資料(専) 19-6

放射性廃棄物の処分等に係る
安全基準等について

(原子力安全委員会での調査審議の状況)

 

 

 

 

 

平成10年10月8日

 


○原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会決定)

 

第3章 我が国の原子力開発利用の将来計画

7.バックエンド対策

(1) 放射性廃棄物の処理処分

 ① 放射性廃棄物処理処分に係る基本的考え方

 放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類等により多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分に応じた合理的な処理処分を行うとともに、資源の有効利用の観点から再利用についての検討も進めることとし、これらに必要な研究開発を着実に進めるほか、規制除外・規制免除についても国際動向を踏まえ適切に対処することとします。また、低レベル放射性廃棄物も含め放射性廃棄物の海洋投棄については、社会的、政治的な情勢等を勘案してこれを行わないこととします。なお、将来、これらの情勢が大きく変化した場合は再検討も考慮することとします。
 事業活動等に伴って生じた放射性廃棄物の処理処分の責任については、各事業者等が自らの責任において処理処分することを基本とし、処分の責任を有する者は、その具体的実施計画を整備し、処分費用を負担するなど、処分を適切かつ確実に行う責務を果たすこととします。国は、処分方策を総合的に策定し、また、処分の安全性の確認を行うとともに、処分の責任を長期的に担保するために必要な法制度等を整備するなど、最終的に安全が確保されるよう、所要の措置を講ずる責任があります。

 

○当面の核燃料サイクルの推進について(平成9年2月4日、閣議了解)

 

3.バックエンド対策

 再処理に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の処分について、研究開発を推進するとともに、処分の円滑な実施に向けて処分対策の全体像を明らかにする。
 また、今後見込まれる原子力発電施設の廃止措置が適切に行われるよう、所要の制度整備を進める。

 

 

クリアランスレベル設定に関する調査審議について

 

平成9年5月26日
原子力安全委員会
委員長談話

 

 クリアランスレベルとは、それを下回るものについては、放射性廃棄物としての特殊性を考慮する必要がないレベルのことであり、当委員会は昭和60年にその基本となる考え方を示したが、これまで具体的なレベルについての結論は得られていない。原子力利用に伴い発生する廃棄物の安全かつ合理的な処理、処分及び再利用が行われるためには、クリアランスレベルの設定が必要であることから、当委員会は、クリアランスレベル設定に関する調査審議を平成9年5月27日に開始することとした。
 クリアランスレベル設定に関する調査審議については、放射性廃棄物安全基準専門部会において進めることとするが、その際、調査審議は公開で行うとともに、調査審議の結論については、報告書案の段階で広く国民に公表し、意見募集することとしており、反映すべき意見は報告書に反映させていく考えである。
 当委員会としては、クリアランスレベル設定に向けて、国際的動向を踏まえつつ、環境の保全及び安全の確保を大前提として速やかに本件に係る調査審議を進めることとする。

 

 

高レベル放射性廃棄物及びRI・研究所等廃棄物の
処分に係る安全規制について

 

平成10年6月25日
原子力安全委員会
委員長談話

 

 放射性廃棄物の処分については、国民的な関心も非常に高く、その処分が安全に実施されることが重要である。原子力発電所等から発生する低レベル放射性廃棄物の処分に係る安全規制については、これまで制度が整備されてきているところであるが、その他の放射性廃棄物の処分に係る安全規制についても、今後、原子力開発利用長期計画に示されている処分事業に関するスケジュールを踏まえつつ、所要の制度を着実に整備していくことが重要な課題であると考える。
 今般、原子力委員会において、「高レベル放射性廃棄物処分の推進について」及び「RI・研究所等廃棄物処分への取り組みについて」が決定された。これらの決定では、処分事業の早期具体化等に加え、安全規制に関して、その制度の着実な整備等の必要性が指摘されている。
 当委員会としては、上記の現状を踏まえ、高レベル放射性廃棄物及びRI・研究所等廃棄物の処分に係る安全規制に関する制度を着実に整備するため、先ず、これら廃棄物の処分に係る安全規制の基本的考え方を示すこととし、順次、立地条件、安全設計、安全評価等に関する具体的な安全基準・指針等を策定していくこととする。
 安全規制の基本的考え方についての調査審議は、放射性廃棄物安全規制専門部会において行うこととし、国内外の研究開発の状況や国際的な安全規制の動向などを踏まえ、速やかに進めることとする。

 

 

クリアランスレベルの設定について
(原子力安全委員会での調査審議の状況)

 

平成10年10月8日

 

1.定 義
放射性物質の濃度が極めて低いことから放射性物質としての特殊性を考慮する必要がないレベルを「クリアランスレベル」と呼んでいる。

2.設定の目的
 原子力利用に伴い発生する廃棄物の安全かつ合理的な処理、処分及び再利用に資する。(廃棄物の合理的な処分の観点から産業廃棄物と同様な処分を可能とし、環境への負荷の低減の観点から廃棄物の再利用を可能とする。)

3.経 緯
  昭和59年8月 原子力委員会が必要性を指摘
  昭和60年10月 原子力安全委員会が基本的考え方を提示
  平成8年1月 国際原子力機関(IAEA)が技術文書(IAEA-TECDOC-855 )を出版(各国からのコメントを平成11年1月まで受付)
  平成9年5月 原子力安全委員会(放射性廃棄物安全基準専門部会)において具体的な数値を設定すべく調査審議を開始(当面は原子炉施設の廃止措置等に伴って発生する廃棄物を対象)

4.調査審議の状況

5.今後の予定
 日本原子力発電(株)東海発電所の廃止措置のスケジュール(早ければ平成13年に原子炉の解体の手続きを開始)を勘案しつつ、以下の予定に従いクリアランスレベルに関する制度の整備を図る。また、原子力安全委員会での調査審議の結果を国際基準に反映させるため、IAEAガイドライン(平成12年中に策定される見込み)の策定作業に積極的に参画する。

 平成11年3月まで ・原子力安全委員会において主な原子炉施設に係る調査審議を終了
 平成11年3月以降 ・原子力安全委員会において重水炉、RI法対象施設等に係る調査審議を開始
 ・並行して関係省庁と調整
 平成12年末まで ・クリアランスレベルを法令に取り入れる方針を決定
 平成13年春ごろ ・関係法令の改正

 

 

原子力発電所の廃止措置に伴い発生する廃棄物の推定量

 

 

 

RI・研究所等廃棄物の分類イメージ

 

 

 

研究所等廃棄物の定義及び具体例

 

 

○原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会報告「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」(平成10年5月28日)での分類