資料(専) 19-5
RI・研究所等廃棄物事業推進準備会の
業務の進捗状況と今後の計画

RI・研究所等廃棄物事業推進準備会

はじめに
 日本原子力研究所(原研)、核燃料サイクル開発機構(サイクル機構)及び社団法人日本アイソトープ協会(RI協会)(以下、「三者」)は、平成9年10月1日、RI・研究所等廃棄物の処理処分事業を推進するための準備組織として、「RI・研究所等廃棄物事業推進準備会」(以下、「準備会」)を発足させた。
 原子力バックエンド対策専門部会で取りまとめられた 「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」(平成10年5月28日)(以下「基本的考え方」)及びこれを踏まえた原子力委員会決定「RI・研究所等廃棄物処分への取り組みについて」(平成10年6月9日)では、準備会を中心に事業主体の設立に向けた具体的な検討を行い、2000年頃を目途に設立することとしている。
 準備会においては、事業主体の設立、実施スケジュール、資金確保対策等の検討、当該事業の必要性や安全確保の考え方に関する広報活動を行うほか、国及び関係機関等との連携を図りつつ、安全基準の策定等への協力等、幅広い活動を行う計画である。

1.組織等について
 準備会は次の組織から構成されている(組織図:参考1)。
 
(1)RI・研究所等廃棄物事業推進協議会(協議会)
 
協議会は準備会の事業計画、予算等運営に関する重要な事項について審議するため設置されており、各分野からの幅広い意見が求められるよう関係機関に参加を呼びかけ、現在までに21機関が参加している(協議会名簿:参考2)。
 なお、協議会はこれまでに3回開催され、今後の方針の策定を行うとともに、関係機関との意見交換を行っている。

 

(2)運営会議
   
運営会議は協議会における審議事項、報告事項等を審議し、準備会の業務を円滑に運営するため三者より構成されている。運営会議はこれまで7回開催している。
 
(3)事業主体設立検討ワーキンググループ
   
事業主体の設立に係る資金計画、組織構成等の必要事項を検討するため、「事業主体設立検討ワーキンググループ」(以下「事業主体設立検討WG」)を設置している。事業主体設立検討WGは三者の事務部門実務者から構成され、今後の議論の進捗も踏まえて、大学、研究所及び医療機関等からの参加も予定している。今年度中に6回の開催を予定している。
 
(4)三者連絡会
   
三者連絡会は今後の廃棄物の処分に際して必要となる廃棄体の統一的な品質管理等に資するため、三者の廃棄物管理の実務担当者により構成され、これまで4回開催している。

2.廃棄物調査
 RI・研究所等廃棄物の想定される処分形態、廃棄体数量等については「基本的考え方」に示されているように、RI・研究所等廃棄物の大部分は放射能濃度が低いものの、廃棄物に含まれる放射性核種、性状が多種多様という特徴がある。この特徴を踏まえ、処理処分施設の設備内容・規模等の設計に反映するため、試験研究炉、加速器等を保有する大学・民間等の関係機関に廃棄物調査を行った(RI・研究所等廃棄物の保管量:参考3)。
 RI・研究所等廃棄物の現状把握は、原子力安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部会等にて審議・検討が行われている。廃棄物性状等の調査は安全規制策定等に関する基礎要素であるため継続して実施するとともに、これに加え今後は廃棄物等の確認方法に関する技術調査を中心に進める計画である。

3.事業主体設立に向けての取組み
 事業主体の設立は、準備会の最も重要な業務の一つである。準備会では、発足以来、協議会への参加を大学、民間企業等に広く呼びかけ、事業主体設立に向けて組織を強化するとともに、事務局である準備室において予備的な検討を行ってきた。
 また、検討の一層の推進を図るため、三者の事務部門実務者からなる事業主体設立検討WGが今年度設置され、事業主体の設置に係る資金計画、組織構成等の必要事項を検討し、今年度中に中間報告をまとめることとしている。

4.施設、設備の設計検討
 廃棄物調査結果を踏まえつつ、平成10年度から処理設備及び処分施設の概念設計に着手している。
 処理設備の設計に当たっては、原研が整備中である高減容処理設備及び原研、サイクル機構、RI協会等の減容処理施設の経験実績を参考とする(原研における高減容処理の概要:参考4)。
 一方、処分施設は「基本的考え方」に事例が示されており、コンクリートピットについては日本原燃(六ヶ所村)の処分施設、素掘り処分施設については原研のコンクリート等廃棄物の埋設試験の先行例があり、処分施設設計の参考とする。また、放射性物質以外の観点からの対策が必要な廃棄物に対しては、「管理型処分場」の構造基準を踏まえた処分施設を検討する(処分施設の事例:参考5)。
 今後は、これらの概念設計に基づき施設、設備の積算見積りを行うとともに、資金計画を策定する予定である。

5.広報活動
 廃棄物処理処分事業の推進に当たっては、国民の理解が重要である。
 準備会の設置目的と活動について理解を得るためパンフレットを作成し、関係機関に配布している。
 また、「研究炉に関する検討懇談会」、「大学等放射線施設協議会」等の委員会、及び「(社)日本電機工業会」、「(社)新金属協会」等の関係機関において説明を行った。今後も引き続き「日本アイソトープ・放射線総合会議」、「放射線取扱主任者年次大会」等において幅広く広報活動を行う予定である。関係機関の会議等の機会を活用し、今後も広報活動を積極的に行う。
 さらに、本年度は、一般の人々にRI・研究所等廃棄物と準備会の活動の理解が得られるよう、ホームページ(*)も開設した。
 一方、PA活動に関しては、事業主体設立検討WG等における実務者レベルの審議・検討状況を踏まえながら、幅広い有識者・専門家より成る委員会等を協議会内に設置することでアクションプログラムを策定し、情報公開と広報活動に努めるほか、シンポジウムの開催等も計画中である。
 このような有機的に結びついた広報活動を通して、処理処分事業の具体化に向けた環境づくりを推進する。
  (*) ホームページアドレス http://www.isotopia-jp.com/

6.今後の対応
 今後は、処理処分施設の概念設計等に基づく積算見積りを行って、資金計画の策定を実施するとともに、立地地域と共生し地域の発展に寄与できるような地域振興策の検討も行い、2000年頃を目途に、事業主体設立へ向け着実に取り組むこととする(事業計画:参考6)。