1.研究開発の現状
1)目的
使用済み核燃料の再処理プロセスに光溶液化学技術を適用することにより、工程を簡略化させる。その結果として、廃棄物の発生量を低減化させる。
2)処理対象(元素、核種、物質等)
硝酸溶液中のPu、Np、U核種である。
3)処理プロセス・システムの概要
再処理プロセスでは、溶液中のアクチニド元素(Pu, Np, U等)の価数制御に化学試薬が用いられているが、本システムでは、この代わりに光量子を用いる。
4)特徴(メリット、デメリット)
光化学の再処理工程への適用には次の利点が考えられる。
| @ | 再処理工程で使用する化学試薬の代わりに光量子を利用することにより、2次放射性廃棄物の発生量を増加させることなく、目的の反応を生起させることができる。また工程を簡略化できる。 |
| A | NpやRu などウラン、プルトニウム製品に同伴する元素の濃度プロファイルを制御できることからウラン、プルトニウム製品の品質管理を高度化できる。 |
| B | 化学薬品の代わりに光エネルギーを利用するので、プロセスが単純になり、装置を小型化することができ、遠隔操作のため新たな耐放射線機器や特殊な遠隔保守技術の開発の必要性が少なくなることより、経済性の向上が期待できる。 |
| C | 光源を反応容器から距離的に引き離せることから優れた遠隔操作性が得られる。 |
| D | 本技術の波及効果としては、高レベル放射性廃液から、資源物質を回収することにより、廃棄物として処分される元素量を低減できる。 |
5)目標及び設定根拠
目標:光溶液化学技術の再処理への適用の可能性を評価するための基礎データを取得すること
設定根拠:アクチニドの光化学に関する研究は、1930年代のウランに関する研究に始まり、1970年代からは、再処理技術に応用することを目的とした研究も数多く実施されてきた。しかしながら光化学法を用いた再処理工程の新しいスキームを考え、そのプロセスの妥当性を検討するために必要な基礎データは十分ではない。
6)これまでの成果
| @ | 水銀ランプ光照射下で実廃液の1/100濃度のPu、Npを含む硝酸溶液を用いて試験を行い、Pu、Npの光による酸化・還元反応に関する基本的な挙動に関しては、ほぼ把握することができた。 |
| A | 上記条件に加えて、還元剤と亜硝酸分解剤共存下で試験を実施した。Pu、Npの相互分離並びに共抽出が可能である知見を得た。(表4.1、4.2参照) |
| B | 光化学反応を利用したウラン酸化物粉末の溶解試験を実施した。温度、硝酸濃度を増大させることなく、ウランの溶解度を増大できることを確認した。(表4.3参照) |
2.現状の分析
1)オメガ計画における位置付けとそれに対する進捗状況
限定された系における基礎的なデータは取得できたものの、実プラントへの適用に関して判断できるまでのデータを取得するに至らなかった。
2)技術的達成度
限定された系での水銀ランプ光照射に伴う硝酸溶液中のPu、Np、Uの基本的な挙動については、把握した。
3.今後の見通し及び課題
平成9年度をもって、研究を中止したが、今後の見通し及び課題については以下のように考えられる。
1)実用化の見通し及びそのために解決すべき課題
サイズをスケールアップした試験の実施、工程設備、保守条件の検討、さらには臨界管理及び安全対策等
2)当面重点を置くべき研究開発課題
各元素について光吸収スペクトルに対応した励起状態の化学反応性の評価、並びに励起状態の寿命、酸化還元反応の速度定数の測定
3)経済性についての見通し
基礎研究の段階であり、経済性評価を行うことができるだけのデータが取得できていないので、現段階において将来的な見通しについて検討することは困難である。
4.研究開発の進め方
1)関連する研究分野との協力
なし
2)国内研究機関との協力
平成元年度 東京大学 工学部 原子力工学科
平成4年度 8年度 東工大 原子炉工学研究所
と委託研究及び共同研究を実施した。
平成元年 2年 客員研究員招聘(東京大学 工学部)
3)国際協力
なし
5.研究開発対象としていなかったが、核種分離・消滅処理の趣旨に照らして重要と考えられる技術
参考文献
(2) Y.Wada, et al., Radiochem, Acta, 72, 83(1996).
(3) Y.Wada, et al., Radiochem, Acta, 72, 195(1996).
(4) Y.Wada, et al., J. Nucl. Sci. Technol., 31, 700(1994).
(5) Y.Wada, et al., J. Nucl. Sci. Technol., 32, 1018(1995).


