資料(専)14-1


原子力バックエンド対策専門部会(第13回)議事要旨(案)


1.日  時: 平成9年12月1日(月)14:00-16:00

2.場  所: 科学技術庁第1、2会議室(科学技術庁2階)

3.出 席 者:
  (原子力委員)伊原原子力委員長代理、藤家委員、依田委員
  (専門委員 )熊谷部会長、秋元委員、石榑委員、一政委員、大桃委員、川人委員、
         草間委員、小島委員、小西委員、坂本委員、佐々木委員、
         鈴木(進)委員、竹内委員、田中(知)委員、田中(靖)委員、徳山委員、
         鳥井委員、永倉委員、東委員、松浦委員、松田委員、森山委員、
         山内委員
  (説 明 員)榎本  電気事業連合会原子力開発対策会議原子力環境部会副部会長
         坪谷  動力炉・核燃料開発事業団理事
  (科学技術庁)森山  廃棄物政策課企画官
         岡谷  廃棄物政策課長補佐
         奈良  原子力局企画官
         前田  原子力安全局放射性廃棄物規制室長補佐
         八木沼 原子力安全局放射線安全課

4.議  題 (1)RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について
       (2)その他

5.配布資料
  
資料(専)13-1 原子力バックエンド対策専門部会(第12回)議事要旨(案)
資料(専)13-2 RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について(案)
資料(専)13-3 新法人作業部会本会合資料
資料(専)13ー4 「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」の開催状況について
資料(専)13-5 高レベル放射性廃棄物の現状
資料(専)13-6 動燃事業団における今後の高レベル放射性廃棄物量について

参考資料
参考(専)13-1 我が国において発生する放射性廃棄物の処分方策

参照資料
原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月24日、原子力委員会)
高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について
        (平成9年4月15日、原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)
高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)
        (平成9年7月18日、原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会)
高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会<第4回>ポスター

6.審議の概要

 (1)
RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について、分科会主査の石榑委員及び事務局から資料(専)13-2に基づき説明があった。

 (2)引き続き各委員から出された主な意見は以下のとおり。

  ①
現在、産業廃棄物については、安定型処分場はなるべく無くすような方向で議論されており、安定型に埋設可能な品目も汚染の原因となる物質の付着・混入のないものに限定される方向である。したがって、国民から見ると、素堀り処分場は受け入れ難いであろう。焼却灰は有害物質が濃縮しており、この点を考慮する必要がある。放射性物質も濃縮されるので、廃棄体中の放射能濃度の管理もその点を考慮することが必要である。

  ②
遮水機能の「機能」という表現では具体的にどのようなものか分からない。産業廃棄物の管理型と同様な処分場という説明があったが、その旨を明確に記載すべきである。廃水処理施設を設置する等、処分概念図も厚生省の基準にあったものを明確に記載して欲しい。
処分場の管理としては水の管理が重要である。具体的には、水の隔離、管理基準が重要であり、この点を明確に記述することが必要である。また、段階管理の考え方の中で、遮水機能を付加した素堀り処分場でも、コンクリートピット処分場の第2段階で採られている人工バリアと天然バリアによる放射性核種の移行抑制について記述すべきである。

  ③
段階管理において、放射性物質の漏洩を防止するとあるが、放射性物質の漏洩防止の検討は、施設の設計、施行段階で行うものであり、管理の段階で実施するのは、モニタリングではないか。

  ④
分別管理により、素堀り処分場に埋設可能な廃棄物も発生するので、素堀り処分場も残しておくことが必要である。

  ⑤
ここで対象としている廃棄物は、研究により発生した廃棄物であり、電気のように国民が自ら使用した結果発生したものではない。したがって、研究の結果がどのように国民に寄与しているのか示すのは難しい問題であるが、理解を得ることが必要である。

  ⑥
日本原子力研究所は最大の廃棄物発生事業者であり、発生者が責任を負うことは当然と認識しているが、同研究所の処分事業への参加の仕方については、今後考えていきたい。

  ⑦
今後、RIの新しい利用形態が生じる可能性があり、その場合にも対応できるよう、処分方策についてフレキシビリティを残しておくことが必要である。

  ⑧
研究開発については、今後必要な研究開発に関する具体的な記述が必要である。また、処分事業主体と日本原子力研究所等との研究開発の役割分担について、今後検討が必要である。

  ⑨
地域との共生について、例えば、六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターは,他の原子力施設がなければ受け入れられなかったとの意見もある。地域共生策についても今後検討が必要である。

  ⑩
現在の廃棄物の発生量からの直線的な推定を行うよりも、もう少しフレキシビリティを持たせてはどうか。

  ⑪
ここでは、セメント固化した21万本について検討を行うとしているが、報告書案の中でも減容の重要性が述べられており、既に高減容の方向が検討されているので、高減容処理が行われた場合について、もう少し記述すべきではないか。

  ⑫
当該廃棄物は、大学や民間企業の小規模で多くの事業所から発生することが特徴の1つである。これらの事業所では廃棄物処分に困っており、処分の見通しがないと、RIや核燃料物質を使用しなくなることも考えられる。現に、大学では学生がRIや核燃料物質の取扱いを経験しないという状況が起こっており、本当の専門家が育たない懸念がある。

  ⑬
廃棄物の処分においては、減容化が重要である。このためにも、合理的なクリアランスレベルの設定が重要であり、これにより再利用や放射性廃棄物としての処分量の低減が図られる。したがって、IAEA等の国際的動向をみながらその導入について検討することが重要である。

  ⑭
RI廃棄物では、クリアランスを行うことが重要である。特に発生事業所においてクリアランスを行えるよう制度整備をすれば、ここに示された発生量も大幅に少なくできると思われる。特に、現場ではなるべく半減期の短い放射性核種を使用するような努力をしているが、一旦放射性核種で汚染されたものは、その放射能濃度に関わらず全て放射性廃棄物として扱われるため、不合理と思われる。RIは研究等において有用な物質であるにも関わらず、その取扱いが面倒なために使用されない傾向がある。したがって、発生者責任について言及があるが、発生者の責任においてクリアランスを行うようなことも一つの責任の在り方と思われ、その点について本報告書で言及して欲しい。具体的には、使用核種が短半減期に限定されているような事業所では、放射性核種の半減期の10倍も経てば廃棄物中の放射能濃度が十分に減衰しており、この後にクリアランスすることも可能と考えられる。

  ⑮
クリアランスレベルについては、IAEAにおける提案値も記述した方が具体的に理解しやすいのではないか。

  ⑯
クリアランスを現場で判断しようとすれば、誰がどのように判断するのか、というような点についての検討が必要であり、そもそもクリアランスという考え方が社会に受け入れられるかどうかにも影響するのではないか。今後の検討事項という位置づけでよいのではないか。

  ⑰
クリアランスレベルについては、専門的過ぎる面がある。普通の人が理解できるようにするためには、例えば、半減期が短いことと安全であることを結びつけるような説明が必要である。

  ⑱
処分が安全に行なわれることを明確に記述し、安全かつ安心であることを国民にメッセージとして伝えることが重要である。

 (3)
動燃改革に関する新法人作業部会本会合での審議状況について、科学技術庁より資料(専)13-3に基づき説明があった。

 (4)
引き続き出された意見は、以下のとおり。

  ①
現在検討されている動燃改革案の方向では、高レベル廃棄物問題にうまく対応できるか疑問がある。

 (5)
高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会の開催状況及び意見交換会において出された主な意見について、科学技術庁より資料(専)13-4に基づき説明があった。また、高レベル放射性廃棄物の現状について、科学技術庁より資料(専)13-5に基づき説明があり、動燃事業団における今後の高レベル放射性廃棄物量について、動燃事業団の坪谷説明員より資料(専)13-6に基づき説明があった。

 (6)
専門部会は、引き続き分科会における検討結果について審議することとし、次回は平成10年2月5日(木)10時から開催することとして閉会した。