「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
開催結果の概要について


1.開催状況
   標記意見交換会は全国5カ所において、下記の通り開催された。

   第1回(大 阪)日   時:平成9年9月19日 13:00~16:10
           会   場:梅田スカイビル タワーウェスト「E会議室」(大阪市北区)
           地域参加者: 11名
           一般傍聴者: 95名(応募者199名、当選者110名)

   第2回(札 幌)日   時:平成9年10月30日 13:00~16:10
           会   場:「朝日ホール」(札幌市中央区)
           地域参加者: 11名
           一般傍聴者:147名(応募者370名、当選者180名)

   第3回(仙 台)日   時:平成9年11月12日 13:00~16:30
           会   場:仙台国際センター大会議室「橘」(仙台市青葉区)
           地域参加者: 10名
           一般傍聴者:185名(応募者218名、当選者218名)

   第4回(名古屋)日   時:平成9年12月11日 13:00~17:10
           会   場:名古屋国際会議場「国際会議室」(名古屋市熱田区)
           地域参加者: 16名(うち公募による地域参加者5名)
           一般傍聴者:182名(応募者307名、当選者220名)

   第5回(福 岡)日   時:平成10年1月14日 13:00~17:15
           会   場:アクロス福岡「大会議室」(福岡市中央区)
           地域参加者: 14名(うち公募による地域参加者5名)
           一般傍聴者:132名(応募者214名、当選者150名)

           (合 計:地域参加者 62名、一般傍聴者 741名)

2.開催結果の概要
   意見交換会で指摘された主な項目及び各回の概要については(別紙)参照。

第5回 意見交換会(福岡、平成10年1月14日)




(別 紙)


意見交換会で指摘された主な事項




○社会的な理解と議論の必要性
   ①廃棄物処分問題の国民への周知と理解の増進
   ②情報公開、透明性
   ③教育の必要性(とくに子供、家庭)
   ④立地地域と大消費地域との連帯感の醸成
   ⑤議論の場の継続
   ⑥広報のあり方

○世代責任
   ①処分制度・体制の早急な確立
   ②処分事業資金の確保
   ③研究開発の加速
   ④長期的事業のための柔軟性の確保

○研究開発
   ①処分技術の確立と安全性・信頼性
   ②深地層の研究施設の進め方
   ③廃棄物の有効利用、減量化の研究開発(核種分離・消滅処理等)
   ④人材の養成・確保

○制度と体制
   ①処分事業資金の確保と考え方
   ②実施主体の早期設立
   ③処分地選定プロセス
    住民の意見の反映、調整の場、関係機関の役割
   ④地域共生策のあり方

○原子力の基本政策
   ①今後の原子力発電のあり方
   ②再処理・プルトニウム利用政策
   ③使用済燃料の直接処分
   ④廃棄物の地上での永久貯蔵管理
   ⑤地層処分だけでない多様な選択肢の提示







「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第1回(大阪)概要


1.日 時  平成9年9月19日(金) 13:00~16:10
2.会 場  梅田スカイビル タワーウェスト22階E会議室
       (大阪市北区大淀中1-1-30)
3.出席者(◎は議事進行役)
(1)地域参加者(11名)
   井上 チイ子  生活・情報評論家(女性職能集団WARP代表)
   角田  禮子  関西消費者連合会会長
   加古  美枝  原子力モニター(主婦)
   金氏   顕  三菱重工業株式会社 神戸造船所副所長
   神田  啓治  京都大学 原子炉実験所教授
   小松  左京  作家
   末田  一秀  日本消費者連盟関西グループ
   広本  悦子  放射能のゴミはいらない!県条例を求める会
   前田   肇  関西電力株式会社 専務取締役
   山下  宏文  京都教育大学 教育学部助教授
   吉村   清 高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会 代表委員
(2)原子力委員会関係(9名)
 ①原子力委員会
   伊原  義徳  原子力委員会委員長代理
   藤家  洋一  原子力委員
 ②高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
   石橋  忠雄  弁護士
  ◎木元  教子  評論家
   近藤  次郎  元日本学術会議会長(高レベル放射性廃棄物処分懇談会座長)
   下邨  昭三  高レベル事業推進準備会会長
   松田 美夜子  生活環境評論家
 ③原子力バックエンド対策専門部会構成員
   鈴木  篤之  東京大学大学院工学系研究科教授
   徳山   明  常葉学園富士短期大学学長

4.一般傍聴者:95名、報道関係者:13社25名

5.議事の概要
(1)地域参加者による意見発表
  ○
最近、廃棄物に関する意識が高まってきている。通常の廃棄物と高レベル放射性廃棄物の相違は放射性物質を含んでいる点であるが、技術の進歩によって、その放射性物質を資源として使い切ってしまうことはできないか。
  ○
従来、原子力に関する情報は十分でなく、国民が不安を抱くのも無理はない。議論を国民に広めていくためにもエネルギー教育が必要である。処分について抱く様々な疑問や不安に十分対応して欲しい。発電所の立地地域と消費地域の相互交流が重要。決定したものに対して理解を求めるのではなく、意見の違う人を最初から交えて議論すべきである。国がもっとあるべき原子力政策を示し、政治の場で議論を深めて欲しい。
  ○
子供が産まれてから将来のエネルギー教育に関心を持った。親に問題意識がなければ子供も廃棄物に関心を持たない。小さな子供の頃からの教育が重要である。子供への教育の場で電気を使えば廃棄物が出ることを一般常識的に教えていきたいが、そのためにもっとオープンな情報提供が必要。また、放射性廃棄物を何らかの形で利用する研究を進めて欲しい。この問題に関心のない人もいろいろな施設につれていって欲しい。
  ○
海外に比べて遅れている地層処分システムを早急に確立することが必要。研究成果をわかりやすく公開することが必要。責任を持った処分の実施体制を早期に確立することが必要。
  ○
原子力と医療等では放射線に関する基準が全く異なるが、放射線との生物との関係について総合的に議論されることが必要。廃棄物の減量・利用を図るため、長半減期の放射性物質の分離消滅処理の研究を進めるべき。
  ○
日本は原子力の平和利用を掲げており、技術的にもしっかりしている。原子力は理想的なエネルギーが出てくるまで必要であるが、最近のもんじゅ事故等もあり一度見直すことが必要ではないか。
  ○
昨今の動燃問題について関係者には当事者意識がかけている。意見を聞く場を持つことは評価できるが、案をまとめる前にこのような場を持つべきである。報告書案では代替案も提示すべきである。現在、高レベル廃棄物がどのような形態で存在するのかを明らかにすることが必要。処分場の立地に際しては、関係自治体・住民の同意が必要。
  ○
地球科学もまだ始まったばかりであるにもかかわらず、30年から50年後には処分を開始するという。使用済燃料の再処理は行うべきではなく、高レベル廃棄物は地上管理を行うべき。
  ○
少しでも多くの人に関心を持ってもらうことが必要。処分場立地にあたっては国も前面に出てきて欲しい。
  ○
客観的で中立的なエネルギー教育が必要である。日本のエネルギー教育は断片的であり、特に原子力については非常に少ない。このため、国民の間で情報が不足しており、この状態で判断を求めることは困難。
  ○
放射性廃棄物全般について一元的に取扱う体制が必要。高レベル廃棄物については電力の大消費地で保管すればよい。しかし、実際にはこれは困難であるから原子力の見直しも必要である。
(2)意見交換時における主な発言
(3)一般傍聴者からの意見聴取時の主な発言
       *この概要は事務局が作成したものです。詳細は議事録をご覧下さい。




「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第2回(札幌)概要


1.日 時  平成9年10月30日(木) 13:00~16:10
2.会 場  朝日ホール(札幌市中央区北2条西1丁目1番地 ホテルニューオータニ札幌内)
3.出席者(◎は議事進行役)
(1)地域参加者(11名)
   厚谷  郁夫   北見工業大学学長
   油田  淑子   全国消費生活相談員協会監事
   梶山  義夫   北海道電力株式会社取締役副社長
   小田   清   北海学園大学経済学部教授
   近藤  安雄   北海道経済連合会常務理事事務局長
   杉浦  直美   原子力モニター(主婦)
   杉山 さかえ   生活クラブ生活協同組合理事長
   竹田津  実   獣医師
   橋本 登代子   フリーアナウンサー
   山内  亮史   旭川大学経済学部教授
   山科  俊郎   北海道大学大学院工学研究科教授(量子エネルギー工学専攻)
(2)原子力委員会関係(10名)
 ①原子力委員
   田畑  米穂   原子力委員
   藤家  洋一   原子力委員
 ②高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
   粟屋  容子   武蔵野美術大学教授
   石橋  忠雄   弁護士
  ◎木元  教子   評論家
   下邨  昭三   高レベル事業推進準備会会長
 ③原子力バックエンド対策専門部会構成員
   小島  圭二   東京大学大学院工学系研究科教授
   鈴木  篤之   東京大学大学院工学系研究科教授
   田中  靖政   学習院大学法学部教授
   鳥井  弘之   株式会社日本経済新聞社論説委員

4.一般傍聴者:147名、報道関係者:15社26名

5.議事の概要
(1)地域参加者による意見発表(1名5分程度)
  ○
原子力については従来どのようにエネルギーを取り出す点に教育の主眼がおかれ、廃棄物については注目してこなかった。物事の長所短所を複眼的に考えることが必要。快適な生活を求める以上、危険なものだからやめるというのではなく、いかに安全に使っていくかが重要。
  ○
現在快適な生活の陰で膨大なエネルギーを消費し、廃棄物を発生させている。原子力について否定的にとらえる理由として「知らない」「情報を隠す」「廃棄物の処分が決まっていない」があげられる。廃棄物問題では子孫に負荷を押しつけているのだから、高レベル廃棄物について早急に研究開発を進め処分場を作ることが必要。消費者も主体性・責任を持つべき。
  ○
高レベル廃棄物への不安を持つ人が多いことから技術開発を進めることが必要。実施主体について資金・技術への社会の信頼性を要することから何らかの国の施策が必要。電力は発生者として実施主体を強力にバックアップする。電気料金の原価に算入して資金を確保することは妥当。円滑な立地のためには地域社会の理解と信頼が必要であり、日頃からの対話が必要。
  ○
処分場と地域の共生について、建設中は一時的に建設・サービス等が栄えるが、地域の一次産業は労働力のシフト等により衰退する。建設終了後は施設自体の経済波及効果は小さく、結局地域産業にとっては役に立たない。現時点では処分を進めるのではなく、研究開発を進め、弱い立場の過疎地域に押しつけることなく、各地域自体が判断できるよう条件整備を進めることが重要。
  ○
世界でも屈指のエネルギー消費国である日本において34年にわたり原子力を利用しているにもかかわらず未だに理解を得られていない。国と事業体の連携、事故や情勢の変化への対応、データ・情報の公開、国・自治体による子供の頃からの教育、当事者が自信と誇りを持って事に当たることが必要。
  ○
家庭のゴミは目に見えるため考えやすいが高レベル廃棄物については身近なものではないため考えにくい。家庭や学校で子供に伝えることが必要。原子力についても環境やリサイクルという観点と併せて考えることが必要。安全性については不安を解消できるよう対応して欲しい。国民が原子力について意識や知識を持てるような工夫をして欲しい。
  ○
廃棄物問題を深刻化させたのは問題を先送りにしてきた国と電力の責任。廃棄物処分の必要性は認識しているが、諸外国を含めたプルトニウム利用見直しの流れもあり、日本の今後の原子力利用について国民的議論を行った上で考えるべき。幌延計画は白紙撤回すべき。
  ○
今まで快適さを求めさせられてきたのではないか。電力を無制限に供給することをやめれば今後のエネルギーについて考え始める。動燃については信用できず、処分については時間をかけて論議されるべき。ただし、後世代に高レベル廃棄物のような負荷を残すことは反対であり、処分のための資金を出来るだけ早く集めることが必要。現実に地層処分することが緊急のことならば、それなりの準備と研究がなされるべき。電気料金に費用を賦課することは国民がこの問題を理解するためのきっかけになる。
  ○
次世代のために地球環境を残すということが共通認識。家族の中心である主婦が関心を持つことが重要であるが、実際には生活レベルでわかりやすい情報が入手できない。未来ドラマのようなシュミレーションを絶えず流し続けることが効果的。現在エネルギー問題を含めた社会の仕組みへの国民の関心は高まっており、国民全体で議論する機会を増やすべき。マスコミも含めて専門家と素人の認識のギャップを埋める努力が必要。もっと身に付く教育を進めて欲しい。
  ○
幌延町の事例を見ても、処分地の選定にあたり公募方式が適当であるか疑問。研究開発は動燃事業団が中核とされる一方で、懇談会の報告では実施主体は民間主体など関係機関のどこが責任を持って高レベル問題を進めるのか曖昧。永久管理や直接処分等についても、まず選択肢の中で技術的に何が出来ないのかを明らかにすべき。
  ○
近年原子力を希望する学生が減少しており、優秀な技術者が途絶えることが心配。地球温暖化、ダイオキシン、オゾンホールも人類が放出した廃棄物の問題であり、経済成長のツケである。国や研究者・技術者は一般市民に向けわかりやすく説明する努力が必要。マスコミも対話の場を積極的に提供して国民もともに考えて議論を進めていく必要がある。
(2)意見交換時における主な発言
(3)一般傍聴者からの意見聴取時の主な発言
             *この概要は事務局が作成したものです。詳細は議事録をご覧下さい。



「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第3回(仙台)概要


1.日 時  平成9年11月12日(水) 13:00~16:30
2.会 場:仙台国際センター2階 大会議室「橘」(仙台市青葉区青葉山)
3.参加者(◎は議事進行役)
(1)地域参加者(10名)
   芦野  英子  暮らしを考える会代表
   今入 亜希子  フリーアナウンサー
   齋藤  武雄  東北大学大学院工学研究科教授
   塩田  ウメ  原子力モニター(主婦)
   清水  修二  福島大学経済学部教授
   須藤  義悦  東北電力株式会社取締役副社長
   内藤  信寛  柏崎商工会議所専務理事
   平野  良一  核燃情報連絡会代表世話人
   松澤  陽明  弁護士
   三善 万里子  新潟県消費者協会次長
(2)原子力委員会関係(9名)
 ①原子力委員会
   田畑  米穂  原子力委員
   藤家  洋一  原子力委員
 ②高レベル放射性廃棄物処分懇談会専門委員
   石橋  忠雄  弁護士
  ◎木元  教子  評論家
   下邨  昭三  高レベル事業推進準備会会長
   南   和子  評論家
   森嶌  昭夫  上智大学法学部教授(高レベル放射性廃棄物処分懇談会座長代理)
 ③原子力バックエンド対策専門部会
   大桃 洋一郎  環境科学技術研究所常務理事
   小島  圭二  東京大学大学院工学系研究科教授

4.一般傍聴者:185名、報道関係者:13社25名

5.議事の概要
(1)地域参加者による意見発表
  ○
施設の立地には適地というものがある。青森県の六ヶ所村について誤解や風評被害の問題があったが、これは立地地域だけが負担すべきことではない。国民全体が考えるべきことである。放射性廃棄物の問題は原子力発電を開始するときから考えておくべきであったが、目に見えないことから今まで気にせずなおざりにされてきた。今出来ることをやるべきである。
  ○
原子力に関する情報は立地地域以外では非常に少ない。もっとメディアを使って問題提起すべきであり、メディア側にも知らせる義務がある。実際には私たちの子供の世代が処分を行うのであるから、若い世代に関心を持ってもらうことが重要。理解を得るためにも報告書も含めて表現をやさしくすることが必要。議論と並行して研究を進め、その過程を国民に公開して理解を得ることが重要。
  ○
自宅で太陽エネルギーを利用しているが、実際に運営するには自分自身が理解しなければならず、またそのための技術が必要。大学において原子力への志望者が減少していることは技術者の育成という点から大きな問題である。処分について、日本においては地下水のレベルやフローの研究が重要であり、国内の地下で研究を行うべき。
  ○
子育てが一段落してエネルギー問題に関心を持った。実際に施設の見学に行ったが、身近な言葉で他の関連分野を含めて総合的な説明が欲しい。何を使ってもゴミが出るという理解は進んでいるが、高レベル廃棄物は電気のゴミにもかかわらず身近に感じない。処分の必要性は理解できても、実際の立地の段階では安全性への不安や立地の過程が分からないということから自分の所には来て欲しくないというのが現状。子供には電気を使えば廃棄物が出るということの学習が必要。
  ○
発電所の場合雇用効果はあるが、処分場の場合建設時以外の雇用効果は小さく、外部から利益を導入するシステムが必要であり、地域共生は難しい。報告書にある地域共生の議論はもっともなことではあるが、原子力発電所に関して電源三法など従来からあった議論であり、現実にはうまく行っていないということが問題である。このことを前提にその上でどうするかを議論すべき。
  ○
高レベル廃棄物について地域で議論を深める良い機会。処分について社会的な理解を得る必要があり、透明性や情報公開が重要。国民に基礎的な知識が浸透するよう施設への訪問の機会を増やすことが重要。資金確保の制度化、実施主体への国民の信頼、長期安定性、処分地選定の際の住民の理解と信頼が重要。
  ○
柏崎では国のエネルギー政策に協力・貢献しているつもりであるが、それに対する国民の評価は低い。地域にはそれぞれ役割分担があり、自給自足できない以上それぞれの条件にあった役割を果たすべき。国民一人一人が自分の問題として意識することが重要。放射線や原子力について子供の頃からの教育が重要。処分場の立地については首都移転とセットで行ってはどうか。
  ○
青森には現実に高レベル廃棄物が存在し、30~50年後には処分すると言っているが未だに議論している段階である。既に発生しているものと、今後発生するものについて区別して議論すべき。直接利害関係のある者を除いて議論し、その議論が政策に反映される保証が必要。処分を行う実施主体を早く設立する必要がある。実施主体は国の機関とすべき。処分の研究開発についても実施主体が行うべき。
  ○
高レベル廃棄物の問題は原子力発電を始めるときから考えておくべき問題であって、今の時点で世代責任を持ち出すことは倫理のつまみ食い。現時点で再処理を止めて高レベル廃棄物の発生を止めるべき。日本における地下水を考えると地層処分の適地の選定が出来るか疑問。立地が科学的にではなく社会的条件を優先して行われるとすれば不安。地層処分を逃げ道にせず、もし地層処分が出来ない場合にはゴミと向き合うという覚悟を持って研究開発を進めるべきである。
  ○
エネルギーは生活の基礎であり、消費者自身が勉強して自らの問題として考えるべき。そのためにも情報の提供が必要であるが、その際に専門家と一般の人とでは常識や関心の持ち方が異なることに留意すべき。消費者にデメリット情報を出すべき。電力の利用については消費者は選択できないことから消費者は自分の問題とする意識を持ちにくい。関係施設の訪問とその場での説明など参加型の機会を増やすことが有効。処分費用は電気料金に加算して消費者が負担すべき。
(2)意見交換時における主な発言
(3)一般傍聴者からの意見聴取時の主な発言
            *この概要は事務局が作成したものです。詳細は議事録をご覧下さい。


「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第4回(名古屋)概要


1.日 時  平成9年12月11日(木) 13:00~17:10
2.会 場:名古屋国際会議場「国際会議室」(名古屋市熱田区熱田西)
3.参加者(◎は議事進行役)
(1)地域参加者(16名)
   飯田  克平  元金沢大学がん研究所助教授(石川県)
   井上  敏夫  高レベル放射性廃棄物を考える多治見市民の会代表(岐阜県)
   大泉   讃* 陶人(岐阜県)
   大竹 由紀子  総務庁行政相談委員(愛知県)
   奥野  信宏  名古屋大学経済学部教授(愛知県)
   尾尻  洋介* 会社員(愛知県)
   金澤  正明  名古屋商工会議所常務理事事務局長(愛知県)
   刈田  陽一* 会社員(愛知県)
   河田  昌東  名古屋大学理学部助手(愛知県)
   佐脇  芳子  三重県新生活運動推進協議会会長(三重県)
   田中   剛  名古屋大学大学院理学研究科教授(愛知県)
   夏目  雅子  原子力モニター(主婦)(愛知県)
   橋本  弘士* 会社員(岐阜県)
   蓮見  洸一  中部電力代表取締役副社長(愛知県)
   森村   桂  作家(長野県)
   山内  達彦* 農業(岐阜県)
            (*公募による地域参加者)
(2)原子力委員会関係(9名)
 ①原子力委員会
   藤家  洋一  原子力委員
   依田   直  原子力委員
 ②高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
   粟屋  容子  武蔵野美術大学教授
   石橋  忠雄  弁護士
  ◎木元  教子  評論家
   下邨  昭三  高レベル事業推進準備会会長
   松田 美夜子  生活環境評論家
 ③原子力バックエンド対策専門部会構成員
   鈴木  篤之  東京大学大学院工学系研究科教授
   徳山   明  常葉学園富士短期大学学長

4.一般傍聴者:182名、報道関係者:13社28名

5.議事の概要
(1)地域参加者による意見発表
  ○
原子力政策全体にどういう問題があったのか反省し、具体的な改善を行い、今後の原子力の基本的な方針に関する国民的な合意を得ることが必要。今は急いで結論を出さず、基礎的研究を進め、使用済燃料の長期貯蔵・監視も含めた幅広い選択肢を残しながら対応できるような考え方をとるべき。処分場立地に際し立地の可否も含めて地域の生活をどうするか住民に選択権を与えるべき。原子力に関わっていない専門家の意見の反映を制度的に保障する対応が必要。
  ○
国民の安全という観点から、地上管理も含めた幅広い選択肢を持ちながら、この高レベル廃棄物に対する問題に対処しなければいけない。現にある廃棄物の処分問題は発生源である原子力発電とともに考えていくことが妥当。東濃地域では動燃事業団が報告書案に記載されている処分場の面積と同じ面積の区画を設定して調査しており、処分場とするための調査ではないかと危惧している。動燃事業団が高レベル廃棄物地層処分の研究開発に携わるのはふさわしくない。
  ○
地層処分を検討する際に、日本は地震が多く我々は非常に危険なところに住んでいることを認識すべき。超深地層研究所は地層の純粋な研究のためと説明し、地層処分のための研究と言わず、かえって不信感を抱く。高レベル廃棄物処分のための超深地層研究所は白紙に戻し、深地層の研究施設の建設や処分は、このような会議を行って国民の意見を聞いた上で検討すべき。
  ○
高レベル廃棄物問題に関心を持たない方が多いのは、今、特に重要なことと思えず逼迫した気持ちにならないため。実際には情報がたくさん流されていても、用語が身近でないため一般の人には伝わらない。危険度やリサイクルのランク別に言葉を直すなどわかりやすい言葉で、マスメディアを通じて国民に情報を流すことが必要。ゴミの管理が確立され、エネルギーを使い切るような技術開発がなされ、その情報が身近なところに流されれば理解できる。
  ○
現在の我々が高レベル廃棄物の原因者であり、将来世代に廃棄物の影響が出ないように管理する技術開発や、実際の処分のための費用は我々が負担すべき。処分に関して開発された技術、特に放射性廃棄物に関する技術は人類共通の財産であり、国際的にも幅広く利用されることが望ましい。幅広く公開していくという意味から、研究開発の費用負担は公的負担になじみやすい。実際の処分費用は受益者負担を原則とし、今ある技術を前提にして可能な限りコストを試算して電気料金に算入すべき。現段階では処分の事業主体は設立されていないが、まず基金として積み立てておき、事業主体の設立後に移管することが考えられる。
  ○
情報公開にあたり、専門的な情報は一般には理解しづらいことから、大学生には大学生にふさわしい情報、幼稚園児には幼稚園児にもわかるような情報、というようにわかりやすく丁寧に行うべき。情報に関心を持たせるためには、きめ細かいアプローチの方法が必要。近代技術には必ずプラス面とマイナス面があり、マイナス面の情報も公開して議論すべき。事業主体に関しては、信頼性、透明性、効率性の点から、国が取り組むべき。立地は最も難しい問題であり、情熱と誠意を持って取り組む人材を集めることが重要。
  ○
高レベル廃棄物処分において、将来、人間とその環境に影響を与えないようにすることと、将来の世代に過大な負担を与えないようにすることが重要。科学的な根拠をできる限り公開し、広く国民の理解を得ることが必要。現在の処分方策は技術面も含めて専門家の幅広い観点からの議論によるものであるが、その過程を国民がどれだけ知っているのか疑問。全国各地できめ細かに議論の場を設け、多くの専門家の意見を聞き、英知を集めた最善の方法であると示せば国民も安心できる。地球環境問題とともにエネルギー問題の重要性、我が国のエネルギー政策、原子力政策について、政府が先頭に立って国民にわかりやすい言葉で説明するとともに、学校教育の中で総合的なエネルギー教育体系をつくり上げることが必要。
  ○
放射性廃棄物について、処分の方策、処分コスト、電気料金との関係を全体として明らかにした上で、その中での高レベル廃棄物処分のコスト、電気料金の透明性、原子力による発電コストを明示することが必要。人類が経験したことのない長い期間に対する漠然とした不安を軽減し、管理を行う事業主体に対する国民の信用を得るには、国が何らか関与し、国・地方・発生者の関わりを考えるべき。事業を進めるにあたり、推進と規制を分離し、チェック・アンド・バランスが機能する仕組みを整えることが必要。
  ○
放射性廃棄物の問題は日本での原子力開発当初からわかっていたにもかかわらず、政府、科学技術庁が対応してこなかったことが問題。ゴミの発生と処分を別の問題とする考え方はやめるべき。消費者に発電形態を選ぶ権利があれば受益者負担も仕方がないが、選ぶ権利がない状況での受益者負担には全面的には賛成できない。前提となっている地層処分を決める段階で、どれだけ国民的な議論が行われ、意見を聞いたのか疑問。
  ○
原子力については、立地ばかりに力を入れて、廃棄物の処分について全く聞かされてこなかった。一般の人が知らないのは、知らされてこなかったからであって、もっと教育の場でのPRが必要。廃棄物を処分することだけを考えず、廃棄物を無くすような技術は考えられないか。
  ○
より具体的な評価技術やフィールドそのものの評価、検討を進めていくことが重要。放射性廃棄物の処分サイトの評価という観点からみれば、地質学や地球物理学やそれ以外の分野でも参考にすべき研究は多い。多様な考えを取り入れた評価技術の研究を拡大することが必要。世界のどこであっても安全に処分されることが基本であり、発展途上国を含む世界の廃棄物が適切に処分されるよう手助けすることが日本の義務。
  ○
原子力について教育を何も受けていないため、単に恐怖感を抱いていた。学校の教育課程に取り入れるべき。原子力施設の立地について、町の活性化ということから地元の方が必ずしも反対していない事を知り認識を新たにした。実際に廃棄物が出ている状況で、なぜ原子力が利用されているのかを理解すれば、賛成・反対ということではなく、これ以上処分を先送りできないことは理解できる。今、実際に出ている廃棄物をそのままにしておくことは危険であり、処分を少しでも安全な形にして一日も早く解決することが必要。
  ○
高レベル廃棄物の処分に関しては処分場の確保が最大の問題であり、そのためには社会的な合意形成、あるいは立地予定地周辺の住民を含めた国民の理解と協力が不可欠。放射線に関する安全問題は、正しい知識や正確な情報の不足から社会的に不安感が生じやすい。情報が行き届いているようにみえて実際はかなり不足しており、情報の提供と教育が必要。
  ○
高レベル廃棄物は原子力発電に伴って発生したものであり、我々の世代の間に処理処分をする必要がある。処分を進める上で、技術的に安全に処分でき、その方法が広く国民に理解されることと、処分地選定の際にその地域の理解を得ることが最も重要。高レベル廃棄物の処分研究は20年余り行われている。実施主体については長期間の継続性・安定性が非常に重要であり、国民から信頼されるために国も関与するなどの支援が必要。世代間の公平という点からも、早く制度をつくり、電気料金の中に処分費用を算入して処理することが必要。処分地の選定プロセスにおいても国の指導、協力が必要。
  ○
原子力というのは、思わぬことがいろいろと起こるのではないかと不安。原子力発電は避けられないのか。原子力を始めるときに廃棄物の問題を一緒に考え、廃棄物を本当にゼロにできないかどうかを考える、それが開発研究の一つであるべきだったのではないか。
  ○
研究所の予定地を処分場にしないとしているが疑念は強い。研究所を処分場にしないという協定があるが、地元対策による空文化を懸念する。処分技術の安全性についても全てが解明されたわけではない。地層処分は次世代への新たな負担の押しつけではないか。我が国の研究者は広く意見交換を図り自らの時代の課題として研究開発を進めるべき。核種分離・消滅処分など世界に誇れる研究開発に国家と科学の総力を結集すべきであり、それまでは地上で分散、永久管理すべき。
(2)意見交換時における主な発言
(3)一般傍聴者からの意見聴取時の主な発言
            *この概要は事務局が作成したものです。詳細は議事録をご覧下さい。




「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第5回(福岡)概要


1.日 時  平成10年1月14日(水) 13:00~17:15
2.会 場:アクロス福岡7階「大会議室」(福岡市中央区天神1-1-1)
3.参加者(◎は議事進行役)
(1)地域参加者(14名)
   石窪 奈穂美  消費生活アドバイザー
   大谷  鮎子  女性の暮らし研究所所長
   木原  省治  原発はごめんだヒロシマ市民の会代表
   児玉  英男  九州電力取締役副社長
   田崎  耕市  愛媛大学理学部教授
   福留   清  しまねフォーラム・エネルギー問題協議会参与
   堀江 以喜雄* 元高校教諭
   益田  義孝* 元公務員
   松岡  信明* 会社員
   森   賢士* 農林業
   山口  榮智* 速記士
   山中 富由美  原子力モニター(主婦)
   山本  華世  フリーキャスター
   吉岡   斉  九州大学大学院比較社会文化研究科教授
                  (*一般公募による参加者)
(2)原子力委員会関係(11名)
 ①原子力委員会
   遠藤  哲也  原子力委員
   藤家  洋一  原子力委員長代理
   依田   直  原子力委員
 ②高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
   石橋  忠雄  弁護士
  ◎木元  教子  評論家・原子力委員
   下邨  昭三  高レベル事業推進準備会会長
   深海  博明  慶應義塾大学経済学部教授
   松田 美夜子  生活環境評論家
   森嶌  昭夫  上智大学法学部教授(高レベル放射性廃棄物処分懇談会座長代理)
 ③原子力バックエンド対策専門部会構成員
   小島  圭二  東京大学大学院工学系研究科教授
   鈴木  篤之  東京大学大学院工学系研究科教授

4.一般傍聴者:132名、報道関係者:11社 15名

5.議事の概要
(1)地域参加者による意見発表
  ○
高レベル廃棄物の処分が明確でないことが原子力に対する不安の要因であり、原子力に関する議論のネックにもなっている。一般廃棄物と同様にリサイクルや核種分離・消滅処理等による減量ができないか。柔軟な対応は必要であるが、見直しやフォローを行う体制が重要。消費者の自己責任を報告書に明文化すべき。廃棄物も含めたエネルギー、環境、消費者教育は重要であり、これらを教職課程に加えてまず教育する側を作ることが重要。技術的な安全と一般の人々の安心のギャップを埋める努力をすべき。
  ○
国民・生活者に分かりやすく情報提供し、疑問があればすぐに聞けることが重要。フランスでのミニテルによる情報提供を参考に、操作の簡易性、情報の双方向性、記録性を考えるとテレビの文字放送を利用することが有効ではないか。また、文字放送ではすぐに情報を流すことが出来る。誰でも、いつでも、簡単に取り出せる形で情報提供することが重要。
  ○
高レベル廃棄物問題を考える際に、放射性物質は長期にわたって悪影響を与えることに留意すべき。当初からある廃棄物問題に対応せず原子力を進めてきたことが問題。消費者は電力供給者を選べないことも考慮すべき。まず原子力全体について議論し、処分については原子力発電の廃止時期を定めて廃棄物の全体量を決めてから議論すべき。性急な世代責任論は、結局ゴミの押しつけになる懸念がある。放射性廃棄物と地域の共生は考えられない。電力会社の発生者としての責任を明確化すべき。放射性廃棄物について原子力推進側から切り離した議論、研究、管理、規制などを行う枠組みが必要。完全な情報公開と様々な意見が政策に反映される柔軟性が必要。
  ○
原子力が現在のエネルギー供給の大きな役割を占めている一方で批判が多いことも事実。廃棄物処分は国民の理解を得ながら進めることが重要であり、発生者として責任を認識。技術開発や研究の成果を広く公開することが重要であり、その点から深地層の研究施設における研究と成果の開示が必要。処分事業が民間を主体とするのは必要であり電気事業者がこれに関わるのは当然であるが、実施主体に求められる長期の安定性、信頼性については国の関与も必要。処分費用は電気料金への算入による受益者の負担が適当であり、そのための制度が必要。処分地選定の過程の各段階で極力情報を公開して納得を得ながら進めることが重要。
  ○
研究の現状から日本において地層処分にとって充分に安定な地質条件が存在し得ることを2000年に示すことはかなり重い課題。深地層の研究施設は動燃事業団や電力会社等の利益に関係した団体とは独立した機関が管轄すべき。ナチュラルアナログについて鉱物とガラスを同一に論じることは適当でない。高レベル廃棄物は非常に国民的な課題であるが、その前提となる核燃料サイクルが問題。廃棄物の自国内で処理という国際通念は良く分かるが、住民へのリスクは廃棄物の量、国土の面積、人口などによって全く異なる。現在の廃棄物貯蔵関連施設の立地や安全基準の決め方に疑問があり、考えようによれば、現在の貯蔵は処分場よりも危険ではないか。
  ○
エネルギーの安定供給のために原子力は不可欠であるが、立地地域には不安感がある。情報の全面公開、誠実な対応、分かりやすい説明が社会的理解を得る前提。フランスの地方情報委員会のようなものは、透明感を高め、外部の第三者的なチェック機関の役割を果たす。原子力報道についてマスコミとの対話の場を設け、積極的な情報提供や共に考え議論することが必要。議論だけでなく地層処分システムを早急に確立することが必要。その際に他の処分方法の研究も併せて進めて選択肢を広げておくべき。現実的には立地は困難であり、国も前面に出て進めるべき。地域共生では現在の交付金制度を見直し、地域振興や生活に貢献するものを考えることが必要。
  ○
地層処分が前提になっているが、日本は国土が狭く今後も廃棄物が出ることを考えれば、有限な地上を掘って埋めるということは、結局問題の先送りになるのではないか。日本海溝は1000メートル以上の深さがあり、対流・光・生物・海流の影響もないことから、ここに処分することを検討すべき。
  ○
今後のエネルギー供給における原子力の役割は大きい。CO2削減の観点からも原子力によるエネルギー供給の確立が必要。国民が納得するためには、重要なプロセスを全て踏んで進めることが必要。廃棄物処分は一地域住民の問題ではなく国民全体で考えるべき問題。安全とは技術的なな問題であり、安心とは一般国民の受け取り方である。いかに安心させるかはそれぞれの段階に応じた問題。原子力施設のトラブルの度にテレビ等で陳謝しているが、国際的な尺度によるトラブルのレベルを踏まえて発表すれば、マスコミや国民が正当な評価が出来るのではないか。
  ○
様々な電気エネルギー源にはそれぞれ長所短所があるが、これらを上手に使っていくことが必要。
廃棄物問題は原子力だけの問題ではなく、太陽光発電でも劣化したパネルが廃棄物になるなど、何をやっても廃棄物は発生し相当の処分コストがかかる。高レベル廃棄物では費用負担のルールが確立されていないことが問題。処分費用は受益者負担の原則に立てば電気料金の中に含めて考えるべき。廃棄物を全て厄介なものと考えるのではなく、廃棄物の有効利用について様々な可能性があり、将来の新たな処分技術が開発される可能性も含めて広い視野で考えることが必要。
  ○
我が国の高レベル廃棄物処分対策は、諸外国に比べて大変な遅れがあることを認識すべき。もんじゅから東海発電所までの事故や故障により原子力に対する国民の不安感、不信感が強まっているが、一方で人々の原子力発電への関心も高まっている。国は原子力発電や廃棄物処分について分かりやすく情報公開し、政府広報でマスコミを通じて国民に周知し議論をしてもらい、原子力発電への理解と認識を得て、処分場選定が容易にできる環境整備に一層の努力をすべき。
  ○
現実問題として九州では電力の40%が原子力でまかなわれており、そこから毎日出ているゴミの最終の受け皿ができていないことは大きな問題。まず、数カ所の候補地の選定し地層の調査研究を進めながら決定していくことが重要。原子力利用はやむを得ないというのが率直な地方住民の認識ではないか。昨今、住民投票という手法が用いられているが、一地域の住民の反対で国家的な重要案件が決定されてよいのか疑問。法的な拘束力のない住民投票によって決めるのではなく、すべての隣接市町村や当該都道府県の議会の承認を得ることを義務づけることにすべき。国も国会の決議や特別法を設ける等により進めることが重要。
  ○
原子力について漠然とした不安感があったが、情報を得て認識が少しずつ変わった。未だに処分地が決まっていない事は大変な問題。国民には原子力に対する不信感があるが、今一番安全であろうと思われる処分を進めるべき。原子力発電については国民の意識も高くなっているが、廃棄物についての関心は低い。廃棄物処分は先々の世代まで関わる問題であり、責任を持って後世代に引き継ぐべき。研究開発を一層進め、費用が不足していれば電気料金に加算してでも緊急に確保すべき。もっと分かりやすく様々な媒体を使った国民への情報提供の機会を増やすべき。子供達へのエネルギー教育が必要であり、子供達に興味を持ってもらい、優秀な技術者を育成すべき。
  ○
電線の赤いラインが原子力というふうに分かったり、実際に電気を使ったら手に負えないゴミがでるというような状況が分かれば、非常に困難な問題としてもっと深刻に考えられるのではないか。原子力はわれわれにとって救世主であったが、一方で人間の手に負えない廃棄物がでるものでもある。地表に近い所に埋設するのではなく、今の研究の中ではスケールを超えているが、地球のマントルやコアに近いところに廃棄することは出来ないか。アメリカの航空宇宙局のようにプロジェクトとして地球の内面の宇宙への取り組みを行うべき。
  ○
「広義の発生者責任」と「走りながら考える」アプローチを考えるべき。電気事業者、政府、電力消費世代、電力消費地域住民のそれぞれに「広義の発生者責任」があり、他の地域や後世代に責任を押しつけてはならない。処分を要する廃棄物の質と量は、今後の原子力発電の方針や地域によって変わりうることから、時間的・空間的に高度の柔軟性を持った「走りながら考える」アプローチによって処分システムを構築すべき。処分場は大電力消費地域近隣に小規模分散型で立地すべき。各処分場の規模を一定期間の発生量の範囲内とし、将来の状況の変化に柔軟に対応することが必要。地層処分が絶対的な意味で最良であるか研究し実証されるまでは、直接目の届くところに貯蔵すべき。研究を行う際には研究施設が処分施設にならないよう法的な歯止めが必要。
(2)意見交換時における主な発言
(3)一般傍聴者からの意見紹介における主な発言
*この概要は事務局が作成したものです。詳細は議事録をご覧下さい。