資料(専)24−1

原子力バックエンド対策専門部会(第23回)議事要旨(案)

1.日時平成11年6月2日(水)10:00〜11:40

2.場所科学技術庁第7会議室(通産省別館9階)

3.出席者:
(原子力委員)依田委員、遠藤委員、木元委員
(専門委員)熊谷部会長、秋元委員、石榑委員、一政委員、大桃委員、川人委員、神田委員、小島委員、小西委員、齋藤委員、坂本委員、佐々木委員、関本委員、田中(知)委員、徳山委員、中神委員、永倉委員、東委員、藤岡委員、松田委員、森山委員
(説明員)青木電気事業連合会原子力環境部会部会長(中部電力常務取締役)
(科学技術庁)今村原子力局審議官、青山廃棄物政策課長、 森山廃棄物政策課企画官

4.議題
(1)超ウラン核種を含む放射性廃棄物処分について
(2)核種分離・消滅処理技術について
(3)その他

5.配付資料
資料(専)23-1第22回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)
資料(専)23-2超ウラン核種を含む放射性廃棄物処分の基本的考え方の検討状況について
資料(専)23-3核種分離・消滅処理に関する主な論点

  参照資料
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会)
群分離・消滅処理技術研究開発長期計画(昭和63年10月11日、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会)

6.議事概要
(1)超ウラン核種を含む放射性廃棄物処分について
 田中(知)委員(超ウラン核種を含む放射性廃棄物分科会主査)より分科会における検討状況の紹介、事務局より資料(専)23-2の説明が行われた後、議論が行われた。各委員の意見等は次のとおり。

高レベル放射性廃棄物の地層処分と、高βγを含む低レベル処分の間には概念的にかなり大きな差がある。高レベル放射性廃棄物の処分は、低レベル放射性廃棄物処分の延長ではなく、地層処分という永久に隔離する概念であり、両者は概念が異なる。一定の放射性物質濃度の区分値で、隔離型処分と管理型処分という異なる概念に区分することが可能なのか。例えば、中レベルという考え方が有り得ないかという点も含めて区分の考え方を検討してはどうか。

分かりやすさという意味では、放射能の高・中・低というそれぞれのレベルに応じて処分方法を選択するという説明が誠実感があってよい。高レベル以外は全て低レベルという考え方はいかがなものか。

超ウラン核種を含む放射性廃棄物は多種多様であり、資料に「処分方法に適した形態に処理した後処分する」と記述されているとおり、処理方法の検討が重要な研究開発課題と考える。

現在廃棄物は、原子炉施設、RI取り扱い施設等の発生源ごとに具体的な処分の在り方を考えている。このため、実際の処分に当たっては、性状が同じでも発生場所が異なるために受け入れの可否につながることがある。今回、再処理等廃棄物をその性状に応じて科学的に分類して処分方法を検討しているのは適当である。廃棄物の処分は科学的な分類に基づいて行うべきという点を明確にすることが必要と考える。

使用済燃料の再処理が必要だと社会的に認識されるためには、再処理のメリットとしてウラン、プルトニウムを取り出して資源として利用することのほかに、廃棄物を取り扱うという観点からもメリットを考えていくことが重要である。ゴミを家庭で分別するのは、その方が処分に当たって適切な取り扱いができるからであり、再処理に関しても同様ではないか。廃棄物の合理的な区分を検討して、安全性、経済性が向上する分け方が確立されていくことが必要である。このような意味で再処理等廃棄物を3つに分けるのはよいが、分けることにより処分側からどのようなメリットがあるのかも整理すべきではないか。

使用済燃料の再処理のメリットを論ずるよりも、本部会の本来の役割である既存の廃棄物の処理を含めて後世代に廃棄物を残さないための方策を考えるべきである。

本検討の考え方の中で、全てを地層処分するとすれば処分費用が高くなりすぎるため、処分方法を区分するという経済性の説明は受け入れられるであろうし、今後、廃棄物処分については経済性が重要となってくると思われる。再処理必要論ではなくて、分類についての経済的なメリットを示していく必要があると考える。

一般廃棄物の世界では、処分という言葉はあまり使われなくなっており、分別することにより廃棄物を原料に戻していくという発想になってきている。再処理という言葉自体が日本語として誤解を与えるのかも知れない。高レベル廃棄物はゴミという発想ではなくて、使えるものは使い、使わないものは安全に管理や処分を行うというように考え方を変えていくことが必要であると考える。

廃棄物発生量の試算について、処分概念の検討としては現状の試算で進めればよいが、ある時点で最新のデータに基づいて精査することが必要ではないか。

今回示した資料では、既存の低レベル放射性廃棄物処分概念で処分できないものについては地層処分という言葉を使っているが、今後分科会では、高レベル放射性廃棄物との関係や管理型処分との考え方の違い等について十分議論していきたい。

(2)核種分離・消滅処理技術について
 関本委員(核種分離・消滅処理技術分科会主査)より分科会における検討状況の紹介、事務局より資料(専)23-3の説明が行われた後、議論が行われた。各委員の意見等は次のとおり。

「消滅」はTransmutationの訳であるが、実際、消滅処理とは長寿命核種の核変換、短半減期化であって、完全に消滅してしまうわけではない。原子力長期計画策定会議においても、原子力関係者は難しい専門用語を使って国民に分かりづらくしているとの指摘があった。言葉を変えるならば今が良いチャンスであることも踏まえて検討してはどうか。

高レベル放射性廃棄物は発生量が非常に少なく、一人当たりの生涯発生量がゴルフボール3個分とPRされている。もともと発生量が少ないものを、まだ減らす必要があるのかという感覚を持つ方がおそらく多いと考える。安全上考慮しなければならない時間が具体的にどのくらい短くなるといったメリットと、消滅処理には電力が大量に必要と聞いているが、具体的にどれくらい必要なのか、また何らかの処理を行った際の作業者の被ばくの可能性といったデメリットを書き分ける報告書とすべきである。

加速器駆動未臨界炉システム(ADS)はFBR消滅処理システムと比較するとコストが高くなるとの記述は、誤解を招くのではないか。本システムの概念は、軽水炉10−15基分のTRUをADS1基で処理しようというものであり、この処理プラントが発電コスト全体に跳ね返るものではないと考える。また、コスト面だけではなく、FBRはADSと比べ、添加できるTRUの量が限られるなどの技術面における比較検討も行うべきではないか。

一般廃棄物、産業廃棄物に関して、10年前に将来予想に基づき各自治体が大きな清掃工場を建てたが、ゴミを増やさないことを目指す法律ができたこともあり、現在燃やすゴミが当初予想より少ないという状況が見られる。電気についても、将来的には資源に限りがあるため、電力消費量を抑えようという話が必ず出てくると思う。エネルギーの予測を国民に自覚していただくといった総合的な話の中で、核種分離・消滅処理を含めた原子力の廃棄物政策に取り組むべきである。ドイツにおいては、一般廃棄物の政策論は終わり、原子力の廃棄物とのつき合い方を熱心に議論していると聞いているが、日本においても現在既に、一般廃棄物については国民の意識が変わってきており、今後原子力の廃棄物へと関心が移っていくと思う。

期待される効果を読んで、核種分離・消滅処理技術が完成するまで地層処分をすべきではないととる人が出てくるのではないか。本技術は将来的な技術であること、実現しても高レベル放射性廃棄物が全て消滅するわけではないことを明示すべきである。

「消滅処理」の用語は日本の専門家の間で早い時期から定着しているものではあるが、分科会において、この用語でよいかどうか十分に検討したい。また、コスト面など一部に偏った評価ではなく、総合的に評価すべきとのご指摘があったが、安全性、地層処分との関係など幅広く検討していきたい。地層処分の代替とのイメージを国民に与えるとのご指摘もあったが、近未来に地層処分に取って代わるものではないということは分科会での共通認識である。

本技術の実現の見通しが現時点で立てられるのか。また、今後の研究開発を、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構、電力中央研究所の三機関がそれぞれ進めていくのか、またはいつの時点かで統合していくのか。

研究開発の具体的な将来計画は現時点では白紙であるが、それぞれの機関の進捗状況や特徴を考慮することも必要である。現在は、各機関から技術の現状や将来の見通しの具体案が出されているが、実現性などについて、分科会でさらに検討していきたい。

三機関の研究の今後の進め方としては、当面は高速炉や加速器について役割を分担して取り組んでいくべきと考える。その際、各々のテーマについて、相互に情報交換や研究協力を行うことにより、最小費用で最大効果を上げるべく重複や無駄がないように進めていきたい。

少なくとも3つの研究機関での研究開発の方向を一つの線上に並べて、できるだけ定量的に比較する作業が必要である。また、開発目標やタイムスケジュールが明確でないと、地層処分をとりやめてその研究開発を行えばよいのではないかという考えが出てくるかもしれないし、コスト評価がないと議論を行うことができない。前提条件により変わりうる要因はあるとしても、客観性の高い前提条件に基づいてできるだけ定量的な評価を行う必要がある。

(3)その他
 特になし

次回の専門部会は、7月21日(水)午後3時より開催することとして閉会した。

以上