第3回核融合専門部会 議事録

1.日  時  平成14年7月12日(金)14:00〜16:00
2.場  所  中央合同庁舎第4号館 2階 共用第3特別会議室
3.出席者        
(原子力委員) 藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
(専門委員) 玉野輝雄参与、池田右二、伊藤早苗、伊藤正男、井上信幸、桂井誠、岸本浩、
五代富文、鈴木誠之、西川雅弘、松田慎三郎、宮健三、若谷誠宏(以上、敬称略)
(文部科学省) 大竹核融合開発室長
(内閣府) 鵜戸口参事官、榊原参事官、川口補佐
4.議  題
(1)ITER計画について
(2)核融合研究開発の加速促進について
(3)その他
5.配付資料
 資料融第3−1−1号 国際熱核融合実験炉(ITER)計画について(閣議了解)
 資料融第3−1−2号 ITER計画について
 資料融第3−1−3号 原子力委員会の当面の重要課題
 資料融第3−2−1号 核融合研究開発の加速促進について(技術WGにおける検討状況)
 資料融第3−3−1号 第2回核融合専門部会議事録
 参考資料 エネルギー需給及び代替エネルギーのフィージビリティーに関する検討報告書

6.議事内容

1)鵜戸口参事官より、資料融第3−1−1号に基づき、総合科学技術会議におけるITER計画の
審議結果及び閣議了解について説明がなされた。

2)大竹核融合開発室長より、資料融第3−1−2号に基づき、第4回政府間協議及び各国状況等に
 ついて説明がなされた。

3)本件に関し、以下の議論があった。

【若谷委員】  費用分担は経済規模を反映したものになるというのを非常に厳密に適用すると、何となく経済分担で、総額がわかれば幾ら分担するかが決まってしまうというような感じに受け取れる。多分そういうものではないと思うので、その辺、ある程度の融通、幅の範囲内で議論されていると思うのだが、それが1点。もう一つは、例えばアメリカがこれに復帰してきたときも、この原則が適用される予定なのか。

【大竹室長】  これは1つの交渉であるため、今ここで「こう考えておりまして、ここまでこうなります」ということはなかなか申し上げられないが、やはり閣議での各大臣のお話をこのITERに限らず伺っていると、現下の経済情勢であれば、日本がなかなか欧米とは対等には費用を出しにくいということは言われているようだ。
 それから、一体全体どこまで適用するのかというのも、アメリカがまだ入ってこない前に、アメリカがどうこうとここで言うのは、いろいろな意味でアメリカに先入観を与えるので言いたくないということもある。ただ、基本的には、やはりITERを誘致しようという国というのは、それなりに核融合に対する熱意なり取り組みの本腰というのがあるわけだから、まずそういう誘致をしようという国々の間で、こういうことはきちんと考えるのではないか。

【桂井委員】  閣議了解の資料の中に、「立地促進のために・・」とか「公共事業について・・」というような予算のことが書いてある。ITERは5,000億円というふうに言われているが、それ以外にインフラ整備に公共事業というのが関係するのでこれが書かれていると思う。この費用というのは誘致国が自分で負担するのか。あるいは、これも国際的に分担するのか。

【大竹室長】  ITERに関しては、本体建設費のほかに、サイトにITERを建設できる段階まで持っていくサイト整備というものが想定されている。このサイト整備費についてはホスト国負担、要するにサイトする国の負担となっている。
 なお、今、先生がお読みになった部分をもうちょっとはっきり説明すると、1.の「ITERの建設・運転等に対し立地促進等の特段の財政措置は講じないこと」というのは、いわゆる原子力発電所とか核燃料サイクル工場のように特別会計でやっているものは立地交付金というものを出していて、それでいろいろな地元の利便に供している部分があるのだが、ITERに関しては、段階としてはまだ実験炉ということで、現実的に給電系統に電力を供給するような計画はまだないわけである。したがって、これについては、特別会計から出すような立地促進の交付金は手当てしないということを意味する。
 それから、2番目のITERの関連公共事業の部分だが、実はこれは、例えばオリンピックであるとかを招致するときのある程度の決まり文句であって、オリンピックを招致するような場所に関しては特別に公共事業を割り増ししているが、ITERでは乗せない。公共事業というのは、各県なり何なりで計画を持っている。したがって、ITERを理由にして新しく積み増しはしないということは、逆に言えば、地方公共団体に対しては、ITERを誘致するに当たっては、これは先ほどのサイト整備費のもうちょっと外側になるのだが、例えば特にITERの周りで必要な道路を整備するとか、そういうものについては既存の公共事業の優先度を見直すなりして対応してくださいということ。だから、逆に言えば、日本に誘致するからといって、公共事業が従来より5割増すというようなことは避けていると、こういう表現である。

【遠藤部会長】  つぎに、先月ヨーロッパで開かれた国際会議(ヨーロッパ物理会議)に出席された伊藤早苗委員から、ITERに関して、その会議に出席しておられた他の各国の人からお話を承ったと聞いているので、差し支えない範囲でご報告をお願いしたい。

【伊藤早苗委員】  これは、ITERの政府間交渉の後のいろいろなうわさの話である。まず最初に、事の発端は、アメリカのMITの教授であって大統領府とか官僚に非常にチャンネルの太い方から、「六ヶ所村に誘致しているということは、日本が本気じゃないとアメリカの政府高官たちは思っている。そのことをちゃんと伝えろ」というようなメッセージを私の方に出してきた。最初は「どうして六ヶ所村なのか」と言うから、私は「いろいろ調査をして、エコノポリティカル・リーズンで決まったのだ」と答えておいたが、いずれにせよ、そういううわさ話があるというので、レファレンスをいろいろとりまくった。ヨーロッパ人及び他のアメリカ人のディレクター級の人たちがどのように考え、それからどの程度周りの人たちが思っているか。これらの人たちは、いわゆるアリストクラットだから、物事を決定する人たちで力のある人たちだったので、そういう方々にまず聞いたところ、大体「some」という言い方をするのだけれども、「some of them」と言うので、ほとんど全員ではないのだが、大部分というか半分以上が、「六ヶ所村を候補として提案しているのは、やはり日本が本気で誘致する気はないのだろう」というメッセージだと受け取っているということだった。「いや、本気だ」とは申し上げたけれども、例えば、日本の外交的な手練手管の1つであるならば、それはわからないので、そこについては何も言わなかった。いずれにせよ、そういうような風評が立っているということは、説明責任というか、六ヶ所村が選ばれて本気で推しているのに、どうしてそういうふうにとられてしまうのか、やはり広くそういうことが知られていないということを強く危惧した。アメリカの所長級数人と、それからEFDAのトップの方も、皆さん、そのような考えでいらっしゃるので、それほど奇異な考え方ではないと思われる。
 また、ヨーロッパだけじゃまずいと思い、アメリカにもう一度戻って、別の所長級の方のレファレンスをとると、やはり同じようなレスポンスが出たので、随分そういうふうに思われているということで非常にびっくりした。その人はさる所長で、マーバーガーに非常に近い人なので、「例えばあなたが政治家から、研究がしたいのだったら場所を選ぶかと言われたらどうするか」と聞くと、「うん、わかった」と言って、やはりアメリカでもさる科学研究施設に関して、MITとキャルテックが立とうとしたときに、結局政治家が最終的にアリゾナとフロリダだったかに落としたという、東と西じゃなくて南と北、そういうようなことがあるわけだから、そういうエコノポリティカル・リーズンということは理解してもらえるのだが、そこら辺のところの説明がしっかりしていないということが非常に危惧されるというのが、まず全体、大体七、八人程度のトップレベルの方々とのディスカッションでわかった。やはり誘致理由の説明とか、技術的・経済的、その他バックグラウンドの説明が不十分であるということを非常に痛感した。この問題についてはこれからの努力で克服できることだろうと思うので、その旨お伝えしたいと思い、ここで報告申し上げた。
それからもう一つ、先ほどの大竹室長の、アメリカが入ってくるのでどうかという件について、また、これは消息通というか、やはり強いポジションにいる友人の話によれば、科学者だから、皆さん、ITERに戻りたいという気持ちが非常に強い。政府というか、官僚へのその方向への働きかけも強い。「(分担する費用は)何%か」と聞いて、「10%だろう」と言ったら「そうだ」と言っていた。やはり一番発言力をマキシマイズするためには、日本の出すお金とヨーロッパのマキシマムとを考慮し、それで一番効率良く声が強く出せるのは大体10%ぐらいだと算定されるので、やはり「10%だろう」と言ったら「うん、そのとおりだ」と言っていた。これはうわさ話として聞いていただければと思うが、そういうようなことも伺っている。

【遠藤部会長】  それに関連して、私からも一言だけお話ししたいと思う。私自身、先週、ロシアのベリコフ、これはITERのロシア代表であるわけで、ご承知のとおり、このITERそのものを言い出したレーガン・ゴルバチョフ会談のときのゴルバチョフの黒幕というか、後ろにあった人であって、エリツィン、それからプーチンと生き延びてきておる、大変な能力がある人である。そのベリコフさんがたまたま日本に来た。来たのは、もうこれは全然別の案件で、2010年の万博のロシア招致の話だそうなのだけれども、この機会に、これは全く政府レベルの話ではなくて、日露ラウンドテーブルという全く別の場でベリコフさんからITERの話を聞いたわけである。というのは、やはり今出ている3極のうちで、サイトを提案していないのはロシアだけだ。したがって、ある意味でロシアがキャスティングボートを握っているというのは言い過ぎかもしれないが、相当に、いわゆる中立な立場で発言できるということであるので、ロシアのベリコフさんに対して一種の陳情みたいなことになってしまったが、話し合いをした。
 そんなに大きな会議ではなく、今のこの会議の半分ぐらいだったが、たまたまそこに来ていたのは、前の総理の森さん、それから尾身大臣、それからあと二、三人国会議員が来ていた。それからあと民間の人というぐあいで、私が役人と言えるのかどうかわからないが、半ば政府は私1人であった。ITERについて、ベリコフの言ったことは幾つかあるが、これは後で申し上げるように、相当に彼の発言は外交辞令があるということを割り引かなければいけないので、全部そのまま「そうだ、そうだ」と思うのは非常に問題なのだけれども、1つは、日本の核融合に関する科学技術の力は非常に高いということ。それから、そこに青森県の木村知事も来ていた。ちなみにベリコフは、六ヶ所村にはもう別の件で行ったことがあるそうだ。それで、日本の核融合に関する力は非常に高い。それから、こういったような物を支える産業能力も非常に高い。かつ六ヶ所村について言えば、海から近いということを盛んに言っていた。私は、カダラッシュはともかくとして、バンデロスというのは海の近くだと思ったが、彼はそれはどうして言わなかったのかわからないが、カダラッシュは海から離れている、それから、カナダのクラリントンは、川は別として海から離れている。したがって、海から近いので日本の六ヶ所というのは非常にいいということを言っていたが、これはさっき申し上げたような外交辞令を相当入れて考えなければいけないと思う。
 それから、あわせて幾つか言っていたが、あと1つは、サイトの国と所長は違うということ。つまり、サイトの国は所長をとれないということで、これは、おそらくロシア人を所長に送り込みたいという意向なのかどうか、私はそうじゃないかなとも勘繰りながら聞いていたわけだが、彼の言ったことは、サイトの国は所長をとれないということ。それが1つ。
 もう一つは、先ほど大竹室長から説明があったファーストトラックの件で、これについては非常に前向きな発言をしていた。したがって、これは本日どこかで議論することになるだろうと思うが、やはり日本としては、余り態度を明らかにせずに物事がどんどん進んでいくのは決していいことではないので、どういう態度で臨むかということは、やはり余り遅滞なく考えるべきではないか。
 以上、申し上げたのがベリコフとの会談だが、伊藤先生のコメントはその通りというか、そういうことなので、我々としては、さはさりながら、一たん出した以上は「討ちて死やまん」ではなくて「勝ってくるぞ」ということで、やはり勝たなければいけない。勝つように全力投球しなければいけない。そのためには、今度は何をすべきか。これは、1つには政府にお願いすること、あるいは政府がやることと、それからもう一つは、ここにおられる委員の先生方のような専門家が、機会をとらえて、適当な機会があれば、「こうだよ。これはいいんだぞ」ということを言っていただかざるを得ないのではないか。そこら辺もできたらどこかであわせてご議論いただければと思う。

【玉野参与】  六ヶ所村だということは日本が本気でないというふうに受けとめられているという、その理由について、伊藤先生はどういうふうに理解されたか。

【伊藤早苗委員】  理由というか、いわゆるどうして那珂にならないのかという、そういう言い方であった。

【玉野参与】  お伺いしたいのは、話をされた人たちが、那珂ならよくて六ヶ所村なら疑問があるというのは、どういう理由でそういう印象を持たれるのか、お聞きになられたか。

【伊藤早苗委員】  普通の科学者の場合には、「おまえがそこで本当にやれるのか」というような、利便とか、そういうところがあるみたいだった。これだけではないが、例えば、ちゃんと評価してポイントをつけたのだと説明したが、普通の評価の場合、那珂と六ヶ所村があったときに、一般的にそこで研究をしようとしたり何か研究を立ち上げようとしたとき、那珂の方がポイントが高いだろうという思い込みみたいなものが相当ある。
あと、例えばインフラだとか研究者の居心地とか、そういうものに対する評価が、機械がつくれるとかサイトがちゃんとつくれるとかいうことのほかに重要視される。研究が滞りなく遂行できる、うまくできるということのために人材を投入するのだから、その人材がうまく研究に励むための、それに対する評価について、多分そういう立地を評価する際、日本の場合には余り重視されなかったのかどうか、これはよくわからない。そこら辺の問題が随分、彼らの評価基準の中に入っているように受けとめた。

【大竹室長】  貴重な情報に感謝する。実は我々は、既に文部科学省と青森県と原研で、いろいろ、これからどうやっていくかということで協議会も開いているが、ざっくばらんに言うと、核分裂の方々においては、六ヶ所村というのは核燃料サイクル基地があるということで非常に周知されており、外国の方も知っているし、何人も行っておられる。ところが、核融合のコミュニティーの方というのは、多分言っておられる外国の先生も日本国内の先生も、六ヶ所に行ったことがないのではないかと思う。
 どうも科学者の先生方というのは、未知のものに対して非常に積極的に取り組むのかと思うと、科学以外のところは非常に消極的な側面もあると私も理解している。実はそういうこともあるので、いずれにせよ、内外の専門家を集め、青森県でシンポジウムを開くことも考えている。その際、六ヶ所を見ていただく、これが1つ。
 それから、やはり先ほど申し上げた技術評価というのは、これは中立にやっていただこうと思っていいる。私も職務柄、やっておって、完全な専門家ではないが、ただ、クラリントンは実は来週訪れるチャンスがあるけれども、バンデロスとカダラッシュを実際見てきて、全くの素人から見ると、そんなにいいところだとどっちも思わないわけである。近所に保養地があるとか、そういうのは非常にいいのだが、この間開いたカダラッシュの会議というのは、フランス人のオーガナイズする会議というのは、大体基本的に絶望的なほどディスオーガナイズであって、ちゃんと英語のできる人は仕事ができなくて、仕事ができる人はフランス語しか話せないのではないかと思われるようなオーガナイゼーションだった。実際、ここでヨーロッパ人がこんなオーガナイズをするということは、フランスはカダラッシュにITERを持ってきたくないという意思表示じゃないかという議論が出たぐらい事務手続の悪いところであった。そういうこともあり、技術的に評価すると、そう差は出ないのではないかということがある。
 やはりあとは、コストの問題というのが非常に大きい。先ほどもちょっと申し上げたが、やはり各国とも最終的にITERの低レベル廃棄物が大量に出るわけだが、これをどう処分するかという議論になった。これについては、各極が運転期間中に積み立てることになっているのだが、このコストの見積もりをやっていると、多分フランスもスペインも、サイト候補地と最終処分地(スペインは最終処分地が決まっているが、フランスはどこで処分するのか知らない)が、いずれにしても離れており、コストはかなり膨大なものになるだろう。ところが、六ヶ所のように、やはりちょっと角を曲がったところに最終処分地があるというのは、これは全然条件が違うわけである。そこで処分することが可能かどうかはこれからの交渉というか、国内での段取りづけになるわけだが、そこのところは、いろいろな意味で技術的な観点ではかなりメリットになると思っている。
 いずれにせよ、核融合の内外のコミュニティーに六ヶ所村というのは馴染みがなかったということは厳然たる事実であるので、我々としても、そこのところはよく周知をし、特に核融合の国内の先生方にもぜひ一度訪れていただくことをお願いして、まず中側がそうだと思わないと、外側でも外交交渉で足をすくわれたりするので、そこはよろしくお願いしたい。

【桂井委員】  全く大竹室長のおっしゃるとおりで、今朝もちょっとアメリカからの旧友と会っていたら、六ヶ所に関しては、要は知名度の問題だということで、これから六ヶ所に関する知名度を上げていただければ問題ないのではないかと私は感じた。
 それから、我々が大いにPRしろということであるから、ぜひ私も見学させていただきたいので、
一度そういう機会をつくっていただければと思っている。名前は大変よく知っている場所であるが。

【遠藤部会長】  それでは、大竹室長、そのうち、お考えいただきたい。

【大竹室長】  了解した。ちょっと考えさせていただく。

【岸本委員】  ほとんどの日本の核融合の技術者が六ヶ所に行かれたことがない。私は別の件で行ったことがあるのだが、百聞は一見にしかずということであるから、やはりビジットすることが一番大事である。国内の研究者だけでなく外国の方も含めてということだと思う。

【遠藤部会長】  今のお話のように、仮に現在の状況として伊藤先生の言うようなことがある程度あるとしても、どうやってこれを克服できるかということになるので、それはどういうふうにしていったらいいんだというご意見があれば、是非お聞きしたい。

【伊藤早苗委員】  今、そのことで思い出したが、私はもらってこなかったけれども、ヨーロッパ物理会議で、ITERの誘致に関してカダラッシュがリーフレットを数冊用意し、サイト誘致のためにみんなに配りまくっていた。そういう広報活動みたいなことも、我々はしていなかったが、1つの方法かと思う。

【桂井委員】  今のに関連して、ソレントの国際会議のときには、既にカダラッシュとか、PRが随分盛んだった。したがって、10月にリヨンであるわけだから、ぜひそこに六ヶ所村のPRブースを設ければよろしいのではないかと思う。

【遠藤部会長】  それはIAEAの会議か。

【桂井委員】  その通り。

【大竹室長】  実はIAEAの会議に関しては、ITER全体でITERイブニングセッションをひとつ設けようということになっている。日本の研究者も行くので、その周辺で配れるように、その頃までには必要な資料を準備したい。それから、先ほどご説明したように、10月に政府間協議が青森にくる。また、そのサブグループというものも、10月上旬ぐらいに部課長クラスが来るので、そういうところも含め、全体にターゲットを合わせて、おっしゃるような、まさに広報素材を準備したい。  
実は今、技術的なドキュメントについては、サイト提案書というのを既に原研と共同でつくっている。これは非常に技術的なデータがぎっちり詰まっているものだが、そういうものの中からわかりやすく抜き出したい。
それから、実際、カダラッシュの政府間協議では、六ヶ所村の生活周りとか、いろいろな技術的なアウトラインについて、地盤がしっかりしているとか、保安がいいというようなメリットの説明をした。そこは非常によく受け入れられていると思う。そういうものも含め、ちょっと工夫をして、夏休み明けぐらいにはいろいろなものが配れるようにしたいと考えている。

【遠藤部会長】  本件は、今後とも先生方におかれても、何か機会があったらぜひPAをしていただきたいということをお願いし、この専門部会としても、今後どうやったら一番いいのか、お手伝いをどうやってできるかを考えていきたいと思うので、よろしくお願いしたい。

4)原子力委員会における今後のITER計画に対する取組みについて、遠藤部会長より、
資料融第3−1−3号に基づき、説明がなされた。

5)本件に関し、以下の質疑応答があった。

【桂井委員】  こういう文書を読むとき、「原子力」という言葉は核分裂という意味にとるのか、それとも核融合も含むととるのか。

【遠藤部会長】  全部含めていいのではないか。核融合ばかりではなくて、いわゆる広い意味での原子力関係というふうにおとりいただいた方がいいと思う。

【桂井委員】  それでは、核分裂炉固有の問題は、きちんと核分裂炉というふうに書くのか。

【遠藤部会長】 そういうことだ。

6)玉野参与より、資料融第3−2−1号に基づき、技術ワーキンググループにおける検討状況について説明がなされた。
                            
7)本件に関し、以下の議論があった。

【遠藤部会長】  私自身、これらの技術には全く素人であるが、これを考るときに、これをよく言っているイギリスのキングさんにしろ、さっき申し上げたロシアのベリコフさんにしろ、一体お金がどのぐらいかかって、これは一体だれが出すのだろうというようなことは全くだれも言わない。そういったことも私は頭に描きながら、どういうふうにこれに日本として対応していったらいいのかということを常に疑問に思う。
 私が玉野参与と少しだけ違うのは、確かにだれかから「おまえ、日本はどうするんだ」ということを聞かれているわけではないけれども、聞かれていることを待つということは決していいことではなくて、物事が仮にどっちかに進んだときに、後で物を言ってもしようがないので、やはり言うべきことがあれば、その過程において言って、少しでも日本の意見を入れていくということが、より積極的な方法ではないかと私は思う。そういうような観点から、今のWGでのご議論を踏まえ、ぜひこれについてはご議論をお願いしたい。玉野参与のご報告で、こういうのがちょっと落ちているぞという点がもしあれば、ぜひご指摘いただきたいと思う。

【井上委員】  大変よくまとめられたので、特に落ちているというわけではないが、やはり今、遠藤部会長がおっしゃったように、その前にワーキンググループに対するチャージがまだはっきりしていないところがある。例えば今、遠藤部会長がおっしゃった予算の件について、これは先ほどの閣議了解の辺とも関連するのかもしれないが、アディショナルな予算を考えて議論していいのかどうか。つまり、例えば自由な発想で議論し、その後でずっと絞っていくのか、その辺がよくわからないところがあるというのが、この間も少し問題になっていたと思う。この点はITERをやる場合に非常に混乱したので、そこら辺のチャージがはっきりする必要があるのではないか。
 それから、もう一つ。ワーキンググループの方で技術的にいろいろ検討し、それを幾つかのオプションとして整理し、ここでお伺いして、ではそこにというような話の進め方ができるようなことが幾つかあると思う。例えば先ほどのITERで発言をするという話にしても、広報としてはいいのだが、やはりこれはお金がかかることで、それをどう考えるのか。発言の仕方もいろいろあるので、それをワーキンググループの方で整理してここへ持ってきて、皆様、どのようにやりますかという話をする必要があるのではないか。
 それから、今、原型炉じゃなくて総合試験炉という話になっているが、これについてもいろいろな考え方がある。総合試験炉から次の商用炉にいくのかどうか。その際、発電するといっても、フルブランケットで発電しなければいけないのか、あるいは部分的なブランケットで技術が確立されれば、あとは確かに実用化できるということをきちんと確証したというか、そこまでいけばいいのか。そういうふうなミッションがまだはっきりしていない。したがって、本当にフルブランケットでやるとすごいお金がかかるだろうし、そうではなく、ここまでやったらあとはもうスケールアップすればいいというか、スケーリングで実際の実用炉まで確実にいける、あとは民間でやってくださいというところまでやればいいのかとか、その辺のミッションをやはり明らかにする必要がある。それには、やはり、技術的にこういうやり方がありますよというのを幾つかワーキンググループで出してきて、ここでチョイスしてもらうというやり方があるのではないかと思う。

【若谷委員】  玉野先生の報告の最後の「ファーストトラックの考え方について」というところについてだが、私自身は個人的に、ファーストトラックというのが出てきたのは、やはり環境問題とか地球温暖化に対してどういう解決策があるのかということに対する1つの模索として、核融合も考えてみようかなというふうな雰囲気があるのではないかと思っている。そのときに、やはり核融合が例えば本当に環境問題の解決に重要であるとすれば、どの点で核融合が本当にコントリビュートできるのかというのは言われているが、必ずしも技術的な点まで含めてはっきりしていない。
長期的なこういう核融合のプロジェクトをサポートするのに、それは将来環境問題を解決してくれるのだとか、そういう期待感があるのかないのかということが重要であると思う。だから、テクニカルなことよりも、もうちょっと広い枠からの検討というのが重要ではないか。

【松田委員】  玉野先生から、核融合会議の戦略検討分科会のことなどのご紹介があったけれども、実は、この核融合会議の戦略検討分科会というのは、ITER計画懇談会が宿題を3つ出されて、そのうちの1つとして、この核融合をどういう計画で進めるんだというのがチャージされ、それに対する検討を行ったわけである。このときは、いついつまでに何々しないといけないというような、とにかく早くやらないといけないというような認識は余りなかった。
一方、ITER計画懇談会の下に、お手元の参考資料で配られている中に核融合の外の環境・エネルギーの専門家によって構成された茅委員会というのがあり、ここで将来のエネルギー利用とか代替エネルギーのフィージビリティーとか、こういう検討がなされた。そこで環境問題等を考えると、やはり21世紀の後半には、今までエネルギー戦略に考えられていなかった新しいエネルギーが必要だというようなことが出てきている。そういう外部からの評価を踏まえて、ITER計画懇談会は、ITER活動に参加していく意義が非常に強いというふうに判断されたと思う。
そういう意味で言うと、早くやらないといけないかどうかという、そこの根拠というのは、まさに21世紀の後半に環境問題を解決するために必要と思うかどうかという点にあるが、核融合は、その1つの答えを出しているのだと認識された。
そういう視点で、なぜ早くやらないといけないかという論拠は、やはりこのITER計画懇談会が検討したところにベースがあるというふうに私は考えている。たまたま、そういう同じような問題認識をキング先生、そのあたりの方も考えられて、早くやらなければいけないというようなことで出てきたのではないかというふうに私自身は解釈している。

8)井上委員より、参考資料「エネルギー需給及び代替エネルギーのフィージビリティーに関する検討報告書」(茅委員会の報告書)について説明がなされた。

9)本件に関し、以下の議論があった。

【宮委員】  先ほどのファーストトラックの計画を大きく育てていくという視点から言えば、この報告書はどういうふうに理解したらいいのか。

【井上委員】  やはり1つは、先ほど広報ということがあったけれども、例えば発電しないとだめだという、一人前には扱ってくれないということがあるので、そういう観点から、ITERで発電するということは意義があると思うが、これはまたお金との絡みがあるので、そこら辺を含めて判断する必要があるのではないか。
 それから、ファートトラックの観点から言うと、ここにあるように、核融合がなくてもそういうシナリオはあるのだろうけれども、それは大変だと。それから、原子力発電でもやれるかもしれないけれども、この原子力発電がなかなか取り入れられないのは、やはりいろいろ環境問題その他でバランスをとって、こういうことにシナリオではなっている。原子力発電の欠点を克服できるようなところが核融合にはたくさんあるので、それが実現されれば、今度はシナリオの中に取り入れられていくということになるのではないかと思う。実際その後、このRITEなんかでも、核融合が実現した場合というシナリオで計算した結果が紹介されているけれども、もっと大きな割合が出ている。そういう意味では、やはり早くやる必要があるのではないか。

【松田委員】  もちろん、こういうケーススタディーはいろいろな幅を持って読むことになると思うが、井上先生がご説明された資料の13ページの上のグラフに、「革新的技術」というのが書いてある。一番上の2050年ごろから増えていく部分。この「革新的技術」というのは、今まで考えられているような、太陽光、風力とかの技術は、既に全部下に入っていて、それでもなおかつこの三角形の部分(=「革新的技術」に相当する部分)だけ足りないということを意味している。何かとにかく新しいエネルギー源をつくり出して初めて550ppmに持っていけるというのがこのグラフの意味なのだと思う。
もしこういうレベルで市場に参入していこうとすると、開発は2030年代には少なくとも終わるぐらいにならないといけない。ここに書いてあるのは、市場に入っている、すべての国の総計なので、そういう意味からすると、開発は相当早くやっていないと、環境問題への適用には間に合わないということをこれは意味しているのではないか。

【井上委員】  おっしゃるとおりである。これは脱炭素技術だとか炭素の固定化とかいろいろ書いているけれども、かなり大きな開発課題が非常にたくさんあって難しい技術だろうと思う。それが成功しない場合には埋められないわけであるから、そこに核融合が入っていく余地というのは十分ある。

【宮委員】  今の松田委員の発言に呼応することになるが、核融合の最終目標を早期に達成するということは、それ自体に絶対的な意味があると思う。先ほど来から議論されているように、日本がITERの設置国にならない場合に日本はどうするのか、ヨーロッパが設置国にならない場合に世界の核融合はどういうふうになるのかということは、当然昔から、重要な関心事であった。
したがって、世界全体の核融合研究開発という視点から考えて、ファーストトラックの計画を大きく育てていくということは、先ほど言った意味で非常に意義がある。ITERに匹敵するとは言わないけれども、それに匹敵するぐらいに世界的な協力のもとでやっていくということは非常に意味があると思う。ファーストトラックの検討をするとき、本格的に実現するという視点はやはり念頭に置いていただきたい。

10)その他に関し、以下の議論があった。

【遠藤部会長】  今のご議論からさらに若干進み、第三段階核融合研究開発基本計画に関してだが、これはご承知のとおり、これをつくってから、もう10年近くたっており、この第三段階計画というのは見直しの時期に来ていると思う。ただ、この見直しというのはいろいろな前提条件があって、今、宮先生の言われたように、ITERのサイトを誘致できるのか、できないのか。誘致できないけれどもITERに参加するというケース、それも踏まえなければいけない。それから、そういったことを踏まえながら、さて、それではファーストトラックをこの第三段階計画にどういうふうに関与させていくのか、こういうようなこともあると思う。
 したがって、できれば技術ワーキンググループでもう一度整理していただき、それを踏まえて、このファーストトラック及び第三段階計画の見直しについての議論を進めてはいかがか。

【玉野参与】  多分2点あると思う。1つはファーストトラックの定義を少しはっきりしなければならない。かなり長期的な意味での核融合開発をどう促進するのかということと、現在考えられているトカマクを中心にした炉をどうやれば一番早く実現できるのかという2つのことがある。例えばキング氏等の提案は後者の方に近いのかと思うが、この第三段階をどうするかというようなことは恐らく前者と関連してくるかと思うので、その辺を少し整理して、その2つの問題について次回のワーキンググループで一度議論し、またここでお諮りすると、そういうことでいかがか。

【桂井委員】  結構だが、ワーキンググループのメンバーのリストをきちんと出してもらいたい。

【玉野参与】  本日のことに関しては、私と事務局との間に行き違いがあり、私はメンバーが載っているものがここに資料として提出されるものとばかり思っていたのだが、本日、資料を見ると載っていなかった。

【川口補佐】  後で追加的にメンバーのリストを資料として提出することとしたい。

【桂井委員】  一応この部会でメンバーを承認するという手続は必要ないのか。第三段階という大きな問題になると、ある程度メンバーを認めていただくという作業が必要なのではないか。

【川口補佐】  了解。とりあえずメンバーの方は、玉野参与からお話があったとおり、まず玉野参与と、それ以外は、核融合の技術に特にかかわりのある方として……

【桂井委員】  それは結構だが、資料としてきちんと出してほしい。

【川口補佐】  了解。

【玉野参与】  技術ワーキンググループは、ここでの議論のための準備会という位置づけでやっているので、メンバーとして必要であれば、それに応じていろいろな方に入っていただくという考え方でやっ
ていきたい。

【遠藤部会長】  それでは、そういうことで進めさせていただきたい。
なお、次回についてだが、次回の専門部会の前には当然、技術ワーキンググループの開催をお願いしたい。その開催自体は玉野参与と事務局、ご関係の方でご相談させていただくとして、専門部会の方は、そのご参考になる関連事項を申し上げると、先ほど大竹室長から説明があったように、9月17、18日にはトロントで第5回政府間協議、10月29、30日には青森で第6回政府間協議がある。他方、10月の中旬にはリヨンでのIAEAの会議がある。こういうような、私の承知する限りでも以上があるわけなので、そういうことも踏まえて、例えば9月の最後の週といっても1日しかないが、それから10月の第1週ぐらいではいかがか。
具体的にどうするかは、また追って調整させていたただいて、ご都合を聞かせていただきたいと思うが、この時期は絶対無理というような方がおられたら教えていただきたい。
 それでは、特にこれでは困るというような方がおられないようなので、具体的には追ってそういったラインで諮らせていただきたいと思う。
 以上で本日予定していた議題は全部終わったが、その他に各委員の方々から何かあれば、ご提起いただきたい。

【五代委員】  私は専門外ではあるが、先ほど前の方にお話があったサイトの広報計画を、やはり至急きちんとつくられるのがいいのではないか。今伺ったところでは、9月、10月にいろいろな国際的なミーティングが続くので、この辺をきちんとされるのがいいかと思う。
 私は宇宙関係が専門だが、多分、原子力関係は非常に広い、大勢の方が関係されているので、国内調整にいろいろな時間がかかっている。場所を決めるについても時間がかかったと思うが、このサイトを日本に招くならば、いわゆる国際会議を呼ぶとか、いろいろなイベントがあるけれども、ああいうのと違うのは、あれは2年おきとか4年おきとかで行われるのに対し、これは、はっきり言えば1回しかない。だから、絶対に呼ぶんだということならば、対外的な広報計画を早くつくられて、もちろんパンフレットとかブースとかプレゼンテーションとかがあるだろうけれども、こういうものは、基本的に、国際的なたたき合いというか、けなし合いというか、そういうことになると思う。したがって、その説明計画というのを早くおつくりになり、キーパーソンに対してうまく説明できるようにしていただくのが、今一番緊急の課題であると思う。

【遠藤部会長】  これは、担当の事務局とも相談の上、何かやはりそういう機会をめがけてPRをする必要があると思う。ここにおられる先生方も、原子力以外の方はもちろんのこと、原子力が専門の方でも、核分裂の先生であれば、六ヶ所村というのは非常に熟知されているだろうけれども、核融合の場合にはそうでもないところがあるので、百聞は一見にしかずということで、その機会をぜひつくりたいと思うし、どうやったら宣伝、あるいは売り込みをできるか考えさせていただきたい。

【榊原参事官】  先ほどの五代委員のご指摘の件について、既に幾つか広報用の資料というのは、例えば、政府間協議の場で使っているものとか、原研でつくられているものもあれば、県でつくられているものなど、いろいろな種類がある。しかるべき段階である程度まとめて、ただ、それも日々変わるところがあるが、何かまとめたようなものを準備したいと思う。

【遠藤部会長】  それでは、以上で本日の会議は終わりとする。