資料(専)23-1

第22回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)

1.日時:平成11年4月21日(水)13:30-15:30

2.場所:科学技術庁第1、2会議室(科学技術庁2階)

3.出席者:

(原子力委員)遠藤委員、木元委員
(専門委員)熊谷部会長、石榑委員、一政委員、大桃委員、川人委員、神田委員、小西委員、齋藤委員、坂本委員、佐々木委員、鷲見委員、関本委員、田中(知)委員、田中(靖)委員、徳山委員、中神委員、永倉委員、東委員、藤岡委員、松田委員、森山委員
(説明員)増田 核燃料サイクル開発機構 2000年レポートチーム部長
山川 核燃料サイクル開発機構 2000年レポートチーム研究主席
梅木 核燃料サイクル開発機構 2000年レポートチーム統合化グループリーダー
若林 核燃料サイクル開発機構 経営企画本部事業計画部 FBRサイクル技術統合化グループ研究主席
(通商産業省)佐々木 資源エネルギー庁審議官
(科学技術庁)今村 原子力局審議官、青山 廃棄物政策課長、森山 廃棄物政策課企画官
4.議題
(1)地層処分研究開発第2次取りまとめ第2ドラフトについて
(2)その他

5.配布資料
資料(専)22-1第21回原子力バックエンド対策専門部会議事要旨(案)
資料(専)22-2地層処分研究開発第2次取りまとめの進捗
資料(専)22-3地層処分研究開発第2次取りまとめ第2ドラフトについて
資料(専)22-4地層処分研究開発第2次取りまとめ第2ドラフト要約
資料(専)22-5地層処分研究開発第2次取りまとめ第2ドラフト
総論レポートわが国における地層処分の技術的信頼性
資料(専)22-6-1分冊1地質環境条件の調査研究
資料(専)22-6-2分冊2地層処分の工学技術
資料(専)22-6-3分冊3地層処分システムの安全評価
資料(専)22-7FBRでのマイナーアクチニド(MA)蓄積量の低減効果について
資料(専)22-8「放射性廃棄物シンポジウム」について
  参照資料
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会)
高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について(平成9年4月15日、原子力バックエンド対策専門部会)
高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(平成10年5月29日、高レベル放射性廃棄物処分懇談会)

6.審議の概要

(1)地層処分研究開発第2次取りまとめ第2ドラフトについてついて、増田説明員より資料(専)22-2、(専)22-3に基づき説明があった。
(2)引き続き各委員から出された主な意見等は以下のとおり。
  ①第2ドラフトの作成を通して日本における各研究機関の専門家が集まり相互に意見を出し合える体制が作られた。内容については、原子力バックエンド対策専門部会報告書に示された課題との対比でほぼ要求を満足していると思うが、伝えるべきメッセージが十分ではないと思われる。また、3つの研究分野を横方向につなげることが今後の課題であるとの発言があった。
  ②廃棄体1体当たりの専有面積が31m2となっているが、これは広いように思われる。温度の制約のためであろうが、温度が下がったら、処分坑道の間に廃棄体を入れることは出来ないのか、コスト面からの検討も必要ではないのかとの指摘があった。
説明員より、廃棄体埋設時の温度及び緩衝材の耐久温度を考慮して設計したものであり、坑道間隔を無駄に取っているわけではない。また、コストについては、専有面積よりも掘削量の影響が大きいとの説明があった。
  ③地質の安定性について将来10万年程度は安定であることを述べている一方で、線量評価では100万年後にピークとなるものがあるが、整合性を持たせるべきではないかとの指摘があった。
説明員より、線量評価では、10万年以降も地質が安定であり、人間が現在と同じ生活をしていると仮定して評価した結果を示したものであるとの回答があった。
  ④線量評価結果は諸外国の基準値を3桁程度下回っているが、必要以上に保守性があるなら、より経済性を考えた設計を例示すべきではないかとの指摘があった。
説明員より、基準やサイトが決まればそれらに対応した最適な設計が可能である。今回は、その設計に必要な基本的な技術を提案したものであるとの回答があった。
  ⑤2000年以降の研究課題について質問があった。
説明員より、地質環境を特定しない共通の研究課題よりも、実際の地質環境を対象とした検証的な研究が中心となるとの回答があった。
  ⑥地質が安定であるとした10万年という期間について、現在分かっている条件で評価した結果を示したものか、それとも10万年以降の評価は現在不可能ということかとの質問があった。
説明員より、地質の安定性について、例えば火山については1000万年程度まで遡ることができるが、個々の事象の不確実性がそれぞれ異なるので、10万年という評価はそれぞれの事象を総合的に検討した結果であるとの回答があった。
  ⑦1000万年以上前から安定な地層は日本にもたくさんあるが時間とともに不確実性は増すので一律な尺度で評価できないが、ナチュラルアラログを通して地質の安定性の確認やそれを阻害する要因を取り除きながら地質の安定性を評価した結果、10万年程度なら十分安定であるとの結論に至ったとの発言があった。
  ⑧移行した核種がどこかに蓄積する現象を考慮する必要性、また蓄積が地表付近で起こった場合の線量評価の観点からの安全性ついて質問があった。
説明員より、蓄積するケースとしては、鉱物化して地層中に固定される場合があるが、より安全側となるため評価していない。また、生物圏において蓄積する事象については、感度解析等を行い、影響を調べているとの回答があった。
  ⑨専門家によるレビューに関しては、レビューの内容が公開されることが重要であるとの指摘があった。
説明員より、北米ワークショップの結果については、今後許可を得てから公開したいとの説明があった。
  ⑩インターネットのアドレスは、当該報告書に関するページのアドレスを直接示すべきである。また、情報の公開はCD-ROMで配布するのか、ホームページのように常にアップデートできるものが良いのか、費用対効果も含めてよく考えてもらいたいとの指摘があった。
  ⑪次のような点についてもう少し分かりやすく説明すべきとの指摘があった。ウラン鉱石と比較して廃棄物は濃縮されたような状態にあるので、万が一接近した場合は影響があることを明示することが必要。東濃で4本、釜石で1本のボーリングで結論を出してなぜ大丈夫なのかについて説明が必要。ベントナイトはガラス固化体の温度によって影響を受けるが、この設計なら大丈夫ということを言い切ることが必要。年間数ミリという移行速度でも何万年もの間に身近に近づいてしまうという印象を持たれるので説明が必要。
  ⑫長期間の安全性を評価する際の変動シナリオの考え方についての分かりやすい説明、地下研究施設の寄与及び技術的信頼性についての具体的な内容を示すべきである。また、資料22-3の添付資料2の高レベル放射性廃棄物の特徴を示した図では、同じ放射能量でもウランと核分裂生成物とでは影響が異なるので、前提条件、仮定を明確に示し、誤解が生じないよう配慮すべきであるとの指摘があった。
  ⑬再取り出し性に対する考え方について質問があった。
説明員より、国際的な状況を記述するに止めている。どのように取り組むべきかは技術報告書の趣旨から外れるので記述していないが、技術的観点からの必要性はないと考えられるとの回答があった。
  ⑭地下研究施設の意義、必要性及び今後の展開、並びに処分場閉鎖後の管理に係る記述が明確でないとの指摘があった。
説明員より、地下研究施設の役割については本文中に記述してあるが、これまでに得た知見や技術を検証するために必要である。また、閉鎖後の管理については社会がどう判断するかの問題であり、ここでは閉鎖するまでの管理として技術的に何が必要かを記述しているとの説明があった。
  ⑮地下研究施設の利用に関して、特定の場所での研究を強調しすぎると誤解を招く可能性がある。場所を限定しない一般的な研究と特定の場所の地質環境を考慮した特殊な研究との両方を行うことを初めから示す必要があるとの指摘があった。
  ⑯高レベル放射性廃棄物処分懇談会の中でも示されているように、安心という観点からも、実際に見られる地下研究施設は必要であるとの発言があった。
  ⑰接近シナリオの評価において、処分直後にボーリングを実施する可能性はゼロではないのかとの質問があった。
説明員より、ここでは、制度が確立していないので、偶発的なものとして人間の判断を考えずに評価したものであるとの回答があった。
  ⑱高レベル放射性廃棄物処分懇談会での制度的管理についての議論を尊重すべきである。制度的管理も考慮した評価を行うべきであり、現実的ではなく誤解を与えるような評価は行うべきではないとの指摘があった。
(3)前回の専門部会における核種分離・消滅処理についての審議に関し、放射性物質の量の低減効果について、若林説明員より資料(専)22-7に基づき補足説明があった。
(4)放射性廃棄物処分シンポジウムについて、科学技術庁より資料(専)22-8に基づき報告があった。
(5)次回(第23回)専門部会は、平成11年6月2日(木)10:00から科学技術庁第7会議室において開催することとして閉会した。