平成13年10月9日
加速器に関する現状と課題について
永宮 正治
(長計策定会議の議論)
@議論した加速器
- 放射光源:SPring-8は現在世界最先端加速器として稼働中。一方、第三世代と呼ばれる中型放射光施設の建設が諸外国でも進められており、我が国でもこのような基盤的研究施設は不足。充実の必要があろう。
- 中性子・中間子・ニュートリノ等の強力なビームを得る大強度陽子加速器は、長計では第三者評価の評価結果を重視するべきとの提案であったが、すでに予算化され、建設着手へと進みつつある。
- RIビーム加速器施設については、現在建設が進んでおり、早急な実験の開始が望まれる。
- 一般論としては、加速器計画は常に国際的競争状態に置かれている。技術主導の性質を持つことから、提案・評価後あまり時間をおかないで実現することが重要であり、適切な評価の結果を反映してできるだけ迅速に処理することが必要。
A研究の進め方
- 相互乗り入れ:応用研究と基礎研究の連携協力強化。研究活動の相互乗り入れやネットワーク化(国と民間、国内と国外、研究機関同士、等々)。
- 開拓型研究開発の重視:予期せぬ成果の奨励。競争的資金の導入。競争的な研究環境の創出。
- 適切な評価:評価の実施のみならず評価結果の適切な反映。評価の恒常化に向けて、評価組織の常設。等々。
- リーダーシップ:強いリーダーシップの確立の重視。リーダーシップを重要な評価基準の一つとする。将来リーダーとなる人材の育成、等。
- 人材育成の強化
- 技術の継承と発展の重要性
- 国際社会における日本:国際的分担・協力の整理。世界に発進できる日本の原子力科学技術の構築。
(準備会合における議論)
@加速器計画のフォローアップ
A加速器開発利用の在り方
- 長計で取り上げた大型加速器のチェックアンドレビュー
- SPring-8や HIMAC 等の既存のものは利用促進や成果の評価。
- 大強度陽子加速器やRIビームファクトリーのように建設段階のものは、計画の進捗状況・利用推進・等に関する評価。
- 中小型加速器の整理や対策
- 研究開発用加速器、医療用加速器、産業用加速器、等は利用推進に関する整理が必要。
- 長期的視点に立った加速器開発および利用の推進方策の検討と具体化
- 高エネルギー化に向かう加速器や大学付置の加速器をも含めて議論を行なうのか?
- 当面は長計で扱った加速器計画のチェックアンドレビューに徹し、次回の長計前には全国的な視野に立った議論を展開するのが順当ではないか?
- 重点化や方向づけのためには、コミュニティから意見を吸い上げる仕組みが必要。
- 省庁統合の効果を生かすため、旧文部省と旧科学技術庁がそれぞれ進めてきたプロジェクトの連携や相互乗り入れの促進。
B加速器にとどまらない検討事項
Cその他の疑問や議論
- 教育・人材開発
- 教育や人材開発は重要で、魅力ある加速器の将来展望を示すことが重要。
- 連携大学院にとどまらない研究者の交流。
- 競争的・黎明的資金の拡充
- 競争的資金は効果的であり、枠を拡大すべき。
- 分野毎の必要性をリストし、どのような競争的資金かを検討すべき。
- 黎明的研究にも予算枠が必要。
- 相互乗り入れや連携の促進
- 応用研究と基礎研究の連携の促進。
- 地方自治体と国立大学との連携の促進。
- 医療用陽子加速器の地方への設置展開。
- 情報発信
- 得られた成果の分かりやすい発信。
- 国際協力
- 国際協力は個々には各機関が実施している。しかし、これからの大型研究プロジェクトや大型加速器は、国際的分担や国際協力を十分に認識して立案・実施することが肝要。
(当面の検討事項と進め方)
- 本検討会が長計のフォローアップを主眼にするならば、日本全体の加速器開発の全体像はどこで議論するのか?
- 自由電子レーザー、重イオン慣性核融合、等の検討も必要なのでは?
- 加速器を作る側の人だけを委員に入れるのではなく、使う側の人も入れるべき。
- 整理の仕方としては、検討の視点としては10年程度を展望し、議論は当面の5年の具体化に重点を置いたらどうか?
@大型加速器計画のフォローアップ
- 長計で取り上げた大型加速器のチェックアンドレビューに関しては、実施主体、所管官庁の自己評価を踏まえつつ、本検討会が主体となって実施する。
- 建設中の大型加速器 (大強度陽子加速器やRIビームファクトリー) に関しては、適切な時期に中間評価を実施する。
- 医療用加速器等の中小型加速器については、設置状態や利用状態、さらに今後建設される加速器も含めた将来像に関して、整理と検討を行う。これらのデータを基に、中小型加速器の利用促進方法の検討を行う。
- 大学付置の加速器 (現在議論されている大きなものとしては中型放射光施設がある) や高エネルギー化をめざす加速器に関しては、所管官庁における十分な議論が必要。
- すべての議論は、全国的な視野に立って行うのみならず、国際社会の中の分担や競争も十分に考慮しながら実施する。
A長期的視野に立った加速器開発研究の進め方
- 当面は上記@に記述した項目の議論を中心とし、時期を見て、全日本を視野に入れつつ、長期的視野に立った加速器開発研究の進め方について議論を行う。また、個々の加速器を議論するにとどまらず、大型加速器計画を長期的に検討する仕組みを検討し提案する。
B加速器にとどまらない検討事項
- 教育・人材開発、競争的・黎明的資金の拡充、相互乗り入れや連携の促進、情報発信、国際協力、等はいずれの一つをとっても重要な課題である。また、これらの課題は、加速器に限らず他の分野においても重要な課題である。したがって、これらは横断的課題として研究開発専門部会全体あるいは他の全体的な部会で是非とも取り上げてほしい。ただし、加速器分野特有の課題抽出は、本検討会において議論することも考えられる。