技術WGにおける検討状況


1.日  時  平成14年9月6日(金)13:00〜16:00
2.場  所  中央合同庁舎第4号館 6階 共用 643会議室
3.出席者

4.議  題
(1)核融合研究開発の加速促進について
(2)その他
5.配布資料

[ワーキング・グループでの検討の要約」
(この要約は、核融合専門部会(9月30日)の審議の資料とする目的で、先回と同様に玉野がWG後にまとめたものです。不備や誤解の点があれば、専門部会においてWG御出席の委員の方々から直接コメントしていただく予定であることにご留意下さい。)

最近のアメリカの状況について
 WGの議論の参考として、最近のアメリカのITER等をめぐる動きについて夏季米国に滞在した玉野参与より報告があった。7月前半のSnowmass会議には約280人の核融合研究者が参加し、核燃焼プラズマの研究の進め方について検討された。この会議では科学技術的立場からの検討に終始し、Magnetic Fusionに関しては、ITER、FIRE、IGNITORに代表される各規模の核燃焼実験を次期に採用する意義について研究者の合意が得られ、最終報告書が公表された。核融合開発の進め方についての議論はここでは行われず、この会議の検討を受けて8月中旬に3日間開催された拡大FESAC(Fusion Energy Science Advisory Committee)パネルにおいて核融合開発の進め方についての推薦案が作成された。パネルには全米を代表する約48名のメンバーが参加した。この推薦案は9月11、12日に開催されるFESACで検討され公表される予定である。(注:その後FESACは予定通り開催され、パネルの報告書が公表されたので、そのExecutive Summaryを本日の専門会議資料として添付してある。)
主な内容は、米国がITERのFull Memberとして早期復帰することを提案している。ただITERのコストについて米国独自の検討を至急に行い確認すること、および、各国のITER建設の合意が2年以内に得られること等を復帰の条件としている。また、その間はFIREの検討をあるレベルで続けて万一に備えることとし、また、IGNITORがイタリアで建設される場合には協力することなども推奨されている。
慣性核融合については、Fast Ignition方式に関心が寄せられた。

また、米国の6人の主要研究者がFESACに送った「実現可能な核融合開発加速案」に関する白書(WG添付資料)が公表されるなど、最近の米国の風向きはITERから撤退した数年前とはほぼ逆向きとなっている。特に上層部が核融合早期実現に強い関心を示しており、35年以内にグリッドに電力を供給する可能性に対する答えを求めていて、科学的研究に終始していることは難しくなってきている情勢にある。白書の内容は、先回WGで検討されたものと極めて近い内容で参考となる。ただ、体積中性子源の必要性が取り上げられているところは先回の専門部会WGの議論にはなかった。
これに関連して大竹開発室長よりコメントがあり、5月の日米会議の際にDOEの発言としてまずITER復帰をめざし、それから加速案を検討したいとの意向で、国際協力の重要性は認識しているが、今すぐにITERとIFMIF等を一緒に検討することは好まない様子であった。
米国のITERコストの検討で非常に高い推定が出てきて混乱を来す恐れはないのかとの井上委員の質問に対し、米国も4年前まではメンバーの一員であり、その時の米国の推定額はむしろ安い側にあったので、極端に高い推定が出てくるとは思われないとの下村委員の回答があった。
 また、玉野参与より米国がすでにITER参加の是非を検討するNRC (National Research Council)の委員会を設置したことからも本気で復帰を考えていることが推察されるとの追加説明があった。

核融合の早期実現の必要性と可能性について
電力中央研究所の岡野邦彦氏より[核融合発電の早期実現について]と題する説明があり、これを中心に早期実現への道筋の一つのオプションが検討された。要点の第一は、環境問題(CO2の削減)から見て、核融合の早期実現が可能でなければ核融合の環境問題への寄与は微々たるものとなり、したがって核融合へ投資する関心が失われるという論旨である。具体的には、核融合電力の供給速度は、三重水素の蓄積能力で決り、三重水素増殖炉(TBR)や三重水素を自己供給する核融合炉のいずれの場合を検討しても、ほぼ同程度の三重水素蓄積能力となる。この研究に基づいた考察によると、2050年から核融合電力の投入開始をはじめた場合には2100年のおける核融合寄与の割合は最大35%程度になりうるが、2070年に核融合電力投入開始の場合には最大10%程度かそれ以下となる。したがって、2050年までに核融合電力投入を開始することが必然となる。これはITERの後20年間に相当し、この間に"実証炉"を実現する必要がある。
要点の第二は、実現可能な"実証炉"オプションの考察で、前記の視点から"実証炉"の最重要な課題は三重水素の十分な増殖が可能であることを実現して見せることである。この観点からすると、高壁負荷では冷却管の占める割合が大きくなって増殖率が低下するので、低壁負荷が望ましく、1MW/m3という低壁負荷の採用を提唱している。さらにITERでの経験を最大限に生かす設計にするために、ITERでテスト可能な大きさに近いモジュール・ブランケットを採用し、ITERでテスト可能なプラズマ物理領域近傍で正のネット電力を出す"実証炉"の設計が可能であると指摘している。また、最初の炉のコストはやや高くなることも許容されるとの判断から、現行火力との比COEnが1.5を目標に検討している。この研究結果によると、COEnが磁場、Beta-Nと熱効率におおよそ反比例することから、磁場16テスラ、Beta-N=4、熱効率40%の設計が可能であると結論づけており、ITERと平行して高ベータ定常プラズマの実現や超伝導コイルの開発が重要であることを示唆している。また、建設費の上限も考慮し、ITER-EDA程度の大きさにできると推定している。
岡野氏はさらに将来の投資に関して、近い将来の投資と遠い将来の投資との比較、および、期待値と通し原理の観点から興味ある参考意見を述べ、核融合の早期実現の必要性を強調した。
COEnに関する確認の質問があり、液体系やガス系燃料は貴重なので自動車に回し石炭火力を発電に使うというモデルが用いられているとの説明があった。

核融合開発加速の要件について
関氏の先回の補足説明では、まず加速案の要件として岡野氏と同様の考えが示され、2050年からの核融合電力供給開始の重要性が指摘され、ITER後商業炉までは1段階とする必要性が強調された。また、EUでの考え方では、環境問題への寄与がコストの問題よりも重要視されているとの説明があった。
関氏の提案する加速案では、開発目標を設定してマイルストーンを設けて、いくつかのオプションを次第に絞っていく考え方がより具体的に示された。例えば超電導磁石に関しては、13テスラ、16テスラ、20テスラの開発を並列でスタートし、平成17年、22年、32年に選択を行なう案が例示された。同様のプランがブランケット等の開発についても提案されている。
また、IFMIFの増力の可能性についても報告があり、250mAから400mAへの増力の可能性があり、これが実現できれば材料開発のさらなる促進が期待できる。IFMIFの台数を増やすよりは増力の方がコストが少なくて済む。
体積中性子源についてIAEAの炉工学協力での検討経歴などの紹介があり、体積中性子源あればそれに越したことはないが、コスト(IFMIFの2-3倍)や候補方式の技術開発の現状から日欧では関心が薄く、4年くらい前から検討がたち消えになっている旨報告があった。
高村委員より、IFMIFは加速器という試験装置であり、材料の開発そのものよりも試験装置の開発が全てを律していく懸念はないのかとの疑問が提起されたが、実際には有力材料候補が存在していて、"実証炉"といった規模の設計には確実なデータによるの確認が必要であるという位置付けで、試験装置の開発が全てを律していくという形態ではないとの議論が関氏や委員数名からあった。
さらに桂井委員や高村委員より配管系溶接の中性子損傷、耐用年数、応力腐食等の問題に対してIFMIFで対応できるのかとの質問があり、実際の溶接部の位置での中性子照射量の考慮、低エネルギー中性子照射試験結果のデータ、また商業炉用の新材料候補に関しては"実証炉"との並列開発等の観点から対応可能との議論があった。
材料開発以外の開発要素に関してもいくつかの質問があり、岸本委員より高ベータプラズマ定常制御の問題や本格的な発電ブランケットの開発をどの段階で行なうのかといった問題について説明があり議論がなされたが、ITER以降の新しいチャレンジの要素があることが指摘された。また、井上委員よりダイバータ材料に関する質問があり、下村委員より20MW/m2の限界値を変更することは考えにくくプラズマの方を調整していくことになると考えるとの回答があった。
西川委員より他の核融合方式の利用(例えば慣性核融合による中性子源)を"核融合開発加速"に役立てることを検討すべきではないかとの意見が述べられたが、ここで考慮している"核融合開発加速"は、現実味の高いものを検討しており、これに該当するレベルの技術は見当たらないとの指摘が委員数名よりなされた。
松田委員より高ベータプラズマ定常制御に関連して、文科省でのJT-60U改造計画等に関するWGでの検討状況について説明があり、JT-60U改造が臨界プラズマ物理条件近傍の高ベータプラズマ定常制御が試験できる世界でほぼ唯一の装置であると考えられる。(他ではJETが考えられるが、DT実験に使われているので制約が存在する。)この議論に関連して、ITERのみならずIFMIFをはじめ種々の加速案に必要な要件について国際協力・役割分担の必要性が多くの委員から指摘された。日本だけで検討を閉じてしまうのでなく、国際的な理解を考慮してに加速案をまとめていくことが大切で、公式の協定というよりも早期に考え方の交換をする場を設けることが必要である。また、岸本委員と下村委員より、加速という観点からITERが貢献できる点については、現在ITERのコミュニティーの中で検討中との説明があった。
また、下村委員より、国際的役割を検討するにあたっては、日本が現実に持っている能力を維持しながら協議に望むことが重要で、この点JT-60Uの現状は懸念されるとの指摘があった。これに関連して、玉野参与より、日本のニューメリカル・シミュレーションに関しても懸念があるのではとの質問があり、レベルが低いとは思わないが層が薄いきらいがあるとの答えがあった。予算やポストの仕組みに問題点が存在する。

第三段階計画の見直しに関して
第三段階計画とは、ITERを中核とした計画を意味するので、加速案に関連した「第三段階の見直し」という意味が不明確であるとの指摘が多くの委員からあった。確かに加速案ではITER計画をしっかりと遂行することが肝要との立場が確認されたので、第三段階計画で見直すべき点は少ない。むしろ第三段階計画に付随して記されている核融合開発の筋道に関して検討し、ITER以降をどう考えていくのかと理解すべきではないか。そうだとするといきなり技術的問題点の検討のためのWGというのも理解しにくい。まず、全体的問題点があればそれを指摘していくことから始めることがよいのではないか。
これに関連して下村委員より、原研から大学に研究に行く国内交流が外国との交流よりも実行しにくい現状や原研で大学院教育ができない欠点等が指摘された。