| @ | MA及び長半減期FP(LLFP)の分離・消滅処理技術は、地層処分に替わる技術ではなく、地層処分の負担を軽減することを目的とする。 |
| A | 高速炉燃料再処理プロセスの高度化により、MA、LLFP、有用稀少金属(白金族、他)元素の分離技術の確立を目指す。 |
| B | MOX発電用FBRにおけるMA燃焼及びLLFP消滅の炉心概念の構築及び関連する核燃料サイクル技術の確立を目指す。 |
| @ | 対象MA核種は、長期における放射性廃棄物の潜在的毒性を軽減できると期待される、Np-237、Am-241、Am-243、Cm-243、Cm-244とする。 |
| A | 対象LLFP核種は、当面はTc-99、I-129とする。Tc-99、I-129は、地層処分の安全性を地下水移行の観点から見ると、溶解度が大きく、バリアーによる吸収が小さい等の特性を持つ。これらの核種を消滅することにより、地層処分の負担軽減に寄与すると考えられる。 |
| B | 有用稀少金属(白金族、他)元素の回収も対象とする。 |
| @ | MA(Am,Cm)はCMPO?MTRUEX法で高レベル廃液より抽出分離する。ランタニド元素(Ln)との分離は水溶性錯化剤DTPAによりMAを逆抽出分離する。 |
| A | MA(Np)はPUREX法を改良して、溶解液から混合抽出し、Pu/U/Np製品とする。 |
| B | 白金族元素、Tc及び他のLLFP(有用稀少元素を含む)は電解採取法により分離する。 |
| C | 放射性二次有機廃棄物は、触媒的電解酸化法にて分解し、処分の容易な無機リン酸に転換する。アルキル基は炭酸ガス、水等に転換するので高減容化が可能となる。 |
| @ | 消滅装置としてはMOX発電用FBRをベースとし、使用するMAは前述の湿式分離システムにより抽出される。 |
| A | 炉心内MA装荷方法は、均質装荷、非均質装荷、ブランケット装荷を想定する。 |
| B | 均質装荷の場合は、炉心燃料中にMA(Np+Am+Cm+RE)を均質に添加する(図2.4参照)。均質装荷のメリットは、MAの添加率が小さいため炉心特性や燃料物性への影響が小さいと予想される。 |
| C | 非均質装荷には、幾つかのオプションが考えられるが、その1つとして、炉心燃料中にNpのみを添加し、(Am+Cm+RE)は不活性母材(Al2O3, MgO等)とともに、ブランケット領域に特殊集合体として装荷することが考えられる(図2.4参照)。この装荷法は、希土類元素の炉心特性に与える影響を小さくし、また、Am+CmとREの分離係数の要求条件を緩和してMAを消滅できる可能性がある。 |
| D | FP装荷方法は、図2.5に示すような減速材付集合体として、ブランケット領域又は遮蔽体領域に装荷する(図2.6参照)。 |
| @ | CMPO(OΦD[IB]CMPO:Octylphenyl−diisobutyl−carbamoylmethyl−phosphine oxide)抽出剤は抽出能力が極めて高いので、被抽出液の硝酸濃度を下げずに目的MA(Am,Cm及びNp)を抽出できる。 |
| A | TRUEX法は少量(0.2M)のCMPOをPUREX溶媒(TBP(1.0〜1.4M)/n−ドデカン)に混合して用いる。PUREX再処理操作から生ずる抽出残液に直接適用でき、また既往の抽出技術をそのまま使うことができるので、再処理工程との整合性が極めて良い。 |
| B | 逆抽出試薬のDTPAは混合抽出溶媒中からMAを選択的に水相に移行させることができ、またその物性は既知である。従ってホットセルでの取り扱いにおいても安全上の問題はない。 |
| C | MAのうちのNpは操作条件を改良することによって、特殊な試薬を用いなくても前段のPUREX工程で定量抽出できる。NpをUと共にPu製品中に移行させることによって、核不拡散性の高いPu製品を得ることができる。 |
| D | 有用元素である白金族(Ru,Rh,Pd)及び稀少金属の一部(Tc, Se, Te)のイオンは酸性溶液中で酸化還元電位が貴であるため、電解採取法を改良することで、直接、高濃度硝酸溶液(溶解液及び高レベル廃液)から析出分離させることができる。 |
| E | 電解採取法は、従来の溶媒抽出法では未検討であったLLFP核種(Pd-107,Se-79,Tc-99)及び稀少元素(Te)についての分離・回収の手段を与える。 |
| F | 除染性能の支配核種であるRu-106とTc-99を溶媒抽出工程の前段で除去することにより、PUREX法並びにTRUEX法の高除染化が期待できる。 |
| G | 各分離法にソルトフリー手法を適用することによって、二次的廃棄物の発生を徹底抑制できる。ソルトフリー法はin situ電気化学法、分解してガスに転換する試薬、あるいはその両者を組み合せて反応操作を行うので、操作に伴う二次廃棄物は生じない。 |
| H | 核種分離工程の詳細なプロセス設計は行っていないが、現状ではNOxガスの吹き込みによる反応操作は想定していない(今後のプロセス設計では硝酸のバランスを考慮し、過剰回収酸による二次廃棄物の発生の抑制に留意する)。 |
| @ | TRUEX法では多価遷移元素(Zr,Mo,Tc等)の除染法や高レベル濃縮廃液への展開の検討が不充分である。 |
| A | TRUEX法への効率的MA/Ln分離技術の組み込みが完成されていない。現状のAm、Cm/Ln元素分離法では中重ランタニド元素の分離が困難である。また塩の多い廃棄物が発生する。MA(Am、Cm)の相互分離の是非及び分離法が確立されていない。 |
| B | 回収TRU溶液の貯蔵管理法、特に濃縮TRU溶液を取り扱う工程における臨界管理データ等が不足している。 |
| C | 有機リン廃棄物(CMPO,TBP)の効率的処分法がまだ確立できていない。 |
| @ | MOX発電用FBRでMA添加率を数%程度にすることにより、炉心特性、原子炉プラントに大きな影響を与えずに、MAの消滅が可能である。(商業炉の技術開発の延長線上にある。) |
| A | ブランケット又は遮蔽体領域で、余剰の中性子を利用して、MA及び長半減期FPの消滅が可能である。(装荷方法の柔軟性がある。) |
| @ | 核種によっては、放射線や発熱が高いため、セルで製造する必要があり、製造コストの増加につながる。また、これに関連して原子炉サイトでの新燃料取り扱い設備や使用済燃料の崩壊熱の増加に伴う設備の増強が必要となることが考えられる。 |
| @ | TRUの回収率として、99.9%以上を目標値とする。 放射性毒性の低減の観点からは、「可能な限り高く」を技術開発の目標とすべきである。しかしながら「経済的に許容できるプロセス設計」を前提条件とする時、当初の実廃液を用いた実験室規模抽出システム試験(2)の結果から、上記値を当面の目標とするのが妥当と判断した。 |
| A | LLFP核種、有用稀少元素の分離については、各分離技術の成立性と限界に関する見通しの確認がまず重要である。その上で、経済的に許容される条件において達成しうる最大値、を目標回収率とすべきと考える。 |
| @ | 消滅処理装置としては、消滅特性が軽水炉より優れている高速炉を対象とする |
| A | 現在実用化を目指しているMOX発電用FBRで現行路線(原子炉、燃料サイクル施設)へのインパクトを最小限におさえてMA及びLLFPを消滅するシステムを構築する。 |
| @ | CMPO/TBP混合溶媒の高レベル廃液を構成する主要核種、元素についての基本的な分配特性を、単味溶液、実高レベル抽残液(HAR)及び実高レベル濃縮廃液(HLLW)を用いた試験により確認した(8),(9),(10)。 |
| A | 高レベル廃液の「α-Free化」が達成できることを、実廃液を用いた小型ミキサ・セトラによるTRUEX法の向流多段抽出試験(5回のホットラン)で明らかにした。基本的な抽出条件におけるDFα>103(回収率>99.9%)を実証した(2),(11)〜(15)。図2.7に典型的な抽出プロファイル(実液試験第2ラン)を、表2.2に典型的な除染係数及び分離係数を示す(実液試験第3ラン)。マイルドなソルトフリー試薬群によるアクチニドの分別回収を可能とするフローシート" TRUEX/PNC Salt-Free Version "(改良TRUEX法)を構築した(16)。フローシート(実液試験第5ラン)を図2.8に、その物質収支を図2.9に示す。 |
| B | フローシートTRUEX/PNC Salt-Free Versionを基に、高速炉使用済燃料1t処理に対応するMA分離工程の物質フローを検討した(図2.10に示す)。高レベル廃液の発生量は単一のPUREX抽出サイクルを想定して算出した。各物量は下記条件を前提とする。
|
| C | CMPOの熱化学をTBPと比較しつつ検討した(17)。TBP/ドデカン系の熱分解性に及ぼすCMPOの影響は小さいことを実験的に確認した。またCMPOの水相への溶解度は小さく、希釈剤で回収できる。従ってCMPO固有のレッドオイル爆発性は低いものと判断される。マウス及び細菌を用いたin vivo試験からCMPOの急性毒性は極めて低く(18)、また発癌性物質ではないことを明らかにした(16)。 |
| D | CMPO/TBPは、電解酸化法により常温で無機リン酸にまで分解、減容できることを示した。Ag2 +あるいはCo3 +を触媒(メディエータ)に用いた間接電解酸化法で、分解効率並びに個別電流効率が大幅に改善されることを確認した(19),(20)。 |
| @ | PUREX工程においては、溶解液中でのPu(VI)の共存がNpの抽出促進のバロメータとなることを示した。実照射済燃料を用いた向流多段抽出試験(4回のホットラン)を実施し、高レベル廃液中へのNpの漏洩を防止し、NpをUと共ににPuプロダクト中に混合抽出するフローシートを実証した(21),(22)。図2.11に典型的Npの抽出、逆抽出プロファイルを示す。 |
| @ | DTPAによる分離法でMAと軽Lnの分離が可能なことを、実廃液を用いた向流多段抽出試験(2回のホットラン)で明らかにした。Lnの 80 % 以上がAmプロダクトより除去された(23)〜(27)。Am製品中に移行するランタニド元素の割合を、高速炉の場合Am量の約3倍程度に低減することが可能となった。図2.12に典型的なMA/Ln分配プロファイルを示す。 |
| A | JNC/CEA共同研究を通じ、精製したソフト(含イオウ)配位子、CYANEX301抽出剤について、高MA/Ln分離能(SFAm/Eu>6000)を実核種分離試験で確認した(28),(29)。図2.13に数種のイオウ化合物のAm,Euの分配比及び分離係数を示す。またTBP等数種の中性有機配位子による抽出協同効果を確認した。 |
| @ | 硝酸溶液からの白金族(Pd2+、RuNO3+、 Rh3+ )及びReO4- (TcO4-模擬イオン)の電解析出・溶解挙動を検討し(30)、析出過程における相互干渉効果を見い出した(19),(20),(31)。図2.14に共存イオン効果を示す。Pd2+は高濃度硝酸条件においても効率良く析出する。通常RuNO3 +の電解析出は困難であるが、Pdadatomのプロモータ効果で>99%の析出が可能となった。Pd2+の共存によりReO4-及び Rh3+の析出も促進される。電解採取法ではその他に、TeやLLFP元素のSeを析出分離できる(1)。図2.15に模擬高レベル廃液からの電解採取法による稀少金属イオンの分離例を示す。 |
| A | 大環状化合物(クラウンエーテル:DCH18C6)により、高レベル廃液中から直接、発熱性核種Sr-90を抽出分離する可能性を示した(32)。図2.16、2.17に硝酸及び模擬高レベル廃液からのクラウンエーテルによるSr2+の選択的分離能を示す。 |
| @ | MA燃料の原子炉内装荷法を検討した結果、炉心の燃料集合体全てにMAを一様に添加する場合(均質装荷)、MA添加率が5%程度では、炉心特性に大きな影響を与えないで、約11%/年の消滅率が達成できることが明らかになった。これは、約6基の100万KWe級軽水炉で生成されるMAを、1基の100万KWe級FBRで消滅することが可能となる(表2.3(39)参照)。 |
| A | 非均質装荷(Npを炉心に均質装荷し、Am+Cm+REをターゲット集合体としてブランケットに装荷)の場合、大きい消滅量が達成できる可能性がある(表2.3(39)参照)。 |
| B | AmとCmから希土類元素を完全に分離することは困難であり、均質装荷燃料の場合、燃料中に希土類元素の混入は避けられない。炉心特性(特に燃焼反応度)の観点から炉心燃料の希土類元素の含有率は、5〜10%が上限となる(表2.4(39)参照)。 |
| C | MAの多重リサイクルについては、FBRは炉心特性の観点からは十分に可能であることを示した(表2.5(39)参照)。ただ、多重リサイクルによる発熱量、中性子発生量が大きくなり、その対策が必要となる(表2.6参照)。 |
| D | MA(Np+Am+Cm)燃料の中性子発生量は、MA(特にCm-244の量)の添加率増大に伴って大幅に増加する(35)。MAを5%添加した燃料の場合、新燃料の中性子発生量は使用済み燃料の中性子発生量とほぼ同じになる(表2.7参照)。また、MA燃料の発熱量は、Cm-244の増加に伴って増える(表2.7参照)。このことより、原子炉施設の新燃料取り扱い設備、燃料製造施設、輸送容器への影響が考えられる。しかし、新燃料取り扱い設備については燃料移送方式の変更、燃料製造施設についてはホットセルでの製造、輸送容器については使用済み燃料輸送容器の活用等により対応が可能であると考える。 |
| E | FP(Tc-99)消滅に関しては、炉心の外側のブランケット領域に、減速材付ペレット(Tc-99等を中心に配置しその周りを減速材で囲んだもの)入りの集合体を装荷することにより、最大で約10%/年のTc-99消滅率が達成できる見通しが得られた(表2.8(40)参照)。I-129については、FBR1基で年間17kgが消滅でき、これは軽水炉3基(1基当たり6kg/年生成)程度から生成されるI-129量に相当する。 |
| @ | Np添加した混合酸化物(MOX)燃料製造に関連して、転換施設にNp回収設備を整備し、12gのNpを回収した。また、スイスのポール・シェラー研究所(PSI)との共同研究により、振動充填法によるNpを添加したMOX燃料の製造技術開発を実施している。 |
| A | Am添加MOX燃料製造に関連して、大洗工学センターの照射燃料試験施設のホットセル内へ、ペレット製造設備、ピン加工検査設備等の遠隔燃料製造設備を設置(図2.20、2.21参照)し、性能試験を実施した。 |
| B | 燃料の照射挙動及びMA核種の消滅特性の評価を行うため、「常陽」で照射したAm含有MOX燃料の照射後試験及びMAサンプルの照射試験を実施中である。また、MA分析技術の開発を行った(44),(45)。 |
消滅処理
オメガ長計における「原子炉による消滅技術研究開発」では、FBRによる消滅処理技術確立のため、炉物理データの測定・評価,燃料製造と物性データの測定・評価、発電用FBRでの消滅処理概念の検討を行うこととした。
| @ | 核データ取得 MA核種及び希土類核種の核反応断面積、MA崩壊熱の測定によって、核データの精度向上に寄与するデータが整備されつつある。 |
| A | 「常陽」サンプル照射試験解析 「常陽」を用いた照射試験解析・評価としては、Npドジメータ及び高Am含有燃料によるMA消滅特性評価、MA核種サンプル照射を実施している。 |
| @ | 物性データ MA核種について、単体、化合物及び合金としての基礎的な物性に関するデータの収集及び測定試験を実施している。 |
| A | 燃料製造 Np添加MOX燃料については、グローブボックスにおける通常の製造技術をベースに、ペレット燃料と振動充填法によるスフェア燃料の製造技術開発を実施している。Am添加MOX燃料については大洗工学センター照射燃料試験施設のホットセルの一部を改造し、ペレット製造設備、ピン加工検査設備等の遠隔燃料製造設備を整備を行った。 |
2)技術的達成度
湿式分離
| @ | TRUEX及びPUREX法のプロセス技術は、実験室レベルの実液による抽出システム試験でその成立性と目標分離度の達成を確認し、次フェーズに向けて研究課題を明確化できた。従ってフェーズ1の目標はほぼ達成されたものと考える。 |
| A | LLFP核種及び有用稀少元素の分離については、電解採取法による白金族、テクネチウム、テルル、セレンの選択的分離の可能性を示した。パラジウムによるルテニウム及びレニウムの電析促進効果を発見した。プロセス成立性の判断には実液による分離システム試験での実証、評価が必要となる。 |
| B | 高レベル廃液中のストロンチウムの分離については、大環状化合物(クラウンエーテル)による選択的分離の可能性を示した。プロセス成立性の判断には実液による分離システム試験での実証、評価が必要となる。 |
| C | 硫黄、あるいは窒素を含むソフト配位子の高Am/Eu分離能を実験的に示した。プロセスの成立性とTRUEX法への適合性は、実液による抽出及び分離システム試験による評価が必要である。 |
消滅処理
| @ | 設計研究では、パラメータサーベィによる基本特性の把握、それを基にしたMA及びFP消滅炉心概念の検討を実施し、MOX発電用FBRでの幾つかの可能なMA及びFP消滅の炉心概念が提示できた。 |
| A | MA核種及び希土類核種の核データの測定評価により、主要な核種の精度が明らかになるとともに、核データデーベースが充実した。 |
| B | MA添加MOX燃料開発のための必要な施設を整備するとともに、基礎的データを収集することができた。 |
| C | シナリオ研究では、MAのマスバランス、放射性毒性等の解析・評価が終了し、MA消滅におけるMA装荷MOX発電用FBRの投入効果が明らかになった。 |
3.今後の見通し及び課題
1) 実用化の見通し及びそのために解決すべき課題
湿式分離
(1)MA分離技術の開発
表2.9にMA核種分離プロセス構築に向けてのTRUEX法の評価と課題をまとめる。プロセス化学的には多価FP遷移元素イオンの制御法、より効率の良いLn分離法、装置工学的には遠心抽出器への適合性、高レベル濃縮廃液への適合性等が重要研究課題である。
(2)LLFP核種及び有用稀少元素分離技術の開発
電解採取法では二次廃棄物の発生を極めて少量に抑制できる。電解析出に及ぼす各種共存イオンの影響、放射線の効果、選択的再溶解法等が研究課題となる。
消滅処理
MOX発電用FBRでのMA及びFP消滅の可能性についてある程度示すことができたが、実用化見通しを得るためには、基礎的データの充実、工学規模での試験、経済性評価等を実施していく必要がある。解決すべき課題としては、MA核種の核断面積(特に、中性子吸収断面積の精度が十分でない)及び崩壊熱(MAの測定データがない)の精度向上、FP核種の核断面積の精度向上、MA燃料の基礎物性データ充実、不活性母材入りMA及びFPピンの基礎データの充実、MA燃料製造技術開発、MA燃料の照射挙動評価等がある。
2) 当面重点を置くべき研究開発課題
湿式分離
表2.10に重点を置くべき研究項目を示す。
| @ | MA分離技術
|
| A | LLFP核種及び有用稀少元素分離技術
|
| @ | 燃料サイクル側との整合を取りながら最適炉心概念の構築を図る。 |
| A | MA及びFP核種断面積、MA核種の崩壊熱データの測定・評価による核データライブラリー精度向上を図る。 |
| B | MA燃料製造施設を用い、MA添加MOX燃料の製造技術の確立を図ると共に、製造した燃料を用いた基礎物性試験によりデータベースを整備する。 |
| C | 「常陽」や「もんじゅ」での照射試験による燃料設計、燃料照射挙動評価に必要なデータを整備する。 |
3)経済性についての見通し
| @ | MAリサイクルを行うことにより、特に再処理や燃料製造工程の施設建設費の増大が懸念されている。現在検討されている低除染湿式再処理/振動充填燃料製造を基本とした先進燃料サイクル施設概念では、再処理が低除染であるために燃料製造工程がセル内に設置されることから、MAリサイクルに伴う新たな遮蔽機能は不要となり、燃料製造工程の建設費への影響は小さい。一方、再処理工程においてはMA分離のためのTRUEX工程や廃棄物からのMA回収設備が付加され、これらにより燃料製造工程も含めた燃料サイクル施設全体の建設費は約11%(48)増加すると見込まれる(建屋建設費:約1.6%増、設備費:約0.7%増、付帯設備費:約8.6%増)。(なお、先進燃料サイクル施設の処理単価(kg/HM当たり)は、基準プラント(今後の技術開発成果を取り入れた高DF再処理及びグローブボックス製造で、再処理・製造各々個別の建物)に比べて、50トンプラントで0.83倍程度になる見込みである(49)。) なお、MA核種分離プロセスの経済性を左右するLn分離工程については、要求分離度の最適化を図ると共に、より効果的な分離法を開発して経済性向上を目指す必要がある。 |
| A | 原子炉に関しては、新燃料の燃料取り扱い系や使用済燃料の崩壊熱の増加に伴う設備増強により建設費は約1%増加すると見込まれる。 |
| B | これらの原子炉や燃料サイクル施設における建設費の増加等を反映した場合の発電コストの増加は2%程度(資本費:約0.8%増、運転費:約0.3 %増、燃料費:約0.9 %増)であり、MAリサイクルが経済性へ与えるインパクトは比較的小さいと考えられる。 |
4.研究開発の進め方
1)関連する研究分野との協力
湿式分離
MA核種分離工程の前段である「再処理」、また後段の「燃料製造」との境界条件の明確化及び取り合い設計が必要である。要素技術では、抽出装置/制御/プロセスシミュレーション技術、ソルトフリー技術(電解槽工学他)及びプラント設計等の各工学分野における協力が必要である。基礎科学分野では、有機合成化学、錯体化学、電気化学等との協力が重要である。分離ターゲット核種や回収率の設定には、炉工学や環境科学/アセスメント評価の協力を必要とする。
消滅処理
核物理(核データ)、材料開発(希釈材、不活性母材等)との協力が重要である。
2)国内機関との協力
湿式分離
| @ | 日本原子力研究所との間で、MA、MA/Ln分離技術に関する情報交換を行った。今後も協力を継続する。 |
| A | 専門メーカとの間で、電気化学法によるLLFP核種及び有用稀少金属元素分離技術、並びに二次有機廃棄物分解の基礎研究を進めている。今後、工学的成立性と経済的評価のためのデータを取得する。 |
| B | 複数の大学(阪大、静岡大、群馬大、九州大)(33)との間で、二座配位型抽出剤(CMPO, DIAMIDE)の基礎化学、新大環状化合物(クラウンエーテル、カリックスアレン)の開発、新MA/Ln分離抽出剤の開発等に関する基礎研究を実施した。 |
3)国際協力
湿式分離
| @ | 1991年より、フランスCEAとの間で、MA分離、MA/Ln分離、LLFP分離(34)及び計算化学等について研究協力(情報交換、研究員の相互派遣)を実施している。これまで(1999年7月の時点で)に計8回の情報交換会議と計4名(日仏2名ずつ)の研究員の交換を行った。今後も継続する。 |
| A | 1990年よりIAEA OECD/NEAの情報交換会議に参加し、論文を発表するとともに、外部情報の入手や海外の専門家との意見交換を行った。今後も継続する。 |
消滅処理
フランス、ロシア、スイスとの協力を進めている。
| @ | フランスとは、JNC-CEAの先進技術協力協定に基づいて、核データ、炉物理、燃料、照射試験解析、シナリオの分野で、協力を実施している。相互に研究員の派遣も実施している。 |
| A | ロシアとは、ISTCプログラムを通して、MA消滅炉心概念の研究、MgO希釈材の製法検討と物性評価等を委託研究で実施した。 |
| B | スイス(PSI)とは、振動充填法によるNp添加MOX燃料の製造に関する共同研究を実施している。 |
5.研究開発対象としていなかったが、核種分離・消滅処理の趣旨に照らして重要と考えられる技術
| @ | 核種分離技術では、経済性向上と環境負荷低減に関連して、一部着手済みであるが二次廃棄物の低減技術(ソルトフリー技術開発、二次有機廃棄物の分解/無機化技術)が重要である。長期的、戦略的視点からは、塔\フト狽ナ塔\ルトフリー狽フ新分離抽出剤(完全燃焼型)創生への挑戦が極めて重要である。 |
| A | FP消滅に関連して、同位体分離技術(分離技術との検討の基に、対象とする核種選定が必要)が重要である。実液試験及び関連する試験装置の開発が重要である。 |
(2) M.Ozawa, S.Nemoto,A.Togashi,T.Kawata,K.Onishi,Solvent Extr.Ion Exch.10(5)(1992)829
(3) 小沢正基、”抽出技術の高度化とアクチノイドの分離”、日本原子力学会誌、Vol.34, No.7 pp624-629(1992).
(4) 小沢正基、”湿式核種分離技術開発の現状”、消滅処理研究の現状、日本原子力学会、pp181-189(1994).
(5) 小沢正基、”マイナーアクチニドの新抽出分離技術”、RADIOISOTOPES, 45, pp527-530(1996).
(6) 小沢正基、”マイナーアクチニドの抽出分離”、原子力エネルギーシステム研究委員会報告書、pp2-37-43(1996).
(7) 小沢正基、Clement HILL、”核種分離技術”、プルトニウム燃料工学、pp305-320(1998).
(8) T.Kawata, M.Ozawa, S.Nemoto, A.Togashi and S.Hayashi, Preliminary study on the partitioning of transuranium elements in high level liquid waste, Proc. of the information exchange meeting on actinide and fission product separation and transmutation, OECD/NEA, pp186-203 (1991).
(9) Y.Koma, S.Nemoto and M.Ozawa, Behavior of third phase formation in TRUEX solvent, Proc. of ISEC'93, pp1608-1614 (1993).
(10) Y.Koma, et al., Material distribution between split organic phases in the CMPO mixed solvent system, Solvent Extraction Research and Development Japan, 1, pp160-166 (1994).
(11) M.Ozawa, S.Nemoto, K.Nomura, Y.Koma and A.Togashi, Some modifications of the TRUEX flowsheet for partitioning of actinide elements in high level liquid waste, Proc. of the information exchange meeting on actinide and fission product separation and transmutation, OECD/NEA, pp139-151 (1992).
(12) K.Nomura, Y.Koma, S.Nemoto, M.Ozawa and T.Kawata, Japanese experience in application of the TRUEX process to high level waste from reprocessing, Proc. of Global'93, pp595-600 (1993).
(13) Y.Koma, K.Nomura, M.Ozawa and T.Kawata, Application of modified TRUEX flowsheet to minor actinide separation from high level liquid waste, Technology and Programs for radioactive waste management and environmental restoration, Waste Management '93, Vol.2 (1993).
(14) H.Hirano, K.Nomura, Y.Koma, S.Nemoto, M.Ozawa and A.Togashi, The progress of TRUEX process improvement in PNC-The applicability of "Salt-free" reagents-, Proc. of the third international information exchange meeting on actinide and fission product partitioning and transmutation, OECD/NEA, pp452-463 (1995).
(15) M.Ozawa, Y.Koma, Y.Tanaka and S.Shikakura, The state of the art on nuclides separation in high level liquid wastes by TRUEX process, Proc. of the fourth international information exchange meeting on actinide and fission product partitioning and transmutation, OECD/NEA, pp261-277 (1997).
(16) M.Ozawa, H.Hirano,Y.Koma,Y.Tanaka,T.Kawata,Proc.Global'95,France,Vol.1(1995) 585.
(17) 林直美、武田伸荘、動燃技報、No.97,PNCTN134096−001(1996)18.
(18) 小沢正基、”安全性に関係するプルトニウムの物理化学的性格”、日本原子力学会誌、Vol.36, No.11, pp1000-1003(1994).
(19) M.Ozawa,Y.Tanaka,C.Oohara,H.Tanuma,Proc.Global'97,Yokohama,Japan, Vol.2 (1997)1232
(20) M.Ozawa, C.Oohara and T.Kishi, Radioactive wastes minimization by electrolytic extraction and destruction in PUREX-TRUEX actinide separation system, accepted, Nuclear Technology (1998).
(21) 根本慎一、駒義和、柴田淳広、榊原哲郎、田中康正、動燃技報、No.99,PNCTN134096−003(1996)87.
(22) T.Koyama, Y.Koma, Y.Sano and Y.Tanaka, Research and development to simplify and rationalize PUREX process for FBR fuel recycling, Global'97 (1997).
(23) Y.Koma、M.Watanabe、S.Nemoto、Y.Tanaka, SolventExtr.IonExch.16(6)(1992)1357.
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