資料(専)10-4





RI・研究所等廃棄物の処理処分に関する検討状況について







目次

はじめに

1.RI・研究所等廃棄物の特徴

2.現在までの検討状況
  2.1 RI廃棄物の処分量と放射能濃度
    (1)廃棄物処分量の試算
    (2)廃棄物中の放射能濃度

  2.2 RI廃棄物処分方策の検討状況
    (1)検討すべき問題点
    (2)検討状況
      a)前処理
      b)廃棄体確認技術
      c)埋設処分の具体的方法

3.今後更に検討をすべき事項




1.RI・研究所等廃棄物の特徴

●RI廃棄物
1)発生事業所の形態が多様であるとともに、焼却が可能な固体廃棄物が発生量の約7割を占める。
2)含有放射性核種は多種多様であるが、廃棄物中の放射能濃度は低いものが多い。特に医療機関から発生する廃棄物に含まれる放射性核種の大部分は、半減期が数分から数十日と短寿命である。
3)医療機関や一部の事業所からは、生物学的及び化学的な特性に対する考慮が必要な廃棄物も含まれており、処理処分における配慮が必要。

●研究所等廃棄物
1)種々の研究で発生するものが多いため、発生形態が多様である。
 また、試験研究炉の運転に伴う廃棄物も発生(性状は、発電所廃棄物と同 様な廃液や固体状廃棄物)。

 なお、RI・研究所等廃棄物の処理処分方策を検討するにあたり、各廃棄物の発生状況とその特徴について整理を行った。ここでは、六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターに埋設が行われている発電所廃棄物(放射能濃度の低いもの)及び使用済燃料の再処理工程より発生する高レベル放射性廃棄物との比較を行い、表1にまとめた。

2.現在までの検討状況

 RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理処分に係わる技術的事項及び制度的事項のうち、RI廃棄物の処理処分に係わる技術的事項について検討を進めている。

2.1 RI廃棄物の処分量と放射能濃度

 RI廃棄物の処分方策の検討にあたっては、1)廃棄物の処分量、2)放射能濃度に関して整理を行った。

(1)廃棄物処分量の試算
 処分対象となる廃棄物の量を、今後も放射性核種の利用が現状程度継続されると仮定して試算した。その結果、今後50年間での廃棄物量としては、200Lドラム缶換算で約17万本(セメント固化体を仮定)、今後100年で約30万本(セメント固化体を仮定)と試算。

(2)廃棄物中の放射能濃度
 RI廃棄物中に含有される放射性核種のうち、放射線被ばくの観点から重要な核種は、90Sr(半減期:28.6年)、137Cs(半減期:30.1年)、60Co(半減期:5.3年)、63Ni(半減期:100年)、14C(半減期:5730年)、H(半減期:12.3年)等である。

 
 RI廃棄物中のこれらの放射性核種の平均放射能濃度は、発電所廃棄物(放射能濃度の低いもの)と比較すると、主要な放射性核種である60Coの場合で約200分の1程度である。但し、個々の廃棄物中の放射能濃度は、幅広い分布を有する(図1(1)参照)。

2.2 RI廃棄物処分方策の検討状況

(1)検討すべき問題点
 主要な責任主体の検討結果によれば、以下の点が指摘されている。

 a)前処理方法
  廃棄物の処理に当たっては、減容性を十分考慮することと、放射性核種の閉じ込め性能を十分有することが必要。
また、医療機関等からは、生物学的及び化学的な特性を考慮すべき廃棄物も発生するため、このような廃棄物にしても安全性が確保できるような処理方法について配慮が必要。

 b)廃棄体確認技術
  RI廃棄物中においては、純β−放出核種、α放出核種のような外部からの放射線測定による放射能濃度を確認することが難しい放射性核種を含む廃棄物が発生。RI廃棄物においては、このような難測定核種の組成比が廃棄物毎に一定でないため、RI廃棄物中の放射能濃度を確認する考え方についての検討が必要。

 c)埋設処分の具体的方法
  RI廃棄物の処分に関する基準の整備等に向けた具体的な処分概念として、廃棄物中の放射性核種の種類と放射能濃度を考慮した合理的な処分方法の検討が必要。
  また、生物学的及び化学的な特性を考慮すべき廃棄物については、産業廃棄物における埋設処分の考え方を参考とした検討が必要。

(2)検討状況

a)前処理

 RI廃棄物は、医療機関から発生する廃棄物のように、半減期が短い放射性核種のみを含む廃棄物も多く発生することから(図1(2)参照)、廃棄物の性状及び含有される放射性核種を考慮した分別管理を行うことが重要である。
 廃棄物の減容及び安定化の観点からは、焼却処理等のように減容性が高い処理を行うことが必要。放射性核種の閉じ込めの観点からは、セメント等の固型化剤を用いた固型化が必要。また、研究開発の状況を勘案し、より減容性の高い溶融固化についても検討。
 また、生物学的及び化学的な特性を考慮すべき廃棄物も含有されるため、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく処理方法も含め検討した結果、既存の低レベル放射性廃棄物や産業廃棄物の処理として実施されている技術の組み合わせにより対処が可能。

b)廃棄体確認技術

 廃棄物中の放射性核種の種類及び放射能濃度の確認の考え方としては、廃棄物の特性を十分考慮して、非破壊測定や廃棄物中の試料の一部を採取して確認する方法等を組み合わせることが必要。

c)埋設処分の具体的方法

 「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」におけるRI廃棄物の処分の考え方としては、

i) 放射能濃度の減衰に応じて段階的に管理を軽減する浅地中処分
ii) 簡易な方法による浅地中処分
iii)半減期が極めて短い核種のみを含むRI廃棄物については、段階管理を伴わない簡易な方法による浅地中処分

が挙げられている。
 これらの3種類の考え方に則り、RI廃棄物の処分概念の検討として、それぞれ対象となる廃棄物の種類、量、放射能濃度等に関する整理を行い、発電所廃棄物で検討された処分概念を参考として検討を実施。

 具体的な処分場概念の検討としては、以下のような処分概念について検討を実施している。対象となる廃棄物の種類と想定される廃棄物の割合を表2に示し、処分場概念の検討例として処分場に必要な要件を示した図を図2、3、4に示す。

1) 放射能濃度の低いRI廃棄物を対象とし、既存の発電所廃棄物(放射能濃度の低いもの)を参考としたコンクリートピット処分場(図2参考)。
  コンクリートピットにより地下水等の流出入を遮断し、放射性物質の環境中への移行を十分に抑えた構造となるもの。
   対象廃棄物は、全廃棄物量の5%程度と推定。

2) 放射能濃度が極めて低い放射性廃棄物において、可燃性廃棄物等を焼却等の後に残る焼却灰・焼却残渣を固型化したものを対象としたトレンチ処分場(図3参考)。
   ここでは、生物学的及び化学的な特性を考慮すべき廃棄物も含有されるため、産業廃棄物での処分概念を規定した「廃棄物の処理と清掃に関する法律」で示されている管理型処分場の考え方を考慮。焼却灰等からの重金属類の溶出性を十分抑えるとともに、環境中への流出を防ぐ措置を施すため、遮水性を有する簡易な人工構造物(遮水工)を設置したもの。
(「廃棄物処理法」で規定された管理型処分場を参考(表3参考))
  対象廃棄物は、全廃棄物物量の80%以上と推定。

3) 放射能濃度が極めて低い放射性廃棄物のうち、物理的・化学的に安定な(重金属や有機性の有害物質を含まない)コンクリート等廃棄物を対象とした人工構造物を設置しないトレンチ処分場(図4を参考)。埋設対象物は、固型化を要しないもの。
  対象廃棄物は、全体廃棄物量の10%程度と推定。

3.今後更に検討をすべき事項

○研究所等廃棄物の処分方策
 研究所等廃棄物の今後50年間での発生量を表4に示す。
 平成6年の原子力長期計画においては、
「研究所等廃棄物は可能な限り分別管理を実施し、発電所廃棄物、サイクル廃棄物、RI廃棄物に該当するものは各々の処分方策に準じて処分を行うことを基本とする。」とされており、発電所廃棄物等の処分方法を参考とした研究所等廃棄物の処分方策の検討。

○事業化に関する基本的な事項(実施スケジュール、実施体制、資金確保等)