第1回核融合専門部会 議事録

1. 日時:平成14年1月18日(金)10:00〜12:00
2. 場所:中央合同庁舎第4号館 2階 共用220会議室
3. 出席者:
(原子力委員)藤家原子力委員長、遠藤原子力委員長代理、竹内原子力委員
(専門委員)玉野輝男参与、池上徹彦、池田右二、伊藤早苗、伊藤正男、井上信幸、桂井誠、岸本浩、五代富文、下村安夫、鈴木誠之、高村秀一、西川雅弘、藤原正巳、松田慎三郎、若谷誠宏 (以上、敬称略)
(文部科学省)大竹核融合開発室長
(内閣府)浦嶋審議官、小巻参事官、榊原参事官
4. 議題:
(1)ITER計画について
(2)核融合研究開発の進め方について
(3)その他
5. 配布資料:
資料融第1−1−1号 核融合研究開発の状況とITER計画について
資料融第1−1−2号 ITER計画に対する考え方
資料融第1−1−3号 ITER計画政府間協議及び海外の状況
資料融第1−2−1号 第三段階核融合研究開発基本計画の進展状況
資料融第1−3−1号 核融合専門部会準備会議事録
参考資料第1号 核融合専門部会構成員
参考資料第2号 原子力委員会専門部会等運営規程

6. 議事内容
1)開会の挨拶(藤家原子力委員長)
 専門部会は、昨年、準備会という形で1度開催したが、そのときは公開ではなかったので、本日、改めて第1回会合を開催させていただく。
 ご承知のように、原子力委員会は、新しく内閣府の設置とともに、そこでの委員会として、今、活動を始めている。原子力委員会の大きな役割は、原子力政策の企画立案及び遂行である。この企画立案及び遂行のキーとなるものが、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」という中に具体的に表現されてきたわけだが、今次の長期計画も一昨年末につくり上げることができた。皆様方の大変なご協力のもとにこれが発足した。
 ただ、従来の長期計画が、ともすれば開発途上型というか、タイムスケジュールに沿っていついつまでに何をやるという形のものであったのに対し、今次の長期計画は、新しい世紀に向けて原子力の全体像を示し、その長期計画を行うということであり、必要な場合に限って、タイムスケジュールなり、あるいは具体的なものの表現がある。
 したがって、この長期計画を実際に具体化し、実効あらしめるものにするのが、まさにこれからのフォローアップとしての原子力委員会の大きな役割であるが、各専門分野においてそれぞれ専門部会をつくり、これに当たるということである。
 この核融合専門部会は、核融合に関する長期計画の遂行ということが大変重要な役割となっている。この核融合に関して、原子力委員会は、随分古い昭和何年という段階からずっとこれに取り組んできた。核融合会議という名のもとに、原子力の専門部会として我々の先輩が大変なご努力をされたことであり、今、第三段階という状況の中で研究開発を進めているわけである。
 核融合のような1つの巨大技術に関しては、しっかりした基礎、十分な基盤研究、これに加えて全体を構築するというシステムインテグレーション、この3つがバランスよく遂行されることによって初めて順調な成長が期待されるという言い方を私どもはしてきた。特に、システムインテグレーションという観点においては、この数年あるいはもう少し長い段階でITER計画が世界的な国際協力の名のもとに成長してきており、いよいよ日本もその判断を迫られる時期が来ている。
 したがって、この新しい局面の中で、核融合のバランスある発展のために、ここにお集まりいただいている先生方のご尽力を心からお願いしたいところである。核融合会議での昨年の2月ごろの議論、あるいはITER計画懇談会での議論、原子力委員会はこれらをきちっと受けとめてきているので、この上に立って皆さんのご協力をお願いできればありがたいと思う。

2)核融合専門部会における部会長の選出を行い、遠藤原子力委員長代理が部会長に選出された。
 また、遠藤部会長の意向により、玉野参与に補佐をお願いすることとなった。   

3)大竹室長より、核融合研究開発の状況とITER計画について説明がなされた。

4)小巻参事官より、総合科学技術会議におけるITER審議状況について説明がなされた。

5)大竹室長より、ITER計画政府間協議及び海外の状況について説明がなされた。

6)これまでの説明内容および今後のITER計画の進め方に関し、以下の議論があった。

【井上委員】 
 いろいろお話を伺って、ITER計画は内外ともに話が大分進展したようだが、国内的には昨年1年間は、ITERをやるとほかに迷惑をかけるのではないか、というようなネガティブ思考の議論をやってきたわけである。その間にヨーロッパでは先ほどのお話にあったように、ファーストトラックなる立派な計画について議論していた。そういうことを踏まえると、そろそろITERが決着する時期が来ているわけであるから、今年は、少なくとも専門家の間では、ポジティブ思考で核融合の議論を進めてはどうかと思う。
 それで、例えば核融合発電を早くやるという加速案などを考えてはいかがか。その際、後でお話があるのかもしれないが、第三段階核融合研究開発基本計画がそのために再検討される必要があるとすれば、ポジティブ思考の観点からは大変結構ではないか。ただし、いったんタガを外すといろいろな考えが出てくるから、そこは慎重に、こういうところでしっかり議論して進めていく必要がある。

【藤原委員】
 最近の状況をいろいろとご説明いただき、わかってきて大変よかったのだが、政府間交渉について、今後の大まかなタイムスケジュールとしてはどうお考えになっているのか、というところは非常に大事である。放っておくとだらだら続くのか、それともある程度の目処を持っているのか、その辺のことを少しお伺いしておきたい。

【大竹室長】
 先ほどの説明で申し上げたとおり、ITER自体は2003年から着工したいと、今、関係者は考えて進めている。今年中には協定を各極でつくり上げ、これでいこうという段階まで持っていきたい。EUについては、協定ができて事務的に処理すればそれで終わりなのだが、多分、日本、ロシアにおいては、それを踏まえて批准行為が必要となる。日本の場合、行政部局、内閣においてまず署名をすることになるが、順調にいくと、2002年末までにその協定の署名をし、2003年にその承認行為ということで通常国会に批准行為をお願いするというステップになるだろう。そこから逆算すれば、協定は、どこにつくるかということによっていろいろな権利義務関係や詳細が変わる可能性があるため、まず、どこにつくるかということを決めなければならないが、それは今年の半ばごろまでに決めるということが望まれる。
 ただ、先ほども申し上げたが、サイトを決めるときには、技術的な評価の他、いろいろなものがパッケージになって決まる。したがって、技術的な評価でここがいいということはもちろんそのベースになるが、その後、だれがどこを担当する、それからいろいろな人事の問題、そういうものとのパッケージでいろいろな議論が行われて決まることになるだろう。そういうステップに向けて、交渉自体は大体二月に1遍ぐらいのペースで当面は進むだろう。
 ただ、日本と違って、各パートナーは夏休みをしっかりとるので、多分7月、8月のところはスキップすることが今の状況では考えられる。したがって、トータルで6回、あと5回ぐらい交渉があることと思う。その中で全体をまとめていくということになるだろう。これが、今の当面のスケジュールである。

【桂井委員】
 米国への復帰要請という話が新聞等で出てきて、日米関係は非常に重要ということで理解できるわけだが、ITERをいったん離れた米国に、積極的に政府レベルで復帰を要請するという背景がちょっと理解できない。
 ご存じのように、アメリカは8月にスノーマスの第2回会議でイグニッションマシンについていろいろと議論が始まると思うが、それを受けないとそう簡単にアメリカの見解というのは出てこないだろう。今のお話はちょっと楽観的に過ぎるのではないか。少しアメリカに振り回されるおそれがあるのではないかと思うが、いかがか。

【大竹室長】
 関係極間の認識としては、もちろんITERはまさにインターナショナルで、よりインターナショナルにするために、核融合の実力もあり、従来仲間であった米国が入ることは好ましいであろうと考えているが、これが必須条件だとは思っていない。
 ただ、懐事情から言うと、アメリカがそれなりにシェアを持って入ってくれれば楽だなという部分は無きにしもあらずである。しかし、EDAの3年間延長も踏まえて、関係極間でITERは十分やり得る、ぎりぎりだけれどもやり得るだろう、みんなそれほどお金があるわけではないが、ちゃんとそこのところはできるだろうと思っている。
 したがって、あくまでアメリカに対する呼びかけというのは、よりITERを国際的協力にするためであるが、かつてのパートナーにもう一度この時期に声をかけることは、別に悪いことではないと思う。
 次に米国の状況についてだが、おっしゃるとおりで、米国は連邦の核融合に関する会議の方がITERを脱退した直後にタイムスケジュールを書いている。その後、燃焼プラズマをやりましょうという法案が上院・下院に出ており、下院だけは可決している。それによると、2004年の夏までにもろもろのチョイスを決めよ、国内でどういうものをやるか、ないしは国際プログラムに復帰するか決めよということになっている。
 したがって、そのタイムスケジュールでいくと、おっしゃるとおり7月にコロラドのスノーマスで予定されている会議で米国内のアカデミアのコンセンサスを図るということになっているが、一方、やはり米国の行政府も、それから核融合に携わる方々も若干、ITERの方のスケジュールが待ってくれないということは非常に気にしている。我々は別に待つ気もないし、だからといってどうしても入れと言ってしつこく誘っているわけでもないが、その辺を米国は非常に気にしている。
 ただ、おっしゃるとおりスノーマスとの関係でどうなるのかということはまだ不透明である。場合によってはスノーマスの結論を予期しながら、ある種マンデートを制約して入ってくるということがあり得るのかなと思う。
 いずれにせよ、その辺は、尾身大臣に対してマーバーガー補佐官は、遠くない将来に前向きな結論を出したいとおっしゃっていたので、これを実際に実行するのはエネルギー省だと思うが、その検討を見守りたい。

【遠藤部会長】
 最近までアメリカにおられた玉野先生に御発言をお願いしたい。

【玉野参与】
 では、ちょっとスノーマスミーティングについて追加させていただく。スノーマスミーティングの最後の会議は、7月にスノーマスにみんなが集まってやるということだが、既に活動は始まっている。幾つかのグループに分かれ、そのサブグループごとのミーティングというのは、11月のAPS(米国物理学会年会)のときから始まっており、この春にも何回かグループごとのミーティングが予定されている。
 それで、今の予定では、5月に一応報告書案をつくった上でスノーマスミーティングに臨みたいということなので、かなり早い時期に全体の意向というか、何が課題であるかというようなことに関しては問題点が表に出るという予定で進めている。したがって、必ずしも7月を待たなくてもかなりの見通しがつく可能性があるという判断が政府・エネルギー省等にあるようだ。

【若谷委員】
 先ほど、井上先生が今年度からポジティブ思考でいろいろITERを検討できればいいとおっしゃったことに関連するが、「ITER計画に対する考え方」の資料の一番最後に(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)という4項目がある。実際、大学における研究がこれからどうなっていくかという意味では(イ)とか(ウ)の項目が非常に重要だと思っている。
その中で特に、「国内核融合研究については、我が国の核融合研究全体とITER計画が有機的に連携する体制を構築すること。」とある。これを、具体的にどういうタイムスケジュールでどういうふうに進めていくかというのは非常に重要だと思う。
 特に、大学関係の意向としては、やはりボトムアップで組み上げていくというのが基本的な姿勢だと思うが、ITER自体はある程度トップダウン的に決まってくる面もあると思うので、その辺のすり合わせとか、あるいはどういう見通しを持っておられるのかというのを少し答えていただければと思う。

【大竹室長】
 非常に重要な点だと思う。やはりITERに参加する、もしくは誘致に成功して日本に来るということになったときに、これは国際装置なので、どうあろうが日本の思うがままになるわけではないと思うが、しかしある種最先端を極めた装置であるから、これを十二分に日本の研究者の方々でご活用いただくことは非常に重要だと思っている。
 そのためのチャンネルというのをどうするかということ、これは原子力委員会にもいろいろお助けいただきながらやらなければならないわけだが、ユーザーの声を吸い上げるメカニズムとして、ある種のフォーラムのようなものを結成していこうというお話を承っており、私は非常に結構なことだと思う。
 先ほど、井上先生からいろいろお話があり、「昨年1年は…」とおっしゃっておられたが、私は実は昨年後半から世の中がポジティブな方に少しずつ向かっているのではないかと思う。ぜひ政府の考えとしては、もしこれにちゃんとお金を払うことになるならば、本当に日本の研究者の方にしっかり使っていただけるようにするために、そういうようなチャンネルというのはきちっと開いていきたい。ただそこは多分ボランタリーフェーズになると思うが、それをどうやってオーソライズするかといったメカニズムがまた必要だと思う。なるべくいい提案、いい発想をITERにぶつけて、まさに建設が終わって燃焼プラズマができたときには日本の提案によるいろいろな実験なり研究ができるようにしたい。そのために、今まで確かにいろいろ御議論があったのだろうが、まずはプラス思考に行くためにそういうフォーラムを形成していただくことは非常に価値があると思う。それを実際にフォーマルなチャンネルにどうつなぐかについては、もう少し検討が必要と思っているが、現状はそういう認識である。

【榊原参事官】
 ちょっと補足させていただく。本日、説明があった「ITER計画に対する考え方」の資料だが、これは大きく見ると2ページ目、3ページ目のところで「1.」、「2.」というのが打ってあり、「1.」のところは読んでいただければわかるかと思うが、科学技術政策担当大臣と有識者議員の方の基本的認識を述べているものである。それが、「以上を勘案し、」というパラグラフでくくられているわけであり、「2.」以降のところは、今後、総合科学技術会議の議論を経た上で政府の方に玉が戻ることになるかと思うが、その戻った後に政府の対応として配慮すべきことというのがいろいろな形で書かれている。政府間交渉において配慮すべきことも含まれているし、参加に当たって含まれていることもあるかと思う。もちろん、中には誘致をした場合にはこういうことに注意をしなさいというようなことも書かれている。
今現在では総合科学技術会議の方で御議論をしていただいているわけであるが、それがいずれ、先ほどの話だと4月、あるいはそれ以降に結論を得ることになると思うので、その後は政府の方にこの玉が帰ってくるということになる。そうすると、この政府はだれかという議論もあるかと思うが、今、大竹室長の方から説明があったように文部科学省の方でも考えていただくことがあるだろうし、あるいはこの場で考える必要があるものもあるかと思うので、そのあたりはまた別途どういう課題があるかというのを含めて検討していけばよいのではないかと思う。

【池田委員】
 私がかつて在ウィーンの国際機関日本政府代表部大使であった折、ちょうどアメリカのITERプロジェクト撤退という問題が起こった。このときに感じたことは、アメリカの議会がネガティブであったのに対し、当時の行政府は、ITERというものについて熱意を持っていたということを記憶している。
 別なときに私はジュネーブにもおり、核物理学の大きな実験装置(CERN)も見学したことがあるが、アメリカ、ヨーロッパは、宇宙、核物理などの国際的なプロジェクトをこれまで推進してきているわけである。これに対して、日本は科学分野においては大変優秀な人材がおり、国内では実績を上げて、またいろいろなプロジェクトを推進しているにもかかわらず、国際的にはこれまで大きなプロジェクトを推進したりリーダーシップをとったりすることは余りなかったわけで、これは大変残念なことだ。
 ITERのような大きなプロジェクトというものはなかなか出てこないことであり、1つの非常にいい機会と思う。科学技術分野におけるいろいろな国内に対するベネフィット以外にも、大局的な意味で日本の国際的な地位を向上させるという側面もあるかと思う。こういう観点から、ぜひこれは慎重かつ前向きに取り組むという姿勢でいったらいいのではないか。
 先ほど以来話があったとおり、カナダは既に立候補している。フランスも、着々と準備を進め、根回しを進めて、EUの内部を固めている。いろいろな分野でのEUの外交を見ていると非常に強力かつ巧妙であるから、いったんフランスが出てくれば、日本がこの検討を終わって手を挙げても、日本への支持が集まると楽観的に考えてはいけない。大変手ごわい競争相手だと思うので、日本もこれから決定後の誘致なり参加のための外交をうまくやっていくために、相当本腰を入れられるように国内的、外交的体制を整えていかなければいけないのではないかという気がしている。

【五代委員】
 私はこの分野は素人であるが、今いろいろ伺って大分わかってきた。アメリカの動きというのがやはり一番気になっている。ただ宇宙と違ってこれは対等ということなので、そう勝手に、撤退した、また再撤退とか残るとか、そういうことはあっても、全体が振り回される率というのは低いかもしれない。しかし、アメリカは議会、政権、これによっていろいろ変わるので、その辺で振り回されないように、特にこれから協定をいろいろつくられるときに、そこでうまくきちんと歯止めというか、何かしておかないと勝手なことをされないかというのが1つ気になった。
 それから、今お話があったように、日本と主として多分フランスだろうが、ここのいろいろな難しい問題、これはこれからのポイントになるかなと思っている。
以上、素人であるが、感じたことを申し上げた。

【下村委員】
 私は、ITERのプロジェクトが始まったときからITERに参加させていただいているが、ちょっと感じたことをお話しして、これからの日本の方針についてのお願いをしたいと思う。
 1つは、まず外国の研究者が日本に来て研究するというのは、最近非常に頻繁に行われているが、かといって、外国の研究者が日本に非常に長期にわたって生活の場を移して研究に参加したいというのは割合まれだというのは皆さんご存じだと思う。そういうことで、ITERの工学設計活動が始まった1992年の前の交渉の段階で、日本に設計のセンターを那珂に置くと言ったときに、「いや、那珂に置いたって、那珂に大勢ヨーロッパ人だとかアメリカ人が行って、生活の場を移そうとする人はいないのだから、それは無理だ」というのが一番最初の反応だった。非常にラッキーなことに、核融合というのは割合長年研究者のお互いの交流があったので、交渉の場よりはむしろ現場では、日本に行ってそこで研究をして生活の場を移してもよいという情熱を持った人は結構たくさんいて、現実問題としてそれが成功裏に運営されたわけである。今、私と一緒に仕事をしている那珂にいらっしゃる人々も、9年にわたってご家族と一緒に研究を続けられている。
 そういう実績と、それから日本がITERに関して言えば非常にきっちり仕事をして、ITERの建設に必要な技術を着々と築いてきたという信頼感から、1年半ぐらい前、そのころは、私が感じたところでは少なくとも国際チームの中では、「日本にITERが建設できるのであればそれでもいいのではないか、それで一緒に研究すればいいのではないか」というムードが非常に強かった。そのころは、ちょうど吉川先生が座長のITER計画懇談会で検討が進んでいた中間の頃なのだが、ところがなかなか決まらない。なかなか決まらないということが国際チームの中で割合フラストレーションとしてたまってきて、そういう意味では、例えば今ちょっとお話があったように、フランスと日本が同時にサイトをオファーしたとする。そうしたときに、「日本だ」と大勢が言うかというのは、かなり疑問になってきていると思う。
 そういう意味では、本当に日本に誘致したいのであれば、できるだけ早くはっきりと意思を示さないと、非常に難しくなると思う。

【池上委員】
 私も素人ではあるが、2年ぐらい前に、多分、吉川先生の下の下の委員会ぐらいだったと思うが、村上先生の下で、むしろ人文社会科学系の人と一緒にITERについてよく議論をした。そのとき、現場にも行って、国際協力という点では多分非常にすばらしいだろうと思った。 
ただ、今のお話にあった、つまり、なかなか決まらないという一番の理由は、やはり技術的な問題、技術的な可能性がどうかという点だろう。それについて、私も技術者なのだが、まだ我々から見てよくわからないところが多過ぎる。例えば金だけの問題なのか、あるいは政府がどこか力を入れれば物ができるのかどうか。それに対して、やはりある種の考え方というのをもう少し明確に示してほしいような気がする。
 例えば、2013年にしても、この際、金を仮に5, 000億円をぼんと入れた場合にそれが2005年になるかどうかというような具体的な問題に対して、技術サイドはどう答えるかという話になると思う。やはりその辺をうまく描いていかなければならない。
そのときの議論の中では、「プロジェクトなのだから、当然、現時点でほとんどの技術はフィックスできております、それをどうやって具体的に進めていくかが問題ですよ」というようなことが回答として返ってきた。しかし、例えば材料サイドから見ても、中性子の問題とか、解決しなければいけない話がたくさんある。どうしてもプロジェクトという言い方をすると、既に技術はフィックスしてあり、あとはタイムスケジュールに従ってやっていくという説明になって、多分それは嘘ではないけれども、真実ではないような感じがするわけである。
 したがって、少なくとも350人の皆さんの生活がかかっているということはよくわかったが、やはりそれ以外の技術者などが納得するような、もう少しはっきりしたストーリーが欲しい。その場合に、当然リスクというものを入れていかなければいけないのであって、リスクがどのくらいかということが入っていればわかりやすくなっていくのではないか。
 そういう点からいうと、一番最初にごあいさつの中にあった、例えばアメリカもスーパーコライザーを中止したということがあるわけで、場合によっては中止するということがあるよというぐらいの感じで立てていくと、もう少しはっきりしたものが見えてくるのではないかという感じを持っている。

【下村委員】
 今の先生のご質問について、直接ITERに関係したところだけお答えしたい。核融合の開発の不確定性といった場合に、将来、動力炉までどういうふうに確実かという話と、ITERをつくるのがどれだけ確実かという2つの話があると思う。
 前半の、ITERをつくるのに対してどれだけ確実かということに関しては、先ほど大竹室長から御説明があったように、必要なコンポーネントというのはそれぞれ開発しているし、ITERでさらされるような中性子の量に対しては耐える材料も試験済みでできている。
 また、お金を出せば2013年にできるのがもっと早くなるのかということについてだが、これはやはり一番時間がかかるものがあり、超伝導コイルの材料を発注してからそれを巻いて、それからそれと並行して建屋を立てて、それからトカマクを組み上げる、それが一番クリティカルであって、それはお金をつぎ込めば幾らでも短くなるということではない。建設期間は1年とか2年という程度は縮小できても、それ以上は縮小できない。それのケーススタディーはしてある。

【伊藤(早)委員】
 池上先生のご質問について、一部そのようなアプローチが既になされたということだけ、ご報告したい。
今走っている長期計画をつくっている際にヒアリングがあり、そのときに、例えば計画で実験をした場合に、どのようなオペレーションがどのぐらいのプロバビリティーでできて、それでそのプロバビリティーに対して、(例えば到達とかチャンピオンデータというわけではなく、)どういう実験データをとるために何%ぐらいのリスクヘッジがかかるとか、どのぐらいの確率でなど、未踏領域の大型研究計画を判断するための考え方を説明した。ITER計画でもそういうようなアプローチはなされている。
全部が全部というわけではないが、そういうようなことは始まっている。

【池上委員】
 全然とは言っていない。あと、350人の日本の研究者の皆さんが賛同していないということについては…。

【伊藤(早)委員】
 全員が納得する所までは不本意ながらまだ完全に充実はしていないが、いずれにせよ、そういう方向性に向けて今後そういうリスクヘッジ、プロバビリティー、それからそういうことをどう評価していくかということは、未踏の研究に対しては絶対に必要になってくるストラテジーだと思う。そういうこともこういうところで議論したり、学会での検討やNGOの方でもやっていかなければならないことだと思っている。

【遠藤部会長】
 議事進行の件に関してだが、本来、このITERに続いて、第三段階核融合研究開発計画についてもご議論をいただく予定だったのだが、どうもITERの方に議論が集中して、時間の制約もこれあり、第2議題は次回に回すということにして、本日はITERだけに終始させていただきたいと思う。
ITERについて、さらにご議論、ご意見等々ありましたらどうぞ。

【鈴木委員】
 ちょっと観点を変えて一言お話しさせていただきたい。こういう総合的なすごいプロジェクトの研究開発にも参画し、それからリーダーシップを発揮していくというのは大変大事なことだと思うが、見方を変えて、これを産業という立場から考えてみると、やはりこういったビッグプロジェクトというのは、研究開発を支える産業があって、あるいは産業が発展してこそ意義がある。
私もずっと実験施設の建設にあちこちタッチさせていただいた経験から申し上げると、こういうものはやはり自分たちの手でつくり、目で見て、いろいろな経験をして初めていろいろな問題点がわかってくる。したがって、誘致するということはまた全然別の観点からすごく効果があるものだと思っている。
 したがって、先ほど、ほかの先生方から話があったが、ぜひ誘致のための結論を出して、どしどし進めていく必要があるのではなかろうかとつくづく感じている。冒頭に井上先生からもお話があり、今年はポジティブということをおっしゃっておられたが、そういう考え方をぜひ入れて進めていく必要がある。
それにつけても、やはりご説明があったように、こういう複雑難解なプロジェクトをわかりやすく国民に常にPRをしていくという運動をやりながら早く結論を出すということ、至難の業だと思うが、こういったことがないと、こういう大きな国際的プロジェクトがうまく成功していく素地ができてこないように思うので、その辺をぜひ考慮に入れていただきたい。

【西川委員】
 炉システムの観点から少し申し上げたい。先ほど、ITERに対し、何か技術的にちょっとクリアでないという意見があったと思うが、これはやはり下村委員がおっしゃったように、ITERということに対しては、もう技術的なことはほとんど原子力学会とかいろいろな分野で議論もされて、炉工学的に、これはもうクリアできる。炉工学的というのは、ITERの次にくる定常炉に対してはいろいろな問題があるが、そこのところをはっきりとしておかないとまた誤解があるので、技術的なことに対してはもう解決済みということをはっきりさせておきたい。
 それと、もう一つ誤解を与える危惧があることは、先ほど、いろいろ話が出たように思うが、短縮の問題についてである。これもまた誤解の原因になるので、計画としてこの段階で技術的な短縮ができるのか、あるいは、何か政治的・経済的な理由で短縮をしなければいけないのかとか、その辺がクリアにされないとまた誤解の種になるので、委員会としてクリアにしていただきたいと思う。

【高村委員】
 大学の立場から申し述べたい。1つは、こういうビッグプロジェクトを進めていく上で、やはり他分野の研究者、科学者のコンセンサスというか、ある程度の理解というか、そういうものをとるということは非常に重要なことだと思う。
 それで、エネルギー開発研究として、日本原子力研究所が中心として非常に大きな役割を果たすとは思うが、予算等の問題もあるけれど、大学に対する説得というか、大学の多くの研究者の理解を得るという努力が、多分、非常にこれから特に重要になってくるのではないか。その辺が、先ほどの若谷先生のボトムアップということで、我々核融合研究者だけではなくて、それ以外の分野の人たちをも巻き込むような工夫が必要であると思う。
 そのために、コミュニティーの問題でもあるのだが、例えば、何らかの形で大学間を主要な方が行脚するとか、非常に突飛なふうに聞こえるかもしれないが、これはいろいろな意味で非常に重要で、そういう事柄を図りつつやっていかないと、これから支えていくのは若い人たちであるし、若い学生に対してターゲットを提供するという意味でも大変重要なのではないか。そういう意味で、ぜひ大学を重要視してというか、そこから盛り上がってくるという体制をつくり上げていかないと、これは絶対に続かないと思うので、これは我々自身の問題でもあるのだが、そういう観点からもぜひお考えいただきたい。

【遠藤部会長】
 それでは、このITERというのは、先ほど申しましたように、来週、第2回の政府間会合が開催され、第3回はモスクワ、それから続いてフランスのカダラッシュというふうにオン・ゴーイングの交渉であり、これからも折に触れて皆様方と一緒にご議論し、お知恵をかりたいと思っているので、ひとつどうぞよろしくお願い致したい。

7)榊原参事官より、下記の事務連絡があった。

以上