革新型炉に関する現状と課題について

東京大学

岡 芳明


長計第4分科会における議論

  1. 次世代軽水炉の開発とともに革新的なエネルギーシステムの開発が重要
  2. 電力供給、エネルギー供給と立地の多様化。多くの国々への原子力エネルギー利用の普及
  3. 完全受動冷却の概念と関連技術、ガスタービンの採用や超臨界水冷却の利用、高転換炉心、超長寿命燃料、熱やエネルギーの新変換利用技術、核燃料サイクルの一体化、機器一体化や標準モジュールの工場生産
  4. 我が国が原子力利用のフロントランナーとして実績に基づく技術をもって国際協力を主導することが求められる


革新型炉とは?

  1. 何を目指すのか?


革新型炉の研究開発に求められる視点

  1. 経済性、市場性
  2. 電力以外のエネルギー利用
  3. 安全性
  4. 核燃料サイクル
  5. 国際性
  6. 競合技術や市場の変化
  7. エネルギーセキュリティ、環境負荷低減(地球環境問題、廃棄物)等
  8. 社会心理、非技術問題等を含めた俯瞰性


様々な意見と視点

経済性

  1. 大型軽水炉を大巾に上回る経済性、投資額低減
  2. 大型軽水炉と同等の経済性
  3. 少々高くてもエネルギーセキュリティなどに役立てばよい。


市場

  1. 国際的な炉のリプレースや新規立地に対応
  2. 国内のリプレースや新規立地に対応
  3. 人口の多い発展途上国
  4. 成長率の高い途上国地域
  5. 人口の少ない発展途上国


用途

  1. 発電用のみならず、1次エネルギー利用分野等へも
  2. 分散電源
  3. 暖冷房等の熱利用
  4. 海水淡水化
  5. リサイクルも含めた閉鎖系の発電所
  6. マイナーアクチニドの効率的燃焼


安全性

  1. 原子炉の安全確保の原理や安全設計の考え方は確立している。
    実績も素晴らしい。
  2. 炉心溶融事故時の公衆の緊急退避を不要とするのを目標とすべき
  3. 人と関わりの少ない安全性、安心感の得られる安全性を目標とすべき


出力規模

  1. 出力規模は用途や発電網によって決まるので本質的ではない
  2. 小型炉がよい
  3. 大型炉がよい


実用化モデル

  1. ベンチャビジネス型
  2. ロードマップ型
  3. スピンオフ型
  4. 他分野の開発や実用化成果の利用


開発モデル

  1. 分散協力型
  2. 一機関集中型
  3. プロジェクト型
  4. 国際協力型


炉型

  1. 軽水炉
  2. 超臨界圧軽水冷却炉(熱中性子炉、高速炉)
  3. 高温ガス炉
  4. ナトリウム冷却高速炉
  5. 軽水冷却高速炉
  6. ガス冷却高速炉
  7. 鉛ビスマス冷却高速炉
  8. 分散小型炉
燃料サイクル


国への期待

  1. 原子力(核分裂)研究開発の振興を科学研究振興とは異なる視点で、長期的な視野の国民経済振興、雇用創出やエネルギーセキュリティ面での原子力の振興
  2. 原子力インフラ(ハード、ソフト)の整備、改良、発展
     例 材料試験炉と照射後試験施設
       多様な選択を可能とするもの
  3. 特定の炉型の実験炉の建設運転
  4. 研究開発と実用化における適切な競争原理の導入とその条件整備
  5. 国際的に事業を展開するための支援の枠組み作り


民間への期待と注文

  1. 顧客を強く意識しすぎた研究開発からの脱却
  2. 社内ベンチャの育成、スペシャリストの育成
  3. 実用化と一体になった研究開発
    中期的研究開発の試行の支援
  4. 国際的な視点
  5. 民間活力の国の研究開発への反映


個人的意見

  1. 欧米の原子力先進国では新規発電所建設の経済性、投資性が厳しいのを正視すること。
  2. 原子力研究開発のパラダイムシフトが必要。従来型(ロードマップ的)の開発モデルは適当か?もの作りとしても新しいモデルもあるのでは。運転経験を反映した合理化も視点に。
  3. 自己目的化しないように。硬直性から脱却、実用化をより意識した開発
  4. 国際的にリードする視点が必要。従来は国内指向過ぎでは
  5. 短期的視野の民間と、長期的すぎる視野の研究開発機関のギャップをいかに埋めるか。
  6. 原子力の非技術問題(社会心理や安全の組織問題)を技術改良で解けると思わないこと。非技術問題に技術問題と同様に注力すること。