資料(専)16-2 |
報告書案に対して寄せられたご意見を報告書案の項目毎に整理し、
|
|
既に廃棄物の処分事業が行われているにも関わらず、同じ低レベル放射性廃棄物であるRI・研究所等廃棄物処分について検討を行う必要性を述べるべき。 (77) |
ご指摘を踏まえ、RI・研究所等廃棄物の処理処分の検討を行った背景をより明確にするため、次のように下線部の記述を追加します。
「廃棄物の処理処分の見通しが明確でないために、RI等の利用に支障が生じている事業所も見られる。低レベル放射性廃棄物のうち原子炉施設から発生するものについては最終処分に係る制度が順次整備され、このうち原子力発電所から発生する廃棄物については、既に埋設処分事業が開始されているところであるが、RIや核燃料物質等の利用に伴い発生する廃棄物については、未だ処分方策が確立していない。このため、これらの廃棄物に含まれる放射性核種の種類や濃度及びその他の性状を踏まえ、早急にRI廃棄物及び研究所等廃棄物(以下、「RI・研究所等廃棄物」)の安全かつ合理的な処理処分方策を確立して、制度整備を行い、最終処分に向け具体的に取り組むことが重要である。」
「第1章 RI廃棄物の処理処分に関する基本的考え方について」に関連するご意見について
1.2.2(1) 放射性核種の種類
99mTcは、99Tcと書くか、併記すべき。 (29) |
ご指摘のように、医療機関等において肝機能検査等に使用されている99mTcは半減期が約6時間であり、実際に廃棄物として集荷・処理・処分される段階では、99mTcの大部分は減衰してその娘核種である99Tc(半減期約21万年)となっていると考えられます。しかしながら、廃棄物が発生した時点での放射性核種の種類と濃度が特定できれば、その後の時間経過に伴う放射性核種の減衰や他の放射性核種への壊変は、計算により求めることができ、また廃棄物の発生からの経過時間によって、廃棄物に含まれる放射性核種の種類が変化することから、本報告書案では廃棄物の特徴を明確にするため、廃棄物中に含まれる放射性核種については、廃棄物の発生時点で統一的に整理しました。
したがって、報告書案の記述は、原案どおりの99mTcとしますが、ご指摘を踏まえ、この点を明確にするため、「(1)放射性核種の種類5)」の説明として、脚注に以下を追加します。
「5)本報告書における放射性核種の種類は、廃棄物の発生時点で整理した。」
1.2.2(2) 放射能濃度による区分
|
報告書案において、「この中で、半減期等を勘案し、埋設処分において放射線被ばくへの影響が大きいと考えられる放射性核種は、
3H,14C,60Co,90Sr,137Cs等である。」と記述しているように、埋設処分を考えた場合に考慮すべき放射性核種の多くは原子力発電所から発生する放射性核種の種類と同様であると考えられるため、原子炉等規制法による濃度上限値を踏まえた区分を行うことは、RI廃棄物処分の検討に有効と考えられます。
しかし、ご指摘を踏まえ、より正確を期すため、「原子炉等規制法施行令第13条の9で示されている放射能濃度上限値4)(参考資料4)によりRI廃棄物の廃棄体数量を区分すると、大部分の廃棄物が現行の政令濃度上限値以下のものに区分できる。」の記述を「原子炉等規制法施行令第13条の9で示されている放射能濃度上限値6)(参考資料4)を参考に7)RI廃棄物の廃棄体数量を区分すると、大部分の廃棄物が現行の政令濃度上限値以下のものに区分できる。」にします。また、本文の脚注に、
「7)RI廃棄物の処分に係る放射能濃度上限値については、後述するように法令整備を行う必要があるが、ここでは、放射能濃度に応じた廃棄体数量を推定するため、RI廃棄物に含まれる放射性核種のうち、政令濃度上限値が示されていない放射性核種についても放射線被ばく上重要と考えられるものについては、政令濃度上限値の導出と同様の手法(参考資料4-2, 4-3)で政令濃度上限値相当の放射能濃度を算出した。」を追加します。
原子炉等規制法の濃度上限値導出時の想定被ばく線量を明示して欲しい。 (93) |
濃度上限値の導出に際し、被ばく線量として10μSv/yが用いられています(原子力安全委員会「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について(中間報告)」(昭和62年2月))。したがって、参考資料4-2、4-3の「上図に示した以下のシナリオ等により導出されている。」の後に、以下を追加します。
「濃度上限値の導出の際には、管理期間終了後以後の線量評価にあたって使用する被ばく線量として10μSv/yが用いられている(原子力安全委員会「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について(昭和62年6月)」(参考資料4-3に対しては、原子力安全委員会「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について(第2次中間報告)(平成4年6月)」)
政令濃度上限値の算出に関わる被ばく評価パラメーターである年間の被ばく時間の設定値について73日/年を365日/年とすべき。 (92) |
参考資料4-2、4-3に示した原子炉等規制法施行令第13条の9の濃度上限値の導出に際しては、「365日/年」が用いられていますので、「73日/年(1年間の20%を戸外で過ごす。)」を「365日/年」に訂正します。
Co-60の半減期が数年以下と読めるが、Co-60の半減期は5年であるので、記述を修正すべき。 (8) |
ご指摘を踏まえ、より正確な記述とするため「60Coのような半減期が数年以下の密封線源」を「60Co(半減期約5年)、192Ir(半減期約74日)のような半減期が数年以下の密封線源」とし、半減期を明示するとともに、半減期が数年以下で使用されている密封線源の主な例に192Irを追加します。
「現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物」の位置づけが不明 。 (2) |
ご指摘を踏まえ、「現行の政令濃度上限値を超える放射性廃棄物」の位置づけをより明確にするため、参考資料4-1に以下を追加します。
「注2)上記の表の一、二に掲げる放射能濃度は、原子炉施設から発生し容器に固型化された放射性固体廃棄物のうち、現在、浅地中処分の対象としている廃棄物の放射能濃度上限値である。」
「TRU核種を含む廃棄物」について「…約1GBq/t…」なる説明があるが、特に定義をしていないので、定義を書くべき。 (9) |
ご指摘を踏まえ、「約1GBq/t」の意味を明確にするため、本文の脚注に以下を追加します。
「TRU核種を含む放射性廃棄物のうち、浅地中処分の可能性があるものについては、その放射能濃度の上限に関する一応の目安値を設定しておくことが望ましい、という観点から、原子炉施設から発生する放射性廃棄物の全α核種に対する現行の政令濃度上限値(1.11GBq/t)を基に設定された。」
2.1.1 処理方法
|
有害な物質としては、報告書案では重金属やセメント等で固型化をした廃棄体の健全性を損なう恐れのあるもの等を挙げています。しかし、より分かり易くするため、ご指摘を踏まえ、以下のように、用語解説に「有害な物質」を追加します。なお、報告書案において、これらの物質を含む廃棄物については、事前に分別管理と無害化処理を行う必要がある、としています。
【ゆ】
有害な物質:
本報告書において有害な物質とは、重金属(鉛、カドミウム、焼却灰に含まれるもの等)、ダイオキシン類(焼却灰に含まれるもの)、医療機関等から発生する感染性の物質、及び廃棄体の健全性を損なう恐れのある有機溶剤(例えば、液体シンチレーター等)等を指している。
2.3(1)放射能の減衰に応じた管理
|
具体的な管理期間や管理内容は、報告書案で示した管理の考え方を踏まえ、実際に埋設する放射性廃棄物中の放射性核種の種類、放射能濃度、処分場の地質条件等を基に設定されるものですが、ご指摘を踏まえ、参考資料9に、既存の処分場の事例を明示することとし、以下を追加します。
「各段階の管理期間は、埋設される放射性廃棄物に含まれる放射性核種の種類、放射能濃度等を基に設定されるが、日本原燃(株)の六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター及び日本原子力研究所の埋設実地試験(極低レベル固体廃棄物合理的処分安全性実証試験)の例では以下のとおりである。
なお、第1段階の終了予定時期は、「埋設開始以降10年経過し、15年以内の間」から、「埋設開始以降30年経過し、35年以内の間」に変更することが、平成9年1月に申請されている。
「第2章 研究所等廃棄物の処理処分に関する基本的考え方について」に関連するご意見について
2.3 研究所等廃棄物処分場の管理に関する基本的考え方
研究所等廃棄物についても記録の保存について記述すべき。 (65) |
原子炉等規制法では、放射性廃棄物の埋設処分に関する記録の保存について規定されており、研究所等廃棄物に関しても本規定の対象となります。
しかし、第1章2.3(3)では、RI廃棄物に関する管理記録の保管について記述しており、RI廃棄物と研究所等廃棄物の両者の記述内容の整合性の観点から、以下を追加します。
「(3)管理記録の保存
原子炉等規制法においては、放射性廃棄物処分場について保存すべき記録が規定されているが、研究所等廃棄物の処分が安全に実施されていることを確認できるよう、これらの規定に基づき処分場の建設、運営に係る管理記録等が適切に保存されることが必要である。
「第3章 安全確保のための諸制度の整備」に関連するご意見について
|
短半減期核種のみを含む廃棄物は、一定期間保管することにより、放射能は減衰し、実質的に無くなる性質のものですので、その取扱いについては、原子力安全委員会放射性廃棄物安全基準専門部会において検討が行われているクリアランスレベルの設定の方法とは別の観点からの検討が必要になると考えられます。したがって、以下の項目を追加します。
「8.短半減期の放射性核種のみを含む廃棄物の取扱いについて
RI廃棄物には、第1章 2.1.1で述べたように、短半減期の放射性核種のみを含む廃棄物も発生している。このような廃棄物の放射能は、短期間のうちに、十分減衰して実質的になくなるものであり(参考資料6)、一定期間保管管理した後は、放射性廃棄物として取扱うことは合理的ではなく、汚染の可能性が全くない廃棄物として処分できるものと考えられる。したがって、短半減期の放射性核種のみを含む廃棄物については、その取扱いの考え方、放射能が十分減衰したことの合理的な確認方法等について検討することが必要であると考えられる。」
4.有害な物質への対応
|
報告書案では「有害な物質への対応が図られるよう基準等を整備する」としていますが、廃棄物処理法との関連を明確にするため、以下の下線部を追加します。
「有害な物質への対応が図られるよう関連法令等も参考に、放射線障害防止法における基準等を整備する」
「第4章 処分事業の実施体制の確立及び実施スケジュール」に関連するご意見について
3.処分事業主体の在り方
廃棄物の処理処分には、分別管理が不可欠であり、分別管理手法等について各事業所等への指導が必要。 (76) |
ご指摘のように、RI・研究所等廃棄物の処理処分が適切に行われるためには、分別管理が重要です。したがって、第1章2.において、「まず第一に、放射能濃度やその他の廃棄物の性状に応じた適切な処理処分が行われるよう廃棄物の分別管理を行う必要がある。」としています。現在、(社)日本アイソトープ協会においては、RI廃棄物の集荷の際に一定の分別が行われており、報告書案においては、このような経験を踏まえ、分別も含め処理処分に係る合理的な全体システムの構築が重要である旨記述していますが、この点を明確にするため、以下の下線部を追加します。
「現在、(社)日本アイソトープ協会においては、RI使用開始前の事業所の登録、RI廃棄物集荷容器の貸与、RI廃棄物の種別・核種等による分別と、これらを記入した記録票の提出、廃棄物集荷時期の周知等、廃棄物処理に係る一連の手続きを整備し、RI廃棄物を集荷している(参考資料1)。しかし、研究所等廃棄物については、RI廃棄物のような一元的な廃棄物の集荷・処理システムは整備されていない。したがって、RI・研究所等廃棄物の処理処分が適切に行われるためには、当該廃棄物が様々な事業所から発生する多様な廃棄物であることを踏まえ、(社)日本アイソト−プ協会における現在の手続きも参考に、処理処分に係る合理的な全体のシステムを構築していくことが重要である。その中で特に、当該廃棄物の処分に当たっては、分別管理や廃棄体の確認が重要なプロセスであり、また今後、集中処理施設等の検討が必要であることも踏まえ、準備会においては、(社)日本アイソトープ協会や日本原子力研究所等の現在の事業や既存の施設との連携を考慮し、最終処分事業以外に処分事業主体がどのような役割を担うべきかについて十分検討を行うことが必要である。」
その他報告書案に関連するご意見について
|
報告書案については、特に技術的検討結果については「まとめ」を設ける等、できるだけ理解し易い記述・構成を心がけましたが、さらに、全体を通してご指摘の点を踏まえ、上記のような修正を加えるとともに、用語解説に、「放射線の遮蔽」、「放射化」等の専門的な用語を追加することや、初出の元素記号には元素名の併記、単位の読み仮名の併記等、より理解し易い記述に努めました。
|
「はじめに」に関連するご意見について
|
本報告書案では、RI廃棄物及び研究所等廃棄物の技術的事項については、第1章をRI廃棄物、第2章を研究所等廃棄物、としてそれぞれを区分して検討を行っています。他方、報告書案の「はじめに」において記述しているように「RI・研究所等廃棄物は、原子力発電所や核燃料サイクルに係る事業所に比べ小規模事業所からの発生が多いこと、RI及び核燃料物質等を用いた多くの使用形態があることから放射性核種の種類、放射能濃度及び廃棄物の性状が一様でないこと等の共通事項があり、また、同一の研究施設等において、核燃料物質等とあわせてRIが使用される場合もあること等から」両者を報告書案で取り上げました。特に、制度的事項は共通する内容、相互に関連する内容も多く、第3章、第4章の中で併せて検討しました。
|
報告書案では、「早急にRI廃棄物及び研究所等廃棄物(以下、「RI・研究所等廃棄物」)の安全かつ合理的な処理処分方策を確立して、制度整備を行い、最終処分に向け具体的に取り組むことが重要である。」と記述し、ご指摘のように、安全であるとともに、合理的な処分が重要であると考えています。
|
「放射性同位元素」は、放射線障害防止法(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律)や原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月)で使用されている用語であり、報告書案にもこれを用いました。
「第1章 RI廃棄物の処理処分に関する基本的考え方について」に関連するご意見について
1.2.2(2) RI廃棄体数量の推定
|
本報告書案では現行の政令濃度上限値を超える放射性廃棄物に相当すると考えられる密封線源等の種類及び廃棄体数量の概数を示すため、 3H(半減期約12年)と137Cs(半減期約30年)を用いた密封線源等の場合に、処分容器に複数個の線源を入れるとして約2千本(200リットルドラム缶換算)と記述しています。また、報告書案では、全体を通じ廃棄体についてはセメントで固型化したものとしての数量等を推定しています。
なお、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物の処分方策については、別途、原子力バックエンド対策専門部会において検討を行っています。
2.RI廃棄物の処理処分に関する基本的考え方
|
放射性廃棄物の処理処分の基本的な考え方としては、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(原子力委員会 平成6年6月)において、「放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性廃棄物の種類等により多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分に応じた合理的な処理処分を行う」とされています。したがって、報告書案においても、「放射能濃度やその他の廃棄物の性状に応じた適切な処理処分が行われるよう廃棄物の分別管理を行う必要がある。」とし、ご指摘のように、放射性廃棄物の放射能濃度やその他の性状に応じた区分を行って処理処分を行う必要性について記述しています。
|
RI廃棄物については、大学や医療機関等におけるRIの使用形態の相違等によって、含まれる放射性核種の種類や廃棄物の性状等が多様である、ということが本報告書案の検討に当たっての基本的な認識です。このような認識の下で、報告書案においては、廃棄物の性状に応じた適切な処理処分、多様な廃棄物に対する放射能濃度の確認方法の確立等について述べています。
2.1.1 処理方法
|
セメントを用いた固型化技術は、原子力発電所から発生する廃液や樹脂の固型化に既に用いられています。また、雑固体廃棄物については、「核燃料物質等の埋設に係る技術的細目を定める告示」第4条第3項において固体状の放射性廃棄物の固型化方法としてセメントを固型化材料として用いる方法が定められております。
報告書案では、これらの状況を踏まえて、セメント固化体を前提として発生量の推定等を行いましたが、実際の処分に当たっては、今後整備される廃棄体の技術基準にしたがって処理が行われることになります。なお、廃棄体の技術基準を含めて、安全確保に必要な法令整備は今後行われる必要があり、この点について第3章1.及び2.に記述しています。
|
ご指摘の有機廃液に関しては、報告書案では「廃棄体の健全性を損なう恐れのあるような有機溶剤等も発生の段階又は処理の過程において分別すると共に、焼却等による適切な無害化を行う必要がある。」とし、その処理の必要性についても記述しています。
また、廃棄物の集中処理についても今後検討が必要であると考えており、第4章2.において「また今後、集中処理施設等の検討が必要であることも踏まえ、準備会においては、(社)日本アイソトープ協会や日本原子力研究所等の現在の事業や既存の施設との連携を考慮し、最終処分事業以外に処分事業主体がどのような役割を担うべきかについて十分検討を行うことが必要である。」と記述しています。
|
報告書案では、第1章 2.2(2)において「事前に分別管理と無害化処理を行って有害な物質を処分場へ持ち込まないようにする」ことを処分に際しての基本的な考え方としています。このような考え方の中で、ご指摘のように、再利用が行われず、適切な無害化処理を施し、処分される場合もあると考えられます。
2.1.2 廃棄体の確認について
|
RI・研究所等廃棄物では、廃棄物の発生形態が多様であり放射性核種組成が一様でないことから、廃棄体中の放射性核種の種類、放射能濃度等の確認方法は重要な事項と認識しています。したがって、今後の制度整備にあたって十分な検討が必要であることから、具体的な廃棄体の確認方法は、報告書案で「今後、具体的方法について検討が必要である。」としています。また、このため、第3章3.において基準等の整備の必要性について記述しています。
2.2(1) 放射能濃度に対応した処分
|
原子炉施設から発生するコンクリート等廃棄物の素掘り処分は、原子炉等規制法の下で既にその埋設基準等が整備されています。
実際の処分に際しては、埋設事業者により地下水流速や地質環境等に関する十分な調査が実施され、処分場が選択されるとともに、報告書案の参考資料11に示したように、廃棄物埋設に係る事業申請に対する国の安全審査を経て事業許可が出される等、事前に十分安全であることが確認された上で処分が実施されます。
2.2(2) 放射能以外の廃棄体の性状に対応した処分
|
管理型処分場の構造基準等は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の下で整備されており、これらの基準等を踏まえることにより、安全が確保されるものと考えています。
極低レベル放射性廃棄物のうち焼却灰等に対しては、廃棄物の性状を勘案して、廃棄物の処理及び清掃に関する法律における「管理型処分場」の構造基準を踏まえた処分施設の設置が必要であると考えています。
他方、今後の処理技術の向上への対応として、第1章2.4において「溶融固化処理技術を導入することにより、RI廃棄物の廃棄体数量を大きく減少させるのみならず、廃棄体の安定性を高め、廃棄体からの重金属等の溶出抑制を向上させることができるため、現行では極低レベル放射性廃棄物のうち「管理型処分」と同様な処分が必要な廃棄物について、将来、「素掘り処分」が可能になることも考えられる。」とし、他の処分方法の可能性についても記述しています。
|
ご指摘のように報告書案には、「極低レベル放射性廃棄物については、前述したように放射性物質の観点からは「素掘り処分」により安全かつ合理的な処分が可能であるが、このうち、廃棄物自体が安定で汚水を発生しないコンクリート等以外の廃棄物については「素掘り処分」ではなく、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」における「管理型処分場」の構造基準(透水性の低い粘土や二重の遮水シート等の設置、浸出水処理施設の設置、水質の監視等の基準)を踏まえた処分施設を設置することが必要であると考えられる。」と記述しています。
2.3 RI廃棄物処分場の管理に関する基本的考え方
|
処分場の管理については、第1章2.3の「RI廃棄物処分場の管理に関する基本的考え方」において、「RI廃棄物処分場の管理についても、放射性物質としての管理とその他の廃棄体の性状に対応した管理を行うことが必要である。」と記述し、放射能の減衰に応じた管理と放射能以外の廃棄体の性状に対応した管理の必要性について述べています。また、管理の内容についても記述しています。
2.4 今後の廃棄物処理技術の向上への対応
|
ご指摘のとおり、溶融固化処理は重要な処理技術と認識しており、報告書案でもその導入の必要性について記述しています。
放射性廃棄物の分野での導入状況については、第2章 2.1で、日本原子力研究所や原子力発電所で減容性の高い溶融固化処理の導入が進められていることについて記述しています。さらに、このような状況を踏まえて、必要な研究開発事項として、 第1章の2.4、第2章の2.4、 第4章の5.に溶融固化処理を取り上げ、その重要性等について記述しています。この中で、研究開発の成果を踏まえ、処分事業の実施に当たっては、溶融固化処理等のより高度な技術の有効性、導入時期等について、十分検討し、長期的展望に立った事業展開に努めることが重要である、と記述しています。
「第3章 安全確保のための諸制度の整備」に関連するご意見について
1.RI廃棄物について
2.研究所等廃棄物について
|
RI廃棄物の処理については、放射線障害防止法に廃棄物の焼却等の規定はありますが、廃棄物の最終的な埋設処分のためには、処分のための固型化処理等の基準等を整備する必要があります。 したがって、報告書案ではRI廃棄物について「原子炉等規制法に基づく廃棄物処分に係る規制を踏まえつつ、処分に係る事業許可、放射能濃度上限値設定、埋設施設及び廃棄体に係る技術基準等について法令整備を行う必要があると考えられる。」と記述しています。
|
RI・研究所等廃棄物の安全規制については、放射線障害防止法や原子炉等規制法等によって行われますが、今後具体的な法令整備が必要であることを第3章1.及び2.に記述しています。ご指摘の点については、法令整備の中で明らかにされていくものと考えます。
5.現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物、TRU核種を含む放射性廃棄物及びウラン廃棄物への対応
|
RI・研究所等廃棄物のうち、まだ処分方策が決まっていない「現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物」、「TRU核種を含む放射性廃棄物」、「ウラン廃棄物」に相当する放射性廃棄物については、第1章2.5及び第2章2.5において、「今後検討されるそれぞれの放射性廃棄物の処分方策に準じて埋設処分を行うことが必要である。」としています。
|
国際規制物資として使用されるウラン、トリウムが廃棄される場合には、その廃棄物は、ウラン廃棄物に相当します。ウラン廃棄物の処分方策については、今後原子力バックエンド対策専門部会で検討される予定ですが、RI・研究所等廃棄物のうちこのような廃棄物については、報告書案では、今後検討されるウラン廃棄物の処分方策に準じて埋設処分を行うことが必要である、としています。
7.クリアランスレベルの適用について
|
RI・研究所等廃棄物は、例えばIAEAのクリアランスレベルを参考にすると、RI・研究所等廃棄物の半分以上がクリアランスの対象となると考えられます。このため、安全かつ合理的な処分・再利用を実施するために、クリアランスレベルを導入することが望まれ、報告書案では、第3章に「7.クリアランスレベルの適用について」と節を設けて取り上げています。
|
RI・研究所等廃棄物に関する具体的なクリアランスレベルの設定値については、今後、原子力安全委員会放射性廃棄物安全基準専門部会において検討が予定されており、その旨報告書案に記述しています。
|
クリアランスレベルは、放射性物質としてその特殊性を考慮する必要のない基準であり、その導入は廃棄物の放射能濃度に応じた安全かつ合理的な処分・再利用を実施する上で重要であると考えています。今後、RI・研究所等廃棄物に関する具体的なクリアランスレベルの設定値については、前述したように、原子力安全委員会放射性廃棄物安全基準専門部会において検討が予定されています。
なお、既に原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会報告書「放射性廃棄物処理処分方策について(中間報告)」(昭和59年)において、「放射性廃棄物と放射性廃棄物として扱う必要のないものを区分する「一般区分値」の概念を設ける必要がある。」としています。
|
報告書案では、第3章3.において「廃棄物の排出者等は、廃棄物をその発生源や放射性核種、廃棄物の性状等により適切に分類し、それぞれの分類毎の処理方法、放射能濃度の確認方法等を確立する必要があり、国は、これらに対応した安全かつ合理的な基準等を整備することが必要である。」としており、具体的な取扱いについては、基準の整備等の中で明らかになるものと考えています。
「第4章 処分事業の実施体制の確立及び実施スケジュール」に関連するご意見について
1.関係機関における責任及び役割分担の考え方
|
放射性廃棄物の処理処分については、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力委員会 平成6年6月)において、「事業活動等に伴って発生した放射性廃棄物の処理処分の責任については、各事業所等が自らの責任において処理処分することを基本とし、処分の責任を有する者は、その具体的実施計画を整備し、処分費用を負担する等、処分を適切かつ確実に行う責務を果たすこととします。国は、処分方策を総合的に策定し、また、処分の安全性の確認を行うとともに、処分の責任を長期的に担保するために必要な法制度等を整備する等、最終的に安全が確保されるよう、所要の措置を講ずる責任があります。」とし、事業者の役割と国の役割について記述されています。
報告書案では、このような基本的な考え方の下、廃棄物処分に係る排出者責任の原則を明確にした上で、国の基本的な役割については、「関連法令の整備を図り、これに基づく厳正な規制を行うと共に、廃棄物排出者や処分事業主体において、当該廃棄物の管理や処理処分が適切に行われるよう、関連法令に基づくこれらの事業者への指導監督等の必要な措置を講ずることとする。」としています。このような基本的な考え方の下で、さらに、「さいごに」において「国は、関係機関における取り組み状況を適宜把握すると共に、その結果をも踏まえつつ諸制度の整備を図り、RI・研究所等廃棄物の安全かつ合理的な処理処分が的確に実施されるよう、適切に対応することが重要である。」としており、安全かつ合理的な処理処分が的確に実施されるよう国としても適切に対応することを述べています。
2.処分事業主体の在り方
|
前述したように、報告書案においては、廃棄物排出者責任の原則を明確にするとともに、国の役割としては、関連法令の整備等について述べています。このような点を踏まえ、処分事業主体の在り方について述べており、「廃棄物排出者等の関係機関が積極的に今後の処理処分に係る検討に参加することが重要であり、準備会においては、このような関係機関の参加を得て、RI・研究所等廃棄物の合理的かつ総合的な処理処分の方法や関係機関の役割分担の具体化について検討を行う体制を整えることが重要である。」等の記述をしています。
また、処分事業が長期的な事業となることを踏まえ、報告書案では、「処分事業主体は、処分を安全に行うために技術的能力と経理的基盤を十分に備えることが不可欠である。さらに、事業が長期にわたるため、長期安定性が必要であるが、他方で事態の変化に対応できる機動性、柔軟性のある組織が要求される。」としており、長期的な事業を想定した処分事業主体の設立が必要であることを示しています。
3.処理処分費用の確保
|
報告書案では、処理処分に係る排出者責任の原則の下、処分費用は排出者が負担することを明確にしています。具体的な処分費用の確保方法については、報告書案にあるように「RI・研究所等廃棄物の処分事業実施のための資金確保方策について検討を行うことが必要であり、準備会を中心にこれらの検討を進めることが適当である。また、廃棄物の排出者であるRIや核燃料物質等の使用者等は、これらの検討結果を基に、将来生じる処理処分費用について、早い段階から適切な措置を講じておくことが重要である。」と考えています。
6.他の廃棄物処分事業との連携・協力
|
RI・研究所等廃棄物の具体的な処分事業については、放射性核種濃度等その性状に応じ、報告書案に示した処分方策を踏まえ、今後RI・研究所等廃棄物事業推進準備会で検討されます。この検討に際し、RI・研究所等廃棄物には、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物、TRU核種を含む放射性廃棄物及びウラン廃棄物に相当する廃棄物も含まれるため、報告書案において「これらの放射性廃棄物について、各々の廃棄物の処分スキームに取り入れられるよう、処分方策の検討段階から、準備会及び処分事業主体並びに他の廃棄物処分に係る関係機関は連携・協力を図り、処分の対象廃棄物の範疇から外れるものがないようにすることが重要である。」としています。
|
RI・研究所等廃棄物の処分事業主体については、今後RI・研究所等廃棄物事業推進準備会で検討されますが、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物やTRU核種を含む放射性廃棄物及びウラン廃棄物に相当する廃棄物については、報告書案において「これらの放射性廃棄物について、各々の廃棄物の処分スキームに取り入れられるよう、処分方策の検討段階から、準備会及び処分事業主体並びに他の廃棄物処分に係る関係機関は連携・協力を図り、処分の対象廃棄物の範疇から外れるものがないようにすることが重要である。」としており、準備会及び処分事業主体並びに他の廃棄物処分に係る関係機関による連携・協力を求めています。
「さいごに」に関連するご意見について
|
RI・研究所等廃棄物の処分の実施にあたっては、正確・詳細な情報の提供、処分事業主体及び国による広報が必要であると認識しており、報告書案においても、「事業の実施に当たっては、当該事業の必要性と共に、どのような廃棄物が、どのような処分事業主体によって、どのように処分されるのか、特に、安全確保はどのように図られるのか、といった事業の全体像が、計画の初期段階から国民に周知される必要があり、このための積極的な情報の提供が行われなければならない。その際、正確・詳細な情報と共に、専門的な知識を持たなくても理解できる分かり易い情報が提供されることが重要である。このため、処分事業主体が設立されるまでは、準備会が、処分事業主体設立後は、事業主体が中心となり、積極的な情報提供を行うことはもちろん、国においても当該事業の必要性や安全確保の考え方等について広報を行っていくことが重要である。」としています。
|
RI・研究所等廃棄物については、報告書案に示した対策により安全かつ合理的な埋設処分を行うことができると考えています。
RI・研究所等廃棄物の大部分を占める現行の政令濃度上限値以下の低レベル放射性廃棄物の処分場は、放射能の減衰に応じた段階的な管理を行う(参考資料9)こととしています。また、段階管理における各段階の移行に際しては、参考資料11に記述したように、国による認可がなされるものであり、処分事業許可の際の安全の確認のみならず、処分の実施段階でも安全の確認がなされる制度となっています。さらに、放射性核種の人工バリアからの漏洩が生じた場合には、処分施設の修復等が行われます。
なお、報告書案の「さいごに」において、「国は、関係機関における取り組み状況を適宜把握すると共に、その結果をも踏まえつつ諸制度の整備を図り、RI・研究所等廃棄物の安全かつ合理的な処理処分が的確に実施されるよう、適切に対応することが重要である。」としており、安全かつ合理的な処理処分が的確に実施されるよう国としても適切に対応することを記述しています。
|
処分事業の実施に係る具体的な計画は、昨年10月に日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団及び(社)日本アイソトープ協会によって設立されたRI・研究所等廃棄物事業推進準備会及び同準備会において検討され設立される処分事業主体によって検討されることになりますが、報告書案においては、処分事業主体の在り方、実施スケジュール、情報公開、立地地域住民の意見の反映等に関し処分事業の計画を進めるに当たっての基本的考え方を示しています。また、国においては、関係機関における取り組み状況を適宜把握し、RI・研究所等廃棄物の安全かつ合理的な処理処分が的確に実施されるよう、適切に対応することとしています。
その他報告書案に関連したご意見について
(気体廃棄物について)
|
原子炉等規制法、放射線障害防止法等において、処理施設から排気される放射性の気体廃棄物については、既に排気に係る基準が整備されています。この基準の中には、ご指摘の三重水素(3H:トリチウム)、炭素14(14C)、ヨウ素129(129I)等の気体廃棄物の基準も含まれています。
(廃棄物の保管廃棄について)
|
原子炉等規制法、放射線障害防止法等において、既に保管廃棄に係る基準が整備されています。これらの基準を遵守すること等により、保管廃棄に際しての安全確保が図られると考えられます。
(他の放射性廃棄物処分との関連について)
|
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力委員会 平成6年6月)では、「放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類等により多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分管理に応じた合理的な処理処分を行う」としています。また、原子力長計においては、廃棄物の種類毎に今後の検討を進めることが示されています。
このため、原子力バックエンド対策専門部会では、このような原子力長計の考え方に沿って、RI・研究所等廃棄物や現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物等の廃棄物の種類毎にその特徴を踏まえ、処分方策の検討を行っているところです。
(放射性廃棄物の区分・名称について)
|
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力委員会 平成6年6月)では、「放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類等により多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分管理に応じた合理的な処理処分を行う」とされており、報告書案における名称、区分は原子力長計に沿ったものです。
なお、それぞれの廃棄物処分方策の検討の進展も踏まえ、その必要性があれば、名称等についても適切に見直されるべきものと考えています。
(処分事業の推進)
|
RI・研究所等廃棄物については、報告書案の「はじめに」で、「早急にRI廃棄物及び研究所等廃棄物(以下、「RI・研究所等廃棄物」)の安全かつ合理的な処理処分方策を確立して、制度整備を行い、最終処分に向け具体的に取り組むことが重要である。」としているように、最終処分に向けた早急な取り組みが必要と考えています。このため、報告書案では、2000年を目途に処分事業主体を設立することや関連法令の整備等を含め、処分の着実な実施を図るための基本的な考え方を示しています。
|
以下のご意見は、RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について審議を行ってきた原子力バックエンド対策専門部会の報告書案の検討の対象外と考えられますが、今後、原子力委員会における政策の検討等に当たって参考とすべきと考えられますので、原子力委員会へ報告又はその他の関係部署に伝達します。
|