資料(専)10-2


放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物の処理処分に関する審議について


1.現在までの経緯
 原子力発電所等において発生する低レベル放射性廃棄物のうち、炉内構造物、制御棒等の放射能濃度の高いものの処理処分方策及び放射性廃棄物として扱う必要のない廃棄物の区分値(クリアランスレベル)については、現在、制度が確立されておらず今後検討が必要である。
 放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物については、放射性廃棄物対策専門部会報告(昭和60年)において「具体的な処分方策については(中略)今後更に調査検討を進めていく必要がある」とされ、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(原子力長計、平成6年)においても「発生の実態、関連する研究開発等の進展状況等を考慮しながら、合理的な処理処分が安全に行われるよう引き続き検討を進めていく」とされている。
 また、クリアランスレベルの設定については、放射性廃棄物対策専門部会中間報告(昭和59年)において「放射性廃棄物と放射性廃棄物として扱う必要のないものを区分する一般区分値の概念」として提示されたことを受け、放射性廃棄物安全規制専門部会において検討が行われ、昭和62年の中間報告において「引き続き調査審議を続けていく」とされたものである。また、原子力長計においては、放射性廃棄物処理処分に係る基本的考え方として「規制除外・規制免除についても国際動向を踏まえ適切に対処する」との考え方が示されている。

2.現状
 昨年6月、日本原子力発電(株)東海発電所が平成10年3月末を目途に運転を終了することが発表されており、今後、廃止措置に伴って、炉内構造物等の放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物が発生する。運転中の原子力発電施設においても、制御棒等の放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物が発生しているが、現在は施設内に保管されている。
 また、クリアランスレベルを下回り、放射性廃棄物として扱う必要のない廃棄物についても廃止措置に伴って発生するが、同様の廃棄物は運転中にも発生している。
 一方、関係機関において、当該廃棄物の発生形態、放射能レベル、発生量等の基礎情報の整理、輸送方法や処理方法についての検討、廃棄体及び処分施設に関する検討等が進んでいる。

3.今後の進め方
 放射能濃度の高い低レベル放射性廃棄物に関しては、廃棄体及び処分の概念、処分場の管理のあり方等について検討し、処理処分方策を取りまとめることが求められており、本専門部会において審議に着手する。
 なお、クリアランスレベルの設定については、原子力安全委員会において、本日開催予定の第22回放射性廃棄物安全基準専門部会から審議を開始する予定である。