地層処分研究開発第2次取りまとめ第2ドラフトについて
平成11年4月21日
核燃料サイクル開発機構
第2次取りまとめ第2ドラフトは,平成10年9月に原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会に報告を行った第1ドラフトへのコメントやそれ以降の研究開発の進捗に基づいて取りまとめたものである。これについて以下に報告する。
- 1.第2ドラフトの構成
- 第2ドラフトは,総論レポート及び3つの研究開発分野(「地質環境条件の調査研究」,「処分技術の研究開発」,「性能評価研究」)に対応した分冊によって構成されている。
- 2.第1ドラフトからの進展と総論レポートの概要(添付1〜7参照)
第I章「高レベル放射性廃棄物対策の考え方と進め方」
- 高レベル放射性廃棄物の特性(換算水量ではなく放射能で説明)
- 高レベル放射性廃棄物対策のオプションと地層処分の選択に関する記述の充実
第II章「地層処分概念と安全確保の考え方」
- わが国の地層処分概念と安全確保の考え方(適切なサイト選定と設計による地層処分システムの構築)
- 地層処分における多重バリアの概念に関する説明の充実
第III章「わが国の地質環境」
- 地質環境の安定性
- 事例研究を追加,全国レベルで整理
- 将来十万年程度の期間について地層処分の場としての地質環境の長期安定性を論ずることが可能
- 地質環境特性
- 1000mボーリング2本から得られた深部地質環境特性データを追加
- 長期間にわたって人工バリアの健全性を保ち,また天然バリアとして核種の移行を遅延する機能を確認
第IV章「地層処分の工学技術」
- 人工バリアの設計
- わが国の幅広い地質環境に対応した岩盤物性値の幅を考慮した合理的な設計に基づく仕様の提示
- 処分施設の設計
- 処分場の性能を損なうことなく坑道掘削量を最小とするような合理的な設計の考え方に基づく坑道離間距離,廃棄体ピッチの設定による仕様の提示
- 処分場レイアウトの例示
- 人工バリア/処分施設の製作・施工
- 実規模/工学規模試験による技術的実現性の確認
第V章「地層処分システムの安全評価」
- 地層処分システムの安全性を論ずる上で評価上考慮すべきシナリオと評価の方法の明示
- 地下水シナリオの基本シナリオに対し,地質環境のバリエーションやデザインのオプションとともに,モデル,データの不確実性を考慮し,レファレンスケースを含めた30ケースの解析を実施して,システム全体の性能を幅で提示
- 地質環境のバリエーションやデザインのオプション,モデル及びデータの不確実性を考慮しても,線量の最大値は,例えば諸外国で示されている基準(100〜300μSv/y)を下回っていることを確認
- 接近シナリオの評価例(人間侵入シナリオ)の提示
第VI章「処分予定地選定と安全基準策定に資する技術的検討」
- サイト選定にあたって考慮すべき地質環境上の要件および必要となる情報の整理,重要な地質環境情報を取得するために必要な地質環境調査技術・機器開発の成果を記述
- わが国の幅広い地質環境を対象とした人工バリア及び処分施設の設計・施工要件の明示
- 線量あるいはリスクを補完する指標について,河川,海,土壌あるいは岩石中の放射性核種濃度を用いることが可能であることを確認
- 評価の時間スケールについて検討
第VII章「まとめ」
- わが国の地層処分の技術的信頼性
- 第2次取りまとめ以降の研究開発のあり方の検討
- 3.分冊の内容
分冊1 「地質環境条件の調査研究」
- 地質環境の長期安定性と深部地質環境特性に関する技術的情報を集約(総論レポート第III章に対応)
- 分冊2 「地層処分の工学技術」
- 処分場の設計の工学技術的可能性に関する技術的情報を集約(総論レポート第IV章に対応)
- 分冊3 「地層処分システムの安全評価」
- 地層処分システムの長期安全性に関する技術的情報を集約(総論レポート第V章に対応)