文部科学省における国際協力について
平成13年8月31日
文 部 科 学 省
- 文部科学省においては、原子力長期計画を踏まえ、原子力に関する国際協力を積極的に展開。主なものは以下のとおり。
1.欧米諸国との協力
我が国は米、英、仏、加、豪、中との間で、原子力協力の内容や原子力資機材の移転に伴う平和利用等の担保等を規定する二国間協定を締結。当省は、原子炉等規制法の運用等により、これらの協定による義務を国内的に履行しているほか、協定に基づく各種の協力を実施。
日加原子力協力協定 1960年締結、1980年改正 日仏原子力協力協定 1972年締結、1990年改正 日豪原子力協力協定 1982年締結(旧協定は1972年締結) 日中原子力協力協定 1986年締結 日米原子力協力協定 1988年締結(旧協定は1968年締結、1973年改正) 日英原子力協力協定 1998年締結(旧協定は1968年締結) (1)高速増殖炉関連技術に関する国際協力
- 我が国は、仏、露と高速炉分野での国際協力を行うため、当省とフランス原子力庁(CEA)およびロシア原子力省(MINATOM)との間で個別に、高速増殖炉に関する専門家会合を随時開催して研究協力を推進。これら政府間の協力の他、核燃料サイクル開発機構(JNC)は、米国エネルギー省(DOE)、カナダ原子力公社(AECL)、英国原子力燃料会社(BNFL)等の省庁および研究機関等と協定を結び、研究協力を実施。
- (2)革新的原子力システムの開発に関する取組(別紙1)
- 米国を中心として持続可能性/安全性/経済性の高い次世代炉の検討のための国際フォーラム(Generation W International Forum:GIF)が形成され、我が国も積極的に検討に参加。また、IAEAにおいても同様のプロジェクトが推進されており、その動向をフォロー。
2.近隣アジア諸国との協力
(1)アジア原子力協力フォーラム(FNCA:Forum for Nuclear Cooperation in Asia)に おける協力 (別紙2)
- 原子力委員会の主催によるアジア地域原子力協力推進のための枠組みで以下により構成。
- 分野別地域協力活動(現在7分野)
- 大臣級参加者による政策対話を中心としたFNCA本会合
- 協力活動の調整・とりまとめを行うコーディネーター会合
- 当省は、原子力委員会との連携の下、本枠組みの下で行われる7つの分野における協力活動を実施
協力分野: 研究炉利用、放射性廃棄物管理、放射線及び放射性同位元素の医学利用、放射線及び放射線同位元素の農業利用、原子力広報、原子力安全文化、人材養成 - 参加国:オーストラリア、中国、インドネシア、日本、韓国、マレイシア、フィリピン、タイ、ヴィエトナム(9カ国)
- (2)原子力に関する人材交流
- 当省は、アジア諸国における原子力の健全な発展に資するため、研究交流や研修事業による人材交流を積極的に実施。具体的には、アジア地域の研究者の招へいや我が国の研究者の派遣による研究交流、原子力安全に関する研修事業等を実施。
※2000年度実績
招へい:のべ156人(計9カ国)、派遣:のべ72人(計7カ国)
- (3)RCAを通じた協力
- IAEAの支援の下、「原子力科学技術に関する研究、開発および訓練のための地域協力協定」(RCA)の締約国(アジア・太平洋地域の17カ国が参加)として、RI・放射線の工業利用、核医学および放射線防護等の地域協力プロジェクトに所管法人等を通じて参画。
- 3.旧ソ連、中東欧諸国のとの協力
(1)解体核兵器から生じるプルトニウムの処理処分 (別紙3)
- 米ロ間における核軍縮の進展に伴い発生したロシアの余剰兵器プルトニウム処理処分について、我が国は原子力平和利用を通じ培った技術を活用して、核軍縮・核不拡散に貢献する観点からG8による検討に参加。
我が国(核燃料サイクル開発機構)は、ロシアの余剰兵器プルトニウムを用いて燃料を製造し、ロシアの高速炉で燃焼させる計画を提案し、計画実現に向けた準備のためロシアの研究機関と研究協力を実施。
- (2)原子力安全に関する支援
○国際チェルノブイリセンター(ICC)を通じた支援- 事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所の諸問題を科学的、技術的に支援するため、@事故施設の安全状態への転換技術、A事故施設の除染及び廃止措置技術、B放射能汚染環境の回復技術の各分野において、ICC(チェルノブイリ関連の諸問題の解決のためにウクライナに設置された国際的な研究開発センター)の活動に参加。
- ○原子力に関する人材交流
- 旧ソ連・中東欧諸国の原子力技術者・研究者等を我が国に招へいし、原子力安全に係る研修を行うとともに、当該諸国に我が国の専門家を派遣し、原子力安全や放射線利用等の分野における技術交流を実施。
※2000年度実績
招へい:のべ32人(計9カ国)、派遣:のべ10人(計4カ国)
- 4.国際機関との協力
(1)国際原子力機関(IAEA: 加盟国132ヶ国)
- 当省は、IAEAの果たす役割の重要性に鑑み、財政的、人的な貢献を実施。原子力平和利用のための保障措置について、IAEAにおける保障措置の強化・効率化に関する検討に積極的に参画するとともに、専門家の派遣や対IAEA保障措置支援計画(サポートプログラム)を通じてIAEAとの協力を実施。
また、原子力安全、広報などの分野においても、特別拠出金の拠出や専門家の派遣等により協力を実施。
- (2)経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA: 加盟国27ヶ国)
- OECD/NEAにおいては、原子力科学、放射線防護、原子力施設安全などの分野における検討に積極的に参加。また、原子力研究開発に必要な各種核データ等の収集・提供等を実施しているデータバンク事業に参加。
- 5.核融合研究開発に関する国際協力
- エネルギー研究開発等に関する日米協力協定下で実施されている日米核融合協力をはじめとして、欧米諸国との協力を実施。
また、国際熱核融合実験炉(ITER)計画については、日本、EU、ロシアの3極により推進(1999年までは米国も参加)。
(別紙1)第4世代原子力システムの開発に係る取組について 1.概 要
- (1) 米国においては、1970年代から新規発注がない原子力発電について、温暖化ガス発生抑制、原子力技術力の維持・発展という観点からの施策の必要性が指摘され、1999年の提案公募による原子力研究イニシアティブ(NERI)の創設等の施策を展開。同時に、第4世代原子力システム(GENW)の開発を提唱。
※第4世代原子力システム:
- −第1世代(初期の原型炉的な炉)、第2世代(PWR、BWR、CANDU炉など)、第3世代(ABWR、AP600など)に続く原子力システム。2030年頃に実用化を念頭。
−具備すべき要件として、以下を提示。
・持続可能性(燃料の効率的利用、廃棄物の最小化と管理、核拡散抵抗性)
・安全性/信頼性(安全/信頼できる運転、敷地外緊急時対応の不要)
・経済性(ライフサイクルコストの優位性)(2) 2000年1月、米国エネルギー省(DOE)は、GENWに関するWSを我が国を含め9カ国(アルゼンチン、ブラジル、カナダ、仏、英、日、韓国、南ア、米)及びIAEA、NEAの参加を得て開催。その後累次専門家会合等の開催を経て、GENWに関する国際コミュニティ(GIF:GenerationW International Forum)の形成。我が国は7月13日、GIFの憲章(チャーター)に署名。
(3) また、DOEは、GENWの概念及びそのために必要なR&Dを同定するロードマップ(開発計画)の作成に着手。DOEはロードマップ作成のためのロードマップ統合チーム(Roadmap Integration Team: RIT)及びその下に4つの技術WG(水冷却炉、液体金属冷却炉、ガス冷却炉、その他の革新炉)や各分野の横断的事項を取り扱う横断的分野WG等を設置。DOEはこのような技術WGにGIF参加国からの専門家の参加を要請。我が国からも4つの技術WG、横断的分野WG等に専門家が参加。(ロードマップは2002年9月完成予定)
- 2.基本スタンス
我が国においては、高い経済性と安全性を持ち熱利用等の多様なエネルギー供給や原子炉利用の普及に適した革新的な原子炉が期待されており、国際的な協力のもとで、次世代原子炉に関する議論を深めることは、大変有意義。
このような観点から我が国としてもGIFへの参加を決定。研究開発を推進する当省としては、原研、サイクル機構等の専門家の参加を得て、次世代原子炉に関する議論に積極的に参加・貢献。
(別紙2)アジア原子力協力フォーラムの概要 1.概 要
(FNCA : Forum for Nuclear Cooperarion in Asia)
- 原子力委員会が、近隣アジアにおける地域協力の具体化に向けて意見交換・情報交換を行い、コンセンサスを得ることを目的として、平成2年より11年まで近隣アジア諸国の原子力関係者が一堂に会する「アジア地域原子力協力国際会議」を毎年開催した。平成12年より、これを「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」に改組し、政策対話と協力活動の連携を強化。
第1回FNCA本会合は、平成12年11月、タイ、バンコクにて開催。我が国からは大島科技庁長官が出席。原子力利用の推進、原子力安全及び原子力協力の推進につき大臣級で討議。(次回会合は、本年秋に日本で開催予定)
当省は、本枠組みの下で行われている@研究炉利用、A放射線の医学利用、B放射線の農業利用、C原子力広報、D放射性廃棄物管理、E人材養成、F原子力安全文化の各分野における協力活動を実施。
- 2.参加国
- オーストラリア、中国、インドネシア、日本、韓国、マレイシア、フィリピン、タイ、ヴィエトナム
- 3.地域協力活動概要(2001年3月、第2回コーディネーター会合での合意ベース)
![]()
(別紙3)ロシアの余剰兵器プルトニウム処理処分に係る 我が国は、ロシアの余剰兵器プルトニウムから燃料(振動充てん燃料)を製造しロシアの高速炉BN-600を用いて燃焼させる計画(BN-600オプション)を提案し。本オプションを実施するため、核燃料サイクル開発機構(JNC)はロシアの研究機関と研究協力を実施。この協力を通じて、JNCは、振動充てん燃料製造技術に係る知見を獲得するとともに、BN-600の炉心変更に伴う炉心・燃料設計及び安全評価に関する実機での経験を蓄積し、高速増殖炉及びこれに関連する核燃料サイクルの研究開発に反映する。
我が国の協力について注:振動充てん燃料(バイパック燃料)製造法
- 顆粒状の燃料を被覆管を機械振動させることにより稠密に充てんする燃料製造法。
- 従来のペレット燃料製造法に比べ工程数が少なく、経済性に優れる。
- ロシアの原子炉科学研究所(RIAR)では1960年代後半より開発。
○計画の概要
我が国は、BN-600オプションとして、以下の三つのフェーズ(段階)で進めていく構想を提案している。@フェーズ0(準備段階:1999年〜2003年)
- 本格的な余剰兵器プルトニウムの処分の準備のため各種実験を含む共同研究及び予備調査を実施。
- Aフェーズ1(BN-600部分MOX炉心化:2000年〜2007年)
- ロシアのMOXバイパック燃料製造施設の製造能力を増強(既設の改造)するとともに、BN-600炉心の約1/5のウラン燃料をバイパックMOX燃料で置き換え(部分MOX炉心化)、年間約0.3トンの余剰兵器プルトニウムを処分。
- Bフェーズ2(BN-600全MOX炉心化:2002年〜2020年)
- BN-600の全炉心を振動充てんMOX燃料で置き換え、年間約1.3トンの余剰兵器プルトニウム処分を実施する予定。
- (注)我が国(JNC)は、フェーズ2には研究開発要素がないことからコミットせず、G8で検討している処分計画の一部として実施されるよう提案している。