革新的原子力技術(革新炉)について
(論点整理メモ)
平成14年3月13日
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1.開発の視点(研究開発主体に求められる視点)
- 産業として国内、あるいは特に海外に展開するための戦略及び切り札といった実用化のビジョンが必要。
- 実用化へのステップについて、技術的観点からも妥当性をもった開発戦略が必要。
- 日本の基幹エネルギーとしての原子力と多目的利用とを分けて、そのミッションを認識し、開発投資の配分を考えるべき。
- 原子力長期計画における革新炉及びサイクル技術の位置付けを確認することが必要。
(別紙2)
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2.システム概念(多目的利用とサイクル)
- 日本の置かれている燃料サイクルをめぐる特殊な状況を考慮すべき。
- リサイクルにはウラン資源の活用という視点だけではなく、廃棄物を最小化するという視点もある。
- 燃料サイクルの柔軟性確保、経済性、フレキシビリティという視点が重要。
- 燃料サイクルについて意見が分かれているが、両方あったほうが良い。
- 「システム要素の特性と組合せの例」と「特性を考慮したシステムの組合せの例」は、システムを全体として考える非常に重要な視点。
- 原子力産業を活性化するためのシーズについての議論と、日本の核燃料サイクルを長期的にどうするかという議論が必要。
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3.コンセプトブック
(コンセプトブックのまとめ方)
- まず革新炉とは何かを決める。
- どの様なシーズがあるかまとめ、日本としてあるべき方向性やそこから出てくる要求をまとめる。
- (現時点では)技術面についてどこまで検討し、どの程度まで妥当性の議論をするのか明らかにする。
- 実用化時期については、実用化見通しや技術的成立性見通しの観点で整理するような工夫をする。
- 類型化するにあたり特徴を殺してしまうようなことが無いよう工夫が必要。(例えば、炉の概念以外の、技術的特徴、市場といった視点での類型化。)
- 社会が原子力に希望するものという切り口で類型化する。
- 社会的受容の側面(ニーズ)として挙げている類型化の視点については、客観的な評価を行った上で整理する。
- 炉型とサイクルは全体のシステムとして評価する。
- 評価の視点を総合的に持って整理すべき。
(コンセプトブックの使い方)
- どう使うかということが解り易いことが重要。しかしあまり詳細には記載できない。
- コンセプトブックにおいてシーズ、あるべき方向性等を一旦まとめた後、将来どう有るべきかについて検討するのか。
- コンセプトブックができたあとに、それをどのように使って、逆にそこから先、どのような形でこのビジョンを実現していくのかによって類型化の方法が変わってくる。
 | @ | 原子力の将来ビジョンを、国民にわかり易く理解できるように示す。 |
| A | 各公募制度の基本的な考え方とするため、開発すべき技術要素を例示する。 |
| B | 国と民間企業の役割分担の考え方を示し、国の果たすべき役割と民間に期待する役割を示す。 |




(別紙2)
原子力長期計画における革新炉(高速増殖炉を含む)研究開発について
原子力長期計画(以下「長計」と言う。)においては、原子力研究開発利用を以下の5つに大別し、それぞれについて基本的考え方及び推進方策を示している。
(別添参照)
○軽水炉サイクル
○放射性廃棄物
○高速増殖炉サイクル
○原子力科学技術の多様な展開(加速器利用研究、核融合研究、革新的原子炉、基礎的・基盤的研究)
○放射線利用
革新炉(高速増殖炉を含む)及び核燃料サイクル技術(以下「革新炉」と言う。)に係る研究開発については、上記のとおり、高速増殖炉サイクル技術の研究開発及び原子力科学技術の多様な展開の一つとしての革新炉研究開発の中に位置付けられている。
まず革新炉については、炉の規模や方式にとらわれず多様なアイデアの活用に留意しつつ、国、産業界及び大学が協力して、研究開発についての検討を行う必要性が指摘されている。
しかし、特定の炉型や有望な炉概念についての言及は無く、我が国における革新炉研究開発の位置付け、在り方及び効果的な研究開発推進体制等についても、具体的な考え方は示されていない。
また、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の進め方については、長計においては、エネルギーの長期的安定供給の観点から、技術的選択肢の中でも潜在的可能性が最も大きいものの一つとして、革新炉とは別に、より具体的かつ詳細に考え方が示されている。
具体的には、核燃料サイクル開発機構(JNC)において実施している「実用化戦略調査研究」等を引き続き推進するとともに、JNC、日本原子力研究所、電力中央研究所、大学、メーカー等において、高速増殖炉サイクル技術について裾野の広い基盤的な研究開発を行う必要性が指摘されている。
(参考)
長計における革新炉及び高速増殖炉サイクルに関する具体的記述は以下のとおり。
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○革新炉
(第2部第4章 原子力科学技術の多様な展開)
1.基本的考え方
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(略)
一方、核融合や革新的な原子炉の研究開発は、将来のエネルギーの安定供給の選択肢を与え、経済、社会のニーズにこたえるものである。これらの研究開発を進めるに当たっては、創造性豊かな研究を育む環境を整備し、これらを支える基礎・基盤研究との均衡ある発展を図りつつ、効率的に進めることが重要である
- 2.多様な先端的研究開発の推進
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(革新的原子炉)
21世紀を展望すると、次世代軽水炉とともに、高い経済性と安全性をもち熱利用等の多様なエネルギー供給や原子炉利用の普及に適した革新的な原子炉が期待される。このため、炉の規模や方式にとらわれず多様なアイデアの活用に留意しつつ、国、産業界及び大学が協力して革新的な原子炉の研究開発についての検討を行うことが必要である。
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○高速増殖炉サイクル
(第2部第3章 原子力発電と核燃料サイクル)
1.基本的考え方
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(略)
さらに、長期的な観点から今後のエネルギー供給を考えた場合、安定供給が可能でかつ二酸化炭素の排出量が少なく環境適合性の高い非化石エネルギー源を確保すべく、多様な技術的選択肢を探索し、その実現可能性を高めるための研究開発が我が国のみならず人類社会にとって重要である。高速増殖炉サイクル技術は、ウラン資源の利用率を現状に比べ飛躍的に高めることができ、高レベル放射性廃棄物中に長期的に残留する放射能を少なくする可能性を有していることから、将来の有力な技術的選択肢として位置付け、適時適切な評価の下にその研究開発を着実に進める。
(略)
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5.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の在り方と将来展開
5−1.高速増殖炉サイクル技術の位置付け
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先進国の中でも特に際だったエネルギー資源小国である我が国は、エネルギーの長期的安定供給に向けて資源節約型のエネルギー技術を開発し、日本及び世界における将来のエネルギー問題の解決を目指し、その技術的選択肢の確保に取り組んでいくことが重要である。高速増殖炉サイクル技術はそのような技術的選択肢の中でも潜在的可能性が最も大きいものの一つとして位置付けられる。
また、高速増殖炉サイクル技術は、プルトニウム、マイナーアクチニド等多様な燃料組成や燃料形態に柔軟に適用し得るという技術的特徴を有している。このことから高レベル放射性廃棄物中に残留する潜在的危険性の高い超ウラン元素の量を少なくすることにより、廃棄物問題の解決にも貢献し得ると考えられる。
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5−2.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の方向性
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電力市場の自由化等を背景として、経済性の一層の追求が社会的に要請されており、高速増殖炉サイクル技術の研究開発に当たっても、その実用化段階において、安全性の一層の追求と併せて軽水炉や他電源と比肩し得る経済性を達成するという究極の目標を設定しておくことが重要である
また、研究開発に当たっては、将来の社会的ニーズの多様性を考慮して、原子炉や核燃料サイクル技術に関して炉の規模や方式、再処理の方法等にとらわれず、幅広い選択肢を検討し、柔軟に取り組む。環境負荷低減や資源の有効利用の面で注目される長寿命放射性物質の分離変換技術について今後とも着実に研究開発を進める。また、その際、競争的環境も取り入れつつ、関係機関が連携して取り組むことが重要である。さらに、それらの成果を国際的に役立たせることを目指し、技術的に核拡散につながり難い選択肢を開発する。
高速増殖炉サイクル技術のうち、最も開発が進んでいるものは、MOX燃料とナトリウム冷却を基本とする技術である。他の選択肢との比較評価のベースともなるもので、同技術の評価をまず優先して行うことが必要である。
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5−3.高速増殖炉サイクル技術の研究開発の将来展開
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(もんじゅ)
1995年のナトリウム漏えい事故以降運転を停止している原型炉「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術のうち最も開発が進んでいるMOX燃料とナトリウム冷却を基本とする技術を用いた原子炉でかつ発電設備を有する我が国唯一の高速増殖炉プラントである。
「もんじゅ」の意義、役割等については、高速増殖炉懇談会等においてもこれまで検討がなされてきたところであるが、今後、発電プラントとしての信頼性の実証とその運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立という「もんじゅ」の所期の目的を達成することは他の選択肢との比較評価のベースともなることから、同目的の達成にまず優先して取り組むことが今後の技術開発において特に重要である。
このことから、原型炉「もんじゅ」は我が国における高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核として位置付け、早期の運転再開を目指す
そのためには「もんじゅ」について、今後、安全規制行政機関や原子力安全委員会の厳格な審査等を経て、核燃料サイクル開発機構は、ナトリウム漏えい対策を確実に実施するとともに、安全総点検を踏まえ施設の安全性の向上を図り、立地地域を始めとする社会の理解を広く得つつ運転を再開し研究開発を進めることが必要である。
研究開発を進めるに当たっては、「もんじゅ」事故及びその後の一連の事故や不祥事によって国民の原子力に対する不信感と不安感が著しく増幅されていることを重く受け止め、研究開発段階にある原子炉であることを認識し安全確保に万全を期すとともに、徹底した情報の開示と提供を行うなど、国民及び地域住民の信頼確保に格別に留意する必要がある。
「もんじゅ」は、高速増殖炉の将来の研究開発にとって国際的にも貴重な施設であり、「もんじゅ」及びその周辺施設を国際協力の拠点として整備し、内外の研究者に開かれた体制で研究開発を進め、その成果を広く国の内外に発信することが重要である。
長期的には、実用化に向けた研究開発によって得られた要素技術等の成果を「もんじゅ」において実証するなど、燃料製造及び再処理と連携して、実際の使用条件と同等の高速中性子を提供する場として「もんじゅ」を有効に活用していくことが重要と考えられる。また、マイナーアクチニドの燃焼や長寿命核分裂生成物の核変換等に関するデータを幅広く蓄積する上からも「もんじゅ」の役割は重要である。
(実用化に向けた展開と研究開発評価)
高速増殖炉サイクル技術の研究開発に当たっては、社会的な情勢や内外の研究開発動向等を見極めつつ、長期的展望を踏まえ進める必要がある。そのため、高速増殖炉サイクル技術が技術的な多様性を備えていることに着目し、選択の幅を持たせ研究開発に柔軟性をもたせることが重要である。
具体的には、高速増殖炉サイクル技術として適切な実用化像とそこに至るための研究開発計画を提示することを目的に、炉型選択、再処理法、燃料製造法等、高速増殖炉サイクル技術に関する多様な選択肢について、現在、核燃料サイクル開発機構において電気事業者等、関連する機関の協力を得つつ実施している「実用化戦略調査研究」等を引き続き推進する。
また、核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所、電力中央研究所、大学、メーカー等は、国内外の研究開発施設の活用や海外の優れた研究者の参加を含め、高速増殖炉サイクル技術について裾野の広い基盤的な研究開発を行っていく。
高速増殖炉の実証炉については、実用化に向けた研究開発の過程で得られる種々の成果等を十分に評価した上で、具体的計画の決定が行われることが適切であり、実用化への開発計画については実用化時期を含め柔軟かつ着実に検討を進めていく。
このため、国は研究開発の進め方や到達度について随時チェックアンドレビューを行う。その評価に当たっては、研究開発投資の効率性の観点を重視するなど、単なる技術評価にとどまらず、必要に応じ社会的状況の変化などを踏まえて研究開発政策等の見直しを行うことが必要である。
