資料(専)17-4-1 |
1.はじめに
動力炉・核燃料開発事業団(以下、動燃事業団)は、平成9年4月に公表された原子力バックエンド対策専門部会報告書「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」(以下、専門部会報告書)にしたがって、第2次取りまとめに向けた研究開発を進めている。専門部会報告書では、第2次取りまとめに向けた研究開発の推進にあたり、研究開発の進捗に応じて成果を積極的に公表し透明性を確保することが重要とされており、本報告はこの趣旨にそって第2次取りまとめの進捗状況を紹介するものである。
2.地層処分研究開発の経緯
動燃事業団は平成4年に第1次取りまとめ(平成4年9月、動燃事業団「高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術報告書-平成3年度-」)を公表して、地層処分の技術的有効性に関する総合的評価を行い、わが国における地層処分の安全確保に関する技術的可能性を明らかにした。
第2次取りまとめは、第1次取りまとめの成果を受けて処分の技術的信頼性を示し、国による評価を経て、処分事業を進める上での処分予定地の選定、安全基準の策定の技術的拠り所を与えるとともに、2000年以降の研究開発を具体化する上で極めて重要なものと位置づけられている。
研究開発は地層処分計画に対応して長い時間をかけて進められるため、適切な時期に取りまとめを行い、それまでの研究開発の成果を確認するとともに残された課題を明らかにしながら進めるという方法をとる必要がある。諸外国においても時宜を得て繰り返し研究開発報告書の取りまとめが行われている。
3.専門部会報告書に基づく第2次取りまとめの課題
第2次取りまとめにあたって、わが国における地層処分の技術的信頼性とは、
また、①、②、③によって処分事業を進める上での処分予定地の選定に資するための技術的拠り所、安全基準の策定に資するための技術的拠り所を示すことができる。
4.第2次取りまとめの進捗状況
4-1 第2次取りまとめ報告書の構成案
地層処分の技術的信頼性を示し、処分予定地の選定や安全基準の策定に資する技術的拠り所を与えるうえで、専門部会報告書で明らかにされた研究開発項目を網羅的に取り扱い、課題に応えることができるよう、「第2次取りまとめ」の構成案を以下のように考えている。
総論レポートは、専門部会報告書で明らかにされた第2次取りまとめに盛り込まれるべき技術的内容に対して総合的に応え、わが国における安全で合理的な地層処分システムとは何かを明らかにするためのものであり、主に専門部会報告書第1部に対応したものである。総論レポートについては、専門部会報告書で示されているように研究の進捗にあわせて公表し、国民各層の意見を求め適宜取り込んでいくことが重要と考えている。
分冊は、総論レポートの内容について各研究分野の課題に対する技術的根拠を明示するためのものであり、国際レビューと国の評価の際の専門的な参考資料として準備する。分冊1~3は、専門部会報告書に示された地層処分の3つの研究開発分野にそれぞれ対応したものであり、分冊4「地層処分の背景」(仮称)は、地層処分に関する基本的な事項や知見に関する情報(地層処分の発想、長期間に及ぶ対策の有効性、評価の時間枠等)を取りまとめたものである。
4-2 地層処分研究開発協議会
第2次取りまとめにあたっては、わが国の総力をあげて取り組むため、日本原子力研究所、地質調査所、防災科学技術研究所、電力中央研究所、原子力環境整備センター、高レベル事業推進準備会、電気事業連合会、大学等及び動燃事業団の専門家が参加した「地層処分研究開発協議会」が平成9年9月に発足し、平成10年2月より同協議会のもとに検討部会、タスクフォースが設置されて、月2回程度の頻度で詳細な検討が行われている。
検討部会及びタスクフォースでは、これまで以下の主要課題に対し各機関の意見や研究開発成果が取り込まれてきている。
-地層処分に影響を及ぼす可能性のある天然現象の将来予測の考え方
-深部地質環境の特性に関する実測値の整理
-処分予定地選定の要件を明らかにするための考え方、サイト選定の各段階ごとの調査内容と手法に関する整理
-人工バリア及び処分施設の設計の考え方
-FEPリストと安全評価シナリオの考え方
-性能評価モデルとデータの信頼性を示す根拠
これらの議論を踏まえ、総論レポートのドラフトの骨子がほぼ固まった。
4-3 総論レポートドラフトの骨子
総論レポートのドラフトの骨子は、3.で述べた3つの目標が達成されつつあることが示されることである。
専門部会報告書に示された目標や研究開発の重点課題に対し、地層処分研究開発協議会及び検討部会において関連機関との研究協力を図りながら、第2次取りまとめ作業を進めている。現在、その進捗状況を中間的にまとめた総論レポート第1ドラフトの完成の見通しが得られつつあり、その進展に合わせて報告していく予定である。これによって専門部会報告書で求められている研究開発の透明性の確保を図り、ドラフトの段階においても広く意見を伺って最終版へ反映していくこととしたい。