については、部会長に一任することとなった。

(3)その他
 放射性廃棄物処分シンポジウムについて、科学技術庁より資料(専)25-5に基づき報告があった。

 次回(第26回)専門部会は、平成11年11月5日(金)に開催することとして閉会した。

以上