| 資料(専)12-4 |
(1) RI・研究所等廃棄物については、処理処分に係る技術的事項について検討を実施し、以下のようにその基本的考え方を整理した。
@ RI廃棄物の処理の基本的な考え方
@ 多様かつ多数の廃棄物発生者
RI廃棄物は、日本原子力研究所等の研究機関、大学、病院、企業等のRI使用施設等、約5000事業所から発生している。研究所等廃棄物は、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団、大学及び企業等、原子炉を設置し、あるいは核燃料物質を使用する研究所等、約180事業所から発生している。このように、RI・研究所等廃棄物の発生者は多様であり多数に及んでいる。
また、事業規模、廃棄物発生量、資金背景等も事業所により大きく異なっている。
A 多様な種類の廃棄物の発生
RI・研究所等廃棄物は、放射性同位元素(以下「RI」という。)の利用形態や研究開発の目的や手法が多様であることに起因し、放射性核種の種類、放射能濃度、廃棄物の性状等から見て、各事業所から発生する放射性廃棄物の種類も多様である。
また、一部ではあるが、天然ウラン及び天然トリウムのみを含む放射性廃棄物、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物に相当するもの、241Amや237Npの様なTRU核種を含む放射性廃棄物に相当するものも発生している。
B RI廃棄物と研究所等廃棄物の共通事項と個別事項
RI廃棄物と研究所等廃棄物では、多様性に対する対応等処分にあたり共通して考慮すべき点も多いが、含まれる放射性核種の種類等により異なる対応を講じる必要性も考えられる。例えば、RI廃棄物は9割以上が極低レベル放射性廃棄物に相当するものであり、また、半減期の短い放射性核種のみが含まれている放射性廃棄物も多く発生している。他方、研究所等廃棄物についても、発生量としては研究炉の解体等から発生する廃棄物が主体であり、極低レベル廃棄物相当以下のものが多いが、放射性核種の組成等、発電所廃棄物に類似したものが多い。
C 現状技術による処分の可能性
RI・研究所等廃棄物の大部分について、技術的には、既に実施されている原子炉施設から発生する低レベル及び極低レベル放射性廃棄物と同様の処分方法により処分が可能と考えられる。その際、RI・研究所等廃棄物の特徴である多様性等に配慮し、廃棄物の発生から処分に至る各過程において対応できる措置がなされるよう考慮されることが重要である。
D クリアランスレベル*)以下の廃棄物
RI廃棄物については、極めて半減期の短い放射性核種のみで汚染された放射性廃棄物も多く、このような廃棄物については、適切な保管管理を行うことで放射能を十分減衰させることにより、クリアランスレベル以下の廃棄物として扱うことが期待できる。また、研究所等廃棄物についても、研究炉の解体等により発生する廃棄物が多く、クリアランスレベルをIAEA TECDOC 855 で示された値と仮定した場合、半数以上がクリアランスレベル以下のものと推定される。
2. 安全確保のための諸制度の整備
(1) RI廃棄物について
RI廃棄物は、放射線障害防止法、医療法、薬事法、臨床検査技師法により規制されているが、これらの法律には、現在保管廃棄までの規定しかなく、最終処分に係る法令の整備を行うことが必要である。具体的には、原子炉等規制法に基づく廃棄物処分に係る規制を踏まえつつ、処分に係る事業許可、濃度上限値設定、埋設施設及び廃棄体に係る安全性の確認等について法令整備を行う必要があると考えられる。とくに、RI廃棄物は、短半減期のものが多いことに鑑み、廃棄物の発生から処分までの間の保管期間による放射能の減衰を考慮に入れて、埋設処分に関する放射能濃度の濃度上限値の設定等が行われることが、現実的な対応であると考えられる。
(2) 研究所等廃棄物について
研究所等廃棄物は、原子炉等規制法により規制されるが、試験研究等の段階で併せて放射性同位元素が使用される場合もあり、原子炉等規制法及び放射線障害防止法の双方の規制を受ける放射性廃棄物も存在する。 原子炉等規制法により規制される研究所等廃棄物は、原子炉施設から発生する放射性廃棄物と核燃料物質等使用施設から発生する放射性廃棄物に大別される。
そのうち、原子炉施設から発生する研究所等廃棄物については、原子炉等規制法の下で処分に関する諸規定が昭和61年の法改正等、逐次整備されており、先例として、日本原子力研究所のJPDR解体時のコンクリート等廃棄物は、現行制度の下、既に埋設されている。
他方、核燃料物質等使用施設から発生する研究所等廃棄物については、埋設処分に関する放射性濃度の濃度上限値等法令の整備がなされていないが、これらはTRU核種を含む放射性廃棄物やウラン廃棄物に相当するものであり、今後検討されるこれらの放射性廃棄物処分方策を踏まえ、最終処分に係る関係法令の整備を行っていくことが必要である。
また、前述の通り、試験研究用及び研究開発段階にある原子炉の運転、核燃料物質等の使用等を行っている研究所等から発生する廃棄物においては、原子炉等規制法により規制されるほか、併せて放射線障害防止法の規制も受ける廃棄物が発生する場合がある。このような廃棄物は、主に日本原子力研究所等から発生しており、同研究所において、両法が適用される廃棄物は6割以上あり、研究所等廃棄物全体の発生量に占める割合も高い。
両法が適用される廃棄物は、「研究の過程においてRIと核燃料物質を併せて使用する等、廃棄物の発生時において既に両法が適用されているもの」と「廃棄物の発生時には各々の規制を受けていたにも関わらず、処理、保管廃棄の段階において混合され、結果として両法が適用されているもの」との2種類が考えられる。後者については、廃棄体の確認等処分に係る手続きがいたずらに煩雑化しないよう、発生者において適切な分別管理を行うことが必要であると考えられる。
関係法令の整備にあたり、例えば、原子炉等規制法により規制された廃棄物中に、RIによって汚染されたものが含まれる場合、当該廃棄物に含まれる放射性核種全体が確実に把握され、安全の確保がなされるよう措置するとともに、両法の整合性についても十分検討することが必要である。
(3) 多種多様な発生形態への対応
RI・研究所等廃棄物は、その発生源、廃棄物中の放射性核種、放射能濃度、廃棄体の性状、保管形態等が多種多様である。このため、その処分に係る安全が確保されるためには、処分される廃棄体に含まれる放射性核種、放射能濃度等を正確にかつ効率よく把握することが不可欠であり、このための手法を確立する必要がある。
このためには、RIの販売時におけるデータ、RI及び核燃料物質等の廃棄物発生者による記録、処理時におけるサンプリング測定等を組み合わせた合理的、効率的な廃棄体確認手法の確立が重要である。発生者等は、発生する放射性廃棄物について、その発生源や放射性核種、廃棄物の性状等により適切に分類し、それぞれの分類毎の処理方法、廃棄体確認方法等を確立することが重要であり、国は、これらに対応した適切な基準等を整備することが必要である。
(4) 有害物質等への対応
技術的事項の検討により明らかになったように、RI廃棄物には、感染性廃棄物や有害物質を含む廃棄物も一部含まれている。
このため、発生者における分別管理、溶融、焼却等による前処理段階における無害化、廃棄体の確認、処分場の建設、操業及び管理等、各段階において有害物質等への対応が図られ、安全性が確保されることが重要であり、国はこれらに対応した適切な基準等を整備する必要がある。
これらの検討に際しては、現在の処理処分技術に加え、今後の研究開発により実用化が見込まれる処理処分技術の導入により、より経済的、合理的な処分方策が取り得るよう、制度上、柔軟性を持たせておくことも必要であると考えられる。
(5) 現行の政令濃度上限値を超える低レベル廃棄物、TRU核種を含む廃棄物、
ウラン廃棄物への対応
RI・研究所等廃棄物の中には、現行の政令濃度上限値を超える低レベル廃棄物やTRU核種を含む放射性廃棄物及びウラン廃棄物に相当する廃棄物も一部含まれている。これらの廃棄物については、各廃棄物の処分方策に沿って適切に処分されるよう、廃棄物の発生時及び前処理の段階において、分別管理を確実に行うことが必要である。
(6) クリアランスレベルの適用について
廃棄物の特性に応じた合理的な処理処分を実施するためには、RI・研究所等廃棄物について、クリアランスレベルを導入することが必要である。
このようなクリアランスレベルの導入により、RI・研究所等廃棄物の相当の部分がクリアランスレベル以下の廃棄物になると想定されることから、放射性廃棄物としての保管量を大幅に減少させることができ、処分費用の低減が図られ、当該廃棄物の処分事業の円滑な推進に資することができる。
我が国においては、現在、原子力安全委員会放射性廃棄物安全基準専門部会において、当面、原子炉施設から発生する廃棄物のクリアランスレベルの設定について検討が行われているが、RI・研究所等廃棄物の合理的な処理処分を実施するためには、核燃料物質等使用施設から発生する廃棄物やRI廃棄物についても、その導入の検討を行うことが望まれる。
3. 処分事業の実施体制の確立及び実施スケジュール
原子力委員会の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成6年6月)」において、RI廃棄物については、「日本原子力研究所、(社)日本アイソトープ協会等の主要な責任主体は協力して、実施スケジュール、実施体制、資金確保等について、早急に検討を開始する必要がある」としており、研究所等廃棄物については、「日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団等の主要な機関は、協力して、実施スケジュール、実施体制、資金の確保等について、早急に検討を進める必要がある」としている。
このため、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団及び(社)日本アイソトープ協会は、処分事業の具体的検討に向けて「RI・研究所等廃棄物事業推進準備会」を10月1日に設置したところである。今後、同準備会においては、以下の諸点を踏まえ、検討を進めることが必要である。
(1) 関係機関における責任及び役割分担の考え方
RI・研究所等廃棄物は、廃棄物の発生者の責任において処理処分が実施されることが基本であるが、具体的には、廃棄物の発生者は最終的な処分費用を負担することにより、その責任を果たしていくこととなる。
他方、RI製造メーカー、RIの販売業者(輸入業者を含む)、処分事業者等の、RI等の製造、流通、使用、処理処分の各段階における各事業者の役割分担についても検討を行う必要があると考えられる。
例えば、RI製造の過程において、処理処分に際し適切な対応が必要となる有害物質をRIによる汚染がないように分別可能な製品とすることや、放射性医薬品の容器を不燃性のガラス等から可燃性のものに替えること等、RI利用や研究開発等に係る川上から川下までの一連の流れの中で、廃棄物の発生抑制や適切な分別管理、処理処分の過程まで考えた製造技術や利用方法等を採用して、結果として廃棄物の発生量を減らし、その処理処分が適切に行われるよう、廃棄物の発生者のみならず、これらに関係する者が協力し、適切な対応をとることが重要である。
(2) 事業主体の在り方
RI・研究所等廃棄物は、発電所廃棄物と異なり、放射性物質の使用目的、事業規模、資金背景等の異なる大小様々な全国の諸機関・団体から発生しており、処分の事業化に期待する意図、責任及び役割分担の考え方も多様である。このような関係機関の意見を集約し、処分の進め方について共通の認識を形成しておくことは、事業主体の事業基盤を固め、処分事業を円滑に進めるうえで重要である。このため、RI・研究所等廃棄物処分事業推進準備会における検討に関係機関の積極的参加が望まれるとともに、準備会は、関係機関に対し参加を広く呼びかけていくことが重要である。
現在、(社)日本アイソトープ協会においては、RI使用開始前の事業所の登録、RI廃棄物集荷容器の貸与、RI廃棄物の種別・核種等を記入した記録表の提出、廃棄物集荷時期の周知等、廃棄物処理に係る一連の手続きを整備し、RI廃棄物を集荷している。しかし、研究所等廃棄物については、事業者間における全国的な手続き、仕組みの整備等がなされていない状況にある。したがってRI・研究所等廃棄物の処理処分が適切に行われるためには、当該廃棄物が様々な事業所から発生する多様な廃棄物であることを踏まえ、(社)日本アイソトープ協会における現在の手続きも参考に、処理処分に係る全体のシステムを構築していくことが重要である。とくに、当該廃棄物の処分にあたっては、廃棄体の確認方法が重要なプロセスであり、また今後、集中処理施設等の検討も必要であることから、処分事業の事業主体が全体のシステムの中でどのような役割を担うべきか、(社)日本アイソトープ協会や日本原子力研究所等の現在の事業や既存の施設との連携を如何に取るか、といった点について、同準備会において十分検討を行うことが必要である。
さらに、前述の関係機関における責任及び役割分担の考え方についての検討結果を踏まえ、当該廃棄物処理処分システムの中に、関係者が適切に参画できるような仕組みを考えることも重要であり、処分事業の事業主体がその受け皿になることについても検討されるべきであると考えられる。
また、事業主体は、処分を安全に行うために技術的能力と経理的基盤を十分に備えることが不可欠である。さらに、事業が長期にわたるため、長期安定性が必要であるが、他方で事態の変化に対応した組織としての機動性、柔軟性が要求される。
(3) 処分費用の確保
処分費用については、現在、(社)日本アイソトープ協会が、RI廃棄物について、廃棄物の性状毎に集荷料金を設定し、集荷時に発生者から徴収し積み立てているが、これにより十分な対応が可能であるか否かについて検討を行う必要がある。また、研究所等廃棄物については、現在のところ処分に引き当てられる資金確保はなされていない。
このため、発生者による費用負担が適切に行われ、処分費用の確保が図られるよう、準備会においては、技術的事項の検討結果を踏まえて、事業規模の策定とそれにかかる運営費用、処分場の立地・建設費用等の処分費用を試算するとともに、当該事業推進のための資金確保方策について検討を行うことが必要である。
(4) 処分事業の実施スケジュール
処分事業を円滑に進めるためには、全体のスケジュールを明らかにしておくことが不可欠である。事業主体の設立に至る準備段階から処分地の選定、処分場の建設、処分場の操業、処分場の閉鎖段階までの事業計画と関係機関の役割が、情報公開の徹底の下、常に国民の前に提示され、国民の理解を得ながら事業が遂行されることが必要である。
今後の実施スケジュールを策定するうえで最も重要な点は、現世代が発生させた廃棄物についての負担を後世代に残さないよう、早急に処分の実施体制の確立に向けた取組を具体化することである。
他方、準備会における具体的検討やその取りまとめ、関係法令の改正、関係機関とのコンセンサスの形成及び事業資金の確保等に要する時間を考慮すれば、準備会の設置から事業主体の設立までには2〜3年の期間が必要であると考えられる。
このため、準備会においては、平成12年(2000年)初めの事業主体設立を目途とし、これに向けた具体的な作業内容及びスケジュールを策定する。
処分事業実施の時期については、事業主体の設立後、処分候補地の検討及び地元への申し入れ、処分候補地の調査及び処分地の選定、事業申請及び国による安全審査、処分場の建設等の各段階に要する期間と、今後の処理技術開発状況、貯蔵施設容量等を勘案し、できるだけ早期に事業が開始されるよう努めていくべきである。
(5) 他の廃棄物処分事業との連携
RI・研究所等廃棄物の中には、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物やTRU核種を含む廃棄物及びウラン廃棄物に相当するものが一部含まれている。これらの廃棄物については、各々の廃棄物の処分スキームに取り入れられるよう、各々の処分方策の検討段階から連携・協力を図り、処分の対象廃棄物の範疇から外れる廃棄物が発生しないようにすることが重要である。
4.国民の理解を得つつ処分事業の着実な実施を図るために
処分事業が遅滞なく着実に実施されるためには、技術的・制度的に安全の確保が図られることはもちろん、当該事業に対する国民の不安をなくし、理解が得られることが不可欠である。
事業の実施にあたっては、当該事業の必要性とともに、どのような廃棄物が、どのような事業主体によって、どのように処分されるのか、とくに、安全確保はどのように図られるのか、といった事業の全体像が、計画の初期段階から国民に周知される必要があり、このための積極的な情報の提供が行わなければならない。その際、正確・詳細な情報とともに、専門的な知識を持たなくても理解できる分かり易い情報が提供されることが重要である。
また、処分事業が、処分場の管理期間が終了するまで、どのような制度の下で、どのような手続きで実施されていくのか、明らかになっていることが重要であり、このため必要な関係法令の整備が行われる必要がある。
このように、一連の制度が整備され、事業主体を中心に積極的な情報提供が行われることにより、初めて、廃棄物処分に係る透明性が確保され、国民が当該事業を理解する環境が整えられることになる。
また、処分事業は、国民の理解を得ることはもちろん、立地地域に受け入れられるものでなければならない。このためには、まず第一に、安全確保策を含め事業の実施にあたって、国民とりわけ地域住民の意見が反映されることが重要である。
処分事業の実施が地域住民の健康や周辺の自然環境に対する影響を与えないよう必要な安全対策を講ずることはもちろん、事業の実施にあたっては、当該事業が地域の発展に寄与できるよう取り組むことが重要であり、処分場の管理期間が数十年から数百年にわたることを踏まえ、長期的展望に立った取り組みが必要である。